カッコ好いかもしれない雁夜おじさん   作:駆け出し始め

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捌続・シリアスは、歩いてこない、だから歩いてゆくんだね

 

 

Side in:何処かの研究施設の一角

 

 

 

「ハ……ハハ…………ハハハハハハッ………………ハーーーーーーッッッハッッハッッハァッッッ!!!」

 

 研究室というよりは管制室と思われる設備と内装が施されている部屋の中、病的さと不健康さを併せ持った白衣の男性は哄笑を上げていた。

 そしてその様を少し離れた位置で、容貌も衣装も敏腕秘書そのものとも言うべき女性が静かに佇みながら見詰めていた。

 だが、哄笑している男性はそんな女性を意に介さず声を張り上げていく。

 

「素晴らしい!素晴らしいよ!! ああ、全く以って素晴らしいっ!!!

 アレこそ…………易や、彼女達こそが私の求めるモノの完成形だっ!!!

 

 データが少ないとはいえ、彼女達が非生命体であるなど……易や、生命体という概念の先の存在、即ち高次元存在であるなど一目瞭然だ!

 転移させられた艦のレコーダーを見れば転移すると同時に転移が終了しているという矛盾から察するに、行われた転移は文字通り時空を超越したモノであり、それだけで彼女が高次元存在である事を証明している!

 そして彼の方は彼女とは違って全く私達に理解不能な力を揮っているのも素晴らしい!!

 

 夜天の魔導書のプログラムを見る限りは確実に崩壊する酷い破損状態にも拘らず、全く機能不全を引き起こしていないなど理不尽の窮みだよ!

 創り出した幻影の夜天の書でバグの部分とそれ以外の部分を選り分けたのは推測出来るが、理不尽な結果しか残らないとなると、彼が行ったのはオカルトの領域と言われる概念的な干渉としか思えない!!

 科学者としては馬鹿馬鹿し過ぎる仮説だが、恐らく夜天の書の悪性存在情報とも言うべきモノを全体の統合性を失わせること無く切り離した後に消し去ったと考えれば一応この理不尽極まりない状態への説明が付く!

 余りにも突拍子が無さ過ぎる話だが、彼女が傅く程の存在ならばこの程度の事が出来て当然という非論理的な確信が私には在る!」

 

 空間に投影された10を越すモニターに表示されるデータを目まぐるしく切り替えつつ、興奮というよりも気が触れたかの如く叫び続ける白衣の男性。

 しかも自分の仮説を口に出す度に益益気が触れたとしか思えない様に眼を血走れつつ泡に成り掛けの唾を哄笑と共に撒き散らし、更に奇怪な体勢と表情をし且つ酸欠で全身を薄い黒が混じった紫色に変えつつ痙攣しながら哄笑を大きくしていっていた。

 

 だが、此の儘だと勝手に身体や脳に負荷を掛け過ぎて気絶乃至死亡する危険が現れ始めた時、秘書の様な女性が白衣の男性を止めに入った。

 

「落ち着いて下さいDr.。それ以上の興奮は死の危険が付き纏います」

 

 携帯用酸素吸入器と鎮静薬入りのガス注射を手渡しながら秘書の様な女性はそう言った。

 すると白衣の男性は首の骨が折れかねない速度と角度で振り向き、大声で言葉を返す。

 

「落ち着く!?それは無茶な相談と言うものだよウーノ!!

 今私の目の前には私の理想と知りもしない世界が広がっているのだからね!!!

 今私の気分は子供が始めて宇宙へと飛び立って大地を星として認識し、自らの知覚世界の狭さと其の外側の世界の大きさに得も言えぬ昂揚感を抱いている時を遙かに凌いでいるのだからね!!!」

「御気持ちは察せますが、データを見ている時から碌に呼吸をされておられなかった様なので、速やかに整備呼吸を行わなければ深刻的に命の危機となります。

 ですので、少少失礼させて頂きます」

 

 素早く白衣の男性の後ろに移動し且つ両手を片手で拘束し、更に強引に酸素吸入器を白衣の男性の口元に押し付けて酸素を吸わせる秘書の様な女性のウーノ。

 一瞬、口に携帯用酸素吸入器を押し当てて酸素を流すだけでいい気がしたウーノだが、白衣の男性の精神状態を考える限り、言葉にすることで思考を加速させていることを自覚している様なので、言葉にすることを強制的に中断させる行為に抗うのは容易に予測が立った為、拘束を解く事無く白衣の男性の口に携帯用酸素吸入器を押し当てた儘強引に酸素を一定周期で流し続けた。

 

 最初こそは抵抗していた白衣の男性だったが、不健康と言うよりも病的若しくは病気とも言える容貌に違わぬ貧弱瘦躯な為、普通の成人女性程度の筋力が在れば完全に抑え込める程度の白衣の男性の抵抗は徒労に終わった。

 そして暫し強制的に酸素吸入を続けさせられれば白衣の男性も落ち着きを取り戻した為、特に抵抗せず静かに呼吸を整えることにしたので抵抗は行わなくなった。

 

 

 百数十秒程して呼吸を整えた白衣の男性は、静かに右手を上げてウーノに酸素呼吸を終える棟を示した。

 すると既に通常状態に回復したと判断したウーノは静かに酸素呼吸器を白衣の男性の口元から外し、更に拘束していた腕も解放して白衣の男性から静かに離れた。

 

 解放された白衣の男性は軽く身体を動かして調子を確かめると、悪びれた様子どころか自身の行為の正当性を誇ることすらない普段通りのウーノに振り返って話し掛ける。

 

「いや、危うく興奮し過ぎて折角私の命題の答えが目の前に在るというのに死んでしまうところだったよ。

 強引にでも止めてくれて感謝するよ。ウーノ」

「いえ、Dr.の補佐全般が私の使命ですので御気に為さらず」

「ふむ。相変わらず固いが、それも君らしさというモノだろう。

 

 で、話は彼女達に戻るが、私達が彼女達と接触する方法は何か記載されていたかい?」

 

 固い返事を返すウーノを、それも彼女の個性とあっさり割り切ると、自分が彼女達の戦闘情報関連しか見ていないが、ウーノが閲覧したであろう細細した情報に其れが無かったかを白衣の男性は訊ねる。

 するとウーノは淡淡と白衣の男性の質に答え出した。

 

「彼女の神子とされる2名が彼女達と接触を図れるらしいですが、正規と嘱託を問わず、最終的に武力行使を用いて彼女達と接触を図ろうとした結果、ランクAA以上の戦闘魔導師62名が返り討ちにされています。

