ムーディ信用なさすぎぃ!!(突然)
久しぶりの投稿にひやひやしてましたが、みなさん暖かいお言葉をありがとうございます…!!感想を下さったしほん様、勘太郎様、猫シノン様、ぐーらz様、心戯様、白狐様、日暮様、鈴虫のラガー様、くらねす様、黒鷹商業組合様、シリアナード・レイ様、元祖「へぇ~」様、ありがとうございます!あといつも活動報告で相手してくださる方々もありがとうございます。一番いつも尻たたきしてくる友人Hもありがとね!
みなさんの感想のほとんどがムーディの安否じゃなく「こいつまたやってるよ(意訳)」みたいな感じでやっぱりこいつギャグパート担当だなと、作者はある意味安堵しております。
Vitaが明日届くから、今日早めに投稿しておきます。
壇上から二人組のオークショニアが降りてくる。小柄で黒髪のオークショニアの足元で満身創痍ながら生き残っていたマフィアの幹部が断末魔をあげて射殺された。
「おい、
「お断りしよう。まだ死にたくないんでね」
金髪の男を盾にした神経質そうな男は、にべもなく断る。
瞬間、ひどくすっきりした会場に、可視化されたのかと錯覚するほどの殺気が満ちる。男の頬から冷や汗が流れる。会場の入り口からこちらに向かう数人の気配に、さらに腕の中で意識を失った男を手放すものかと力を籠める。
「ふぅん、ちゃちな念能力者だけど、使いどころを間違えないぐらいには頭があるのか」
「シャル、ウボォー。お疲れ」
顔色ひとつ動かさなかった眼鏡の女が、入口から入ってきた男たちに片手を上げて労いの言葉を投げる。彼女は、盾にされている男も、その背後の男も襲わない仲間の行動に首を傾げる。どちらも手古摺るような実力者には見えない。しかし、この空間の指揮権は先ほど入ってきたシャルと呼んだ仲間にある。なにがしか事情があるのだろうなと、成り行きを見守ることにした。
「どういってくださっても結構ですよ」
「面倒くさいなぁ、お前マジで死んでよ」
「その前に、出血性ショックで彼が…ムーディ君が死にますよ。
その言葉は的を射ていたのだろう。サングラスを苛立たし気に取ったシャルナークが男を睨み付ける。
彼、「百万図書」従業員であるムーディが
この地下競売は、今ヨークシンシティで公に開催されている各オークションとはまったく性質の違うものだ。主催者は、裏社会の強大なマフィアン・コミュニティであり、
ところが、おのぼり丸出しのムーディの連れは貸本屋の主従ではなかった。ジルブレッドと呼ばれた、神経質そうなちゃちい念能力者と、その連れのぱっとしない茶髪の男。
はて?と首を傾げる。
団長に指示を仰ぐには圧倒的に時間が足りない。それにこの競売に参加しているという事は、男は堅気ではないということになる。そうなると、あの貸本屋の知り合いというより、ムーディ個人の知り合いとなるのだろう。
正直、今にでも首根っこつかんで外に放り出したいところだが、変に騒がれても面倒だ。
仕方なく、シャルナークはオークショニアに扮するフェイタンとフランクリンに「ムーディに危害が及ばないように、周りを綺麗にするように」指示をだした。
基本的に冷酷無比な彼らは、ムーディの身体的な被害だけを注意し、彼の精神的な被害を考慮しなかった。当然だ。彼らにとって世界は「強者」と「弱者」であり、「弱者」が死ぬのは自分が弱いからであり、それによって起こる被害など彼らは眼中にない。精神的苦痛というものが、彼らは理解できない。
フランクリンは指示通りムーディを避けて念弾を放った。彼の周りの被害が緩やかだったのはそのせいだし、
ジルブレッドは、自分如き念能力者では、圧倒的な威力を誇るフランクリンの念弾を防ぐことができないとすぐに悟ると、ムーディ
シャルナークが言うように、彼はこの場において冴えていた。
ムーディは彼らにとって襲ってはいけない人間で、
生きてこの場から返さなければならない彼が、
幻影旅団の一人であるマチの能力ならば、傷口を完璧に復元することはできるが、死因までは覆すことができない。
大量出血によって彼が死亡し、そこを襲ったのが幻影旅団だとばれれば、
そして、現在の状況は非常に面倒くさい。
ムーディはジルブレッドに拘束され、すでに意識はない。我々の顔を見ていないことから、あとあと面倒がなくていいのだが、その意識がない原因が脚部に負った大きな銃痕であり、さらにそこから絶えまなく血が滲んでいるところを見るに、即急な治療が必要とみられる。
しかし、おそらくジルブレッドは彼を手放すつもりはない。そうしたら最後、彼自身が間違いなく殺されてしまうからだ。
「…で、ここでいつまでも
「話が分かる方で助かりますねぇ、ええ。多くは望みません、私に手を出さずここから生かして帰すとお約束いただければ、彼を解放いたしますよ。ただし、念書をいただきます」
「あー、もう面倒くさいなぁ。本当に死んで?予想外なことばっかで嫌になるなぁ」
「どうする、シャル」
「誰か紙とペン持ってきてよ」
この男のいうことを黙って聞くのか?と幾人かが視線で訴えてくるのを黙殺する。
シャルナークはハンター証を持つプロハンターだ。顔と名前がわかればいくらでも素性も逃亡先も見つけることができる。
それに、おそらくこのジルブレッドという男、―――――
***
「
『勿論だ、追って相手に適当に暴れてやれよ。そうすれば
「あっと、団長電話はそのままだ。シャルに代わる」
『ん?』
「あ、団長?ごめん面倒ごと」
『何があった』
