問 幸せな人生とはどういうものを指すのか。
なんかその辺の街頭でやってそうな質問がふと頭に浮かんだ。突発的に思い付いたものなので、忘れることは簡単だ。でも、ただ歩くのも暇だしこれでも考えてみますか。
まず俺にとって幸せとはなんだ?
金?地位?はたまた彼女とすごす時間?
まあ確かにそれも幸せかもしれないけど、違う。
俺の幸せは高校の時と同じで「本物」だ。
今となってはむずかゆいような思い出しかのこっていない高校生活だったが、確かにあの時。そう、高校二年の冬からのあの奉仕部での時間は俺にとって本物で、また俺は「幸せ」だった。
ということでさっきの問題に対する俺の回答はこれでいいだろう。
答 本物のある日常
それでいうといま俺は幸せではないのだが。
そこまで考えた所で、俺は思考をとじて再び何も考えることなく歩くことに戻った。
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「ふーん、見る限りは普通の学校だな」
ぼくは澄百合学園内を歩きながら期待が外れたことに少し驚いていた。
意外なことにというべきか、さすが人類最強の請負人というべきか、哀川さんがくれた偽造の身分証明書を使った澄百合学園への侵入はスムーズに終わり、ぼくは今待ち合わせの《二年A組》へ怪しまれない程度の早足でむかっているところだ。
不本意ながらぼくの変装も完璧なようで、今までこの学園の生徒と思われるぼくと同じ黒いセーラー服をまとった生徒達とすれちがっているけれど、ぼくに異変を感じている様子もない。
「哀川さんの頼み事だったし比企谷までいるからもっと大変なのを想像してたけど……この分じゃあっさり片付きそうだな。剣呑剣呑」
やはりぼくの《剣呑剣呑》の使い方はまちがっていそうだけれど、まあいいだろう。階段を上り二年A組の教室についた。辺りに人は見あたらなく、都合がいい。
実はこのときぼくはいくつか不審点を思い付いていたのだが、とりたてて深く考えなかった。後から考えれば哀川さんと比企谷がらみの依頼でこんな緩いものはないと最初に思いだしておくべきだった。ならば、注意が働きこの学園にある奇妙な雰囲気にきづけたかもしれない。
とにかくとりたてて考えなかったぼくは、普通に二年A組のドアに手をかけ、そして教室の中に入った。教室はごく一般的なものでお嬢様学校というイメージではなかった。
ただしそんなことはどうでもいい。
どうでもよくないのは教室のなかが無人だったことだ。
「……あれ?」
困った。
紫木嬢とのご対面に気合いをいれていただけに肩透かしもいいところだ。
とその時、掃除用具入れのロッカーが、少し揺れた気がした。窓は開いていなく、ほぼ無風状態の教室でロッカーが揺れる理屈はない。
はあん、つまり中にいるんだな。
見つけられないぼくを見て悦に耽ろうという魂胆だろうが、3日間の死線を潜り抜けて来たぼくをなめてもらったら困る。こんな子供のいたずら、蹴りをいれてやれば驚いて中から飛んで出てくるに違いない。
そう考え、さて左足か右足かと思った所で、
ぞわり
と肌寒さを感じた。
それと同時に背中になにか太く、そして硬い、銃のようなものを突きつけられた。