 しかも全ての魔法……彼女達にとっては魔術らしいですが……が直撃したにも拘らず、殺傷設定及び非殺傷設定問わずに全てが用を成さず、更には鉄塊等を直接叩き付ける原始的な方法も全て用を成していません。それも恐らくは防御したのではなく、純粋な耐久力で防ぎ切っていると思われます。

 ですが、2名の神子と現地民と交渉した際の記録を見る限り、神子の身内を拘束すればこちらの要求を呑ませる事は可能と思われます」

 

 ウーノのその言葉を聞き、白衣の男性は苦笑とも呆れとも付かない顔で言葉を返し始める。

 

「其の案は愚策中の愚策だよ、ウーノ。

 彼女が自分の代行とした神子相手に不敬を働くという事は、其れはつまり其の儘彼女への不敬に繋がる。

 勿論彼女が神子に執心しているとは思えないが、それでも自分の代行に対して不敬を働いた輩を生かしておく程温い相手ではないだろうね」

「ならばどう為されるのですか?」

「此処は只管彼女の神子達に頭を下げて頼み込むしかないだろうね。

 しかも代理を使いに出すなど不敬に当たる以上、間違っても私以外を寄越す真似は出来ない。

 まぁ、君を代理に立てれば私は不摂生が祟って短期間で死ねる自信が在るし、ドゥーエやトーレだと誠意に欠けるというか我慢が足りずに失敗するし、相手の神経を逆撫でするクァットロだと多分スプラッタと言うかスクラップと化すだろうし、チンクやセインだと誠意は在っても交渉力が足りないから万が一彼女達と逢えても即刻追い返されるのが目に見えているから、結局自分から赴くしかないがね」

「ならば私が同行するのは確定事項というわけですね」

 

 自分が居なければ不摂生で死ぬと自信たっぷりに言う白衣の男性にツッコミを入れる事無く、ウーノは此れからの自分の予定の確認を行った。

 すると白衣の男性は当たり前の事を当たり前に返す様に言葉を返し出す。

 

「そうでなければ結局現地で死ぬだけになるからね。

 それに相手へ贈る菓子折り等のセンスが欠落しているのも自覚しているから、其の辺をサポートしてもらう為にも君も一緒に来てくれないと大いに困るんだよ」

「分かりました。

 それでは出立は私が現地での拠点と活動資金の確保、並びに現地の一般教養及び時勢を習熟してからで構いませんか?」

「現地知識は現地である程度身に付けてから行動に移るつもりだから、日常生活が出来る程度で構わないよ。

 あ、活動拠点はマンションや一軒家ではなく、ホテルやスパ等の施設にしておいてくれ。其れが無理なら相応の装備を持って野宿にするよ」

「分かりました。

 ……確かに彼女の庭かもしれぬ場所へ違法に侵入するだけでなく、違法に住み着くのは避けた方が無難でしょうね」

 

 そう言うとウーノは現地での活動資金も現地の法的には完全アウトだろう時空管理局が定めた正規の手順ではなく、希少鉱物を換金して得るように手配しだした。

 そして白衣の男性はウーノの洞察力は知っている為、敢えて確認したりすることはなかった。

 

 

 

 其の後、白衣の男性は留守に備えてセキュリティの強度を上げたり、防衛戦力である他の者達の調整をする為に管制室から出て行った。

 管制室に一人残ったウーノは静かに様様な事前準備の手配を進めていた。

 だが、此れから自分が向かうのが、一部では既に管理外と言うよりも管理不可能世界と呼ばれている極めて危険な場所であることを思い、焦燥とも諦観とも付かない息を静かに吐いたのだった。

 

 

 

Side out:何処かの研究施設の一角

 

 

 

 

 

 

Side in:何処かの桜咲き誇る高台

 

 

 

「蕨、楤芽、屈、蕗の薹、独活の5種類3kgちょいです!」

「「「「「お~~~」」」」」

 

 自信満満に自分が積んだ山菜を披露する玉藻に、1時間と少しでそれ程山菜を取ってきた事にアリサとすずかと恭也と忍と鮫島の5名は驚きの声を上げる。

 だが、そんなアリサ達の驚きの声を気にも留めていない玉藻は、雁夜に向かって満面の笑みで言葉を放つ。

 

「ふっふっふ。如何ですかぁ、ご主人様?

 喩え魔力や呪術とかを封印して其処辺りの人間並に性能を叩き落しても、私の超絶頭脳に掛かれば山菜の自生点を正確に予測するなんて御茶の子さいさいです!」

「確かに……言うだけの事はあるな」

「此れで勝ちは私で決まりですね♪

 さ~て、それじゃあ1週間は自重と言うか理性と言うか照れ隠しとかは全部放り投げて、直球で愛を囁いて貰いますね♥」

 

 優勝ではなく勝ちと言っている辺り、本当に他の面面が最初から眼中に無いというのをアリサ達はヒシヒシと感じたが、此の程度の扱いは今に始まったことではないので特に何も言わずに流すことにした。

 対して雁夜は、玉藻から黒歴史を紡げというのと同義な命令に対し、勝ち誇っているとも小馬鹿にしているとも哀れんでいるとも取れる笑みを浮かべて言葉を返す。

 

「そんな傍若無神の台詞を吐けるのも今の内だ!

 見ろ!そして思い知れ!

 ど田舎と言うよりも未開地のど真ん中で交通手段どころか交信手段すらない時に活躍し捲くった俺の技能の凄さを!」

 

 廃線になった無人の駅と線路以外には電柱すら地平線迄見えない場所で活用した己が技能を誇る様に、雁夜は自分が取った山菜を次次と取り出しながら告げ始める。

 

「野蒜、芹、漉油、屈、大葉擬宝珠、蕨、薇、行者葫にお前が取った5種類も加えた13種類の大体8kgだ!」

 

 そう言って大き目の竹の背負い籠を玉藻の目の前に置く雁夜。

 そして雁夜が置いた大き目の竹の背負い籠の中を見て愕然とする玉藻と驚愕するアリサ達。

 

「そっ、そんな……」

「うわ。下手したら1日で此処ら一帯の山菜が無くなりそうね」

「1分に100g以上取らないと計算合わないよね」

「と言うか、私は魚籠に入ってる蛇とか雀とか鳩が気になるんだけど?」

「もう片方の魚籠には茸が山程入っているのも凄いな」

「仕留め方も毒の有無も見た限りでは脱帽する程に完璧ですな」

「あ、薪用の枯枝を集めてるから、蛇は血抜きして塩焼きに出来るし、雀や鳩と山菜や茸は煮れるから、栄養たっぷりなのが食べれるぞ。序に蛇の血を煮物に混ぜれば精も付くぞ。

