ユグドラシルでバランス崩壊がおきました   作:Q猫

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特に理由はないけどここから新章。
SIDE:Aはアインズ・ウール・ゴウンサイドですね。

この後、SIDE:O(アウトサイダー/俺ら)、SIDE:G(ゲームマスター)を書く予定。

今回、星のごみ箱さんの「だんぼーる」を採用させていただきました。
ありがとうございます。


魔宮覚醒編
会議 SIDE:A


本来2ch連合を打ち破った流れでトリニティに宣戦布告するはずだったアインズ・ウール・ゴウンであったが、予想外の事態が発生したためその挑発は延期になっていた。

 

理由は単純。「想像してたより敵が弱かったから」である。

(モモンガに言わせれば「想像を絶するほど敵が馬鹿だった」になるが)

 

彼らの希望は敵にダンジョンを攻略してもらい、トラップや配置したNPCで大いに堪能(苦労)してもらうことである。

にもかかわらず、2ch連合は空中庭園でほぼ壊滅。こちらはプレイヤーが一切出ていないにも関わらずである。

新規階層の試験ということもあり、浅い階層での被害による出費や後半メンバーが総力戦で撃退しなければならないかもしれないと覚悟していただけにこれは拍子抜けだったと言える。

1位であるトリニティはもうちょっと強かろうが(この時点で既に願望である)、これでは荒野まで攻略してもらえるかすら怪しい。

せっかくの最終決戦なのだからできれば何人かは玉座の間にきてほしいのにこれはいかんということで難易度調整について話し合いが行われることになったのだ。

 

 

*   *   *

 

 

「だからあのゴーレムにはBGMつけようと思うんだ。ほら近くにいるって思ったら警戒するだろ?」

「ダメです! あれ以上問題を簡単にはさせません! だって解ける人たちいたじゃないですか!」

「氷河地帯での足止めが不十分だった。今度こそリベンジを!」

「他爆スイッチとかどうだろう? 相手が喧嘩になると思うんだけど」

「装備を作らせろ。せっかくだから最高の逸品を作りたい」

 

話し合いは難航していた。というより誰も弱体化させる気がなかったというのが正しい。

みんなそろって前回の攻略時にあった不満点や上手くいった点をより伸ばそうとするのだから無理もない。

何せ劣悪な世界でそれなりの成功を収められるあくの強い人間ばかりである。

いつもならそこまで深刻な議論になる前に止めに入ってくれるギルド長がいるのだが……

 

「絶対あいつらをぶちのめしてやります!」

 

と気炎を上げていた。既に蹂躙したことは「ぶちのめす」に入らないらしい。

おかげでたっち・みーとウルベルトがまとめ役になっていたが、久しぶりだったり慣れないこともあって上手くいっているとは言い難かった。

 

結局、難易度調整どころか次の方針すら定まらないまま、一度頭を冷やそうということで休憩に入った。

「ならもっと画期的な案を」「図面を引くか」「メリットは……」などと呟きながら散っていくメンバーを見て二人がげんなりしたのは言うまでもない。

 

 

*   *   *

 

 

「疲れた」

 

ソファにぐったりと寄りかかってたっち・みーが息をついた。

たった30分だが全力戦闘をした時よりも精神的な疲労を覚えていた。

目の前にウルベルトが座っているのに弱っているところを見せるのだから相当困憊していることが窺える。

 

「まったくだ。これから戻ると思うと気が重い」

 

前かがみにぐったりとしたウルベルトが答えた。

普段と違い皮肉を交えることなく同意したあたり、こちらの疲労も深刻そうである。

 

「モモンガさん、こんな面倒なこといつもやってたのか……」

「押し付けちゃったから悪いとは思っていたが、想像以上に酷いことをしてしまったな」

「貴様を軽率だと笑うのは簡単なんだが……俺もお前と喧嘩して迷惑かけたくちだからな。そいつに関してだけは何も言わないで置いてやる」

「言っているだろうが」

 

モモンガが音頭を取ってくれれば、と思わないでもないが元々善意でやっていてくれていたことに甘えていたのは間違いない。

 

「……とりあえず方針だけでも決めないと話にならんぞ」

「文字通り議論にすらなってないし、意見の取りまとめすらできていないからな。同意する」

 

お互いらしくないと思いつつも背に腹は代えられないのか、いつもの調子で意見交換を始める。

それでも視線を合わせないのだから彼らの仲の悪さも筋金入りである。

 

「まず大前提から行こう。難易度調整をしないという線はありえるか、だ」

「それについてはNOだ。このままの難易度だと仮にユグドラシル全プレイヤーが来ても玉座の間に着く気がしない」

「次、難易度調整の目的だ。これは基本的に最後まで攻略させて玉座の間で叩き潰すことを目標にしたい。異論は?」

「何人通すかによるが同意だ。1000人来れるようでは問題外だ」

 

そういうとウルベルトは体を起こすと伸びをしつつ、ちらりとたっち・みーを見て言った。

 

「申し訳ないがモモンガさんに協力してもらわなきゃならんな」

「おい、また負担をかけようってのか。いい大人が善意に甘えてていいもんでもないぞ」

「違うな。こちらからお願い(・・・)するんだ。投げっぱなしと頼るんじゃ意味が全く違う」

「報酬はどうするんだ。礼だけってわけにはいかんだろう」

「さっきの方針を採用するならなんとかなるさ」

「……そうか。最後に戦うのはまずモモンガさんだ。となると不測の事態に備えて彼の強化は必須か」

「そう、直接あいつらをぼこりたいってモモンガさんの希望に賛成するって言って頼むんだ」

 

