黄泉路への案内人   作:楽一

262 / 264
第五九話

第五九話

 

 

SIDE教師陣

 

 

 そこにはいくつものモニターがあり一人一人が現在もなお覇王の位置情報や、先程の戦闘を見ていた。

 

真「依然として覇王は同じ場所にとどまっていますね」

 

千「あぁ。おそらく以前学園に襲撃をかけてきた化け物と異端児と呼ばれたものと同類だろ」

 

 千冬は真耶が見ているモニターを見つつ、隣にあった葵が依然眠っているモニターもちらちらと気にしながら見ていた。

 

真「あの・・・・気になるなら行かれたら?」

 

千「それを許される状況ではないだろ。本部からの作戦中止の命令も来ていない。つまりこちらでたたけということだろ」

 

ナ「何を考えているのかしら彼らは」

 

 この時点で少しは援軍をよこすべきだろ。事実アメリカ、ロシアはすでに動きを見せつつあった。臨海学校の近くの海域付近に軍を展開しつつあった。ロシアはロシアで大使館を通じて援軍を出すための海域への侵入の許可を日本政府へ打診していた。

 

千「・・・・・・もはや限界だ!」

 

 千冬が作戦ルームの出口に出ようとしたときナターシャが前に出た。

 

ナ「待ちなさい千冬」

 

千「邪魔をするのか」

 

真「邪魔も何も織斑先生がここからいなくなったら誰が指揮を行うんですか!?」

 

千「山田君。君に任せる」

 

真「そ、そんな!? ファイルス先生も何か言って「邪魔はしないわ。千冬」ファイルス先生!?」

 

千「ならそこをどけ」

 

ナ「待ちなさい。一人で行っても勝てないわ。人は多い方がいいわよ」

 

 そういってナターシャは葵が眠っている部屋を見た。

 

ナ「私も行くわ」

 

千「いいのか?」

 

ナ「えぇ」

 

 そういって部屋を出ていこうとしたとき、

 

???「戦力は多い方がいいと思うが?」

 

 

SIDEOut

 

 

SIDE一夏

 

 

 今目の前にいるのは布団に横になって静かに寝息をつくお兄ちゃん。

 

 幸い無事だということだけど、今は本当に死んだように眠っている。ただ死んでないと確認できるのはその寝息をついているということだけ。いつ目を覚ますかまではお医者さんでもわからないとのこと。

 

箒「すまん。私があんな愚かなことをしなければ、あんな愚かなことを言わなければ」

 

 箒ちゃんは悔しそうに唇をかみ、拳を爪が皮膚を突きさし血がにじみ出そうなほど拳を強く握っていた。ほほからはしずくが落ちていた。

 

鈴「あ~あ、あんたら分かりやすすぎ」

 

 ふすまを開け入ってきたの鈴ちゃんだった。

 

鈴「あんたたち二人に話があるんだけどちょっといい?」

 

 そういい私たち二人は鈴ちゃんの背中を追いかけるように部屋を後にした。

 

一(ごめんねお兄ちゃん)

 

 そして連れられてきたのは初日みんなで遊んだあの海岸だった。

 

鈴「もうややこしいこと抜きで聞くわよ。葵があぁなったのってあんたたちのせい?」

 

 その言葉はあまりにも直球だった。

 

 その言葉の意味に唇をかんだ。

 

鈴「で、後悔してます、悔しいです、落ち込んでますってわけ?」

 

箒「・・・・・」

 

 沈黙だけが流れた。でも、

 

鈴「っざけんじゃないわよ!!! 何なのそれ!!? 落ち込んでる暇があれば戦いなさいよ!!?」

 

一「私・・・・もうISは・・・・」

 

鈴「!!」

 

 その瞬間ほほに痛みが走った。何が起こったのかわからなかった。

 

鈴「専用機持ちってのはそんなわがままが許されるわけじゃないの。そんな安易な気持ちであんたは白式をもらったわけ!?」

 

 私をにらんだ後、鈴ちゃんはその視線を箒ちゃんに移し、

 

