遊☆戯☆王GERICHT   作:CODE:K

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EP-8:Beachten Sie die Polizei des Namens/Zwei

 紗瑠

 LP4000

 手札5

 

 シムーン

 LP4000

 手札5

 

 紫水

 LP4000

 手札5

 

 

「私の先攻、ドロー」

 宣言通り、最初のターンは紫水さんから開始されます。

 特別ルールによって紫水さんは先攻ながらカードを1枚引くと、

「いくわね。私は手札から《レスキューラビット》を召喚」

 紫水さんの場にヘルメットをつけた一匹のうさぎさんが出現しました。

「あ、うさぎさん」

 このモンスターってソリッドビジョンでみると小さくてカードよりずっと可愛いんですよね。さっきまでがさっきまでだったから、ちょっとだけ癒されます。

 ……でも、このうさぎさんの効果って確か。

「《レスキューラビット》のモンスター効果、このカードを除外して発動。私はデッキからレベル4以下の通常モンスターを同名2体特殊召喚するわ。特殊召喚するのは《ジェムナイト・ラピス》」

 うさぎさんは効果ですぐ消えてしまい、かわりに出現したのはロボットみたいな体をした小さな女の子がふたり。

 けど、その女の子もすぐ。

「そして、2体の《ジェムナイト・ラピス》でオーバーレイ!」

 銀河の渦に入っていって、エクシーズモンスターの素材に。そして、20の数字が浮かび上がりました。

「ふぇっ!? いきなりナンバーズ?」

「みたい、だね」

 紫水さんはいいます。

「エクシーズ召喚! いくわよ、No.20! 大自然の歩兵よ、その輝きをもって戦陣を照らして! 蟻岩土ブリリアント!」

 第一ターンからいきなり出現したのは、体の一部が銀色の巨大な蟻でした。

「《No.20 蟻岩土ブリリアント》のモンスター効果、このカードのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、私のモンスター全ての攻撃力を300ポイントアップ」

 すると、銀色の体から光が大きく広がって紫水さんのフィールドを包みます。

 

《No.20 蟻岩土ブリリアント》  攻撃力1800→2100

 

「私はこれでターンエンド」

 その光が収まると同時に紫水さんはいいました。

 効果を受けたブリリアントの体はピカピカと輝いてて、その攻撃力もしっかり上昇しています。

 けど、シムーンちゃんは紫水さんの手番終了を聞いて、

「効果は……それだけ?」

「そうだけど?」

「地味な効果、だね」

 って。……し、シムーンちゃん相手は先輩で生徒会長だよぉ。

「ナンバーズがどれも強いとは限らないわ」

 紫水さんはすっごい微妙な顔をしていいました。

「え、えっと。私のターン、ドローします!」

 私はそんな空気を誤魔化すように、ちょっとだけ声量上げていいました。

 そしてドロー。引いたカードは《光天使セプター》です。

「私は手札から《光天使ウィングス》を召喚、召喚時に効果で手札の《光天使セプター》を特殊召喚します。そしてセプターの効果でデッキから《光天使シールド》を手札に加えます」

 これで私のフィールドには2体のレベル4天使族モンスター。

「紗瑠もいきなりエクシーズ?」

 って訊くシムーンちゃんに、私はうん、って笑みで。

「私は《光天使ウィングス》と《光天使セプター》でオーバーレイします!」

 宣言すると、私のモンスターも銀河に飲み込まれていきます。えっと、紫水さんも口上いってたから。私も言ったほうがいいのかなぁ?

「無垢なる想い、いま(てん)の祝福を()け覚醒します。エクシーズ召喚! 純粋なる愛の妖精《フェアリー・チアガール》!」

 私の口上に併せて、フィールドにはいつもの両手にポンポンを持った妖精が出現しました。その攻撃力は1900です。

「《フェアリー・チア・ガール》のモンスター効果。オーバーレイ・ユニットのセプターを取り除いて、カードを1枚ドローします。私はさらにカードを2枚伏せてターン終了です」

「私のターン、ドロー」

 そして最後にシムーンちゃんのターンです。

「とりあえずサイドラ的効果で《太陽の神官》を特殊召喚」

 シムーンちゃんはまず。……って、ふぇっ!?

「さすがにアバウトすぎないかシムーン」

 旗枷くんが即つっこみを入れるけど、

「けど。通じる……よね?」

「ま、まあ」

 サイドラっていうのは《サイバー・ドラゴン》の略で、その効果は相手フィールドにモンスターがいて、自分フィールドにモンスターがいなかったら手札から特殊召喚。

 う、うん……。確かに私も通じました。通じたけど。

「デュエル続けるね、続けて《スーパイ》を召喚。私はレベル5《太陽の神官》に、レベル1《スーパイ》をチューニング」

 《スーパイ》が1つの光の輪に姿を変えると、そこを《太陽の神官》が潜って5つの星に変わります。

「عندما ارتفع القمر، ليلة من المشروب تبدأ(月が昇った時、晩酌が始まる). シンクロ召喚! きて、《月影龍クイラ》」

 (たぶん)アラビア語の口上と共に現れたのは、始業式でしたデュエルでも、そして昨日も姿をみせたシムーンちゃんのエースモンスター。その攻撃力は2500です。

 紫水さんがきょとんとします。

「な、なに? その言葉」

「アラビア語……だけど?」

 シムーンちゃんはいいました。よかった、やっぱりアラビア語だったよ。

「そして、私もカードを2枚伏せてターンを終了するね」

 シムーンちゃんのフィールドにもカードが2枚敷かれ、ここで全員が1回ずつターンを終え、紫水さんのターンに戻ります。

 

 

紗瑠

LP4000

手札4(《光天使シールド》)

場:《フェアリー・チア・ガール》《伏せカード(×2)》

 

シムーン

LP4000

手札2

場:《月影龍クイラ》《伏せカード(×2)》

 

紫水

LP4000

手札5

場:《No.20 蟻岩土ブリリアント(ATK2100)》

 

 

「私のターンね、ドロー」

 紫水さんがカードを1枚引きます。このターンからプレイヤーは攻撃が可能になります。たぶん。

「ふたりとも、準備は万全?」

 突然、紫水さんが訊いてきました。

「ふぇ?」

「問題なければ、もうこのターンから潰しにかかるけど大丈夫よね?」

 ふぇええええ!?

