黄泉路への案内人   作:楽一

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第六話

第六話

 

葵「さて、そろそろエクスとルミルの定期健診でもしようかと思います」

 

 そういえばあの【不の者】以降あんまりメンテナンスしてなかったな。

 

はやて「? 誰やそれ?」

 

葵「簡単に言うと、私のデバイス。まぁ、戦闘におけるパートナーですね」

 

シグナム「ほぅ。つまり、あちら側のデバイスか」

 

葵「えぇ。というわけで行ってきます。一時間後には「ちょい待ち」はい?」

 

 すると、肩にはやての手がのっかる。

 

はやて「どこにいくんや?」

 

葵「え? ですからメンテナンスに」

 

はやて「葵君。葵君は魔法使いで、こっちの世界は魔法に関する知識は一切なし。つまり修理する場所

もない。つまりや! 葵君はどっかの世界にワープするつもりや!」

 

・・・当たらずともとうからず。なにこの推察力。

 

葵「・・・まぁ、ご名答と言えばご名答だな。折角だから、みんなとハイキングとでもしゃれ込むか」

 

 それからすぐに孤狐、シャマル、ヴィータ、ザフィーラが居間に下りてくる

 

 全員が来たのを確認し鍵を取り出す。

 

はやて「どこの鍵や?」

 

葵「私の心の。まぁ、見てればわかる。あと、孤狐、酒は出さないから」

 

孤「えぇ~、ケチー!」

 

葵「はぁ。とりあえず。心の鍵よ、我が心の門を開け」

 

 そういって地面に鍵を落とすと吸い込まれるように鍵が沈み波紋が広がった。それと同時に目の前に大きな扉が出てくる。

 

葵「では参ろうか」

 

 そういって全員が門をくぐると、

 

は「うわぁ~~~」

 

ヴィ「すげぇー・・・」

 

シ「これは・・・・」

 

シャ「綺麗です」

 

ザフィーラ「・・・うむ」

 

 一面桜。散ってもまた咲く。これが私の心の世界らしい。この核となる部分は増築可能な部位と違い変更が効かない。故に桜=私見たいだという方程式が成り立つというわけだ。

 

葵「ここでの一日は外では一時間だ。だから勉強、修行、調べ物の時にはうってつけなんだ」

 

は「はぁ~、便利やな。シグナム達もできるん?」

 

シ「いえ、これは私たちには無理です」

 

葵「エクス、ルミル。具現」

 

 すると、エクスとルミルが人型になる。

 

葵「自己紹介」

 

エ「マスターの神姫。白騎士のルミルです!」

 

ル「同じく、マスターの神姫。黒騎士ルミルだ」

 

シ「ユニゾンデバイス!?」

 

葵「まぁ、そんなところ。後これを君たちに渡しておこう」

 

 そういって心の世界への鍵を渡す。

 

は「これ使ったらいつでもここに来れるん?」

 

葵「あぁ。だが、一応その時は私に一声かけてくれ」

 

全員「わかった」

 

 さて、あとは一日が経過するのを待ちますか。あ、そういえば。

 

葵「孤狐」

 

孤「ん? なに?」

 

葵「パス契約の行使をしたいんだが、いいか?」

 

孤「OK。あ、でも一つだけ言っとくけど、力の行使は葵がすることになってるよ?」

 

葵「・・・・は? 普通私がサポートに回るんじゃないの?」

 

 そう。なぜパス契約が普通人には無いのか。それはパス契約を執行できるのは精霊のみだ。契約後は精霊と人が一体となり戦闘をする。その際、人が主力となり、精霊はサポートに回る。

 

 だが、私は半精つまり半分精霊の血が流れている。つまり主力かサポートどちらかと聞かれれば間違いなくサポートに回る。

 

孤「まぁ、そうなんだけどね」

 

 あれ? 口に出てたか?

 

孤「葵の考えなら分かるって。で、あんたは完璧な精霊じゃない。血で言うなら50%精霊、50%人間。これはわかるわよね」

 

葵「あぁ」

 

孤「で、あたしは100%神。どっちの血が強くどちらが優先されるかもわかる?」

 

 なるほど。つまり孤狐の血が優先され、ここがサポートに回る。半分でも人間の血が入っている私が主力となる。そういうわけか。

 

葵「あとで、力の確認もしたいので付き合ってもらえるか?」

 

狐「了解」

 

 さて、まずは神姫のメンテナンスを開始するか。

 

葵「少し時間を喰うから好きにしてもらって構わない。ただ迷うなよ」

 

 そのまま、研究室に向かおうとした。そう、そのまま行こうとしたんだ。すると、

 

シ「少し待て、神無月」

 

 肩を掴まれ、そのまま180°回転されました。すると、そこには今まで見たことのないかなり真剣な目をしたシグナムがいた。

 

葵「・・・・な、なんでしょう、シグナムさん?」

 

 昔のような口調になっている。それほど恐ろしいんだ今のシグナムは!

