どっかでまた掲示板形式なりで2chの俺ら視点を入れないとだめな気がしますが。
今回、魂暁さんの「わるぷー」を種族がなかったので旧ワールド・サーチャーズとして登場させました。
もし、アインズ・ウール・ゴウン所属のつもりでしたらごめんなさい。
そして参加ありがとうございました。
※追記
葵ふうたさんよりいただいた「リバレイア」を空中庭園の守護者として採用させていただきました。
記載が漏れて申し訳ありません。
モモンガさんが何故ギルド長になったのかという問いに対してはこう答えるしかない。
「他に適任者がいなかったから」
積極的に彼を推す理由があったわけではないが、強いて言えば誰もが彼なら任せられると納得したことが特別といえば特別である。
結果的にモモンガさんは十分以上に役目をこなしてくれたため、みんなの判断は間違ってはいなかった。
ただ一つ、問題があったとすれば誰もモモンガさんに対して、面と向かって礼を言わなかったことだ。
気恥ずかしかったのもあるし、誰かが言うだろうと思っていたのもある。
モモンガさんが喜んでギルド長をしていて、「お礼なんかいいんですよ」と言ってしまう性格だったのもあるだろう。
放置している内にモモンガさん=ギルド長の図式は当たり前になり、今更感が強くなって本当に誰も感謝を伝えないままになってしまった。
諸事情でギルドを離れる時もみんな感謝を伝えなかった。
「今までありがとう」なんて言ってしまえばこの居心地のいい空間に帰ってこれなくなる。そんな思いがあったのかもしれない。
この手のセリフはまんま死亡フラグなのだから。
実際、もしその言葉があればモモンガさんはそこまで必死に拠点の維持に奔走しなかった気がする。
私自身、戻ってきて初めてモモンガさんに「お疲れさま」を言えた気がするくらいだ。
たかがゲーム。されど生身の相手がいる以上、不義理を働いたことは否めない。
不義理は誠実さを持ってしか償えまい。
私はタブラ・スマラグディナ。
ユグドラシルがより良い終わりを迎えるために、何よりこの名前が彼の中で輝かしいものであることを望んでやまない。
* * *
ゾディアックの面々は特にこだわりがない以上、異形種を取ってもらったのだが、信条的にあるいはロール的に人間種でいたいというメンバーがいるのも事実である。
そこで基本的にこだわりだのロールだのが大好きである我々アインズ・ウール・ゴウンは「最後の最後まで絶対にその信念を曲げない」ことを条件に人間種のままの所属を許可した。
そのため空中庭園はナザリック地下大墳墓の中で唯一継続で負属性ダメージがないエリアである。
もっとも侵入者諸君は大いに戸惑っている。大分うちのダンジョンになじんだようで何よりである。
入り口となった浮遊島では巨大な天秤が設置されている。
何の意味があるのかと疑心暗鬼になっている侵入者が結構笑える。大した意味はないのにご苦労なことだと思う。
単に侵入者のカルマの合計を計測して問題の傾向を決めているだけである。
さて、ここで出される問題なのだがひとつ例をあげよう。
Q.ムスペルヘイムの火山エリアにおける火に耐性を持たないモブの最も低確率のドロップアイテムは何か。
まず火山エリアの範囲を知っていなければならない。
この辺はゾディアックにとっては基本知識である。エリアのように調べればすぐわかることは彼らにとって「わからない」範囲に入らない。
当然解答者にも当たり前のように「常識として知っていること」を要求してくる。
次に出てくる敵の耐性について知っていなければならない。
火山で火耐性がないモンスターは珍しいので、まだ記憶に残りやすいのでわかりやすい要素かもしれない。
かえって面倒かも知れないがそれでもマシなほうである。
そしてモンスターのドロップテーブルを知らないといけない。
「ちょっとわかりにくいかも知れないですね」と笑顔で言っていた、わるぷーさんが印象的だった。
* * *
そんな問題ばっかりのエリアである。
先頭を進んでいた集団は外部掲示板を確認しているのか、ちょくちょく立ち止まりつつ進んでいる。
しかし知恵を結集した結果なのか、正面からひとつひとつ突破している。
正直に言おう。あの問題を解けるやつがいたことに驚きである。下手な設定より世の中は不思議に満ちている。