 まさかの宣言に私は驚いちゃうけど、

「いいよ」

 シムーンちゃんはそんな私を無視……ううん、たぶん私が驚いてるからあえて独断で了承しちゃってます。

「え、えっと」

 私は慌てて伏せカードと手札を確認。……た、たぶんこれなら大丈夫。

「私も大丈夫です」

「そう」

 紫水さんは心配げに私を見るも、すぐ「わかったわ」って、手札からカードを1枚ディスクに読み込ませます。

「なら遠慮なく行かせて貰うわね。私は魔法カード《ジェムナイト・フュージョン》を発動」

 紫水さんが発動したのは恐らく専用の融合魔法カード。

「この効果で《ジェムナイト・ルマリン》と《ジェムナイト・ラズリー》を融合! 雷帯びし秘石よ、神秘の力秘めし碧き石よ、いまこそ交わりて新たな命の輝きになって! 融合召喚! いくわよ、《ジェムナイト・プリズムオーラ》!」

 そんな紫水さんの口上と共に2体のモンスターが混ざり合うと、フィールドに槍と盾を持った騎士みたいなモンスターが出現しました。攻撃力は2450。

「《ジェムナイト・ラズリー》の効果、このカードが効果で墓地へ送られた場合、墓地の通常モンスター1体を手札に戻す。私はその効果で《ジェムナイト・ラピス》手札に戻すわ。さらに墓地の《ジェムナイト・フュージョン》の効果も発動! このカードは墓地のジェムナイトモンスター1体を除外することで手札に戻すことができる。この効果で私はラズリーを除外して手札に」

「……ふぇ?」

 ど、どういうことなの? どうして融合召喚したのに手札が殆ど減って……。それに。

「あ、あの」

 私はつい訊ねました。

「《ジェムナイト・フュージョン》に制限は……」

 僅かに希望を込めてきいてみたけど、その答えは。

「残念だけど《ジェムナイト・フュージョン》に一切の制限はなしよ。何度も手札に戻せて何度も使えるわ」

「そ、そんな」

 それじゃあもしかして連続融合!?

「続けていくわね。魔法カード発動、再び《ジェムナイト・フュージョン》! 今度は《ジェムナイト・オブシディア》と《ジェムナイト・ラピス》を融合! 神秘の力秘めし碧き石よ、鋭利な漆黒よ、いまこそ交わりて唯一無二命の輝きを強く強く照らす時! 融合召喚! いくわよ、《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》!」

 フィールドに現れたのは、どこか神子様らしい姿をした女性型モンスターです。

「出た。姉ちゃんのフェイバリットカード」

 旗枷くんがいいました。

 そういわれると、確かに紫水さんがこのモンスターを呼んだ口上は、その前までのふたつと違ってとてもとても強い想いが込められてるような、そんな感じがありました。

「藍銅、言わなくていいの」

 一方ばらされた紫水さんは迷惑そうに、ううん恥ずかしそうにいいます。……これは。

 ちらっとシムーンちゃんの様子をうかがうと矢先、

「口上……力はいってた、ね」

「~~~~~~~」

 紫水さんの動揺が、すごく見てとれました。あああああああ、紫水さんまでもがシムーンちゃんの愉悦の餌食に。

「……ニヤッ」

 しかも擬音まで入っちゃったよぉおおお。

「……とりあえず、《ジェムナイト・オブシディア》の効果を発動するわ。このカードは手札から墓地へ送られた場合に墓地の通常モンスターを特殊召喚するカードよ、私はこれで《ジェムナイト・ルマリン》特殊召喚ね」

 今度は墓地からの蘇生まで。なんだか紫水さんのデッキ、融合連発しながらすっごくたくさん効果発動してるよぉ。

「ここで《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》の効果を発動」

 紫水さんのフェイバリットが動きます。いったい、どんな効果なのかな?

「ラピスラズリは1ターンに1度、デッキかエクストラデッキからジェムナイトモンスター1体を墓地へ送ってフィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ダメージを相手に与えるわ」

 まさかのバーン効果!? しかも、フィールドの特殊召喚したモンスターってことは。

「私のフィールドにはブリリアント、プリズムオーラ、ラピスラズリ、ルマリン。シムーンさんはクイラ、立花さんはチア・ガール。いまフィールドには6体のモンスターが特殊召喚されて存在してるわ」

 6体も!? ってことはダメージは……。

「つまり、ラピスラズリの効果は3000のバーンになるわね。まず、墓地に送る効果はデッキの《ジェムナイト・ラズリー》を選択。バーンの効果の対象はこっちで」

 紫水さんが指定したのはシムーンちゃんでした。

 ラピスラズリの体から6つの瑠璃色の閃光が放たれると、その全てがシムーンちゃんに向かって襲い掛かります。

 

シムーン LP4000→1000

 

 一気に減少するシムーンちゃんのライフポイント。これ、一歩間違ってたら1キルだったよ。

「シムーンちゃん、だいじょ――」

 私は言いかけたけどその前に、

「まだよ。《ジェムナイト・ラズリー》の効果発動」

「あ!?」

 そういえば、紫水さんはさっきラピスラズリの効果でバーンダメージと同時にラズリーを墓地に送ってたんでした。

 しかもラズリーの効果といえば。

「ラズリーが効果で墓地へ送られた場合、墓地の通常モンスター1体を手札に戻す。私は《ジェムナイト・ラピス》を手札に」

 3000なんてバーンを出した上、手札が1枚増えちゃうなんて……。

「続けて《アイス・ハンド》を召喚」

「ふ、ふへ?」

 な、なんか変な声出ちゃいました。

 だだ、だって! こんなすごい流れの中いきなりぽんとジェムナイト以外のモンスターが出てきたんだもん。

「さてと。私のモンスターゾーンが埋まった所で、《No.20 蟻岩土ブリリアント》の効果をもう1度発動するわ」

「え?……あ!?」

 ブリリアントのこと、すっかり忘れてました。

「オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、私のフィールドのモンスター全ての攻撃力を300ポイントアップ」

 

《No.20 蟻岩土ブリリアント》  攻撃力2100→2400

《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》 攻撃力2400→2700

《ジェムナイト・プリズムオーラ》 攻撃力2450→2750

《ジェムナイト・ルマリン》 攻撃力1600→1900

《アイス・ハンド》 攻撃力1400→1700

 

 再びブリリアントが放つ光がフィールドを覆い、今度は5体ものモンスターの体をぴかぴかと輝かせて、その攻撃力を底上げします。

 これだけ沢山展開した上で攻撃力の全体強化までしてくるなんて。

「けど、やっぱり地味だね」

 シムーンちゃん言っちゃ駄目ぇええええええ!