ようやく目を合わせた二人は一つ頷き合うと休憩中のモモンガの所に向かった。

ちなみにモモンガは二つ返事で了承した。頼られてうれしかったらしい。

 

 

*   *   *

 

 

「よし、ではさっきまで出た強化案全部やりましょう」

「おい」

「ちょっと待って」

 

会議が再開して方針を確認し合った後に出たモモンガの第一声がこれである。

強化させたがっていたメンバーは歓声を上げたが、当然たっち・みーとウルベルトは突っ込んだ。

 

「簡単な話です。強化には時間がかかりますからやるなら早目にです。対して弱体化もとい難易度調整はいつだってできるのです。使わなくたっていいのですし」

「だからって強化することはないだろう!」

「そうです。あったら使いたくなっちゃうじゃないですか!」

 

ただでさえうちにはそんなの(るし☆ふぁー)がいるんだし、という二人に対してモモンガはこんな意見を出した。

 

「ねえ、タブラさん。うちのダンジョンに脱出ポイント作れます?」

「それならできるよ。単にテレポートの罠を改造するだけだし」

「ではそこに一度だけ転移してくるアイテムの作成は可能ですか?」

「え、まあ、たぶんできるとは思うけど……」

「ちょっと待ってくれ。そんなもの配置したらスキルを削ったり疲れさせる罠が軒並み役立たずになるぞ!」

「そうです! トラップはそういうのに偏ってるんですよ!」

 

そういったメンバーからの意見を受け止めてモモンガは厳かに言った。

 

「だからこその強化です。むしろ殺意マシマシでいいでしょう」

 

メンバーの間に電流が走った。

今までのナザリックは長丁場で相手を疲弊させることを目的としていた。

何故なら敵もこちらと同等の戦力を誇り、数はそれ以上に多かったからだ。

少しでも相手のリソースを削り、数の不利を補うためのトラップが必要だったのは当然ともいえる。

だが、いまは異なる。

2ch連合のレベルは想定より低かった。予想外と言っていいほどに。

レベル差が大きいならば一対多でも勝ち目はある。実際モモンガは一人で疲弊していたとはいえ多数の敵を蹂躙して見せたのだ。

そしてメンバーが一切迎撃しなくとも大半のプレイヤーは脱落した。

これならば途中から侵入しようが撃退できるというのは納得できる。

 

「じゃあ、宝箱とかに即死級のトラップ付けてもいいの?」

「いいんじゃないですかね。リターンアイテムの宝箱なんて全部それでもいいくらいです」

「守護者にガチビルドの取り巻きとかつけてもOK?」

「ぜひやってください。二度突破する必要がないのだから強化したって問題ないです」

 

宝箱トラップ担当のだんぼーるがガッツポーズをして、ペロロンチーノとぶくぶく茶釜が固く手を握り合った。

 

「うーむ、脱出ポイントは何もせずとも一度は戻れる仕様にした方がいいですね」

「ぷにっとさん、その心は?」

「そこで脱出すればまた戻ってこれると思えば、利用するプレイヤーは多いでしょう。進行速度が遅ければ迎撃しやすいですからね」

「じゃあリターンアイテムなくていいですか?」

「そこは最後に利用した脱出ポイントに戻れるとかでいいんじゃないですかね。最後のダンジョンのセーブポイントくらい作ってやってもいいでしょう」

「どうせなら全員1個は確実に手に入るようにしてやるのもいいかもな。二度と手に入らないかもって方が使い惜しんでくれるだろ」

「どうせなら攻略前に配布しますか。入口に説明でも書いて。中で手に入るかもと思えば宝箱を開ける率もあがるのでは?」

 

ぷにっと萌えの意見にるし☆ふぁーとワイズマンが便乗する。

どの程度の頻度で脱出ポイントを設置するか。リターンアイテムの入手難度はどうするかの議論が始まった。

議論があちこちでさらに熱くなっていくのを見てウルベルトはたっち・みーに言った。

 

「なあ、これいいのか?」

「……そういやモモンガさんは大体全員の意見を全部取り入れた上で調整してたな……」

「思い出すのが遅えよ」

「面目ない。というかお前も忘れていただろうが」

 

ため息をつくウルベルトの所にテンションの上がったレイレイがやってきた。

 

「さあ、ウルベルトさん! 素材取りに行きますよ! これで最強装備を大手を振って作れます!」

「いや、もう座標わかったんだから一人でいけるだろうに……」

「何言っているんですか。私方向音痴なんですよ?」

「……ちょっと待て。まさかワールドアイテムが今まで手に入らなかったのって……」

「そうです! 目印がないところだと迷子になるからです!」

「自慢げに言うな!」

 

仕方ないか、と言いつつウルベルトも動き出す。

祭りは楽しいほうがいいし変な制限なんかない方がいい。

全力を出せるならそれに越したことはないのだ。




ぼちぼち終わりに向かっているのだろうか?
なんとなく終わりに進んでいる気はしているのだけど。

ちょっとばかしアンケートを実施。
さすがにこれは答えもらえなくても仕方ないかな?
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