鈴「あんたもあんたよ! 甘ったれてるんじゃないわよ!? あんたらは戦うときに闘えない臆病なもの!? 葵がそんな風に育てたわけ!? 葵が教えてくれたこと何も学ばなかったわけ!?」

 

一「!? お兄ちゃんのためだったら戦いたいよ・・・・私だって悔しい」

 

箒「私だって戦えるのだったら戦う! もう一度あいつを!!」

 

 その瞬間鈴ちゃんの唇が三日月のような形をとった。

 

 そして、

 

セ「やっと終わりましたの?」

 

鈴「ちょっとね喝を入れてやったわよ」

 

一・箒「「え?」」

 

 そちらを見るとセシリアちゃん、ラウラちゃん、シャルちゃんがいた。

 

シャル「負けたままじゃ終われないからね」

 

ラ「クラリッサからもらった衛星情報だとここから30キロのところに覇王がいるらしい」

 

鈴「さっすがドイツ」

 

一「ちょっ、待ってよ!? 確か戦闘は」

 

鈴「戦うんでしょ? 命令違反が怖いわけ?」

 

箒「そういうわけでは」

 

シャル「葵が負けたから自分たちが束になっても負けるかもしれないのが怖い?」

 

セ「そんなのやってみないとわかりませんわ」

 

ラ「あぁ。それに私は一度葵にも勝っている。ならそいつにも勝てる勝算はある!」

 

 そして言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――私も戦う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「決意はいいがお前らだけで勝てるのか?」

 

全員「!?」

 

 その言葉に私たちは振り向いた。

 

 そこに立っていたのはお姉ちゃんにファイルス先生、そしてお兄ちゃんの部下のマドカさんと咲夜さん、それにチンクさんとノーヴェさんだった。でも、

 

一「行くなっていうの?」

 

千「・・・・・」

 

一「私は行くよ。それでも。お兄ちゃんの敵を取るんだ! お姉ちゃんが邪魔を「誰が邪魔をするといった?」え?」

 

 その言葉に私はもちろん、みんなも戸惑っていた。

 

ラ「織斑教官、止めないんですか?」

 

千「止めてほしいのか?」

 

セ「い、いえ、できれば見逃してほしいんですが・・・・」

 

ナ「命令違反と知りつつも?」

 

鈴「もちろん」

 

マ「なら指揮下に入れ。私たちも今から向かうところだ」

 

箒「え?」

 

咲「それなら違反にはならないでしょ? それに戦力は多い方がいい」

 

 その言葉に私たちはうなずいた。最強の称号を持つ姉に、アメリカのテストパイロットに選ばれるほどの腕前を持つ人、ケルベロスの人、これなら勝てる!

 

 

 

 

 待っててねお兄ちゃん!

 

 

 

SIDEOut

 

 

 

 何かが聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 ここはどこだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 今私は何をしてる?

 

 

 

 

 

 

 

 目をゆっくり開けるとまるで水の中にいるような感覚に陥りそうだった。

 

 

 

 

 水面に反射する日差し、そして浮遊している感覚。水に包まれている感覚。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――あなたは何を望みますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくり声のした方を見ると水の中にいたはずなのに水面に出ていた。だが立っているという感覚がない。

 

 

 そして目の前にいるのは麦わら帽子をかぶり白いワンピースを着た少女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはどこだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――あなたは私にとっても私たちにとってもお父さん。私たちにとっての・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうだな。たしかにお前らにとって父なのかもしれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――だったらお願い。

 

 

 

 

 

SIDE千冬

 

 

 視界にとらえた覇王。その黒色はもはや邪悪といっても過言ではなかった。

 

覇「? どういうつもりだ。人間どものみで勝とうというのか?」

 

マ「だと言ったら」

 

覇「無謀だ。無意味だ。無価値だ。無駄だ。そしてその先にあるのは無」

 

咲「私たちの行動そのものに意味がないと?」

 

覇「然り」

 

 覇王は腕を組み首を縦に振る。だが、ただそうしているだけなのにどうしてだろう。隙が見えない。

 

覇「我を倒そうものなら大英雄(殺人鬼)でも連れてまいれ!!!!」

 

 奴の叫びと同時に砲身がこちらに向き、一斉に放たれる。

 

