黄泉路への案内人   作:楽一

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第一四話

第一四話

 

 隊舎に戻るとシグナムから話があるといわれ、休憩所に来るとヴィータ、なのは、フェイトとシグナム、シャーリー、アリシアがいた。

 

ヴィ「訓練中から時々気になってたんだけどよ、ティアナのこと」

 

な「・・・・うん」

 

 なのはは浮かない顔で頷く。

 

ヴィ「強くなりたいなんて、若い魔導師はみんなそうだし無茶は多少する。けど、ティアナのはちょっと度が越えてる。あいつ、此処に来る前に何かあったのか?」

 

葵「・・・・兄を侮辱されたんだよ」

 

全員「え!?」

 

葵「ティーダ・ランスター。元首都航空隊一等空尉。ある事件のミスから解雇処分となり、その後そいつの才能を買い現在は私の部隊で一等空尉を務めている」

 

 そういってティーダの経歴を出す。

 

アリ「でも、それだけだと理由にならないと思うけど?」

 

葵「その事件でな、ティーダの部隊と私の部隊が合同で捜査を行っていた。その時犯人を追い詰めたんだがたまたま通りかかった子供を人質に捕らえ瀕死の重傷を負った。それを知ったうえで上司はそいつを侮辱したんだよ。市民の命を守る者とそれをののしる上司。正義の組織を掲げている以上はどちらを取るかは知っているくせに」

 

 まぁ正義なんて無いに等しいんだがな。正義なんて人が掲げるも物じゃない。人には重すぎてどこかで必ず矛盾が生じる。

 

葵「ティアナもそうだがクロスミラージュの方はどうだ?」

 

アリ「うん。ちょっと負担が大きいかな。修理やメンテナンスもしてるけど」

 

 話を終えると私は自分の部屋に戻ろうとした。すると、後ろから、

 

ス「葵さん!」

 

葵「スバルか。どうした?」

 

ス「あ、あの、助けてくれてありがとうございます。そのいろいろあって言うの遅れましたけど」

 

 そう言って頭を下げた。

 

葵「別にいい。それにスバル。パートナーというのは協力するだけじゃない。時には互いの欠点を指摘しあい克服させるのもパートナーだ。それを忘れるな」

 

ス「で、でも、あれは・・・」

 

葵「コンビネーションか? 違うだろ。下手をすればあれは死ぬぞ。戦闘機人であるお前でもな」

 

ス「!? し、知っていたんですか!?」

 

葵「まぁな。ギンガもそうだろ。まぁ火災事故の時に感じたんだがな。まぁ確信をもったのはクイントから聞いた時だな」

 

ス「お、お母さんを知っているんですか!?」

 

葵「・・・あ」

 

 その言葉にスバルがかなり食いつき、

 

ス「葵さん! お母さんは生きているんですか!?」

 

葵「・・・はぁ、私の部屋に来い」

 

 私の部屋に来ると、まだコロナとリオ、他のメンバーも戻ってきていないようだ。

 

 

SIDEスバル

 

 

 葵さんの部屋に入ると、葵さんが結界を張り、

 

葵「さて、どこから話したもんか」

 

 結界を張るほど重要事項なんだ。

 

ス「お母さんは! お母さんは生きているんですよね!!?」

 

葵「あぁ。ある事故、いや事件で公式上では死んでいるが実際は生きている。現在私の部隊にいる」

 

ス「でもなんで・・・」

 

葵「ゼスト隊。知っているな」

 

ス「はい。お母さんと、メガーヌさん、ゼストさんの部隊ですよね」

 

葵「そうだ。あの時私も同行していたんだが、まぁ管理局の闇に触れたから抹殺されそうになった。私の部隊は急遽決定し参加。その後闇を知っているゼスト達を書類上は死亡扱いにした。生かすためにな」

 

ス「そ、そうなんですか」

 

 葵さんはそう言って一安心する。でも、葵さんは気味悪がっているだろうな。

 

葵「どうした?」

 

ス「いえ、葵さんは気持ち悪くないんですか? あたしは人じゃないんですよ」

 

 声がかすれていた。でも、やっぱり知りたいと思ってしまう。

 

葵「はぁ、何でこうも私の周りはバカなんだ」

 

 葵さんは半ばあきれた感じでそうつぶやく。

 

葵「あのなスバル。私はいつお前を戦闘機人だからといって差別した」

 

ス「・・・ないです」

 

葵「お前が戦闘機人であろうと何であろうと関係ない。お前はスバル・ナカジマという存在なんだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

ス「・・・あお・・い・・さん」

 

