ソードアート・オンライン 偽りの剣士   作:夜明けの月

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どうも、月です。
遅れて申し訳ありませんでした。
テストやらで忙しくて……。明日からもテスト……。
それと、今回話がまとまっているか不安です。
では、お楽しみくださいませ。


攻略会議 ー新たな出会いー

ゲーム開始から二週間が経過した。その二週間で千人もの人がこの世界からも、そして現実世界からも退場した。

 

「この調子だとまずい……」

 

この調子で人が死んでいけば、必ず百層までたどり着く事はできない。どこかで全滅してしまう。

 

「でもまあ、そんな先の事を考えても仕方がないか」

 

とりあえずは目先の事だけを見ておこう。今心に決めた。

 

そして今日は、デスゲーム攻略への第一歩を踏み出すため、第一層攻略会議が開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

攻略会議は順調に進むはずだった。だが、

 

「この場に謝らないかん奴らがおるはずや!」

 

ウニ頭のエセ関西弁風に喋る男性によって会議の進行は停止していた。確か名前は……ええっと……キ○ゴ?だったっけ?どこのポ○モンだよ。

 

「キバオウや!」

 

前方から俺めがけてツッコミがとんでくる。あれ〜、おかしいな。俺口に出してないはずなのに。

 

まあそんな事は置いといて、そのキバオウとかいうプレイヤーは、攻略会議に参加している全員に向かって言った。

 

「こん中にβテスターがおるはずや。そいつら、わてらに謝らないかんのちゃうんか!」

 

一体どういう事だろうか。βテスターは確かに一層や二層のモンスター情報やらを知っているかもしれないが、そう言われる理由はないはずだ。

 

「ちょっと待ってくれキバオウさん。どうしてそんな事を」

 

横にいた今回の攻略会議の主催者、ディアベルは困惑したような声で言った。それをキッと睨みつけてキバオウは口を尖らせて言う。

 

「そいつらはそそくさと《始まりの街》を出て、効率のええような狩場を独占しおった。初心者とかはそっちのけでな。それがええ事やって言えるんか!?」

 

確かに、キバオウが言う事は一理ある。初心者を放ったらかしにして自分だけ確実に生きようとする、そんなことが現在の状況で許されるはずがない。だが、ここでいうのは間違っているのではないだろうか。

 

一言で言うなら、ただの馬鹿だなあいつ……。

 

その瞬間、シーンとその場が静まり返る。え、何でどうして?

 

「おいお前、今なんて言った?」

 

「へ……?」

 

ま、まさか口に出してた……?そ、そんな馬鹿な……俺に限ってそんなことは……。

 

「わいの事を馬鹿とか言わんかったか?」

 

俺の馬鹿野郎!!何口に出してるんだよ!おかげでただのモブだったのに目立っちゃってるじゃないか!どうしてくれるんだよ!どうにもできないよ!

 

「なんか行ったらどうや、ああ!?」

 

「………………」

 

俺はただ、明後日の方向を見て無視を決め込む。圏内では人は殺せないというのは分かっているのだから、別に煮たり焼かれたり刺されたり斬られたりするわけではないのだ。

 

「おいコラ、無視すんなやーーー」

 

「待ちな」

 

それを見かねたのか、色黒の巨大な人が出てきた。まさか、あなたが救世主だったのか!?

 

「俺の名はエギルだ。まずはこいつを見てくれ」

 

そう言って取り出したのは、手帳のようなもの。あれはβテスターが作った攻略本のようなものだ。

 

「これをあんたは知っているな?」

 

「あ、ああ、わいも持ってるしな」

 

「これを作ったのはβテスターだという事も当然知っているよな?」

 

「あ、ああ……」

 

「つまり、この本に書かれている通りにしておけば死ななかったんじゃないのか?」

 

「うぐっ……」

 

どうやら痛いところを突かれたようだ。この本には大体の生き延びる方法は書いてある。なのでこれに従っていれば絶対は言い過ぎだが、死ぬ事はまずない。

 

なのに何故、千人も人が死んだのか。答えは簡単、それに従わなかったか、あるいは恐怖に打ち勝つ事ができなかったか、あるいは自殺したか。それぐらいしか今は死ぬ方法がないのだ。

 

「これに従っていれば死ぬ事はまずない。という事は分かるよな?」

 

エギルという人の目は、これ以上は言わせるな。分かるだろ?という目だった。まあそこまで言えば分からない奴はいないな。

 

「チッ」

 

完全に論破されてしまい、ふて腐れたかのように座るキバオウ。ざまあみろ。

 

「ありがとうエギルさん。それでは攻略会議を再開するよ。第一層の攻略は六チームのレイドで行う。そのため、皆んなには六人でグループを作って欲しい」

 

………………はい?

