ペインから里を救った英雄が姿を消した。
その話題で里は持ちきりだった。
今までナルトを疎んで来たもの達も皆今はナルトを里の忍として、また里を救った英雄として認めていた。
そして今までのことを謝りたいと願う人々もたくさんいたのだった。
そしてナルトと親しくしていたものたちは皆一様に火影の命を受け集まっていた。
「皆も知っての通りナルトがこの里を去ったという話を聞いていると思う。だがこれは里を抜けたわけではないということはお前達に伝えておきたい」
その言葉に集まった忍達は安堵した。
「ナルトは…あいつはもっと強くなりたいと諸国を渡り歩き旅をすることを決めた。そして昨日私に相談してきたのだがその件を承諾することにしたのだ。そしてあいつには今まで自来也がしてきたように、他里での情報など何か得ることがあった時に伝報を飛ばすように言ってある」
その言葉は全て偽りであったが、皆に本当のことを伝えるわけにはいかなかった。
あんなに希望にあふれていたナルトが今のような状態になっていることなど話せるはずがない。
春野サクラが口を開いた。
「師匠、ナルトは1人で旅に出たんですか!?私たちになんの挨拶もなしに!なんの相談もなしに!」
詰め寄ろうとするサクラをカカシが制す。
「まぁ落ち着け、サクラ。あいつがお前達に何も言わずに旅に出たのにも理由はあるのだろう。それを少しは汲んでやれ。あいつにはあいつなりの考えもあるだろうからな」
その言葉にサクラは言葉を無くした。
皆口を開かない。ナルトの考えを自分なりに考えているのだった。
「綱手様、ナルトは他に何か言ってませんでしたか?」
シカマルが問う。その言葉に綱手は少しの情報を漏らす。
「あいつは自分の守りたいもののために強くなる。自分の守りたいもののために戦うと言っていた。仲間を守れるくらいもっと強くなるってな」
その言葉に皆が一様に思ったことがある。
『自分はナルトと共に里を守るために戦いたい。でもナルトにとっては私たちは守るべき対象なのだ』という考えだ。
確かにペインとの戦いでは全く何もできなかったに等しい。
ペインのうちの5体はナルトが倒し、残り1体も木の葉丸が倒したのだ。自分たちはただ周りの被害を最小限にし、負傷者を救うことくらいしかできなかったのであった。
皆が少しずつ悔しそうな表情になる。
「ナルトはいつ帰ってくるんですか?」
カカシの問いに綱手は言いにくそうに呟く。
「わからない、あいつは強くなって帰ってくるとだけ言い残して最後は出て行ったからね。さて、話は終わりだ。皆任務に戻ってくれ。このことはまだ他言無用で頼むぞ」
その言葉にまだ聞きたいことはあったが皆部屋から出て行く。
皆が出て行ったあと、綱手はため息をつく。
『ナルト、お前はもうこちら側に帰ってくる気はないのかい?なぁ、ナルト』
綱手は自分の心の中でナルトに語りかけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
第3演習場
そこに集まるは同期の忍たち。シカマルを基準にし、円形に座っている。
「ナルトのことはとりあえず、抜け忍になったわけじゃなくてよかったぜ」
そう言うとシカマルはホッとした表情になる。
「確かに、今のあいつが抜け忍になったとしたらサスケを連れ戻しに行った時の比じゃねぇくらいやばい任務になっちまう」
キバは冗談交じりに口を開いた。
「だけどたびにでて修行をするなんてことなんで考えついたんだろうね」
チョウジの言葉に皆が疑問を抱いていた。
確かに修行をするならこの里にいてもできる、それに修行相手にも困らないのだから。
「そこはナルトにしかわからないが、修行の旅に出たナルトに追いつくために俺たちはどうすべきだということだ」
ネジの言葉にみんなが頷く。
「そうだ、あのペインと戦っているあいつにみんなが感じたことだと思うがあいつはもう俺たちでは全く歯が立たないレベルまで強くなっている。それをさらに強くなるためにあいつが頑張ってんだ。俺たちももっと頑張らねぇとあいつに追いつけねぇ」
シカマルの言葉に全員が頷く。
「これよりもっと差をつけられるなんてそんなの許せねぇ。俺はやってやるぜ!」
「ふむ、俺も置いていかれるわけにはいかないな」
キバとシノが立ち上がる。
「僕も負けてられませんよー!見ていてください!ナルトくん!!」
「私も、守られてばっかではいられないんだから!」
「俺もあいつに負けないよう頑張らないとな」
リー、テンテン、ネジも立ち上がる。
「僕もナルトに頼ってばかりではいられないよ、大切な里は僕たちみんなで守るんだ」
「そうね、あいつに頼ってばっかりじゃ忍失格よ!」
チョウジ、イノに続いてサイも立ち上がる。
「ボクも里を守りたいからね。みんなと一緒にさ」
「私も次はナルトくんを守れるように!次は隣で戦えるように!絶対強くなってみせる!」
ヒナタが立ち上がるとサクラも上を向く。
「あいつー、帰ってきたら私がボッコボコにしてやるんだから!意地でも強くなるわ!」
そしてシカマル。
「ナルトは俺たちの仲間だ。あいつ一人に戦わせやしねぇ。みんなで戦う。守りたいもののために」
そしてみんなで誓う。次にナルトに会う時はもっと強くなっていることを。
それを木の陰から見守るカカシとガイ、それにヤマトは皆笑みを浮かべ自分たちも負けていられないと思い直すのであった。