「つ、つぢゅけ……」

 あああ、紫水さん動揺して噛んじゃった。

「藍銅、誰かに言ったら殺すわよ」

「い、いわねぇよ!」

 しかも旗枷くんに酷いとばっちりだよおお。

「ならいいわ。……続いて、墓地の《ジェムナイト・オブシディア》を除外して《ジェムナイト・フュージョン》を回収」

「え!?」

 も、もしかしてここでさらに融合するの?

「《ジェムナイト・プリズムオーラ》の効果発動。このカードは1ターンに1度、手札のジェムナイトカード1枚を墓地へ送り、フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する。私は《ジェムナイト・フュージョン》を捨てて《月影龍クイラ》を破壊よ」

 と思ったら、どうやらそうじゃないみたいで、さっきの回収は手札コストの確保だったようです。

 でも、紫水さんさっきからシムーンちゃんばかり狙って、明らかに先に潰す気満々だよね?

「クイラを選択して罠カード発動。《デストラクト・ポーション》」

 ここでシムーンちゃんは伏せカードの内ひとつを表にします。確かこのカードは、私とのデュエルでも使ったカード。

「《デストラクト・ポーション》は私のフィールドからモンスター1体を選択して発動する。……そして、選択したモンスターを破壊し、攻撃力分のライフを回復」

 

シムーン LP1000→3500

 

 なんとかシムーンちゃんのライフはほぼ初期値まで回復したけど。これでシムーンちゃんのフィールドにモンスターはゼロ。

「なら、ここでバトルフェイズに入るわね」

 そんなシムーンちゃん絶体絶命な状況で、紫水さんの攻撃がついに始まりました。

「まずは《アイス・ハンド》で《フェアリー・チア・ガール》に攻撃よ」

「え!?」

 この状況で私狙い? しかも《フェアリー・チア・ガール》のほうが攻撃力高いのに?

 なんて、きょとんとしてたら。

「《アイス・ハンド》は相手によって破壊された時、相手の魔法・罠を1枚破壊して、さらにデッキの《ファイヤー・ハンド》を呼ぶ効果を持ってるわ」

「へ?……ふえええええ!?」

 そ、それって。もしかしなくても魔法・罠の除去と《ファイヤー・ハンド》召喚を兼ねた自爆特攻!?

「参考に、きいていい?」

 ここでシムーンちゃんが訊ねます。

「《ファイヤー・ハンド》のモンスター効果は?」

「攻撃力1600、相手によって破壊され墓地へ送られた時に、相手モンスターを1体破壊してからデッキの《アイス・ハンド》を呼ぶ効果よ」

「《アイス・ハンド》も《ファイヤー・ハンド》も効果に回数宣言、ない……よね?」

「鋭いのね、正解よ。デッキの後続がなくなるまで、何度も何度も自爆特攻してはあなたたちのカードを巻き込んで破壊するわね」

「だって、紗瑠」

 ひ、ひえぇええええええええ!?

 《アイス・ハンド》、ジェムナイトじゃなくておかしいと思ったらとんでもなく怖いカードだったよ。

 その上で、シムーンちゃんさっき私に振ったのって。……そういうこと、だよね?

 私があのカードを伏せてるって読んだ上で、《アイス・ハンド》の特攻を止めなくちゃ駄目って。

「うん」

 私はうなずいて、伏せカードの1枚をオープンします。

 ――そこへ舞い降りる、一束の白百合の花。

「罠カード《フローラル・シールド》を発動。その攻撃を無効にして、デッキからカードをドローします」

 すると、

「さらに伏せカードをオープン」

 シムーンちゃんがいいました。その発動したカードは。

「《便乗》」

 ……。…………え?

「し、シムーンちゃん。《便乗》なんてカード入れてたの?」

「うん。……紗瑠対策に、サイドデッキにこっそり」

「私対策!?」

 まさかの身内メタ!?

「それにサイドって。シムーンちゃんいつデッキを入れ替えたの?」

「紗瑠をデュエルに巻き込むとき、こっそり」

 あ……。

 たぶんその時、私はディスクの装着に夢中で、紫水さんはそんな私のディスクに干渉するためタブレット画面に夢中だったはずだから。その時だけは私も紫水さんもシムーンちゃんから目を離してておかしくないはず。

「シムーン、おまえ泥棒か詐欺師の素質あるんじゃないのか?」

 少し引きながら旗枷くんがいうと、シムーンちゃんはさらっといいました。

「ピッキングもできるよ」

「しなくていいできなくていい」

「ドヤッ」

「……俺、どうしてこんなやつのことを」

「藍銅」

 紫水さんが旗枷くんを見るその視線は、とっても哀れみに満ちてました。

「とりあえず、デュエル戻りましょう。確かいまは《アイス・ハンド》の攻撃が防がれた所だったわね」

 この微妙な空気を変えるように紫水さんはいいます。

「は、はい」

 私がうなずくと、

「なら、《ジェムナイト・ルマリン》で攻撃ね。対象はシムーンさんよ」

 《ジェムナイト・ルマリン》はその両腕から生み出したプラズマボールをシムーンちゃんに投げ飛ばします。

「ここは通す、ね」

 シムーンちゃんがそう宣言すると、

 

 シムーン LP3500→1600

 

