ホリマカさんが生存してた頃の話にしよーとしたもの。
つまりホリマカさん生存ルートということ。霞・スミカです(大嘘)

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書きたいものから書いてみる編。つづかないっぽい。
書いてる途中で、毎回、頭がこんがらがる。
もっと、こう、ゆるくゆったりとした文章に仕上げたいのに、それができないジレンマ。


日常を笑む!

 善は一日にしてならず。安寧もまた然り。

 

 安寧道。

 それは、善行を積み重ねることが、やがて幸福や長寿につながると説く宗教である。

 十年の間に信者を増やし、今では帝都東部の巨大勢力となっており、膨大な数の信者を、さらに増やし続けている。

 度重なる帝都の悪政に疲弊した者たちが、心の拠り所として、安寧道にすがることも少なくはない。

 

 安寧道は本拠地は、キョロクという街にある。

 帝都のはるか東に位置するこの街は、豊富な地下資源を存分に利用した経済的な躍進を皮切りに、目覚しい発展を遂げたのである。

 さらに、近年では安寧道の活躍により、宗教関連の施設が数多く建設され、地方・宗教的観点からなる独自の文化を形成し、もはや、ひとつの巨大都市といっても過言ではない。

 さて、そんな安寧道本拠地、キョロクでは―――

 

「あー、あー、テステステス」

 

 円錐型の筒―――メガホン―――を手に、拡散音声を確認する少女がひとり。

 金髪の猫っ毛。

 そこそこ長い緩やかな髪。

 キラキラと輝く丸い双眸。

 仮面めいて貼り付けたような眩しい笑顔が、特徴的だった。

 少女は木箱の上に立ち、咳払いをして、メガホンを軽く小突く。

 小突いたメガホンは、どうやら古いものらしく、塗装は剥がれ、付着したよごれで穢れ、所々に欠けた箇所があった。

 

「んもーっ! 何ですかこれ! 不良品ですか!? 不良品ですね!」

 

 ぷんすか。

 腰に手を当てて、“笑顔のまま”で語気を荒げる。

 わずかながら、頬が膨れていた。

 

「いくら安物だからってですねー! 限度とゆーものがあるでしょーに!」

「いや、どーせ、お前がケチって安いの買ったんだろ」

 

 怒りに拳を振り上げる少女に、かかる声があった。

 

「あ、ホリオカさん! こんにちわ!」

 

 けろり。

 先ほどまでの怒りを、あっさりと切り替えて、声の主―――ホリマカに笑顔を向けた。

 サングラスの特徴的な男性が、そこにいた。

 咥えた葉巻から、ぷかぷかと、煙をくゆらせていた。

 

「おー、こんにちは、ネイアン。あと俺はホリマカだ」

 

 左手をひらりと振り、挨拶を返す。

 以前、適当に挨拶を返した際は、異常なまでに『挨拶は大事ですから、ちゃんとしましょう!』と詰め寄られたことがあり、それ以来、少女―――ネイアンにはきちんと挨拶をするように心がけている。

 ネイアンは、やや興奮気味に、木箱から飛び降りて、ホリマカの前に歩んだ。

 

「あ、弁解しておきますが、ケチってませんよ! これしかなかったんですよ!

 第一、布教に使うための道具を買う大切な金銭を、ケチると思いますか!? この私が!!

 否、有り得ません! 有り得ないことです!!

 確かに、これを購入する前に、市場で昼食、デザート、おやつを買って食べましたが、それもすべては、布教活動で消費するエネルギーを確保するためで―――」

「それで結局、まともなもん買う金がなくなったってオチだろ」

 

 グッと、拳を握りしめて熱く語りだしたネイアンを遮って、ホリマカは横槍を入れた。

 

「ちーがーいーまーすっ!」

 

 握った拳を振り、ネイアンは抗議を意を示した。

 ホリマカは、笑って返した。

 

「ハッハ、そーかいそーかい」

「あっ、その顔、信じてませんね!?」

「ああ、信じてないぜ」

「ぐぅ~、この純真たる私を疑うとは、何たるお人ですか……」

「そう言ってお前、この前も同じようなことして、アイスクリーム食ってたじゃねーか」

「はぐっ!? そ、育ち盛りですから……」

 

 貼り付けたような笑顔のまま、視線を泳がせるネイアン。

 ふたたび、ホリマカは、からからと笑ってやった。

 

「ま、育ち盛りじゃ、しょうがないよな」

 

 ―――そうです! そうですとも!