「競売会場にムーディがいた」
『………はぁ……怪我は』
「ちょっとミスった。今はマチに治療してもらったから怪我自体は癒えてるし、気絶したからたぶん俺たちの仕業だとばれてない。ただ、ムーディを会場に誘った念能力者がいるんだけど、そいつがムーディの身柄と取引ひっかけてきたから、
シャルナークの頭上でエンジンの燃焼音がひときわ響いた。それと同時に、地上がにわかに騒がしくなる。ぞろぞろと団体客が気球を追いかけてくる。さっきのさっきでジルブレッドが十老頭に情報をリークしたとは考えにくい。唯一の生き残りで念能力者など、疑ってくれとっているようなものだ。となれば、団体客は旅団のことを何もしらない非能力者の
『お前の考えは?』
「本屋さんの敵」
『なるほど、まあ9割がたそうだろうな。あとの1割は利益目的といったところだろう』
「どうする、団長。今の今で本屋さんに連絡するのは悪手だと思う。かといって連絡しなかったら最悪団長は私刑じゃない?」
『……なぜ俺だけに絞る…。まあいい。陰獣をおびき寄せてお宝を奪い終わったらムーディを連れて一度アジトに戻れ。ムーディの状況を確認次第彼女には俺から連絡をいれよう。あと、逃げ出した念能力者の件だが、お前に任せる……まあ、電話して
「りょーかい、詳細はまたその時に」
通話を終えた携帯をしまうと、不思議そうな顔をしているシズクと、通話の内容がよくわかっていないノブナガがシャルナークを見つめていた。その顔にはありありと「説明しろ」と書かれている。
「あーシズクもノブナガも、彼のこと知らないんだっけ?」
「本屋って…もしかして団長が贔屓にしてるっていう?」
「そう、そこの従業員が彼。あ、マチ。念のためにムーディに目隠ししてくれる?あともし声を掛けられたら無視するかシズクが対応して。俺達だと声で気付かれるかもしれないから」
まあ、この鈍臭い男がそれに気づくとは思えないが。
マチはその指示に頷きポケットからハンカチを取り出し半分に割くと、それを縒ってムーディの目元を多い、念糸で両の親指同士を結び自由を奪った。
「そこの本屋にはマジもんの化け物がいるんだ。それに出てこられのは避けたいからね。彼に
「ウボォーが負けたっていう人」
「そう。あと、さっきの念能力者、おそらく本屋さんの敵だ。だとしたら、わざわざこっちが手を出さなくても勝手に自滅するし、上手くいけば本屋さんに借りをつくることができる」
敵に回す相手を間違えたね、馬鹿なやつ。
***
暗闇の中で意識が覚醒した。
しかし、目を開けたと思ったのにまだ目の前が真っ暗で、彼は「これが店長が言ってた明晰夢?」と首を傾げた。寝転がっている場所は平坦だが、ごつごつした岩か、あるいは瓦礫が背中に当たる。申し訳程度に毛布が敷いてある。随分とリアルな夢だ。
寝転んでいるようなので起き上がろうとするが、両手の自由がきかず上手くいかない。「あれ、これ夢じゃ無くね」とそのあたりでようやく気付く。
「え、えええ。どこ。誰かいないの?これどういうこと?」
「あ、起きたんだ」
「ええ?誰ですかぁ?!」
「それは言えない。けど、危害を加えるつもりはないから安心してほしい」
「は…はぁ?あれ、でも俺なんで…?確かヨークシンで…」
「詳しくは話せないし、当分この部屋にいてもらうね。けど、暴れないで、何度も言うけど危害を加える気はないから。腕は話が終わったら解いてあげる」
声は女のものだ。一方的に言われるがまま、反論を抑える。気の抜けた彼でもわかる。この状況はかなりまずい。どこまで信じることができるかわからないが、女の言葉が真実ならこちらに危害を加える気はないらしい。ならば、彼は上司に言われたように反抗しないことにした。
「私たちが
がくがくと頭を縦に振って肯定を示す。それに満足したのか、足音は遠ざかり、軋んだ音を立てて金属の扉が閉まる音が聞こえた。
「あ、ほどけた」
女の言ったように、腕の拘束が解け自由に動かすことができるようになった。
とりあえず凝り固まった腕を回し軽くストレッチすると、そっと目隠しをとる。
部屋は薄暗かった。
自分が座っているところは、予想通り山になった瓦礫を背にした平坦なコンクリートの床。そこに、毛布が引いてあり、1メートルほど離れた場所に、ゆらゆらと炎を揺らすランタンと水や食料の入ったビニール袋が転がっている。部屋の大きさは10畳ほどで、窓はなく錆びついた金属扉がひとつだけ。念のためそろそろと近づいてドアノブを回してみたが、案の定開くことはなかった。
「……携帯、やっぱないや。どうしよう」
こんなとき、自身の敬愛する店長ならどうするだろうと想像してみた。
想像の中の彼女は、毛布を整えると床に腰かけ、いつものように古臭い本を取り出し読書を始めた。
「…うん…なんか…参考になんない」
それに、もしそんなことになろうものなら、主を攫われたことに自責の念と怒りに捕らわれた槍の騎士が、双槍を振り回して突撃してくるだろう。
どうしたもんかと頭を悩ませていると、想像の中の上司が本から視線を上げて、彼を見つめて一言。
「いらんことするな」
彼は、しょんぼりと肩を落とすと、食料を手に取り毛布の上に転がった。
頭の中に話の筋はできてるけど言い回しが面倒くさ…げふんげふん。言い回しや表現に矛盾がでたりしたら前の話とかもちょこちょこ修正していくので、お手柔らかにお願いします…。
キングハサン来ません…!!!!!
破産しちゃうううううう