 徒、惜しむらくは猫や兎との距離が遠くて仕留められなかったことだな」

「「「「「いや、そんな黒魔術みたいな料理をお花見で広げて食べたくない から/なぁ/んだけど/ぞ/です」」」」」

「え?」

 

 蟲以外は大抵忌避感が無い桜と一緒に春の野山(那須近辺)で山菜以外に鳥獣や爬虫類を仕留め(狐だけは例外)、塩焼きや酒に漬け込んだりしながら暮らした雁夜は、アリサ達の発言に可也意表を突かれた。

 以前花見をした際、梅干やカレーで辟易していた面面に好評だっただけに、雁夜はアリサ達の食生活レベルが凄く高いか単なる食わず嫌いなんだろうと思って流し、自分が一般と乖離しているとは考えなかった。

 だが、何と無く其の辺の考えを読み取ったアリサがツッコミを入れる。

 

「いや、そんな意外そうな顔しないでよ雁夜さん。

 如何考えてもお花見の朗らか雰囲気での食べ物じゃないじゃない」

「鱗を剥がせば鰻や穴子みたいなもんだけどなぁ」

「いえ、そうだとしても生き血を鍋に混ぜるのはアウトですから」

「フランス料理の血のソテーみたいなもんじゃないか」

「哺乳類じゃなくて爬虫類の血ってところが最悪なんだけど……」

「血抜きしてない丸焼きと大して変わらないと思うぞ」

「それ以前に爬虫類がアウトだと思うが……」

「まぁ……蟲に比べれば確かにマイナーだろうな」

「メキシコ等の蟲を常食される方方には失礼ですが、日本の標準的な宴席で昆虫類や爬虫類や両生類は忌避感を持たれる事が多いと進言させて頂きます」

「………………そうなのか?」

 

 蟲に凄まじい嫌悪感を抱いている反動なのか、蟲以外ならば虎の睾丸や牛の脳味噌でも若干怯えながらでも直ぐに食べられる桜と過去に暮らしており、更には美味ければ人間と虎以外は食べると豪語する大河や、衛生的にアウトでなければ何でも食べる士郎とも頻繁に卓を囲んでいた為、其の辺の感覚が完全に狂っている雁夜は、心底不思議そうな顔で訊ね返す。

 するとアリサ達は全員――――――

 

「「「「「…………」」」」」

 

――――――真面目な顔で無言の儘に首肯した。

 

「……何てこった…………」

 

 倫理観と言うよりも自身の種族認識が人間から外れ始めていた自覚は在ったものの、まさか日本人の一般常識から外れているどころかソレに気付きもしなかったことに軽く落ち込む雁夜。

 一応、〔様様な国を渡り歩いたから一国や一地方の固有常識だけを持ち続けるのは難しいから仕方無い〕、と自己弁護をしてみたが、食生活という日常生活と密接に関係している常識から外れると流石に自分を納得させるのは難しいらしく、暗い雰囲気を払拭出来ていなかった。

 

「ま、まあ、別に人の脂と骨で火を熾して血肉や内臓を煮込んで食べてるわけじゃないんだから、日本じゃちょっと普通でない程度なんだし、そんなに気にしなくていいと思うわよ?」

「……人道から外れに外れている人達を引き合いに出しても仕方ない気がするけど、確かに日本じゃ普通じゃなくても異常じゃないから、そんなに気にしなくてもいいと思いますよ?」

「いや、前半部分のお蔭でフォローになってないから」

「態態言わなくても構わない事を言うお前も大概だけどな」

「(そしてそれを言われる恭也様も忍様と同様だと思われますが)度を越した気遣いは却って礼を逸しますので、無闇に長引かせずに話を進めるのが宜しいかと」

「あ、ああ。ナイスフォロー、鮫島さん」

 

 鮫島の言葉で何とか気力を回復させた雁夜は感謝を述べた。

 そして早早に鬱屈さを振り掃う為にも話を進めようと玉藻に要求を突きつけようとした。

 が、雁夜が視線を移した先の玉藻は、一般人すら視覚化可能な黒い靄を立ち込めさせながら激しく落ち込んでいた。

 

「「「「「「………………」」」」」」

 

 しかも雲一つ無い空模様であったにも拘らず、急に何処から現れたとも知れぬ暗雲が空を覆い始めており、更に暗雲が際限無く発生しているのか、暗雲の濃度が闇夜に迫る域に迄上がっており、後数分もすれば玉藻が居る地方一帯だけでなく近隣都道府県を相当数巻き込んだ挙句、大陸に迄影響が出るであろう神話級の豪雨へ発展しそうな状態に成っていた。

 

 雁夜は玉藻が意識して行っているのか無意識で行っているかの判断はしかねるものの、放置すればお花見どころではなくなると察し、素早く玉藻を慰めだす。

 

「まあ、アレだ。今回は俺の勝ちで終わったが、イカサマした時並の自信がない限り俺はお前との賭けは受けないだろうけれど、万年位経てば偶然とか紛れとか気の迷いとか何かの間違いとかうっかりとかで賭けを受けるかもしれない可能性が無きにしも非ずの様な気がすると言っても構わないと検討する余地が在ると断言するのも吝かでないと思っている気がしないでもないと思える日が来ると夢見る事は出来そうだから、其の鬱屈さは来たるかもしれない日への糧にしてサッサと何時も通りのお気楽ご気楽脳天気な軽い笑顔に戻ってくれ」

「「「「「「…………………………」」」」」」

 

 慰めの割合が1に対し、自己保身(守り)の割合が9という雁夜の言葉を聞き、玉藻だけで無くアリサ達は押し黙る。

 勿論雁夜としては自分の発言が可也とんでもないモノだとは自覚しているが、――――――

 

「と言うか、迂闊に慰めて1の隙を晒すと其処から切り崩されて10万以上毟り取られるから、少なくても真面目でない理由で落ち込んでいるお前を慰めるとかいう特大の自爆行為はしない様に心掛けているから、優しい言葉を期待しているなら下心を消し去る程に落ち込まないと駄目だからな。

 ……まぁ、真面目に落ち込まれるのは気分が悪過ぎるからさっさと立ち直ってほしいけどな。

 ……お前の腹黒能天気の笑顔がないと調子狂うし」

 