 

「それでは組んでくれ」

 

ディアベルの合図で各々がグループを作っていく。ちょ、ちょっと待ってくれ!聞いてないぞそんな事!

 

どうしよう……さっきの独り言みたいなので俺への感情は最悪だろうし……ここでの孤立は避けたいんだけど……。ああもう!どうすれば!

 

「あの、ちょっといいか?」

 

ふと横を見ると、いかにも冒険者ですという格好をした少年がいた。俺より年下だなこいつ。

 

「何だ?」

 

「あぶれた奴同士で組まないか?」

 

いや勝手にあぶれてると決めつけられましても……。まあ、ぶっちゃけそうなんだが。

 

「あ、あぶれてねえし」

 

「さっきの一言で周りが完全にお前を警戒してるみたいだけど?」

 

そんなの知ってるよ!指摘されなくても。さっきからなんか、負のオーラが背中に押しかかっていてるんだよ!できるならこの場から逃げたいよ。

 

「ぐぬぬ……」

 

「ということで、組むよな?」

 

その少年はニヤリと笑って問いかける。くそぅ……こんな女顔みたいな童顏な奴に負けるなんて……。

 

「悪かったな女顔みたいな童顔で」

 

「ははは……」

 

何故分かったんだ?と疑問に思いつつ、乾いた笑いを浮かべていると俺の目の前にウィンドが現れる。そこには《キリトからパーティー申請があります。受けますか?Yes or はい》

 

「選択肢ねえじゃねえか!!」

 

ふざけてんのか茅場晶彦!!ぶっ○すぞコラァ!!

 

そう叫びつつ《Yes》を選択する。まあどっち選択しても変わらないけど。

 

「へぇ、ヒナタっていうのか」

 

まあ元の名前はヒュウガですけどね。なんか嫌だったから別の読み方であるヒナタにしたのだ。

 

「それじゃあよろしく、ヒナタ」

 

「こちらこそ。よろしく頼むよ、キリト」

 

と自己紹介兼挨拶が終わると、キリトは周りをキョロキョロと見渡す。

 

「お、あそこにもあぶれている奴が」

 

仲間探しかよ………。

 

「なあ、もしかしてあんたもあぶれたのか?」

 

初対面でその聴き方はどうかと思いますよ?しかも相手の容姿は見るからに女性ですし。フードかぶってるけど。

 

「あぶれてない。ただ、ああいう馴れ合いが嫌いなだけ」

 

こちらもこちらで一癖あるなぁ。キリトは無意識というかなんというか……残念系男子?かな。そして目の前の女の子は、無口な………いや、この状況に困惑してる又は塞ぎ込んでいるかだな。

 

「とりあえずよろしく」

 

なんと、ものの数秒で和解、そしてパーティー申請まで送ったらしい。こいつ、いつか大物になるぞ。女性関係の意味で。

 

「………よろしく」

 

女の子の方は納得がいかないという感じだろう。声を聞くだけでひしひしと伝わってくる。

 

ええっと、名前はっと……《アスナ》か。いかにも女の子って感じの名前だな。

 

このグループはいいとして、何も起きないといいんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして事件は起こった。俺は今、自分が寝泊まりしている宿なのだが………。

 

「……………」

 

「あの……どうしたら……」

 

「風呂はあっちだから入ってくるといいよ」

 

「あ、うん。ありがとう」

 

何で今日知り合ったばかりのアスナさんがここにいるんですかねぇぇぇぇ!?

 

いや、確かに風呂付きで朝食も出してくれるところって言ったけどこんなことになるなんて思ってないぞ!

 

それを聞いたアスナは真剣な表情で迫ってくるし、キリトはキリトで笑み浮かべてどっか行くし、どうすりゃよかったんだよ!

 

結局、アスナに負けて連れてきちゃったよ!それに何故か泊まるってことになるってるんだけど!どうにかして!

 

今まさに最高にテンパっている時に聞こえてきたのが、シャワーの音。そして鼻歌。心が落ち着くどころか逆に悪化していく。

 

ここは精神統一だ。無心……無心だ……。

 

『はー、いい気持ち……」

 

風呂の方からうっとりした声が聞こえてくる。理性がガリガリと削られていく。まるで氷のように。

 

「せ、精神統一………」

 

何も聞くな、ただ無心になることだけを

 

『あー、生きててよかったぁ』

 

「せ、先人当日………」

 

精神統一が訳のわからない単語に早変わり。やめて!俺の理性はもうそろそろゼロよ!?てかここにきてる時点で0だぞ!?