 

シ「ここの使用目的で【修業】と出たがどんな場所があるんだ!?」

 

葵「え、えっと、さまざまな戦場を想定しているので、火山、山岳地帯、雪原地帯、熱帯、ジャングル、海など地球のありとあらゆるものもあれば、宇宙を想定した無重力地帯、重力魔法を想定したものなど様々ありますが」

 

シグナム「そうか!」

 

 すごい目が輝いています。なんで? なぜに? 

 

葵「使いますか?」

 

シ「いいのか!?」

 

 すごく目が輝いてる。なんか、すごく怖い気がする。

 

葵「・・・・えぇ。一応使い方を説明しておきますね」

 

 そういって移動方法の仕方、敵の設定などを教えた。それが終えると、レヴァンティンだっけ? それを持って移動した。

 

葵「バトルジャンキーだったのか。シグナムは・・・・」

 

 そうつぶやきながら、おっと、そういえば研究室に向かいエクスとルミルの定期検診

を行わなきゃ。

 

 目的地に向かって私は歩み出した。

 

 

SIDEはやて

 

 

 それにしてもすごいわ~。こんなにも大量の桜の木。それもすべてが満開で散り際がとってもきれいやわ~。

 私とヴィータ、シャマル、ザフィーラは屋敷の庭の縁側から桜を見ていた。

 

孤「どうここ? 葵の世界は」

 

は「ん?どういうこと?」

 

 ここって葵君の世界ということやろか。でも、それならかなりきれいやと思うけど。

 

孤「ねぇはやてちゃん。古来の日本人は桜よりもね梅の花を好いていたらしいの」

 

はやて「ん? なんでや?」

 

孤「まぁ、歴史的に古代中国、唐からの影響というのもあるんだけどね。けどね、遣唐使の廃止や唐の滅亡によって唐文化が衰退。その後桜の人気が平安時代には急上昇したの。でも何より現代日本における桜の習慣はそれよりもその儚さだろうなってボクは思う」

 

は「散り際が一番きれい。て言うこと?」

 

孤「うん。ぱっと花を咲かせた後、散って行く桜の儚さや潔さ。それを人間にとっても当てはまると日本人は考えてるの。それは葵の心はまさにそうなのかなって。桜のようにはかなく散るって」

 

 どういうことや? 葵君は生きとる。桜のように散って無いやん。

 

孤「葵はね、一回死んでるんだよ。世界を敵に回して」

 

 孤狐さんはゆっくりと語りだした。葵君がどういう存在で、どうして生まれたのか。その後実験やら、投薬、魔法の改変などで今に至る。そこから解放されたと思ったら次にまっとったのは葵君をそこまで貶めた人間が世界に宣戦布告した。それを抑えるために葵君が立ち上がった。そしてその戦争で勝利を勝利で収めたと思ったら、世界が葵君を殺すように命令したこと。

 

は「・・・ひどい」

 

 その場にいた全員が全員暗い顔しとった。シグナムもおそらく念話で聞いとるやろう。

 

ヴィ「でも、なんであいつは逃げ出したんだ? 世界を敵に回してもあいつの力なら勝てただろう?」

 

孤「余計な人間を巻き込みたくなかった。戦争で多くの人間が体はむろん心も疲弊しきっていた。それでまた周りの人間を巻き込んで戦争を引き起こせばそれこそ世界は終焉に向かう。なら自分一人の命で世界が救われるのなら。って考えたんだよ。おそらくこの心の世界はそれが影響してるんじゃないのかな?」

 

 孤狐さんはさみしそうな顔で桜を見つめた。

 

は「葵君は何を求めてとるんやろ」

 

 支えたい。何かを求めるんやったらそれを叶えてあげたい。

孤「ん~。もう叶えてるんじゃないかな?」

 

ヴィ「なんでそんなこといえるんだよ?」

 

孤「簡単。葵と久しぶりに会ったら昔みたいに悲しい笑顔じゃなかった。本当に心から笑ってくれていた。そして、はやてちゃんとの生活、ヴィータちゃんやシャマル、シグナム、ザフィーラが加わってさらに笑う機会が増えた。それだけ幸せなんじゃないかな。もし葵の求めることを叶えたいなら今まで通りにしてあげて」

 

は「もちろんや!」

 

 だって、葵君は家族であって、私の初恋の人や! 

 

 

SIDE Out

 

 

 定期検診も終わり、みんながいる場所に戻る。エクスとルミルはそのまま人型を保っている。

 

 さて、戻ったらなぜかみんなが一瞬だが暗い顔をした。・・・つまり、

 

葵「・・・・孤狐。お前、話したな」

 

孤「え!? な、ナンノコトデショウ?」

 

 なら、なぜ目を合わさない。なぜ目をそらす。そして、はやてたちもなぜ目をそらす。

 

葵「はぁ~。そのうち話をする予定だったから別にいいがせめて本人の了承を取れ」

 

孤「ご、ごめん。だからその、フライパンの刑だけは・・・・」

 

葵「あぁ~。あれは男性専用だ。安心しろ」

 

孤「ほっ」

 

 そりゃ女性の頭にフライパンでぶん殴るのはまずいだろ。せめてげんこつか、チョップ、デコピンぐらいだろ。

 