 シムーンちゃんのライフポイントは再び大きく削られます。

「これが通ればあなたは終わりよ、《No.20 蟻岩土ブリリアント》でシムーンさんに攻撃」

 続けて巨大な蟻がシムーンちゃんに飛び掛ります。すると今度はシムーンちゃん、

「紗瑠、お願い」

「う、うん」

 私は指示されるままに、反射的に手札からカードを1枚読み込ませます。

「手札の《光天使シールド》を使います。このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に、私の墓地から光天使モンスター1体を選択して発動します。私は墓地の《光天使セプター》を選択して効果発動します」

 すると、ブリリアントの前に1体の盾みたいな光天使が現れて、その攻撃を受け止めます。

「《光天使シールド》は相手モンスター1体の攻撃を無効にして、私もしくは相手フィールド上にこのカードを特殊召喚。その後、選択したカードを手札に加えます。私はシールドをシムーンちゃんの場に守備表示で召喚して、《光天使セプター》を手札に加えます」

「なら、《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》で《光天使シールド》を戦闘破壊ね」

 仕方なさそうに紫水さんは攻撃を宣言し、モンスターが放った閃光はシールドの体を貫き破壊します。

「そして、最後に《ジェムナイト・プリズムオーラ》でシムーンさんに攻撃、だけれど」

 たぶん通らないだろうなあ、なんてすごく分かる顔をしながら紫水さんは攻撃を宣言。プリズムオーラは槍を突き出し、そのままシムーンちゃんに特攻をしかけますけど。

 ……ごめんない。予想通りその攻撃も防げるんです。

「リバースカードオープン」

 私は最後の伏せカードを表向きにしていいました。

 そして。

 ――再び舞い降りる、一束の白百合の花。

「罠カード、《フローラル・シールド》2枚目です。その攻撃を無効にしてカードを1枚ドローします」

 って、カードを引くとシムーンちゃんが、

「あ、《便乗》の効果。私も2枚ドロー」

 あ……。忘れてました。

 手札を肥やすシムーンちゃん。早速私メタで投入したカードが活きちゃってます。今回は味方でよかったよ。

「まさか1回しかダメージを与えられなかったなんて。バトルフェイズは終了よ」

 とにかく。なんとか紫水さんの猛攻は防ぎきったみたいです。

「やっぱり……紗瑠の防御、堅いね」

 シムーンちゃんがいいました。

 けど、ほっとしたのも束の間、再びエクシーズ召喚を演出する銀河の渦が出現したんです。

「メインフェイズ2、私はレベル4モンスター《ジェムナイト・ルマリン》と《アイス・ハンド》でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」

 しかも、2体のモンスターが渦に飲み込まれると、またナンバーズを告げる数字が浮かび上がったんです。

 その数字は……。

「エクシーズ召喚。いくわよ、No.106! 全てを覆う巨大なる掌よ、その指先で命を輝かせる導になって! 巨岩掌ジャイアント・ハンド! 守備表示!」

 紫水さんの口上によって現れたのは、巨大な岩で造られた一本の掌でした。しかも、

「106!?」

 この前、夜夢先輩が数年ぶりに再会した時にいってました。本来ナンバーズは1~100までしかなくって、それ以上のナンバーズは特に特殊だって。それこそ先輩が「安全に人生を歩みたかったら、100以上の存在は絶対に隠せ」っていったくらい。

 だから私はあの日以来グローリアス・ヘイローは使ってなかったんですけど。まさかここで、私以外の100を超えた数字の(オーバーハンドレッド・ナンバーズ)の持ち主と出会って、しかもこんなデュエルで使ってくるなんて。

「ね、姉ちゃん。なんだそのカードは」

 それも、弟の旗枷くんさえ知らなかったようなカードをここで。

「本当はこんな所で使うべきじゃないのだけどね」

 紫水さんはいいました。

「あなたには、立花さんには知ってもらうべきだと思ったから、あえて出させてもらったわ。私のナンバーズを、そのフィールを、その性能を」

「私に……」

「そうよ」

 それって。

「もしかして紫水先輩、私のナンバーズのこと」

 けど、紫水さんは私の問いかけには応じなくて。

「カードをセット、私のターンはこれで終了よ」

 って。

「次は立花さん、あなたのターンだけれど」

「ふぇ!? は、はい。私のターン、ドローします」

 私は急かされるように手番を開始し、カードを1枚引きました。

 思えば、さっきの紫水さんの対応は「安直にオーバーハンドレッド・ナンバーズ絡みのことは口に出すな」ってことだったのかもしれません。その本人が正にそれを召喚してるって事は触れないとして。

(えっと)

 私は深呼吸一回に、フィールドを見渡しました。

 

 

 紗瑠

 LP4000

 手札7(《光天使セプター》)

 場:《フェアリー・チア・ガール》

 

 シムーン

 LP1600

 手札4

 場:《便乗》

 

 紫水

 LP4000

 手札1(《ジェムナイト・ラピス》)

 場:《No.20 蟻岩土ブリリアント(ATK2400)》《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ(TAK2700)》《ジェムナイト・プリズムオーラ(ATK2750)》《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド(守備)》《伏せカード(×1)》

 

 

 紫水さんのフィールドには攻撃力が最低2000のモンスターが4体、しかもバーン効果持ちが1体と、破壊効果持ちも1体いて、ジャイアント・ハンドに限っては効果がまったく分かりません。しかもちゃっかり伏せカードが1枚。

 現状一番安全そうなのはオーバーレイ・ユニットを使い切ったブリリアント……なのかな?

 でも、紫水さんの手札は1枚でそれが《ジェムナイト・ラピス》って判明してるから、次の紫水さんのターンは更なる展開はないとして……なんて考えてたら、

「紗瑠……」

 シムーンちゃんがいいました。

「なに、シムーンちゃん?」

「紗瑠が作戦考えてたみたいだったから、一応確認するけど。……墓地の《ジェムナイト・フュージョン》とラピスラズリのおろ埋(おろかな埋葬)効果、忘れないで」

「あ」

 すっごくしっかり忘れちゃってました。

 そ、そうだよお。紫水さんの融合は墓地から何度も回収できるから、実質いまの手札は2枚……紫水さんのターンがくれば3枚になって、十分更に融合くる確率があって。

「あと、ラピスラズリの融合素材はたぶん……ラピスとジェムナイト1体」

 と、シムーンちゃんの新しい補足。……え、えっと。たしか紫水さんは既に《ジェムナイト・ラピス》を握ってるから、2体目が飛んでくる可能性が高いってことだよね?