 

とりあえず俺は自分の頰を殴り、壁に頭をぶつけて理性を保つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうってどうしたの?」

 

「いや、なんでもーーーーっ!!?」

 

アスナが風呂から出てくる。その時の姿は、完全に下着姿だった。

 

「お、おまっ……!なんて格好を……!」

 

「え………?ーーーーーーっ!?」

 

途端、アスナの顔が真っ赤に染まる。出会った時はフードかぶってたから分かんなかったけど、結構美人な方だ。プロポーションもかなり良い方だし、まあ一言で表すなら八方美人だろうか。

 

「み、見るなーーーーーッ!」

 

「ヘブッ!?」

 

アスナは拳を握りしめ、俺へと振りかぶる。だが圏内のため、犯罪防止コードに阻まれ俺に届くことはないのだが、フィードバックつまり衝撃波くるわけで、俺の顔面に凄まじい衝撃がきた。それにやって後方に吹き飛ばされる。

 

言わせていただきたい。俺が一体何をしたというのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってて………」

 

「ごめんなさい……」

 

あの後数発ぶん殴られたところで俺の意識は落ちたらしい。突然目の前が真っ暗になったから分かんなかった。というか気絶してるのに分かったら怖いわ。

 

「別に構わねえよ。それにしてもあんな格好でなんだったんだよ」

 

「い、いや、単に服着るの忘れてて……」

 

現在フードをかぶっていないため、白い肌がほんのりと赤く染まるのが分かる。

 

だが、なるほど……そういう属性をお持ちの方か……。

 

「……?」

 

「でさ、話変わるけど、どうしてあんたのような人がここに?普段ゲームとかしないだろお前」

 

「…………何で今それを?」

 

「単に気になっただけだ。自分が持った疑問は知り尽くさなきゃ気が済まないんでね」

 

「そう………」

 

俺の言葉を聞いて下を向くアスナ。このゲームで何か思うことがあるのだろうか。

 

「私ね、お兄ちゃんがいるの」

 

ほほう、このタイミングで家族構成についてカミングアウトですか。でも、ネトゲでの個人情報漏出はまずいんじゃ……。

 

「実はこのゲームをプレイするのはお兄ちゃんだった」

 

………一体どういうことだ?訳が分からんぞ。

 

「お兄ちゃんは前からこのゲームをするのを楽しみにしてたの。私は別に関心はなかった。だけど、サービス開始の日にお兄ちゃんに仕事が入ってできなくなったの。で、少し気になったから少しだけやったら返そうかと思った。でも、そんな風にはならなかった」

 

なるほどね。兄がしたがっていたものに興味を持って、いざしてみたらこんな状況になったという訳か。

 

「だから、私は一秒でも早く帰らないといけない。帰ってお兄ちゃんに謝りたいし。でも、お母さんは怒ってるだろうなぁ……」

 

「んなの俺も同じだ。俺は母さんと父さんの反対を押し切ってこれを買って今こうしてるんだ。帰ったらビンタの一発や二発は免れねえだろうな」

 

俺は苦笑いを浮かべてそう言う。それを見てアスナは不思議そうな表情を浮かべる。

 

「……後悔してないの?このゲームをしたこと」

 

「してるに決まってるだろ。妹二人を放ってここに来たんだぞ?普通ならするわ」

 

「ならどうしてそんなに普通でいられるの……?」

 

「……今の状態は普通じゃねえよ。ただ、自分が普通だと自分に『偽ってる』だけだ」

 

「普通だと『偽ってる』………?」

 

不思議そうに小首を傾げるアスナ。うーん、説明しなきゃダメかな。

 

「俺は小さい頃、苦手なことがあってな。それを成功させるために人を真似たことがあったんだ。すると、何故かものすごくうまくいって、みんなから褒められたんだ」

 

「それと何の関係が?」

 

「その時、俺は誰かを真似ることが最善策だと思い込んだ。いや、思い込んでしまった。そのせいで、俺は自分を見失った」

 

「………!」

 

アスナは目を見開き驚く。

 