――――――と言う理由の為、雁夜は玉藻に優しい言葉を掛けるつもりはなかった。

 尤も、身内に対して冷たい態度を取りきれない雁夜らしさが早速表れていたが、何時も通り雁夜は気付かなかった。

 だがソレはアリサ達が以前から抱いていた、〔雁夜がツンデレかもしれない〕、という疑念を確信に変える事が出来る程に分かり易い所作であった。

 当然変質的や病的と言うよりも、妄執的な雁夜ウォッチャーを自認している玉藻がソレに気付かない筈もなく、ソレに気づいた瞬間、全身から噴出し始めていた黒い瘴気の様なモノを一気に霧散させつつ耳や尻尾を忙しなく動かし始めながら、言い訳染みた事を誰にとはなしに呟き始める。

 

「くっ……相変わらず絶妙なタイミングで無自覚にツンデレを炸裂させるなんて…………流石ご主人様、あざとい。だけどいい加減そんな都合の良い天然発言だけで丸め込まれたりはしません。玉藻はやれば出来る子なんです。我慢が出来る子なんです」

「ぶつくさ言ってないでとっとと弁当広げてから山菜調理するぞ。

 後、この日の為にぶらり旅しながら掻き集めた銘酒を飲みながら昼は騒いで花見して、夜は穏やかに月見桜と決めてたんだから、台無しにするような真似はしてくれるなよ?」

「……静かな夜の四十万に静かにご主人様と一緒にお酒を嗜みながら月見桜とか…………和服美神の私の独壇場じゃないですか!って、落ち着け私。落ち着け私。落ち着け私。Be cool.Be cool.Be Kool.毎回毎回ご主人様の無自覚なご褒美攻撃に屈するから普段の私の扱いがぞんざいな儘なんです。今回という今回はご褒美じゃなくて慰めの言葉をかけてくれる迄は徹底抗戦しなくては!そうでなければ、〔大日チョロイ〕とかのレッテルを何時迄経っても剥がせませんし」

 

 自分の普段の扱いを向上してもらう為にも、玉藻は常ならば瞬時に喜び舞い上がってしまいそうな雁夜の言葉を受けても辛うじて平静を保ち、宛ら拗ねた子供の様な〔構ってくれオーラ〕を撒き散らす。

 だが、そんな玉藻の内心は忙しなく動く耳や尻尾に表れており、どう見ても機嫌はとっくに回復していると、雁夜どころかアリサ達にすら察することが出来た。

 しかし察することが出来たと雖も、今の雁夜には勢いが足りない上に他者の目が在る場所で雁夜的羞恥プレイを実行する筈もなく、――――――

 

「何で賭けに勝った俺が負けた時並の行為を強要されなければならないんだよ?

 しかも理由が負けて拗ねてるだけって、癇癪起こしたガキみたいな……と言うかガキそのものの理由で」

 

――――――玉藻に感化されたかの様に少少子供的な言動が見え隠れする言葉を掛けた。

 

 

 

▲▲▲▲▲▲

 

 【配慮はしても遠慮はしない】、というのが雁夜の玉藻に対して行う接し方である為、可也容赦が無い言葉と成っていた。

 尤も、桜に言わせれば、【遠慮はしてなくても気後れして(照れて)るから、普段はヘタレ放置プレイ】、であり、其の辺りは玉藻も十分理解しており、更にその様な対応で接されるのは自分だけであると玉藻は自負しているので(桜への気後れは考え過ぎなので違うと認識している)、基本的に玉藻は雁夜からぞんざいに扱われても喜ぶという、可也隙の無い思考(倒錯した特殊性癖)の持ち主であった。

 

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 だが、本来ならば雁夜に対して隙の無い玉藻だが、現在は玉藻自身が意図的に隙を作っている為、嬉しいが止めてほしいという状態に成ってしまっており、雁夜の言葉に喜びながらも懸命に気持ちを静め続けるという、何とも奇妙な様相を取り続けていた。

 

(コレが漫画とかでよく言う、〔悔しい! でも感じちゃうっ!〕、って状態なんだね)

(小動物が必死に飼い主の気を引こうとしているみたいに見えるけど、その実、小動物どころか宇宙怪獣ってことを考えると全然微笑ましくないわね)

(塵も残らないと分かってるけれど、もぞもぞ動く綺麗でふかふかの九尾に飛び込みたくて仕方ないわね)

(女に振り回されるのも男の甲斐性と言うが、振り回され過ぎて千切れ飛び掛けている者同士、酒を酌み交わせばさぞ美味い酒が飲めるだろうな……)

(……一瞬御立派に成られたお嬢様と錯覚してしまいましたが、外れる気が全くしない辺り、恐らくお嬢様は之から先も色色と難儀される性格の儘なのでしょうなぁ……)

 

 何と無く周囲の雰囲気が生暖かくなってきたことを感じた雁夜は、此れ以上玉藻が拗ねていると自分も纏めて恥を晒してしまうと今更ながら悟り、急ぎ場を収めて花見に移行するべく玉藻の機嫌を即座に快復させることにした。

 

「……はあぁぁ…………」

 

 だが、玉藻の機嫌を即座に快復させる為には自ら墓穴に飛び込むのと動議な為、明らかに気の進まない溜め息を吐きながら玉藻の傍に寄り、片膝立ちになって雁夜は話し掛ける。

 

「訳の分からん要求は呑まないが、以前から何か創って寄越せと言っていたのなら受け付けるぞ」

「!!!!!!!!!!」

「但し、鎖付き首輪とかみたいな頭の沸いた様な要求をしたら断るし此の話は無かったことにするからな」

「♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪」

 

 一般人が見たら玉藻の首から上が余りの首肯速度でブレて見える状態の上機嫌な玉藻に対し、雁夜は餌で釣っているとしか思えない現状が酷く気に食わず顔を顰めていた。

 だが、一度玉藻相手に吐いた言葉を取り消すのはほぼ不可能な為、勢いとも自棄とも取れる気持ちの儘に雁夜は言葉を続ける。

 

「それと、今お前に渡す物が完成してから取り掛かるが、それでもよければという注釈が付くぞ」

「! ♪ ♥ ! ♪ ♥ ! ♪ ♥ ! ♪ ♥ ! ♪ ♥」

 

 首肯と振られる九尾の速度が常規を完全に逸し、玉藻を中心に周囲へ衝撃波連続して放たれる。

 だが、幸い首肯で発せられる衝撃波の殆どは雁夜に当たって霧散して他の者へは被害を齎さず、九尾から発せられる衝撃波は少少周囲の誰も居ない斜面を削って虚空へ消えていった。