 そしてもし、ラピスラズリを残したまま紫水さんにターンを渡しちゃったりでもしたら、効果で3体目のラズリーを落として素材が完成しちゃう!?

 せめてラピスラズリは絶対に対処しないとっ!

「それと紗瑠。……最後に、ひとつだけお願いしてもいい?」

「え? 私にできることだったら」

 私はいうと、シムーンちゃんは自分のフィールドをさして、

「このターンのプレイング。ドロー多めで」

 あ!?

「うん。私はまず、《フェアリー・チア・ガール》の効果を発動します」

 私はモンスターの下に重ねてた《光天使ウィングス》を墓地に送って、

「オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動。デッキからカードを1枚ドローします」

 私がカードを1枚引くと、

「《便乗》の効果。カードを2枚ドロー」

 シムーンちゃんの手札も肥やされる。

 そうだよ、そうだったよね。《便乗》の効果で、私がドローすればするほどシムーンちゃんの手札がすっごいことになるんだもん。だったら、このデュエル私は全力でシムーンちゃんのサポートにまわることにします。

 シムーンちゃん、私。頑張って頑張ってたくさんドローするね。

「私は手札から《光天使ブックス》を召喚。《ホーリー・レイジ》捨てて《光天使スケール》を特殊召喚。スケールのが特殊召喚に成功した時、手札から光天使を1体呼べます。《光天使セプター》! さらにセプターの効果を発動、そこにチェーンして《光天使スローネ》です。効果の説明は省略して、《光天使スローネ》を手札から特殊召喚して1枚ドロー」

「私も《便乗》で2枚ドロー」

「そしてセプターの効果でデッキから《光天使シールド》を手札に加えます」

 私、やっぱりカードゲームでも攻撃するより防御したりサポートするほうが好きみたいです。自分でも分かるくらい、水を得たなんとかって例えるほど活き活きとプレイしてたら旗枷くんがいいました。

「なんつーか、このデュエル見てると立花とシムーンの関係性がすっげぇ伝わるな。……シムーンのピンチを立花が必死に護って。なのに、シムーンは恩に報いるどころか更に利用し搾り取る。それでもって立花も立花でそれを甘じんで受け入れ、シムーンの手となり足となり働いて貢ぎ続ける」

 ……え、ええと。

 な、なんかその例え。悪い男に騙された女の人みたいで、なんだか嫌だよぉ。

「紗瑠を利用して楽々アドバンテージ、おいしい……よ」

 しかもシムーンちゃん公認!?

「立花さん。このデュエル以外では貢ぎ過ぎないように」

「は、はい……」

 紫水さんに注意はされたけど。なんでかな?……もう、手遅れな気がしてます。

「え、えっと。……続けて魔法カード《トランスターン》を使います。このカードは私のモンスター1体を墓地へ送って、種族・属性が同じレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚するカードです」

「……ちょっと待って」

 紫水さんが、すごく顔を引きつらせていいました。

「まさか、あなたがこのカードで呼ぶのって《光神テテュス》だったりしないでしょうね」

「ふぇ?……どうしてわかったんですか?」

 すると、隣でシムーンちゃんが「あ」と呟きました。

「もしかして、《光神テテュス》で追加ドローする度に《便乗》って発動する?」

 え……?

「そ、そうなのですか?」

「たぶん、ね。確証はないけど」

「ど……」

 どうしよう。確かにドロー強化のつもりで出すつもりだったけど、さすがにテテュス出したら……これってもう、酷いってレベルだよね?

 でも……だけど。

 もう、私のディスクは《トランスターン》の読み込みが完了しちゃってて、いまの所私のデッキにレベル5は《光神テテュス》しか入ってないから、出すしかないんです。

「ごめんなさい。私は《光天使ブックス》を墓地に送って効果発動します。特殊召喚! 海洋の如く深き光、いまこそ目覚める。転生――《光神テテュス》!」

 ブックスの体にひびが入ると、まるで殻を破るように内側から大きな翼を持った天使様が出現しました。その攻撃力は2400です。

「そして。……ごめんなさい。続けて私はレベル4の光天使セプター、スケール、スローネででオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築します」

 私の声に反応し、ビジョンはフィールド上に銀河の渦をつくりだして、モンスターたちは霊魂になって飲み込まれていきます。

 もちろん、ここで召喚するのは102……ではなくって、銀河から10のナンバーが浮かび上がりました。

「エクシーズ召喚、お願いNo.10! 紗瑠の願い、光り輝くロードへと(てん)じ、神(せい)なる騎士を導く。その輝ける魂にて、いまこそ全てを照らす刻! 白輝士イルミネーター!」

 フィールドに出現したのは、夜夢先輩からもらった1体の白馬の騎士様。攻撃力は2400です。

「あれ? 立花ってこんなカード持ってたっけ?」

 このモンスターの出現に、この前の苺ちゃんたち同様に旗枷くんは反応します。そういえば、色々あってまだ苺ちゃんにもシムーンちゃんにも話してませんでした。後でちゃんと話さないと。

「このカード……。そう」

 一方、紫水さんはなにやら不思議な反応をしていました。

「そして、オーバーレイ・ユニットになったセプターによって、《No.10 白輝士イルミネーター》の新たな効果が発動。セプターを素材にエクシーズ召喚したモンスターには、召喚の成功時にフィールドのカード1枚を破壊し、カードを1枚ドローする効果が追加されます」

 イルミネーターは手に持ったサーベルを掲げると、《光天使セプター》の幻影を映し出します。

「効果の対象は《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》です! シマーリング・ホーリー・ソード!」

