闇に舞う黄金・一筋の光へ   作:落ち葉崩し

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ナルトの言葉を理解する。

闇に行き、光のある世界から遠ざかること。

里の民を守るのではなく自分の大切なものを守るためだけに戦う。

そう決めたのか…ナルト


暗部入隊

その言葉に綱手は躊躇う。

 

確かにナルトは強く、この里でも今や1〜2を争う忍だろう。

 

そして自分が次期火影を任せたいとすら思っていた忍だ。

 

ナルトには表の世界で活躍して欲しかった。

 

彼の導く木の葉の里を見たかった。

 

だがナルトの目を見て理解する。

 

もう決意が揺らぐことがないことを。そして暗部として生きる覚悟をしてしまっていることを。

 

 

そして私は口を開く。

 

「わかった。お前を木の葉の里の暗部に入れるよう手配しよう。ナルト、お前は本当にそれでいいんだな?」

 

 

その言葉にナルトは静かに頷き応えてくれる。

 

「俺はこの両手で、自分の守りたいものを守るために戦いたいんだってばよ。だから綱手のばぁちゃん、そんな顔しないでくれよ、これは俺が望んだことだ」

 

そう告げるとナルトは優しく、柔らかい笑みを浮かべた。

 

「ありがとう、ばぁちゃん」

 

その言葉にまたナルトを抱き寄せた。

 

決して涙を見せぬよう、泣いていると悟られぬよう、静かに、両の目から1筋の涙を流した。

 

そして次の朝、ナルトを連れて暗部待機所を訪れた。

 

「ナルト、ここに入ったら最後だよ。覚悟はいいね?」

 

隣に立つナルトに私は最終勧告を告げた。

 

頷き歩き出したナルトを後ろから追う。ドアを開け入るナルトに私も続いた。

 

 

隣に並び立ち歩く。そして長い廊下の突き当たりにて装備品を受け取らせ、その服に着替えるのを待つ。

 

出てきたナルトは暗部装束に身を包み、狐の面を頭につけていた。

 

「ばぁちゃん、今日から俺は暗部として木の葉の里を、仲間を守るよ。でもさ、みんなには内緒にしておいて欲しいんだ。俺は旅に出たってことにしてくれると嬉しい。これが最後のお願いだってばよ」

 

そう言い笑顔を向けるナルト。もう頷くことしかできなかった。

 

「わかった。お前は修行の旅に出たと伝えておく。サクラにも、カカシにも、そして他のみんなにもな」

 

そう言うとナルトは頭を下げた。深々と。

 

「それじゃぁばぁちゃん、俺いくから。またな」

 

 

隣を横切り演習場へと向かうナルト。

 

私は振り向かずに外に出る。

 

火影としての仕事を成すために。

 

そうしないと自分の中の大切な何かが壊れてしまう。

 

そう感じたからだった。

 

復興に向けて歩き出した里のため。自分のできることを全力ですることを決めた。

 

そして綱手は歩き出した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

演習場へ入ると暗部の面をつけた人たちがこちらを一斉に見る。

 

「新しく暗部に入ったうずまきナルト。よろしくお願いします」

 

一礼しすると1人の忍が近づいてくる。

 

「俺は暗部総隊長、雨野雷牙、暗部名は黒豹。、ここでのルールを教える。付いて来い」

 

そう言うと歩き出した黒豹の後ろをついていく。

 

一つ一つの部屋の説明を受けていく。備品がしまってある部屋、武器の整備をする部屋、基礎トレーニングをする部屋など様々な部屋があり、各々にルールがあった。

 

「部屋については以上だ。そしてこれから暗部名について話す。暗部名とは任務の際に使う名だ。これは任務の際に素性がバレないようにするためのもんだ。そしてそれは自分の身を守るためのものでもある。だから俺たちは2つの名前を使い分けながら生活していくことになる。里ではお互いを元の名前で呼ぶが、里を一歩出たら暗部名で呼ぶことになっている。いいな?」

 

「はい」

 

返事をするとまた歩き出す。

 

そして次の部屋に入るとそこは人1人が生活するようなスペースになっていた。

家具なんかも寂しくはあるがしっかりと揃えてある。

 

「これは火影様からお前へだ。お前は旅に出たことになっていると今日の早朝に説明があった。前の家に帰ることはできないだろうということへの計らいだそうだ。ここには同じように過ごしているものが他にもいる。とりあえず今日からここがお前の家になる。鍵を渡しておくからしっかり管理しておけよ。」

 

鍵を受け取り、心の中で綱手に感謝し、後ろをまたついていく。

 

 

最初の部屋に戻ると、10人の忍達が並んでいた。

 

お前たち。

 

「今日から入ったうずまきナルトだ。先の戦争での功労者だが、暗部では1番の新人であることに変わりはない。しっかり教育してやるように」

 

その言葉に規律が取れた返事が返ってきた。、

 

「ここにいるのは全て隊長に当たる。みな、自己紹介をしてやれ」

 

その声に右から順に立ち上がっては名前を言っていく。

「1番隊隊長、トウヤだ。暗部名は麒麟」

「2番隊隊長、カナデよ、暗部名はアゲハ」

「3番隊隊長、フウマ。暗部名は仁」

「4番隊隊長、棗です。暗部名は蒼舞といいます」

「5番隊隊長スメラギだ。暗部名は大地。よろしく」

「6番隊隊長サツマだ。暗部名鬼羅」

「7番隊隊長イブキ、暗部名は竜牙」

「8番隊隊長メイです。暗部名は弦弧」

「9番隊隊長、ナトリ、暗部名は角星」

「10番隊隊長、リク、暗部名は月鐘」

 

隊長と呼ばれたものたちの挨拶が終わると黒豹から言葉がおりる。

 

「そしてお前は5番隊に所属してもらう。お前の暗部名は紅狐《ベニギツネ》これも火影様よりいただいた名だ、今日より紅狐、お前は5番隊に所属し、任務に出てもらう。訓練も同じくだ。わかったな」

 

「御意」

 

ナルトは返事を返すとその日はそれで解散となる。

5番隊隊長の元へ呼ばれたため後ろをついていくと質問が来る。

 

「なぁ?お前今から時間あるか?」

 

その問いにナルトは「はい」と返すとスメラギはそのまま歩き出した。

 

そして着いたそこは演習場だった。


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