アンケートに回答ありがとうございます。
とりあえず新規階層を追加したものの順番どうしたものかな?
「限界突破アップデート」から一ヶ月が経ち、アップデートの第二弾が実施された。
……なんというか第一弾に間に合わなかったものを追加したというイメージである。
細々とした追加要素はあるのだが、メインはやはり拠点の強化だろう。
NPCのレベル上限が200になり、拠点強化に必要なポイントが1割減となった。
いくぶんか大雑把なようにも思えるが、助かることに間違いはない。
しばらくの間NPCにレベルを上回られることになるが、うちの場合そのうち解消するだろう。
「丘」にボスがうじゃうじゃいるせいで、ワールド・サーチャーズ、今はゾディアックだったか、彼らも200くらいなら到達できそうなのだ。
そしてバランス調整は一切入ってない。
なんとなく運営の中の人がヤケになっているのではないかと心配になる。
さすがにそんなこともなかろうが。
俺はブルー・プラネット。
ある意味既に存在しない星の名前を冠した男である。
* * *
さて、しばらく前から計画されていた海の階層だがかなり物議をかもした。コンセプトは水中戦である。
既に水場なら地底湖があるのだが、あれはどちらかといえば水上で戦闘をさせることを意図したフロアであるため、水中の作りこみはさほどでもないし、水中戦闘をさせるようなNPCもそんなに配置していない。
……落ちたやつに追撃を仕掛けるやつならそれなりにいるのだが。
この辺の底意地の悪さはうちのギルドの定番である。
水中の戦闘をメインとしたフロアを作るとなるとデータ的な意味で容量がかなり厳しい。
なにしろ水で満たした部分は全部物理演算データを持つので深ければ深いだけデータを食うのだ。
そのため、地底湖を改装して海にすれば良いのではと言うぷにっと萌えに対して、ガルガンチュア作成を担当したぬーぼー達は当然大反対をした。
ガルガンチュアはその質量ゆえに水中では動きが鈍重になって性能を発揮しきれなくなるので、防衛には使えないとはいえ敢えて使用に向かない環境におきたくないらしく、何より巨大な物体が水の中から現れるという演出に力を入れてきた連中だけにその反対意見は強固だった。
「園芸家」「造園師」などの称号の効果で階層が追加できるようになったことで反対は収まり、海を作りたかった俺も大手を振って賛成に回ることができた。
それでも役割がかぶるのではという意見は根強く、ぷにっと萌えが底なし海にしようとしやがったので海底神殿とか沈没船を作りたかった俺とも意見が対立。
賛成派でも意見が分かれる事態となり、あわや海の作成は頓挫しかけた。
結局、泳がせられて海底があればいいのだろうということで地盤が島のように点在する深海の階層ということで何とか意見の一致を見た。
地盤がないところは白い砂でずぶずぶと沈んでいく仕様である。
俺は地盤のあるところに建造物が作れて満足、地盤から地盤まで泳がせられてぷにっと萌えも満足。
折衷案を出してくれた餡ころもっちもちさんには感謝である。
そうして作られた深海の階層はナザリックの例に漏れず薄暗く、光で敵対プレイヤーを誘導しやすいエリアとなった。
もちろん明るいところに下に続く道はないが、さすがにノーヒントというのは美学がない。
沈没船内の看板と海底神殿の石版から下への転移地点を割り出さないといけない仕様となった。
まあ偶然たどり着く可能性もないわけじゃないのだからそこまで悪くはなかろう。
* * *
拠点拡張に必要なポイントが減ったことでゾディアック達の専用階層も追加できることになった。
彼らに望むのはリドルを駆使したエリアである。
今まで溜め込んできた知識を使えるとあって、彼らは大変喜んでくれたのだが……そろいもそろって他人に合わせて問題を作る能力に欠けていた。
問題はいくらでも作ってくれるのだが難易度は「難しい」を通り越して「誰がわかるか馬鹿野郎」レベルである。
彼らには「易しい」とか「普通」の問題を作ることの方が無理難題であるらしい。
幸い個人的に親しくなったワガハイさんが企画力があったのでテーマを振ってもらった。