「ふふふ。いいですねえ、彼ら。私たちの「普通」難易度をちゃんと解いてくれてますよ」
「……たぶん大分マニアックな攻略してきたってことですね」
「いえいえ。きちんとこのゲームを攻略してきたんですよ。これで「普通」が普通だと証明されましたね!」
散々うちのメンバーに問題が難しすぎると文句を言われたことを根に持っていたらしい。
実際難しすぎると思うのだが、現実に攻略されていると難しすぎるということもなかったのかもしれない。
……いやいや、感覚がおかしくなっている気がする。
気分を、いや、常識を見直そうと先頭集団以外の連中に目を向ける。大惨事が広がっていた。
「あっち見てくださいよ。ほとんど進めていないどころかペナルティで瀕死じゃないですか」
「何も見えませんね。無様に転がっている低脳なんか見えません」
「見えてるじゃないですか」
「問題を解かずに審判殴っているような馬鹿は知りません」
そう、侵入者の3分の2は問題が解けずにいらついたのか、問題を出したNPCを攻撃してペナルティを受けていた。
遠回りなルートに入らざるを得なくなり、問題の難易度も上昇、妨害も入って踏んだり蹴ったりなはずだ。
ちなみにこのエリアの妨害は毒や麻痺のような状態異常ではない。
もっと、DMMOの仕様を悪用した妙に精神にクル罠だ。
例を挙げるなら、特定の音を聞かせることで集中力を削ぐ罠。
なんでも蚊とかいう虫の羽音だと源次郎さんが言っていたが、やたらと気になりいらいらがつのる。案外環境破壊より前に人間をイラつかせすぎて滅んだ虫なのではないだろうか。
他のものだと、視界全体に色をつけて特定の色合いのものを見難くする罠。
明らかにわかりやすいスイッチを踏んだりするので罠を効果的に作動させられるし、この影響下にあるプレイヤーと影響下にないプレイヤーの不和を煽れる。
さらに常に背中に何かが張り付いたような感覚を与える、という案もあったにはあったがさすがにゲームとして成立しなくなる一歩手前だったので自重された。
これらの罠が面倒なのはシステム的な状態異常と違ってスキルでも装備でも対策できない点にある。
単に「環境音」や「光源の色」といった形で妨害を発動できるのでコストもほとんどかからないというお得仕様である。
そしてついに度重なる嫌がらせに耐えかねて空中に飛び出るプレイヤーが現れた。
あっという間にそれぞれの浮遊島を守る守護者たちに捕捉されて撃墜されたが。
このエリアにはレベル170の領域守護者が12体いる上に空中戦に長けたモンスターばかり配置されている。
おまけにレベル200の階層守護者である女神リバレイアは問題をまったく解いていない侵入者相手にはステータスが跳ね上がるギミックが組み込まれている。
10人ほどが死に戻り、更に数人が空中庭園の下に見える密林に飛び込もうとしてどこにも到達しないまま外に放り出されたところで、心が折れたのかログアウトするプレイヤーが出た。
あとはその穴から崩れるかのようにずるずると脱落者が続き、残ったのはわずかに数人という有様になってしまった。
音が聞こえない状態だったが映像だけでも彼らが何を言っているのかはわかった。
「卑怯だぞ」「出てきて勝負しろ」「異形種が調子にのんな」あたりだろう。
「もういいんじゃないかね」
誰かがそう呟いたところで、るし☆ふぁーが「んだな」と軽く言ってリモコンを取り出した。
ボタンが一個しかついていないのにリモコンにする意味はあったのだろうか。
「ポチっとな」
そんな気の抜ける声とともにスイッチが押され、騒いでいる連中のいる浮遊島の底が抜けた。
突然のことで空を飛ぶことも思いつかぬままそいつらはナザリックの外に放り出された。
「恐怖公の部屋とかに送り込んだりしないのか?」
「あいつらの声とか聞きたくねーじゃん。有益な情報吐くでもないし相手して楽しい相手でもない」
「それもそうだな。こっちを罵るだけで芸もないしな」
「あれ、たぶんここを攻めるって言って息巻いて仲間を煽った人間がいそうですよね。特に根拠もないですが」
「何かそう思う理由でもあるの?」
「危険を冒してでも先に進む根性もない連中です。ついでにとっさの判断力も悪い。ということは寄生だけはうまいんじゃないかってだけです」
「単に嫌いなだけじゃないか」
