シャンデリアに照らされた、豪勢な寝室でした。
 少女の視線の先には、長い黒髪の女性がベッドに腰かけ「おいで」と手招きします。
『お姉さま』
 少女は小さくいい、そっと歩み寄りました。
 幽霊のように、ゆったりと。
『どうしたの?――』
 黒髪の女性は少女の様子に首をかしげ、名前を呼びます。
 ただ、その発音は聞き取れたはずなのに、その言葉がまったくわかりません。
 少女は、黒髪の女性の傍で足を止めていいました。
『――――』
 これも、何をいってるのかはわかりません。だけど物凄い失意が込められている事だけは、はっきりと感じます。
『――――』
 黒髪の女性がハッとなり弁解を口にします。その表情は段々悲痛なものに変わっていった気がするけど、途中からふたりの言葉と同様、表情までも分からなくなっていきます。
 同時に、少女の中の失意が、突如として大きな憎悪に変わっていくのを、まるで自分が少女になったかのように感じました。
 ――そして。

 少女は、黒髪の女性に、包丁を突きつけました。
 ベッドに押し倒し、憎悪をぶつけるように、何度も。何度も。何度も。
 相手が発する悲鳴を前に、表情を前に、
 少女は、次第に愉しむように、
『うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ』
 少女の高笑い、だけどそれは……どこか泣いてるように聞こえたのは気のせいでしょうか。
 程なくして、黒髪の女性から一切の反応がなくなりました。
 少女は、それを冷たい目で見下ろします。
 すると突如、巻き上がる炎。
 寝室全てが、視界のすべてが包まれていき……。
 次第に『私』が認識できるのは、炎という光景だけになりました。

 それは夢。
 小さい頃から何度も見続けてきた夢。
 ここ数年ほど見なかったはずなのに、どうしてか今日、私……立花 紗瑠(たちばな しゃる)は久々にこの夢を見ました。
 それは、ここずっと会っていなかった、とても慕っていた先輩と偶然再会する前の日の夜でした。



※ この作品はep-5まで遊戯帝国というサイトに掲載させて頂いてましたが、サイトの終了に従い、勝手ながら有志の提供オリカの削除など一部加筆修正した上でこちらに移動させて頂いたものです。
  EP-1:Reencounter der Tragödie/Ein()
  EP-2:Reencounter der Tragödie/Zwei2015年10月11日(日) 00:19()
  EP-3:Vertrag mit mir und werde ein magisches Mädchen!/Ein2015年10月23日(金) 07:56()
  EP-4:Vertrag mit mir und werde ein magisches Mädchen!/Zwei2015年10月27日(火) 19:01()
  EP-5:Charlotte(+Trick or...)2015年11月01日(日) 01:39()
  EP-6:Welt ohne Gnade2015年11月20日(金) 19:18
  EP-7:Beachten Sie die Polizei des Namens/Ein2016年01月01日(金) 00:00()
  EP-8:Beachten Sie die Polizei des Namens/Zwei()
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