 

 

 鉄すら引き裂く音速突破の衝撃波を扇風機から送られる風の如く危機意識無く平然と受ける雁夜を見、他の者達は色色と人間を止めていると改めて実感したのだった。

 

 

 

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 ・

 

 

 

「高天原に (~略~) 祓禊へ給ふ時に (~略~) 聞食せと 畏み畏みも 白す。

 

 以上、私の歌でしたー!」

 

 御当地ソングのノリで自分が歌っていたとされる天津祝詞(自分の歌)を、酒の勢いも手伝って人間ならば誰もが平伏せずには居られない域の神聖さと声音で歌い上げた玉藻。

 だが、人間でないからなのか慣れの為か、雁夜は心底感動したとも感心したとも取れる様ではあっても、普段通りに玉藻へと話し掛ける。

 

「相変わらず真面目に歌うと普段のイメージが消し飛ぶ程凄いな」

「そりゃご主人様をメロメロにさせられる特技の一つですから、手を抜いたりせずに本気で全力投球ですからね」

「………………真面目な儘ならベタ惚れって言うかアピールって言うか積極的にならずにいられない程好みのど真ん中なんだけどな……」

「そ、それじゃあ早速衲衣か十二単を着て楚楚としますんで、目一杯激しくして下さい!!!」

「……………………亡き女を想うと書いて妄想。人の夢と書いて儚い、か…………」

 

 凄まじく疲れた感じを漂わせつつ、桜なのか空なのか太陽の何れを見ているのかが今一判然としない瞳で雁夜はそう呟いた。

 

 

 

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「よおぉぉっしっっっ! 18段重ね達成!!」(←茹でた殻付き鶉の卵を傷付けずに積み重ねている)

「甘いですよご主人様! 私は500円玉垂直20枚立てです!!」

「くっ!? すずか!サイコロを後500個重ねて度肝を抜くわよ!!」

「120個しか持ってきてないよ……」

 

 不破になるだろう記録を尚も更新し続ける4名を、少し離れた位置から遠い目で見ていた恭也がポツリと呟く。

 

「……不随意筋が在るか疑わしいな」 

「物体表面のミクロ単位の凹凸を見極められる視力も必要よ。アレ」

「スカートで高所に上るのは御控願いたいですなぁ」

 

 早早に敗北を悟った恭也達は、何故か信じられないくらい美味しく感じる魔法の様な山菜鍋を食べたりしつつ、観戦と談笑を続ける。

 

「ミクロ単位で動かせる身体ってのは、戦闘者からすれば垂涎の身体だな」

「私の恋人がペドやホモに走ってしまって生きるのが辛い」

「纏めて消されかねん冗談は止めてくれ。冗談抜きで恐ろしいし、下手したら助かった後の虚脱感でも死にそうになる」

 

 機嫌を損ねて牙を剥かれた場合、一族郎党どころか地球人類鏖を実行しないと言い切れない者が居る為、核地雷を積み重ねて作動させようとしている忍に恭也は真顔で告げる。

 

 

 

▲▲▲▲▲▲

 

 少なくとも玉藻は雁夜と姪に関しての沸点はほぼ絶対零度という低さの為、迂闊な発言や行動は良くても冗談の様な気軽さで殺されるという憂き目に遭う為、皮肉やからかいも命懸けである事を恭也達は学習していた。

 無論、恭也達がソレを学習出来たのは偏に雁夜がギリギリで防御したり待ったを掛けたからであり、雁夜が介入しなければ恭也は忍の巻き添えで3回は死んでいるところであり、流石に朴念仁と連呼される恭也でも暗黒物質を腹に溜め込んでいるであろうとも乙女である玉藻の逆鱗に触れない為に乙女心を猛勉強した結果、つい先程忍が発した言葉は玉藻(乙女)的に不快だろうという推測は容易かった。

 

▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 そして恭也の考えを裏付けるかの如く玉藻が忍を軽く睨みながら尻尾を向けており、同時に雁夜が視線で止めている姿もあった。

 

「……なあ忍?お前、性格矯正するか仮面を確り被るかしないとそろそろ本当に死ぬぞ?」

「………………私も本気でそう思う……」

 

 花見を台無しにしない様、周囲の動物達に影響を齎さない様に範囲と威力を極限迄絞った為、既に殺気と言えない程に弱体化した(と玉藻と雁夜は思っている)殺気を浴びせられている忍は、気を抜くと自分の死を幻視して死んでしまいそうな殺気へと懸命に耐えつつ、十数秒前の自分が仕出かした所業を悔やんでいた。

 幸い玉藻は直ぐに忍への関心を失い、雁夜達(と言うかほぼ雁夜)との競い合いに再び専心しだした。

 

「突発技!回転500円玉10枚連続投擲垂直重ね!」

「こっちは殻剥き鶉の茹で卵の投擲10段重ね!」

「ならこっちはサイコロを順に上へ放って、空中で100個連続で玉突きさせるわよ!」

「30個目辺りで一番下のサイコロが壊れちゃうよ……」

 

 最早不可能とニアリーイコールで結べそうな宴会芸を目の当たりにし、遠い目をしながら恭也達は呟いた。

 

「コレ……機械でも再現出来るのか?」

「…………計算式上は出来るけど、抵抗や対流や劣化とか他諸諸の誤差が原因でほぼ確実に失敗するわね」

「…………お嬢様が仰られるには、[何と無くで解る領域が広がったのよ]、との事です」

 

 万国びっくりショーの頂点に余裕で輝けそうな人類の限界芸を、終る時迄酷く遠い目をしながら恭也達は眺めていた。

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 

「よぉぉぉっっっしゃぁぁぁっっっー!!! 俺が無茶振り王だーーーーーーーーーっっっ!!!」

 

 色の付いた鉄串を高高と掲げた後、雁夜は喜色満面でガッツポーズをした。

 

「52回目にして漸くって……」

「到達率は0.04%未満なのに……」

「ご主人様は重要所と如何でも構わないこと以外じゃ結構残念な運だったりしますからね~」

「たしかに……」

「信じられないくらい無茶振りな命令を浴びる籤を引き捲くってたわよね……」

「一名のみが対象の場合も8割方雁夜様であられましたね……」

 

 此れから無茶な命令を最低一名には下されるというにも拘らず、雁夜以外の全員は揃って生暖かい視線を雁夜へと向ける。

 しかし雁夜はそんな視線に気分を害した様子は微塵も無く、不気味さが混じる程の鬱屈さと喜悦が混じった表情で声を上げる。

 