「誰かを真似ているうちに、無意識に誰かの口調を真似ていた。口調だけじゃない。見た目はどうしようもなかったが、振る舞い方や癖などとかも気付けば自分のものじゃなくなっていた。その挙句、俺は真似ることに長けた偽物()になった。今も多分誰かの口調を真似てると思う」

 

「………なら、真似るのをやめて自分の口調に戻せば」

 

「それができたら苦労せんのよなこれが。もう自分の口調やらは忘れた。どんものだったのかも全然覚えてない」

 

俺はニッとアスナに笑いかける。おそらく、その笑顔はアスナから見たら無理をしているように見えるだろう。自分でも分かるし。

 

「ということで、俺が普通でいられるのは他人を真似て平穏を装ってるからだ。俺が、本物ではなく偽物だからだ。本物の心なんて持ってないからだ」

 

俺の言葉に再度俯くアスナ。まあ、こんなことを今の状況で聞いたら普通はそうなるわな。

 

「あ、混乱させたなら謝る。さっきのことは忘れてくれても「忘れてどうにかなるの?」……あ?」

 

俯いたままアスナが言った。俺は不意にそう言われたため、無意識にアスナの方を向くと、そこには俯いて拳を握りしめて震えていたアスナがいた。

 

「それって忘れてどうにかなるものなの?まさかと思うけど、それぐらいで私が混乱するとでも思ってたの?」

 

どうやら俺が思っていたより、この子は強かったらしいです。横目で睨んでくる目が怖いです。誰か助けて。いや本当に。

 

「決めた。さっきまではこの世界にだけは負けたくないって思ってた。それは今も変わらない。それに付け加える。本物()を探す。君の話聞いたからにはこれぐらいはしないと」

 

「………は?」

 

「は?じゃないわよ。あー、さっきまで後悔してたのがバカみたいじゃない」

 

「……それは俺の話のせいでしょうか?」

 

「ええ。君のそんな話聞かされたら、自分の悩んでることがちっぽけに思えてきた」

 

「それを聞いて俺は謝ればいいのか?それとも何もしない方がいいのか?」

 

「どっちでもいいわよ。まあいいわ。とりあえず明日のボス戦ね」

 

速攻で変わった話題に俺は肩を落とす。話題転換が早すぎやしませんかね?

 

「気にする必要ないわよ」

 

……これが世に言うエスパーっていうやつか。

 

「もうなんでもいいや。話終わったし、お前そろそろ寝たらどうだ?」

 

「…………」

 

俺がそう言うといきなり自分の体を抱きしめ、警戒度MAXで俺を睨む。え、俺何かした?

 

「……何するつもり?」

 

「何って、寝るんじゃねえの?明日に向けて」

 

「……あんたどこで寝るつもり?」

 

「んー?適当にそこら辺?お前はベッドで寝るといいよ」

 

「……それじゃあお言葉に甘えて」

 

ベッドに入るまでは警戒していたくせに、なぜか入って少ししたら、規則正しい寝息が聞こえてくる。

 

「さっきまでの警戒はどうしたんだよ」

 

はぁ、とため息をつき頭をガシガシと掻く。

 

「……眠くないし適当に散歩してくるか」

 

俺はそう呟き部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると何故か周囲は明るかった。あれ?俺何してたっけ?確か、アスナが寝てから散歩に出て、適当に木に寄りかかって座って………そこから記憶がねえ……。

 

「まさか……寝落ち……?」

 

「そうらしいわね」

 

不意に聞こえた声にビクゥッと跳ね上がる。というか一番聞きたくない声が聞こえた気がするんだが。

 

「これは、どいうことかしら?」

 

「え、と……ははは……」

 

「まだボス攻略まで時間があるわね。その時間を使って何をしていたのか聞きましょうか」

 

「え、遠慮「しなくていいわよ」……は、はい」

 

アスナは今、フードは被っているのだが、何故か表情が嫌でもわかってしまう。笑っていそうだが、全然顔は笑っていない、という感じだろうか。

 

「宿に戻りましょ。ヒナタ君」

 

「へ、へい……」

 

この後みっちり絞られました。というか俺の名前わかってたのね。なら君って呼ばなくて良かったろうに、とか思ったけど口に出さなかった。だって口に出してたら俺が死んじゃうからね。

 

そして今日はボス攻略である。だというのにこんなので大丈夫なのだろうか、と不安が俺の頭によぎった。本当に何もなければいいけど。

 

 




主人公のことを少し暴露です。これがまとまっているか不安ですが……。
とりあえず次回はボス戦です。
それでは次回もお楽しみに。
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