葵「お前はただの人形か? 違うよな。お前はお前自身の意思を持ち、自らの思いで行動しているんだ。なら、生きていいんだよ。幸せをつかんでいいんだ。未来を見ていいんだ」

 

 そういって葵さんはあたしの頭をなでると、

 

ス「葵さん!!」

 

 あたしが葵さんに急に抱きついても葵さんはちゃんと抱きとめてくれた。

 

ス「うっ・・・ひっぐ・・うわぁあああああああああ」

 

葵「泣きたい時には思いっきり泣け。こんな胸でよければいつでも貸してやるから」

 

 葵さんはあたしが息を詰まらせないように背中を泣きやむまでさすってくれた。

 

 

 

ス「す、すみません///」

 

葵「気にするな。話がずれたな。お前達がクイントに会えるようなんとかしてみよう」

 え?

 

ス「ほ、本当ですか!!」

 

葵「あぁ。後もう一つ。これはティアナにも言えるが力を振るうのであれば何のためにその力を振るうのかちゃんと決めろ。理由なき力はただの暴力だ」

 

ス「はい! ありがとうございます!」

 

 そういってあたしは葵さんの部屋から出る。

 

 そしてしばらく一人で歩いて考えてみた。

 

ス(葵さんは最初っから知ってたみたい。でも、それを知っても態度を変えず、ずっと優しく接してくれた。時には厳しいけど・・・。でも、それもあたし達を思っての行動。・・・やっぱり優しいな葵さん)

 

 

―ドクンッ

 

 

ス(!? あ、葵さんのこと考えると、なんかドキドキする/// ・・・何なんだろ?)

 

 

SIDE out

 

 

 外の空気を浴びるために少し外に出ると、

 

葵「ヴァイス?」

 

 茂みから出てきたのはヴァイスだった。

 

ヴァ「旦那?」

 

 ヴァイスが出てきた方を見ると、白い光が見えた。

 

葵「・・・ティアナか。説得は?」

 

ヴァ「あぁ~、全く話聞いちゃいない。多分ですが、俺の話も耳に入っちゃいないですゼあれ」

 

葵「そうか。・・・私から言ってみるか」

 

ヴァ「頼みます」

 

 そういってヴァイスと別れ茂みの中に入っていくとティアナをすぐに見つけた。

 

葵「今日は休めと命令が言ったはずだが」

 

ティア「・・・葵さん」

 

 ティアはちらっとこちらを見たがすぐに練習を再開した。

 

葵「・・・ミスショットのことをまだ引っ張っているのか」

 

ティア「!?」

 

 すると、練習の手を止め、

 

ティア「あ・・た・・る・・・ていう・・・か」

 

葵「分かるわけないだろ」

 

 

SIDEティア

 

 

葵「・・・ミスショットのことをまだ引っ張っているのか」

 

 その言葉に練習の手を止め、

 

ティア「あなたに何がわかるっていうんですか」

 

 すると、葵さんはそのまま言い返してきた。ありのままの言葉で。

 

葵「分かるわけないだろ」

 

 そう言い放った。

 

葵「逆にお前は私の気持ちがわかるのか」

 

ティア「・・・・」

 

葵「お前が兄を侮辱されて悔しい。そこまではわかる。だがそれ以上のことなど知るか。私から見たら何を焦る必要があるのかがわからん」

 

ティ「才能だらけのあなたに何がわかるっていうんですか!?」

 

葵「才能ね。ならそんなに欲しいのか? 人を殺すしか意味を見いだせない力を」

 

ティア「!?」

 

 そうだった。葵さんは平行世界でその力を戦争、人殺しのために使っていた。

 

葵「護るためではない。殺し、破壊し、潰し、それしか能のない力を欲するというのか、お前は」

 

ティア「そ、それは・・・」

 

葵「守護力などと私は綺麗事を言っているが所詮力は破壊するだけだ。護る者もあれば傷つける者、殺す者もいる。力の明確な意味と力を欲する理由がなければ力を持つ資格はない。お前は力をつけ強くなる前にその辺をしっかりと学ぶ必要性がある。じゃないと今度は本当にスバルやエリオ、キャロを殺すぞ」

 

 言葉を隠さずそのまま直球でつきつける。

 

ティア「で、でも・・・それだと・・・」

 

葵「ティーダの夢をかなえるか? それこそあいつは生きているんだ。執務官になれる時間など大量にある。今日はもう休め」

 

 そういって葵さんはその場を去った。

 

ティア「・・・強くなる・・理由・・・何だったんだろ。私は何のために強くなろうと思ったんだろ・・・」

 

 私のつぶやきは誰にも届かず、答えが返ってくること無い自問自答を誰かに聞いていた。

 

 

SIDEout

 

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