「玉藻に愛を5分も語らせられるわ、幼女を1分間抱擁させられるわ、野郎の下着を履き替えさせられるわ、駅のど真ん中で〔そんなの関係ねー!〕を100回させられるわ、盗難の自首で盗んだものは[貴女の心です(キリッ)]とかさせられるわ、小児のスイミングスクールに水に濡れた水着が赤外線の前で如何に無防備かを語らされるわ、ファーストフードでチキンナゲット1000個のナゲット抜きとかいう訳の分からん注文の上に正規金額を払わせられるわ、紳士服売り場で[変態という名の紳士に相応しい服を頼む]とか言わせられるわ、他諸諸etcetc…………」

 

 僅か半日足らずで海鳴で様様な奇行を働き、暫く外を歩けば視線を集めずには居られないだろう程の有名存在に成らされてしまった雁夜だったが、漸く今迄の鬱憤を晴らせると全員を清清しい程の笑顔を浮かべながら見回すと、溜まった鬱憤が察せれる程凄まじい命令を言い放った。

 

「2番が3番と組体操のサボテンしながら分速60m以下の速度でコンビニへ行き、一緒にトイレへと入り15分沈黙した後に出る!

 3番はトラブルを大声で音読しつつもトイレに入って15分は2番と共に沈黙を貫ぬく!

 4番は2番と3番をの周りを六尺褌のみの格好で泥鰌掬いを踊り続け、2番と3番がトイレに入った後も扉の前で出てくる迄踊り続ける!但し女性の場合は胸部にのみ晒を巻いて良し!

 5番は 2番と3番と4番の周りで日本銀行の紙幣や硬貨をばら撒き続け、2番と3番がトイレに入った後は店中の品物を1億円で全て売るように交渉する!但し[全て硬貨でだがなあ!]と言って外に硬貨を降らせる!

 6番は2番と3番4番と5番に対する苦情を一手に引き受けながらも撮影し続け、且つ同4名の命令遂行を成し遂げさせるべき支援も行う!但し紳士服か淑女の服に猫耳と尻尾を装着した上で語尾に〔にゃ♥〕を付けて!言って置くがハートマークが付いているのが伝わる程の愛嬌でだ!

 そして1番は他全員の遂行を全力で妨害する!

 準備が出来次第始めて構わんが、麓から始めても特別に良しとする!

 それと必要経費は此のカードを使え!

 以上!!!」

「「「「「「…………………………」」」」」」

 

 

 

 その後、恐る恐る全員が番号の記された籤を引き、

 

1番:すずか

2番:アリサ

3番:恭也

4番:忍

5番:鮫島

6番:玉藻

 

という結果に成った。

 幸い、鮫島は結構似合った役柄であったので安堵していた。

 又、玉藻も結構似合っていると全員思ったが、動物語尾は〔コン♪〕とかでなければ駄目という拘りがあったので可也嫌がっていた。

 

 そして当然そのちんどん屋も霞む奇行はあっという間に海鳴全土に広がった。

 一応バニングス家と月村家が報道機関に圧力を掛けたのでニュースにはならずに済み、撮影された物に関しては雁夜がひっそりと対処していたので一応人の記憶に残る以外は後腐れがなかった。

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 

「自業自得と言う言葉の本来の意味は、〔己のみでどの様な行いを成し遂げた様に思えても、それは御仏の加護と導きの賜物である〕、と言う意味らしい。

 逆説的に言えばどの様な苦難に遭うも御仏の導きとも言える。

 つまり今のお前らの状況は御仏の導きによるものとも言える。

 要するに俺は悪くない」

「ご主人様~。私、大雑把に言えば釈迦如来と同等以上の大日如来なんですけど?」

「黙れ毎日エロい。

 禁欲と言う字を自分の辞書に刻み込んでから主張しろ」

 

 玉藻の主張を即座に一刀両断する雁夜。

 

「釈迦に説法じゃないですけど、大日に説法と一刀両断する光景を見られるとは夢にも思わなかったよ」

「馬の耳に念仏ならぬ、狐の耳に念仏だけどな」

 

 すずかの感心とも呆れとも取れる発言にツッコミを返す雁夜。

 

「まあ、俺は悪く無い云云は冗談だが、悪い事したと思うよりも晴れやかな気持ちなのも事実だけどな」

「……精神的被害が甚大なお嬢様達は御聞こえになられてないようですな」

 

 精神的被害が比較的少ない鮫島達は兎も角、アリサと恭也と忍の精神的被害は可也のもので、戻ってきてから今に至る迄膝を抱えたり突っ伏したりして黙り込んでいた。

 当然雁夜の言葉に対して反応出来る精神状態ではない為、今尚暗い雰囲気を放ちながら落ち込んでいた。

 

「如何考えても自分達がした命令よりは俺の方が軽い、若しくは同じ類の命令ばかりだから、慰めなんてしないぞ。面倒だし」

「比較的まともな恭也さんの命令でも、翠屋で男性なら店長(桃子さん)、女性ならマスター(士郎さん)に、[あなたの()で握られたお握りを食べたいのでどうか握って下さい]、って駄駄を捏ねるとかでしたしね」

「ツンデレは寝具店でベッドに10回脱衣込みのルパンダイブを[不~二子ちゃ~ん♥]って掛け声を上げながらするとかで、マッド吸血種は、[僕と契約して魔法少女のコスプレをしてよ!]、って道行く少年少女10人に声を掛けるとかでしたしね~」

「………………」

 

 すずかと玉藻の発言で鮫島はアリサ達の無茶振りを思い出し、因果応報だと判断すると直ぐ様雁夜への追求を止め、アリサが立ち直る迄黙して傍にて控えることにした。

 対して玉藻とすずかは未だ落ち込んだ儘でいるアリサ達を暫く放置することにしつつ、先程から雁夜が一人でしている夜桜月見の準備を手伝うことにした。

 と、その最中、見知ったと言うよりは懐かしい物を見つけた玉藻は、上機嫌に雁夜へと問い掛ける。

 

「ご主人様ご主人様。コレってアの時のお酒ですか?」

 

 嘗て殺生石に振り掛けてもらった清め酒の元となった、同企業同銘柄の安酒の入った瓶を抱えて尋ねる玉藻。

 

「ああ。

 ま、場所や季節どころか世界すら違うけど、外で夜景を愉しむなら験担ぎみたいな感じで用意した」

「め……珍しくご主人様がロマンチックな演出をしています!?