「止めるわ、《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》のモンスター効果!」

 ここで紫水さんのジャイアント・ハンドが動きました。

「このカードのオーバーレイ・ユニットを2つ取り除き、《No.10 白輝士イルミネーター》を選択して効果発動! 以後、ジャイアント・ハンドがフィールドに表側表示で存在する限り、イルミネーターの効果は無効化され、表示形式の変更もできなくなるわ」

「えっ!?」

「ジャイアント・ハンド。あのモンスターを止めて! 秘孔死爆無惚!」

 指示を受けたジャイアント・ハンドはイルミネーターの盾を掻い潜って、その胸部に指を一本突き刺しました。すると、イルミネーターは突如ピキッてなって、その動きを止めます。

「これでラピスラズリは破壊されず、ドローも無効になるわ」

 う、うん。それは分かっています。もうそれは受け入れました……でも。

「え、えっと。これって無効になるの、いまだけじゃなくってずっとですか?」

「そうね。ジャイアント・ハンドが裏側表示になったり、フィールドから離れるまでだけど」

「それじゃあ、セプター越しじゃなくてイルミネーター本来の効果も、ですか?」

「ええ。……って、もしかしてあっちの効果が本命だったの?」

 紫水さんは驚き、いいました。

「はい。……ってふぇっ!? どうしてイルミネーターの効果を知ってるんですか?」

「あ」

 そこで、紫水さんはハッと反応して、

「しまったわ。後で話すからいまは気にしないで、それより」

 そこへ旗枷くんが、

「姉ちゃん、あの立花が使ってるモンスターの効果知ってるみたいだけど。どんな効果なんだ?」

「微妙な効果よ。モンスターを3体も使っておいて、ただ1ターンに1度オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて、手札を1枚墓地へ送ってからカードを1枚ドローするだけ」

「うわ、確かに微妙。……けど今は《便乗》があるから」

「ドヤッ」

 シムーンちゃんが口に出してドヤ顔を見せます。

「で」

 旗枷くんはいいました。

「確かいま立花の墓地のモンスターはシールド、ウィングス、ブックスだから」

 あ。

「オーバーレイ・ユニットさえ取り除ければ、墓地の天使族は」

「え、えっと……」

 反応に困ってると、シムーンちゃんがいいました。

「ボチテンシヨンタイ。……紗瑠、鬼畜だね」

「ふぇえええええええっ」

 まだやってもいないのに鬼畜扱いされちゃったよぉ。

 そして紫水さんも。

「しかもイルミネーターでドローする際に《便乗》だけじゃなくてテテュスも動くはずだったのよね。……クリスティアの前に」

「……はい」

 クリスティアを出す前に《禁じられた聖槍》引けないかなぁ、なんて思ってました。

 引けなくても、クリスティアのほうに伏せカードが使われてたら、かなり安全な状態でシムーンちゃんに手番を渡せるかなって。でも、やっぱり相手は2対1で勝負しようとしてきた、そしてひとつ学年が上の紫水さんです。そう簡単に上手くはいかないよね?

 そもそもイルミネーターのオーバーレイ・ユニットを墓地に送れなくて、クリスティアが出せなくなっちゃいました。

「バトルフェイズに入ります。《フェアリー・チア・ガール》で《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》を攻撃です。フェアリー・ターン!」

 チア・ガールは竜巻を作り出す勢いで回転しながらラピスラズリの下へ向かいます。

「攻撃力の低いチア・ガールで攻撃ってことは……」

 紫水さんが嫌な顔をみせる中、私はいいました。

「えっと、ダメージステップに入っていいですか?」

「そうくるよね」

「は、はい。ダメージ計算前に手札から《オネスト》を使います。この効果でターン終了時まで、チア・ガールの攻撃力はラピスラズリの攻撃力分アップします」

 

《フェアリー・チア・ガール》 攻撃力1900→4600

 

 一気に竜巻の回転数を上げたチア・ガールは、このまま一気にラピスラズリを巻き込んで上下左右、四方八方に何度も何度も攻撃を加えて破壊します。

 

 紫水 LP4000→2100

 

「続けて《No.10 白輝士イルミネーター》で《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》を攻撃します。シマーリング・ソード・スラッシュ!」

 イルミネーターは胸を突かれて苦しんでましたけど、私の指示を受けるとすぐに馬を動かし、巨大な掌に斬撃を加えようとします。……けど。

 そのサーベルが目標に触れかけた瞬間、再びイルミネーターはもがき苦しんで……破壊されちゃいました。

 紫水さんは、伏せカードをオープンした状態でいいました。

「先に攻撃したのがイルミネーターで良かったわ。罠カード《五死眼光》を発動。これはNo.106の効果を受けてるモンスターが戦闘を行う場合に発動し、そのモンスターを破壊して攻撃力分のダメージを与えるカードよ」

「ふぇっ!?」

 紫水さんがいったと同時に爆発の余波がこっちにまで広がって、私のライフが減少します。

 

 紗瑠 LP4000→1600

 

「紗瑠、だいじょうぶ?」

「う、うん。これ位だったら……」

 私はシムーンちゃんに微笑みかけてから、もう1度フィールドを見ます。

「最後に《光神テテュス》で《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》を攻撃します」

 今度は防ぐ手段はなかったみたいで、テテュスの一撃を受けてジャイアント・ハンドは破壊されました。テテュス、召喚してて助かったぁ。

 私の手札は《光天使シールド》《大天使クリスティア》それと《転生の予言》。

 最初から《転生の予言》も伏せておけばよかったかも。なんて思いながら私はカードをセットします。

「私はカードを1枚伏せてターン終了します」

 そして、私はいいました。

「……シムーンちゃん、あとはお願いしていいかな?」

「うん」

 シムーンちゃんはうなずきます。

「ありがとう、紗瑠。……おかげで手札、すごいよ」

 って、シムーンちゃんは私に手札の枚数をみせてきました。えっと、いち、にい、さん……。

「は、8枚!?」

 シムーンちゃんはうなずいて、

「《便乗》の効果、凄いね……私のターン。ドロー」

 そして手札は9枚に。

 ふとあちらを見ると、紫水さんも旗枷くんも渇いた笑み声を浮かべてました。すごく気持ちわかります。

「まずは手札から《死者蘇生》で《太陽の神官》を特殊召喚、そして《赤蟻アスカトル》を通常召喚するね」

 早速シムーンちゃんは、フィールドにレベル5モンスターとチューナーの《赤蟻アスカトル》を揃えていいました。

「私は、レベル5《太陽の神官》に、レベル3《赤蟻アスカトル》をチューニング。يبدأ الشراب مرة واحدة تشرق الشمس(太陽が昇ったら朝酒の時間). シンクロ召喚。きて、《太陽龍インティ》」

