☆伝説の人斬り(オリ主)が異世界から来るそうですよ?   作:モン太

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ペルセウス編
ペルセウス


互いにランスを一打投擲して、受け手は止められねば敗北という単純なゲーム。レティシアはそれで十六夜の実力を測るつもりのようだ。

 

黒ウサギ「だ、大丈夫なんでしょうか……」

 

剣心「………」

 

黒ウサギが心配するのも仕方が無いだろう。なんせ黒ウサギの先輩であるレティシアは魔王との戦いで勝利した経験の有る実力者だ。この箱庭に召喚されたばかりの十六夜では勝つ見込みは薄いだろう。

だが、剣心はレティシアの力の雰囲気に違和感を感じていた。黒ウサギが語るレティシアは元・魔王という事もあって神格持ちなのは明白だ。しかし当の本人からはその様な神性を感じ取れなかったのだ。隠している可能性も有るだろう。

 

剣心(牙を抜かれた狼)

 

剣心がレティシアを見て最初に感じた印象はそんな感じであった。

 

お互いに身構える二人。黒い翼を展開したレティシアが制空権を支配する。そしてレティシアがギフトカードを取り出し、そこから長柄の武具、つまりランスが現れた。

 

剣心(不味い!)

 

その時点で剣心がレティシアから感じていた違和感は明らかになった。

 

カズキと対峙した時もかなりの"圧"を感じたが、レティシアのランスから何も感じない。

 

レティシアは空を飛び、ランスを構える。

 

放たれた槍は瞬く間に摩擦で熱を帯び、一直線へと十六夜に向かって落下していく。その流星の如く大気を揺らしながら放たれた槍の先端を前に十六夜は牙を剥いて笑い、

 

十六夜「カッ―――しゃらくせえ!」

 

十六夜は槍の先端を殴りつけた。槍はあっさりと破壊されてそれは散弾となりレティシアに襲いかかる。彼女も硬直してしまい、このままでは当たってしまう。これが直撃したらただでは済まない。

 

レティシア(これほどとは。だが、これなら任せられる)

 

レティシアは覚悟を決め、目を瞑る。しかし、そこへ剣心はレティシアの元へ跳躍して、抱きかかえ離脱する。

 

レティシア「な、何をする/////」

 

黒ウサギ「……レティシア様、ちょっと失礼します」

 

同じくレティシアを助けようとしてた黒ウサギは確認したいことがあるのかレティシアのギフトカードを掠め取る。記されてあったのは"純潔の吸血鬼ロード・オブ・ヴァンパイア"と武具が幾つかのみ。

 

黒ウサギ「……やっぱり、ギフトネームが変わっている。鬼種は残っているものの、神格が残っていない」

 

十六夜「ハッ。どうりで歯ごたえが無いわけだ。他人に所有されたらギフトまで奪われるのかよ」

 

十六夜は隠す素振りも見せずに舌打ちをする。彼からすれば期待はずれもいいところかもしれない。しかし、彼の言う通り商品とするのであればあまり強くあられては困るからギフトを没収するというのはありえることなのかもしれない。

 

それについては黒ウサギが否定した。

 

黒ウサギ「いいえ……魔王がコミュニティから奪ったのは人材であってギフトではありません。武具などの顕現しているギフトと違い、"恩恵"とは様々な神仏や精霊から受けた奇跡、云わば魂の一部。隷属させた相手から合意なしにギフトを奪う事は出来ません」

 

ということは、レティシアが自分からギフトを差し出したという事になる。その本人であるレティシアは二人の視線を受けて苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら目を逸らす。黒ウサギも苦い表情でレティシアに問いかける。

 

黒ウサギ「レティシア様は鬼種の純血と神格の両方を備えていたため"魔王"と自称するほどの力を持てたはず。今の貴女はかつての十分の一にも満ちません。どうしてこんなことに……!」

 

レティシア「……それは」

 

レティシアはそこから二の句を告げることができない。言いたくない事情があるのか、そのまま口を閉ざしてしまった。すると、剣心が

 

剣心「黒ウサギ、レティシア殿を頼む」

 

黒ウサギ「はい。剣心さんはどこへ行かれんですか?」

 

剣心「......」

 

剣心は答えずに虚空を見つめている。そしてその眼は、黄金の色に変わる。すると、虚空から色の光が射し込んだ。レティシアはハッとして叫ぶ。

 

レティシア「あの光は……ゴーゴンの威光!? もう見つかったのか!」

 

射し込んだ褐色の光はそのまま四人を襲おうと迫り来る。だが、

 

剣心「.....」

 

剣心が眼に力を籠める。すると光が消え

 

レティシア「?何が起こった」

 

自分が石化していない事に驚くレティシア。そして、上空からバタバタと何かが複数落ちてきた。

 

十六夜「おい、こりゃあ何だ?」

 