 これはもう此の儘夜の四――――――」

「極限迄清めてやろうか?」

「――――――十万……に寄り添い合って互いに酌をし合うロマンスに突入です!」

 

 玉藻が淫靡ではなくロマンス方面の発言に転換した為、雁夜は文句ではなく苦笑交じりの独り言とも取れる言葉を返す。

 

「ソレくらいの押しの強さなら大抵の無茶にも応えるんだが、やっぱり思い通りにいかないくらいが楽しくて丁度良いのかもな」

 

 愚痴とも惚気とも取れる雁夜の言葉を聞き、玉藻は満面の笑みを浮かべながら言葉を返す。

 

「はい♪私も滅多にデレてくれないですけど、強請ると偶にデレてくれるご主人様との遣り取りがとっても楽しいです♥」

 

 準備の手は止めていないものの、着実に甘い世雰囲気を漂わせ始める雁夜と玉藻。

 そしてそんな両者を、両者と同じく準備の手を休めることなく微笑ましく見ているすずか。

 

 此の儘甘い会話が続き、〔あなたしか見えない〕な異界が創造されるかと思われた時――――――

 

「なぁすずかちゃん。多分すずかちゃん達の関係者達が此処に向かってるっぽいんだが、何か聞いてるかい?」

 

――――――忍に似た感じの存在が恐らく車に乗用して丘を登り始めたのを感じ取り、鬱状態の忍の代わりにすずかへ雁夜は尋ねた。

 するとすずかは心当たりが無いのか、怪訝な顔で答えを返す。

 

「易え、少なくても私は聞いてないですし、私達の関係者が世界の火薬庫(――――――此処――――――)に来るなら姉さんや鮫島さんが即座に雁夜さん達に連絡を入れる筈ですから、多分全く事情も知らない下の人達か暴走した人達だと思います」

「なんか敵意を漂わせてるから暴走した奴等みたいだけど…………折角の楽しい雰囲気が台無しだな。

 ……ったく、空気読めってんだ」

「全くです!

 折角ご主人様と良い雰囲気の儘いちゃいちゃ出来そうだったっていうのに、万死に値しますね!

 と言うか寧ろ万死じゃ足りませんから、ラウグヌト何とかみたいに自傷と再生を延延と続けるだけの肉塊にしますね」

 

 そう言うと玉藻は早速規格外の呪術行使を試みる。が――――――

 

「宴席の近くで絶叫する肉塊が在ったら楽しめんから、取り敢えずその案は却下だ却下」

 

――――――渋面と言うよりは疲れとも呆れとも取れる表情の雁夜が制止の声を掛けた。

 すると玉藻は一先ず呪術の行使を中断したものの、露骨に不服な表情で雁夜へ反論する。

 

「でも暴走する様なのを生かして帰せば確実に付け上がりますから、後で凄く煩わしい展開になりますよ?」

「易や、別に下手に出て舐められた挙句に無事に返せとか言う気は無い。

 徒、折角楽しい宴席の雰囲気を壊さない対応にしようと言うだけの話だ」

 

 殺人を忌避したり否定しているわけでなく、単純に宴席の雰囲気を重視しているのが言葉だけでなく何気無い口調から理解したすずかは、一見まともに思える雁夜も人間社会から可也逸脱していると改めて実感し、間も無く此処に現れるだろう者は経緯こそ不明だが人生の末路を辿るのは確定だろうと悟った。

 尤も、すずかは自分達の一族で暴走するだろう者達はほぼ間違いなく碌でもない存在だと予想している為、心配事は自分達が巻き添えというか責任の一端を取らされかねない事だけで、暴走した者に対する心配は皆無であり、それを証明するかの様に――――――

 

「わ、私達の一族みたいですから、不始末を付ける為にも私達で如何にかしましょうか?」

 

――――――と、保身に走った言葉をすずかは雁夜と玉藻に向けて掛けた。

 

「別に一族郎党鏖とか考えて無いし、実際に俺達を目の当たりもしてないのにいきなり一族全体が個の下に付くことで暴走するのが出るのも仕方がないことくらい解ってるって。

 目の当たりにしてないのに納得させる……て言うか掌握するには最短でも10年は必要だろうから、半年も経ってないなら暴走した奴が出たって納得ものだし、暴走した奴等以外に文句を言う気は無いから、別に動かなくてもいいよ。

 ぞろぞろ動くと雰囲気壊れるし」

「私としては暴走した奴等全員の5親等迄の奴等に満遍なくラウグヌト何とかを掛けたいですけど、ご主人様が宴の雰囲気を大事にされてますから何とか溜飲を下げることにしますから、後で絶対さっきの仕切り直しをしましょうね、ご主人様♥」

 

 雁夜はすずかへ心配のし過ぎだと制止したが、玉藻はすずかではなく雁夜に向かって話し掛けた為、雁夜がすずかに返した会話と言うボールを玉藻に獲られて雁夜へ返された為、すずかは玉藻と雁夜の会話の中に割り込んで迄返事をするのは拙いと判断したので、了承の意を頭を下げて伝えるだけに留めた。

 すると雁夜は目ですずかに返事を受け取ったことを伝えると、玉藻が会話の流れを断ち切ったことに何か言おうか逡巡した。が、嫌っているのでも無関心なのでもなく、壁を作って距離を取りたがっているのだろう玉藻の心境を酌み、特に言及しないことにした。

 

 会話が途切れ、ソレが5秒程続くと雁夜は新しい話題を振ろうとした。

 だが、数百メートル先に暴走した者を乗せた車が現れた。

 

 暴走した者を乗せた車が現れること自体は雁夜達にとって知覚出来ていたので予想外ではなかった。

 そして駐車場は一般に開放されていない場所だけ在って然して広くなかったが、それでも道路から減速無しで駐車場に進入しても余裕を持って減速しながら駐車可能な程度の広さを有していた。が、その車は減速無しで駐車場を突っ切ると、草木の茂る舗装されていない場所へ侵入し、真っ直ぐに雁夜達の居る場所へと突き進み続けた。

 当然土が捲れたりして荒れるかと思われたが、――――――

 

「ナイス玉藻!」

「報酬はさっきのやり直しの時に酌の酌み交わしでお願いしますね♪」

 

――――――車が草土に触れる前の段階で玉藻が景観破壊防止の為に神霊魔術を展開しており、車が通った後は元から荒れていた場所は兎も角、他の場所は車が原因で土が捲れているどころか草一つ潰されていなかった。

 そして、流石に事此処に至れば軽度から中度の鬱状態になっていたアリサ達も事態に気付き、即座に雁夜達の場所へと移動した。

 