千「散開し各個迎撃しろ!」

 

 千冬の叫びと同時に各個の攻撃が始まる。

 

ラ「くたばれ!」

 

 ラウラのレールガンの発射と同時にそれは行われた。

 

覇「小癪な!?」

 

 目の前を爆炎によってさえぎられた覇王は弾幕を使い煙を払うと同時に攻撃を行い始めた。

 

ナ「そこ!」

 

セ「外しませんわ!」

 

 ナターシャの爆発をするエネルギー弾、セシリアのライフルが正確に相手を狙い撃つ。

 

シャル「隙は・・・・」

 

簪「つくらせない!」

 

 シャルのマシンガンで相手の攻撃へのタイミングをそらし、追い打ちをかけるように簪がミサイルで視界をふさぐ上に打撃を与える。

 

覇「ちっ、ちょこまかと!!」

 

 爆炎を払うのではなく回避する要領で突き抜け接近戦を持ちかけようとする。

 

楯「あら? お姉さんを忘れられると困るわよ!!」

 

咲「この槍の痛み。誰の痛みか味わえ!!」

 

 進行方向を遮られるだけでなく、咲夜のガンランスから放たれる砲撃により傷を増やす覇王。

 

チ「ダメージを少しでも減らす!」

 

ノーヴェ「この拳は痛いぜ! 兄貴直伝だからな!!!」

 

 チンクの投げたナイフに援護され、爆発した煙を突き進むノーヴェ。視界からの情報をほとんど奪われた覇王は縦横無尽に弾丸を撃ち尽くすしかなかった。

 

ノーヴェ「あめぇんだよ!!!」

 

 ノーヴェの拳が触れた瞬間、そこから爆発を起こす覇王。

 

 そして、その衝撃によって後ろに飛ばされる。

 

マ「合わせられるか?」

 

千「誰だと思ってる」

 

 私をおさなくしたような顔を持ったマドカ。彼女がどういう存在か兄さんは知ってるのか。だが、知っていても、知っていなくても兄さんなら、

 

葵「なぜ助けてはいけない? 生きているんだ、それが理由だ」

 

 それで終わらせられそうだが。

 

マ「援護は任せろ」

 

 彼女がそう言うと彼女のIS、蒼天の翼の翼部分が離れビット兵器として機能し始めた。

 

千「(あれはそういう機能だったのか)切り開く!」

 

 腰からビームサーベルを取り出し一気に斬りかかる。

 

覇「沈め!」

 

 砲身がこちらに向くが、

 

マ「させない!」

 

 彼女の肩にはバズーカーが装備され放たれた。

 

 だが、着弾し爆発するのかと思ったが、弾は覇王の目の前で爆発し、そこからは散弾してダメージを与えて至った。

 

千「ハぁああああああ!!!」

 

 剣は奴の両腕をもぎ取ることに成功した。これが人だったらここまではしないが、今のあれは人ではない。

 

千「行け!!!」

 

 私のその言葉に呼応するように現れたのが、

 

箒「これが!!!」

 

一「お兄ちゃんの仇!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人の刀が相手を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 覇王は最後まで二人をにらみ続けていた。

 

 最後までその眼は濁っていた。その眼はどこまでも憎しみに満ちていた。その眼はどこまでも怒りに満ちていた。

 

覇「き、・・・さ・・・・まら・・・!?」

 

 覇王はその言葉を最後に海に墜ちていった。

 

一「や、やったの・・・・・」

 

 誰もが終結したと思った。

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覇「なめるなよ!!!!!? 人間風情がぁああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDEOut

 

 

 

 !?

 

 

 

―――聞こえた?

 

 

 ・・・・・あぁ、行かないとな。

 

 

―――なら力を、お父さんに力をあげる。

 

 

 力を?

 

 

―――お父さんなら大丈夫。私たちのお父さんだもの

 

 

 

 だが

 

 

―――大丈夫。今のお父さんには必要だもの。だがか「約束は守るよ」本当?

 

 

 あぁ。必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さぁ行こうか。いつまでも彼女らを心配させるわけにはいかないからな。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。