 これでフィールド・墓地にクイラとインティが揃いました。けど、シムーンちゃんは展開を続けます。

「魔法カード《ワン・フォー・ワン》、手札の《レベル・スティーラー》を捨てて効果発動。デッキからレベル1モンスター《月の猟師イシュバランケー》を特殊召喚。そしてイシュバランケーがフィールドに存在する場合、《太陽の猟師フンアフプー》は手札・墓地から特殊召喚可能」

 続いてシムーンちゃんのフィールドにレベル1とレベル5のモンスターが召喚されました。前のデュエルでは名前ひとつ出なかった、初めて見るモンスターです。

「イシュバランケーには1レベル分、フンアフプーは5レベル分、それぞれ自身以外のモンスターのレベルを上昇させる効果を持ってる、よ。……私はそれぞれの効果で2体のレベルを6に上昇」

 レベル6モンスターが2体……これってもしかして。

「私は、レベル6になったイシュバランケーとフンアフプーでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築する、ね」

 すると、床に渦巻く銀河のビジョンが出現して、シムーンちゃんが宣言した2体は霊魂みたいな姿に変わって銀河に飲み込まれます。

 シムーンちゃんのデッキがエクシーズ召喚も組み込まれてるなんて、私はじめて知りました。……でも、驚くのはまだまだ早かったんです。

 だって、驚く私の眼前で渦巻く銀河からはナンバーズの数字が映し出されたんです。

 しかも……その数字は昨日見たばっかりの!

「エクシーズ召喚。きて、No.25。تاشيرو ماساشيا لمتلصص أيضا من المرجح الآن(田○まさし)。重装光学撮影機フォーカス・フォース」

 シムーンちゃんが召喚したのは、昨日おじさんが使ったあのナンバーズだったんです。

「ど、どうしてシムーンちゃんがそれを……」

 だって、あのカードは証拠品として警察に押収されてたのに。

「外上さんから、預かってた」

「え?」

「分からないけど、私たちが持ってていいって。……だから、あとで紗瑠に渡そうって」

 どうやら、昨日私たちが帰った後も取り調べ室では色々あったみたい。

 私のイルミネーターのこともあるから、落ち着いたら改めてシムーンちゃんとしっかり話し合うことにします。

「とりあえず、これで攻撃が通れば相手のモンスター、全滅できる……ね」

 確かにシムーンちゃんのいう通りです。インティの攻撃力は3000でフォーカス・フォースの攻撃力は2800だから、攻撃力2750のプリズムオーラも攻撃力2400のブリリアントも、どちらも戦闘破壊ができます。

 その上、紫水さんのフィールドには伏せカードもなく、手札の内容も判明してるから《オネスト》のような心配もありません。

「けど、これだけだと姉ちゃんのライフはゼロにできないぞ。1450ほど残る」

 旗枷くんがいいました。確かに、攻撃力で勝ってるとはいっても紫水さんの残りライフ2100を一気に削りきれる程でもなかったりします。

「大丈夫、このターンで終わるよ?」

 シムーンちゃんはいいました。もしかしてまだ展開できるの? もう、通常召喚は使った後なのに。

「私はインティのレベルを1つ下げて墓地の《レベル・スティーラー》を特殊召喚する、ね」

 え、ここで《レベル・スティーラー》!?

「でも。《レベル・スティーラー》の攻撃力は600、これでも足りないはず」

 いいながらも、紫水さんは驚いてるようでした。

「そして」

 そんな周りの反応を気にすることなく、シムーンちゃんはさらにカードを発動します。

「《レベル・スティーラー》の特殊召喚成功時に、このカードを使う……ね」

 シムーンちゃんが使ったカードは……。

「《地獄の暴走召喚》」

『《地獄の暴走召喚》!?』

 シムーンちゃんが発動したカードは、攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した時、同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚できちゃうカードなんです。

 ただ、このカードのデメリットは、同時に相手も自分フィールド上のモンスターを1体選択して同じように手札・デッキ・墓地から特殊召喚できちゃうんですけど。紫水さんのモンスターは全てエクシーズモンスター。このカードはエクストラデッキには対応してないから、シムーンちゃんだけが一気に展開できるんです。

「そして、全員で攻撃。これで終わり、だね」

 シムーンちゃんのデュエルは、やっぱりすっごくトリッキーです。まさか《レベル・スティーラー》をそのままアタッカーに使う為に《地獄の暴走召喚》なんて、この場の誰も予想してなくて。

 てんとう虫さんたちの攻撃力は合計して1800、無事に紫水さんのライフを削りきることができました。

 

紫水 LP1450→850→250→0

 

 

光天使シールド

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻 0/守1800

①:相手モンスターの直接攻撃宣言時に、自分の墓地に存在する「光天使シールド」以外の「光天使」モンスター1体を選択して発動できる。

手札からこのカードを自分または相手フィールド上に特殊召喚し、攻撃を無効にする。その後、選択したモンスターを手札に加える。選択したモンスターがエクストラデッキに戻った場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

五死眼光

通常罠

①:「No.106」モンスターの効果を受けているモンスターが戦闘を行う場合に発動する。そのモンスターを破壊し、相手は攻撃力分のダメージを受ける。

(カード名はジャイアント・ハンドの効果名から。効果はアニメ版ジャイアント・ハンドの効果から)

 

太陽の猟師フンアフプー

チューナー・効果モンスター

星5/地属性/植物族/攻 800/守2100

「太陽の猟師フンアフプー」および「月の猟師イシュバランケー」の①の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:自分フィールド上に「月の猟師イシュバランケー」が存在する場合、このカードを自分の手札・墓地から特殊召喚できる。