「そうとも言います」
「そっちはどうでもいいが、残ったやつらはどうしようか。これ以上問題につき合わせる必要もなさそうだが」
ワイズマンさんが落ちていった連中を悪し様に言っていたが、特に思い入れがあったわけでもないらしい。
事実、スーラータンが話題を推定偵察部隊に移したらもう口にしなくなった。
どうも反射的に悪く言う程度に嫌いであっても、相手にするほど価値を認めていないようだ。
「さっきヘロヘロが言ってたように、闘技場にでも招待するか。どうやって伝えよう?」
「安心しろ。ここの浮遊島はみんな俺謹製のゴーレムだからな。階層突破する最短ルートに組み替えて守護者のリバレイアに通行許可宣言させればすぐ来るだろう」
「せっかく作ったんだけどなあ。もうちょっと解いてほしかった」
「まあまあ、この後本番もあるんですし」
「しかし、偵察部隊は全員残ってるんですね。なんであんなに錬度が違うんだろう」
「それだけ寄せ集めってことなんだろうね。で、誰が戦うよ?」
正直もう襲撃は終わったという空気になっているので闘技場でお金を使わないように、という提案だろう。
金はあっても我々は貧乏性なのだ。
「あ、じゃあちょっとやってみたいことがあるので戦いたいです。レベルも200になりましたしね」
珍しくモモンガさんが率先して対人戦に立候補をした。
何でもレベル200になった時、魔王の称号の効果で「世界を睥睨するもの」というスキルを手に入れたらしい。
ぶっちゃけ戦闘中に魔王が第二形態になるためのスキルで、容姿を変えるスキルを一日に一度だけノーコストで妨害されることなく発動できるというお遊び要素らしい。
せっかく魔王になったのだからやってみたいという気持ちはわからないでもない。
* * *
その後のことを簡潔に述べよう。正直コメントしづらいので簡潔に言うしかないのだ。
モモンガさんは、闘技場に出たとき美少女のアバターだった。そしてその姿で魔王ロールをした。
その容姿と相まった演技は美少女魔王として完成度が高く、思わずそっちで設定を組もうかと悩んだほどである。
それが偵察部隊、否、やつら曰く「モモちゃんファンクラブ」の連中に火をつけてしまった。
「モモちゃん、prpr」だとか「黒髪美少女さいこー!」だとか「罵ってください! いやむしろ心臓握りつぶしてください!」だとか。
あまりに予想外の台詞にメンバーの大半が固まってしまったのは、たぶん仕方がないことだ。
ペロロンチーノやるし☆ふぁーはどうもその反応を予想していた節があるが、明らかにその後のモモンガさんの反応は読めていなかった。
その台詞を聞いてモモンガさんは驚いてしばらく動きを止めた後、変身をすることなく遊び一切抜きの殲滅を開始した。
頭に血が上って変身を使うことを忘れていたらしい。あそこまで肝が冷える「くたばれ」という言葉は初めて聞いた。
自称ファンクラブの連中の最大レベルは150程度。
50もレベル差があると即死魔法をとめる術はまずないといっていい。人間種状態のステータス低下程度でどうにかなる差ではないのだ。
殲滅が終了した後、モモンガさんは丹念に手をハンカチでぬぐったあとそれを魔法で消滅させた。
後で聞いたところによると《グラスプ・ハート/心臓掌握》で手が汚れた気分になったそうだ。
怒りが収まらない様子のモモンガさんはしばらく無言だったが、すさまじく平坦な口調で言葉を発した。
「どうやら私は連中の中で女として認識されているようです」
そう言ってモモンガさんは一度言葉を切ってみんなに向き直ると宣言した。
「だったらやつらの記憶を塗り替えるまでです。私は、モモンガというプレイヤーは魔王なのだと。連中の心に刻み付けてやります。私はユグドラシルの最後を飾る魔王になってやります」
それはモモンガさんが最強を目指すという宣言だった。
やっと(?)モモンガさんが切れました。
色々考えましたがやはり彼がメンバー相手に怒るのはちょっと考えにくい。
なので適当な八つ当たり相手が書いているうちにできたので、そっちで発散して貰うことに。
次は俺ら共の掲示板回になるのかなあ。
その後、モモンガさんの本格強化やってGM接触させて最終決戦。
先が長い。
10:38
なぜか読めなくなってたようです。
編集したらいけるかな。