 ネイアンは、口で言おうとして、しかし気づいた。

 

「ホリカフーズさん、私をまたそうやって弄ろうたって、そうはとんやがおろしませんよ!」

「いや、もう十分いじってるいじってる。それと俺はホリマカな。絶対わざとだろ」

「な、なんですと!? なんて高度な話術を、……ダサいサングラスのくせに」

「ダサいとはなんだ。ダサいとは。一応、これ特注品だからな」

「えぇっ!?」

 

 やはり笑顔のまま、ネイアンは口に手を当て、驚きを示す。

 次いで、ぷるぷると、震える指先でホリマカのサングラスを指して、言った。

 

「やっぱり、もう少し今の流行を取り入れたほうがよいのでは?」

「―――お前、本当に失礼な奴だよな。誰が今日まで面倒見てきてやったと思ってる。えぇ?」

「私を拾ってくれた安寧道の皆様です! ですので、ホリマカさん個人に面倒見られてたとは思ってませんよ!」

「こいつ、憎まれ口だけは達者に回りやがって! それでホリマカな!」

「ちゃんと言いました!」

「今さら間違わずに言うな!」

 

 わしゃわしゃ。

 乱暴にネイアンの頭をかき乱しながら、言った。

 ぎゃー。

 と、小さく悲鳴をあげて、ホリマカの手を掴んで引き剥がそうとする。

 

「やーめーてーくーだーさーいーっ!」

「ほれほれ」

「もーっ! もぉぉぉぉぉっ!」

「ハッハッハッハ」

 

 これ以上、頭を撫でられまいと抵抗するネイアンを笑う。

 しかし、サングラスの奥に隠れた目は、わずかに細められていた。

 ネイアン。

 いついかなる時も、その仮面のような笑顔を崩さない少女。

 教主にも、教主補佐であるボリックにも、そしてホリマカにも、決して笑顔を崩すことはない。

 何とも不気味な少女。

 しかし、接してみれば、それを気にさせないほどに、快活な性格をしている。

 年上のホリマカに対しても、礼儀を弁えず、友人のごとく話かけてくる。

 流石に教主や補佐であるボリックの前、そして公共の場では控えるらしいが。

 なんとも不可思議な少女。

 それが、ホリマカの抱く彼女に対する考えだ。

 

「っしゃあ!」

「おっ」

 

 無理に引き剥がそうとするのではなく、自らが後退することで、ネイアンはわしゃわしゃから逃れた。

 ホリマカが、少しぼぅっと呆けていたのもあって、成功したらしい。

 乱れた髪をそのままに、ガッツポーズを取っていた。

 

「ふふふ、油断大敵でしたねホリマカさん! ああ、ここで私の頭の良さが露呈してしまった!」

「だがなネイアン、油断が過ぎるぜ」

 

 したり顔で頷くネイアンに、素早く大股で接近し、その頭に手を添えた。

 

「ほーれ」

「ぎゃーっ!?」

 

 わしゃわしゃ。

 先ほどよりは弱く、しかしやや乱暴に、頭を撫でる。

 なんとなく、こうして弄るのが、両者の間で定着していた。

 信者たちも、それを認識しているのか、この光景を見ても微笑みを向けるだけであった。

 

「もぉーっ! やーめーてーくーだーさーいーって!」

 

 少女の、明るい悲鳴が、今日もまたキョロクの街にあがった。




・ネイアン
 常に笑顔の少女。
 異常ともいえるメンタルと、時々常軌を逸脱する快活さをもつ。
 やや妄信気味で、ぼったくり商売に引っかかることがある。
 育ち盛りを自称し、よく買い食いしては、布教活動用に貯めた資金を浪費してしまう。
 過去、母に「笑顔の素敵な、強い子におなり」と言われ続けていた。
 その結果が、恐らく、貼り付けたような笑顔である。
 今回はしなかったが、木箱の上で「愛し合ってますか~! 夢見てますか~!」から始まる安寧道の素晴らしさを説く活動を行っている。
 でも、そもそも安寧道本拠地であるキョロクでそれをやる必要はあるのだろーか?
 それを指摘したホリマカは、執拗に足を踏まれた。

・ホリマカ
 安寧道の膨大な数がいる信者の一人であり、実は帝具使い。
 原作だと、いかにもやり手という雰囲気で出てきたが、特に活躍もなく葬られた。
 この話では、ボリック討伐以前の時間軸なので、まだ生きている。
 帝具「奇奇怪怪アダユス」を所有。 

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