葵「あれ? ところでシグナムはまだ戻っていないのか?」

 

 見渡すと、縁側で緑茶を飲んでほっと一息しているはやて。せんべいをバリボリ食べているヴィータ。日向で犬「我は狼だ」・・・狼姿で休んでいるザフィーラ。シャマルは・・・

 

葵「あれ? シャマルもいない」

 

孤「ん? シャマルなら台所に行って何か作ろうとしてたよ?」

 

は「シャマルって料理作れるんやな。これやったら三人でまわってつくれるな♪」

 

葵「そうだな。あれ? ヴィータ、ザフィーラなんで顔が青くなっているんだ?」

 

 すると、ヴィータは幽霊でも見たようにガタガタとふるえ、ザフィーラは人型に戻り臨戦態勢をとっていた。

 

ヴィ「ザフィーラ! シグナムを今すぐ呼べ! あたしはシャマルを抑える」

 

ザ「承知した!」

 

 すると、ザフィーラはおそらくシグナムのいる訓練場所へ、ヴィータは台所に向かった。

葵「なにが起こったんだ?」

 

は「さぁ?」

 

エ「あれ? ヴィータちゃん戻ってきたみたいだよ?」

 

 すると、エクスの言うとおり今さっき出て行ったはずのヴィータが顔を青くして、

 

ヴィ「逃げろ! じゃないと「お待たせしました~」遅かったか・・・・」

 

 ヴィータはorzとかなり落ち込んで、落胆していた。すると、エクスとルミルがシャマルの持っている鍋を見て、

 

ル「っ!? マスターあれは危険だ!」

 

エ「い、色が!? 紫!?」

 

葵「・・・・シャマル一応聞く。何を作った?」

 

 これは料理の色じゃない。むしろ科学、毒だ。誰がどう見ても毒だ。

 

シャ「クリームシチューよ?」

 

は「葵君。私はクリームシチューってクリームのような白色やからクリームシチューって言うんやと思うんよ」

 

 と、はやてが私にシャマルに聞こえないように話してくる。はやてよ。私もそう思う。だが、シャマルのは明らかに紫だ。もしかしてどっかの世界では紫色のクリームシチューが、

 

―ボゴッ ピッ

 

 ・・・今ボゴッて言わなかったか? で、今飛んでいった紫色の液体が、畳について煙が上がっているんだが?

 

葵「・・・とりあえず食うか」

 

は・シ・ヴィ「「「えぇえええええええええ!?」」」

 

 というかシグナム。戻って来たのね。

 

ザ「お前のことは生涯忘れん」

 

シャマル「はい。どうぞ♪」

 

 そういってさらに置かれた紫色の液体と向き合う。スプーンで一すく・・・ジュ

 

葵「・・・・シグナム。お前はシャマルと同じベルカの騎士だったな」

 

シグナム「あ、あぁ」

 

葵「ベルカという国の料理は金属製のスプーンも溶けるのか?」

 

シ「そんなわけないだろうが!!」

 

 とりあえず、行儀は悪いが皿から直接飲むか。一口口に含んだ瞬間。

 

葵「#$%$#$=?<*」

 

シャ「あ、葵君!?」

 

 シャマルのその言葉を聞いて私は意識を手放した。

 

 

 どれ位経ってだろう。私は再び目を開けるとそこに神がいた。

 

神「・・・・なぜお前さんがここにいる」

 

葵「いいところで出会った。もう一つの願いが決まったぞ」

 

神「なに!? 本当か!?」

 

葵「シャマルの作る料理をどんな料理でも食べれるようにしてくれ」

 

神「・・・・・」

 

 あれ。どうしたんだ神よ!? お前はクソでもダメでも仮に神なんだろ? 全知全能のはずだ!

 

神「すまん。それだけはできないんだ。というか仮でもないしクソでもない! れっきとした神じゃ!」

 

葵「なぜだ!?」

 

神「お前さんに直接加わるようにせねばならないんじゃ」

 

葵「・・・・なら、シャマルの料理を食べても丈夫な内臓器官とシャマルの料理を誰でも食べれるような神の料理人の腕をくれ! いや、ください!」

 

神「なぜ、そんなに必死なんじゃ?」

 

葵「今回ここに来る原因を作ったのがそいつだ」

 

神「・・・・あの紫色のクリームシチューか?」

 

葵「あぁ、何度も三途の川を渡るのはごめんだ」

 

神「そうか。じゃが、二つ消費することになるが良いか?」

 

葵「構わん。背に腹は代えられない」

 

神「・・・わかった。じゃが残りの二つがこれとはな」

 

 あほか! あれを喰った後に贅沢を言っていられるか!? まずはあれをどうにかしないと!

 

 その後、神と別れ現世に蘇った。で、早速シャマルの料理を改造し、普通のクリームシチューにするとはやてから感動され、シグナムやヴィータからは救世主とあがめられ、ザフィーラは泣いて手を黙って握ってくれた。

 

・・・・本当にこの能力もらってよかった。

 

 

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