「ご主人様ご主人様。確認なんですけど、宴席の雰囲気壊さない様にするんであって、下手に出たり慈悲を恵んでやる必要は完全皆無なんですよね?」

「既に結構壊れてるけど、此の儘再突入出来る雰囲気さえ維持出来れば後は如何でも構わないと思ってるぞ」

「なら衰弱死する迄詰まらない漫才をし続ける呪いでも掛けましょうか?」

「いや、ソコは面白い漫才をし続ける呪いにしろよ」

 

 衰弱死するということに関しては全く気にしていない雁夜の発言を聞き、すずかに続きアリサ達も叉暴走した者等は此処で何かしらの末路を辿ることになると確信した。

 だが、そんなアリサ達を無視して雁夜と玉藻は車を降りて自身達の所に向かって来ている者等の末路について朗らかに話し続ける。

 

「創造性が無いのに面白い漫才をさせようとしたら負荷が掛かり過ぎて直ぐに廃人化するんで、詰まらないと思っていることをさせるのが楽チンなんですよ~」

「なら罰ゲーム感覚でイタイと思ってることをさせ続けたら笑えるんじゃないか?」

「あ、そのアイデア頂きです♪

 DBでも読ませて往来のど真ん中で亀仙流奥義の名を叫ぶ様に思考誘導とかさせましょう。

 若しくはDQの漫画を読ませた後にプロパンガスボンベを抱かせてから銃で撃ち抜いてメガンテとかの方が笑えますかね?」

「汚い花火はヒクから止めろ」

 

 

 

 其の後、月村の党首及びその配偶者筆頭候補の痴態が原因で暴走したという、実に納得のいく理由を持った者達が怒りも露に捲し立て、忍達は碌に反論することが出来なかった。

 だが、忍だけでなく幼女(すずか)に対しても性的虐待を行おうしたり、玉藻の耳や尻尾を見て畜生として飼う等という発言を行い、見事に雁夜と玉藻の地雷を踏み抜いてしまった。

 当然暴走した者達は全員纏めて先程雁夜と玉藻が話していた愉快な末路を辿ることとなり、忍達に笑いの涙だけでなく哀しみの涙も提供する羽目になった。。

 

 尚、適応力が高いのか切り替えが早いのかは不明だが、雁夜と玉藻以外の全員もその後確りと宴席を楽しんだのだった。

 

 

 

Side out:何処かの桜咲き誇る高台

 

 

 







【台詞も無く退場することになった氷村遊&月村安二郎の認識】

・恭也 :下等種
・忍  :下等種に媚びる恥曝しな牝
・鮫島 :下等種
・アリサ:忌まわしい退魔師
・すずか:自分が飼っても構わない程度に成長した牝(←ペド?)
・雁夜 :下等種
・玉藻 :畜生

 ……某戸愚呂(弟)の、相手の強さが分かるのも強さの内という言葉が在りますが、要するに雁夜達や玉藻の強さが分かる強さに至っていなかった時点で色色終わっていた奴です。
 〔井の中の蛙4次元知らず しかも運の悪さも知らず〕、な奴でした。
 因みに作者的にフル装備状態の恭也や鮫島の勝率は、30% & 95%としていますので、べらぼうに強いと思っています(鮫島は最先端兵器版ランボー状態ですので勝てる方がおかしいです)。



【今更な雁夜の設定】


名  前:間桐 雁夜 (偽名はケアリー・マキリ)

年  齢:満10歳 (ZERO編12話で新生してから数え直し)

家  族:玉藻・桜

種  族:間桐 雁夜 (単一種であり、嘗て人だった時の人への同族意識が着実に薄れていっている)

所  属:強いて言えばガイア (と言うか玉藻)

特  技:ツッコミ・物創り(神霊魔法?)自爆(神霊暴発魔術?)

天  敵:桜・玉藻・ゼルレッチ・遠野 琥珀

弱  点:身内

戦  力:ORT等の型月界最上位の面面を除けば此のSSのギルガメッシュと並んでトップ (時空管理局からは傷を負わない)

財  力:手作りのやば過ぎる酒等を細細と売り、それを元に玉藻が再び暇潰しも兼ねて株や物件を転売し、僅か4ヶ月強で11桁程稼ぎ、現在加速度的に増殖中

現在住所:海鳴市のバニングス邸と月村邸の中間

敷  地:海鳴市のバニングス邸と月村邸の敷地面積の2倍強

住  居:和洋折衷 (最初はバニングスと月村に丸投げだったが、結局雁夜と玉藻が一から全部創り、以前と同じく神殿(と言うか神社)と化す)

対立勢力:時空管理局 (強引に法で縛り搾取しようとする組織全般)

傘下勢力:バニングス及び月村 (玉藻と雁夜の暇潰しで勢力が国連に匹敵する規模へと急速拡大中(半経済戦争状態))

目  的:のんびりと穏やかに暮らす (初期に墓穴を掘った為、到達点が凄まじく遠くなる)

現在抱負:墓穴を掘らない

座右の銘:平穏万歳・平凡上等・平和最高・日常至高・エンドレスサマーどんと来い、等等etcetc、

脳内思考:玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻玉藻ギルガメッシュ大河さんギルガメッシュ爺さんギルガメッシュバルメロイギルガメッシュ志貴君ギルガメッシュアルクェイドギルガメッシュ琥珀嬢ギルガメッシュ幹也君ギルガメッシュイリヤちゃんギルガメッシュアリサ嬢ギルガメッシュすずか嬢ギルガメッシュ大河さん爺さんバルトメロイ志貴君アルクェイド琥珀嬢幹也君イリヤちゃんアリサ嬢すずか嬢凜ちゃん葵さん大河さん爺さんバルトメロイ志貴君アルクェイド琥珀嬢幹也君イリヤちゃんアリサ嬢すずか嬢凜ちゃん葵さん大河さん爺さんバルトメロイ志貴君アルクェイド琥珀嬢幹也君イリヤちゃんアリサ嬢すずか嬢凜ちゃん葵さん大河さん爺さんバルトメロイ志貴君アルクェイド琥珀嬢幹也君イリヤちゃんアリサ嬢すずか嬢凜ちゃん葵さん大河さん爺さんバルトメロイ志貴君アルクェイド琥珀嬢幹也君イリヤちゃんアリサ嬢すずか嬢凜ちゃん葵さん時臣桜ちゃんの友達桜ちゃんの想い人その時の気分(40.2+40+10+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1.2+1+1+0.2+0.2+0.2+0.2=100)



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