この方はフィールドワークを積極的に行う大学教授とのことで、朱雀さんともリアルで知り合いだったらしい。
選んだ異形種も「狭いところでも入れるし夜目が確保できる」との理由でケットシー(しかも選択できる最小サイズ)と探索優先の方である。
きちんと世界最小の山猫「クロアシネコ」をモチーフにしている辺りが大変すばらしい。
テーマを絞ることでマニアックすぎる問題以外もなんとか出してくれるようになった。非常にありがたい。
「しかしどうやって謎解きを強制させますかねえ」
「ふむ、我輩は何かしら進行ルートを絞らせる要素があればよいと思うのである。確か攻略時には問題を解かねば開かない扉のトラップなどがあったぞ?」
「それなんですが、ダンジョン内の扉の設置数は決まっているんですよ。ナザリックでは一階層ぶち抜きで作ったりして扉の数をなんとか節約している状態なんです」
「そいつは困ったの。となると問題を解かないとペナルティを与えるトラップか?」
「そいつは稼動させるのに金貨が結構な量必要でして……」
「大量の敵を迎撃するには向かんか。世知辛いのう……」
ぷにっと萌えに相談したところ、空中庭園を提案された。
浮島を橋でつないだようなエリアで足場以外は空である。
ここまで来るプレイヤーで空中戦に対応していないやつなどいないだろうからショートカットされるのでは? と言うと「飛んでいるプレイヤーは攻撃するが足場にいるプレイヤーは攻撃しないようにすればいい」と返された。
飛ばないことにメリットがあるなら道なりに進むだろう、とのことである。
ついでに下層に作ればそれまでの消耗を考えて戦闘を控えたり飛行に使用するMPを節約する可能性もある。
確かに意地の悪い仕掛けが満載のナザリックにおいて、攻撃されずに休めるというのは魅力的に見えるはずだ。
……解かされる問題は極悪だがな。
ちなみに空中なので底なしである。
こいつはどれだけ底なしにこだわりがあるのか。
ぷにっと萌え曰く「孔明の罠と言ったら落下に決まっているでしょう」とのこと。
よくわからん。
* * *
そして肝心の配置するNPC達なのだが、モモンガさんがレベル143になったことと合わせて4倍近いポイントが使用できる。
つまり今までいたNPCを2倍に強化した上で、配置数を2倍にできる……のだが。
モモンガさんのスキル『魔王軍』のおかげでもっと酷いことになるのが判明した。
スキル『魔王軍』にはNPCをギルド所属にできるという効果があるわけなのだが、これが想像以上に適用範囲が広かったのだ。
NPCとはすなわち「
これは拠点内に設置されたNPCだけでなく、その辺のモンスターもスキルの対象にできるということだ。
つまり特にデザインをする必要がないNPCは外で捕獲してくれば、ポイントを一切消費しないで防衛に加えられてしまうということである。
普通に沸いているモンスターには意外性がないし、弱点を補強したりできないので、デザインされたNPCに比べると大分弱いが数を補う分には問題がないし、その分のポイントを他の有用なスキルをもったNPC作成に回せる。
スキル単品で相当の壊れ性能である。
もちろん全てのノンデザインモンスターをスカウトしてきてもらうわけには行かないので、それなりに強いやつを適当な数スカウトして来て貰うことになった。
どんなのが良いですか? とモモンガさんに聞かれて、冗談でクラーケンと答えたら二日後、本当に深海エリアにクラーケンがいた。
クエストで出現するイベントモンスターだったはずなんだが……なんかスカウトできちゃったらしい。
わざわざ行ってくれたことにもびっくりである。
モモンガさんが「……これができるとなると……」と意味深に呟いていたが何に気がついたのだろうか。
気にはなったが取り合えず深海と空中庭園の空の作りこみを進めねばならない。
海流とか雲とかをどう配置するか。
しばらく楽しい日々が続きそうである。
ちょいちょいスキル『魔王軍』に秘密があるような書き方を試し中。
何がまずいのかばれているきがしないでもないですが。
そろそろモモンガさん視点でアンケートでいただいた魔王職につけたいですね。