②:1ターンに1度、フィールドのこのカード以外のモンスター1体を対象として以下の効果から1つを選択して発動できる。

●対象のモンスターのレベルを5つ上げる。

●対象のモンスターのレベルを5にする。

 

月の猟師イシュバランケー

効果モンスター

星1/地属性/植物族/攻 200/守 200

「月の猟師イシュバランケー」および「太陽の猟師フンアフプー」の①の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:自分フィールド上に「太陽の猟師フンアフプー」が存在する場合、このカードを自分の手札・墓地から特殊召喚できる。

②:1ターンに1度、フィールドのこのカード以外のモンスター1体を対象として以下の効果から1つを選択して発動できる。

●対象のモンスターのレベルを1つ上げる。

●対象のモンスターのレベルを1にする。

 

 

 

◆◆◆

 

 

「まさか、《レベル・スティーラー》でとどめを刺されるなんて思ってなかったわ」

 デュエル後、ディスクをしまいながら紫水さんはいいました。その気持ち、よく分かります。

 シムーンちゃんがおもむろにいいました。

「じゃあ、アンティでブリリアント貰う、ね」

「ダメだよシムーンちゃん!? 紫水先輩ごめんなさい」

 私はそんな友達を制止して、紫水さんに謝ります。

 当のシムーンちゃんは、

「もちろん冗談……だよ。やっぱり、紗瑠を弄ると……楽しいね」

 う、うん。冗談だっていうのは分かってたけど。でも。

「だからって紫水さんに迷惑かけないでよお」

「あ、紗瑠。……さりげにさん付けに変えてる」

「ふぇ!? あ、ご……ごめんなさい」

 私、心の中ではさん付けで呼んでたから。けど、紫水さんは呆れの混ざった温かい笑顔でいいます。

「そのくらい別にいいってば。他の子たちの前だったら立場上注意だけはするかもしれないけど」

「よかったね……紗瑠」

「う、うん」

 あれ?……さりげなく好き勝手弄られた挙句シムーンちゃんに丸めこまれちゃった気がするけど。気のせいだよね?

 そこへ旗枷くんが訊ねます。

「ところでさ。何か話があるんじゃなかったのか姉ちゃん」

「そうだったわね。もうこの際関わっちゃったんだから、シムーンさんは勿論のこと藍銅も残りなさい」

「言われなくても残るつもりだっての」

「悪いわね、藍銅」

「な、なんだよ気持ち悪いな」

 紫水さんに感謝されて旗枷くんは照れ隠しにそっぽをむきます。

「それで、改めてふたりともお時間貰ってもいい?」

「は、はい。私は大丈夫です」

「私も、平気」

「わかったわ、それじゃあ」

 そういってから、紫水さんは話を切り出し――。

「待って」

 かけて、止めました。

 どうしたのかな、なんて思ってると紫水さんはいいます。

「ごめんね。あとで藍銅に連絡を入れるから、やっぱり後にしましょう」

「え、姉ちゃん?」

「ふぇ?」

 驚く旗枷くんと私。けど、ただひとりシムーンちゃんは素直にうなずいて、

「わかった」

 って。そして、急かすように私たちにいったんです。

「紗瑠、藍銅。……行こう。授業遅れる、よ?」

「シムーンちゃん? う、うん」

 私はまだ混乱したままでしたけど。

「じゃあ、紫水先輩。私たちは先に失礼します」

 なにかあったのかもしれません。大人しく従って、私たちは屋上を後にしました。

 

 それから程なくして。

 屋上を出て教室に向かう途中、私は訊いてみました。

「シムーンちゃん。さっき何かあったの?」

「……私にも分からない」

 シムーンちゃんはいいます。

「でも、紫水って人の様子がおかしかったのは確か、だよ? だから、言われた通り逃げるのが正解って思っただけ」

「逃げる? って、何からだよ」

 旗枷くんが問い詰めるも、シムーンちゃんは首を振ります。

「だから、わからない」

「わからないって。……なあシムーン、そのナンバーズってやつはそんなに恐ろしいものなのかよ」

「うん」

「ふえっ!?」

 思わず、私は声出して驚いちゃいました。だってシムーンちゃん、すっごくさらっと肯定しちゃったんだもん。

「そんなに怖いものだったの?」

「紗瑠も知ってるはずだよ。おじさん相手に」

「あ……」

 そういえば、おじさんはナンバーズを使って他人の意識を飛ばすとかしてたんでした。

「ねえ、シムーンちゃん」

 私は思い切って、訊いてみることにしました。

「なに?」

「もしかして、シムーンちゃんは何かしってるの? ナンバーズのこと、フィールのこと」

 あと、オーバーハンドレッド・ナンバーズのこと。

「うん。……少しなら」

 シムーンちゃんがいった、その時でした。

 空が、急に暗くなったんです。

「ふぇっ!?」

 な、なにこれ?

「? どうしたんだ、立花」

 旗枷くんが訊ねます。

「そ、空が」

「空?」

 旗枷くんは一回窓の外を眺め、そして不思議そうな顔で、

「何も変わらないぞ。どうしたんだよ」

「ふぇっ!? だ、だってお空」

 そこで、私は気付きました。これ……もしかしてフィールが起こしてる現象?

「これって……」

 シムーンちゃんが呟きます。それも、なにか知ってそうな様子で。

「シムーンちゃん、これ……何なの?」

 返事は、ありませんでした。

 シムーンちゃんは、私の問いかけを無視して、屋上へUターンし始めたんです。

「お、おいシムーン」

「シムーンちゃん待って」

 旗枷くんと私は追いかけます。

 そして、階段を駆け上って先で私たちが見たものは。

 

 蒼い炎が視界を照らす、暗闇の世界。

「うふ、うふふふふふふふ♪」

 笑みを浮かべる、見たことのない女の子。

 そして。

「あなた。――まさか連続失踪事件の、犯に……」

 私たちの目の前で、炎に焼かれて消える紫水さんの姿でした。

 

 昼休み終了を告げるチャイムが鳴りました。

 




ということで連続投稿です。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

16/1/3:タイトルに「EP-8」をつけ忘れていたので追加。
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