剣心「……恐らくあのレティシア殿を所有している者の差し金であろう」

 

ペルセウスの兵達は全員眠っていた。

 

十六夜「……いつから気付いてたんだ?」

 

剣心「……十六夜とレティシア殿が力比べを始めた頃からだ」

 

十六夜「……!」

 

既にあの時から此処に侵入していたとは思わなかった十六夜は驚愕する。

 

剣心「……この者達はどうやら、姿を消す類道具を持っているようだな」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

“ノーネーム”本拠に侵入した兵士達を龍の眼の幻覚で再起不能にした十六夜達は、一先ず“サウザンドアイズ”の支店へと赴く事になった。剣心と耀は後から来るらしい。

レティシアの話によると、この兵士達はコミュニティ“ペルセウス”に所属している者らしい。その“ペルセウス”も“サウザンドアイズ”に属しているコミュニティだとか。そしてレティシアはその“ペルセウス”に所有物として囚われているらしい。

だったら話は早いと十六夜が言い、サウザンドアイズの支店に乗り込んでやろうと言う事になったのだ。レティシアを回収する目論見こそ失敗したが、ペルセウスはノーネームに何かしら言いたい事が有る筈であり、それはノーネームも同じであった。その際に十六夜の計らいで飛鳥と耀も同伴させた。

 

そして3人は現在、サウザンドアイズの門前に到着していた。その支店の前にはあの無愛想な女性店員が待っており、どうやら事情は把握済みの様だった。

 

店員「お待ちしておりました。中でオーナーとルイオス様がお待ちです」

 

黒ウサギ「黒ウサギ達が来る事は承知の上、ということですか? あれだけの無礼を働いておきながらよくも『お待ちしておりました』なんて言えたものデス」

 

店員「……事の詳細は聞き及んでおりません。中でルイオス様からお聞き下さい」

 

店員の定例文にも似た言葉を聞き憤慨しそうになる黒ウサギだが、ここは我慢だ。店員に文句を言っても仕方が無いし、何よりレティシアはこちら側に匿ってある。ノーネームの敷地に勝手に侵入した“ペルセウス”の兵士達は剣心によって全て撃退されたものだから、怒りも半減している。それでも仲間に手を掛けようとしたペルセウスに対しての怒りは収まらないのだが、この文句はペルセウスのリーダーであるルイオスとやらにぶつけよう。そう思いながら店内に入り、中庭を抜けて離れの家屋に向かう。

そして中で迎えたルイオスは黒ウサギを見て盛大に歓声を上げた。

 

ルイオス「うわお、ウサギじゃん! 初めて実物見たし! 噂には聞いていたけど、本当に東側にウサギがいるなんて思わなかった! つうかミニスカにガーターソックスって随分エロいんだな! ねーねー君、ウチのコミュニティに来いよ。 三食首輪付きで毎晩可愛がるぜ? 」

 

地の性格を隠す素振りもせず、黒ウサギの全身を舐め回すように視姦するルイオス。それに嫌悪感を抱いた黒ウサギは脚を両手で隠し、飛鳥が壁になるよう前に出た。

 

飛鳥「ふぅん、随分と分かりやすい外道ね。でも残念、先に断っておくけど、この美脚は私達のものよ」

 

黒ウサギ「そうですそうです! 黒ウサギの脚は、って何を言っているのですか飛鳥さん!?」

 

ズバリと言い放った飛鳥の黒ウサギ美脚所有宣言。堂々過ぎて一瞬肯定しそうになる黒ウサギ。

それを見ていた十六夜は呆れながらもため息をついて言う。

 

十六夜「そうだぜお嬢様。この美脚は俺達のものだ」

 

黒ウサギ「そうですそうですこの脚は、って黙らっしゃい!」

 

黒ウサギ美脚所有宣言に十六夜も賛同し、またもや肯定しそうになる……訳が無いか。

しかし二度ある事は三度あると言い……

 

白夜叉「よかろう、ならば黒ウサギの脚を言い値で」

 

黒ウサギ「売・り・ま・せ・ん! あーもう、真面目な話をしに来たのに話が進まないじゃないですか! いい加減にしないと黒ウサギも本気で怒りますよ!」

 

十六夜「おいおい馬鹿だな黒ウサギ。怒らせてんだよ」

 

黒ウサギ「うぅううぅうぅう〜!!! こんのおバカ様ああぁあぁあぁあぁあああぁあぁあぁあぁああッッッ!!!」

 

肝心のルイオスは完全に置いてけぼりを食らっている。"ノーネーム"+白夜叉のやり取りを唖然と見つめて、黒ウサギがボケ組をハリセンで叩いた辺りで唐突に笑い出した。

 

ルイオス「あっはははははは! え、何? "ノーネーム"っていう芸人コミュニティなの君ら。もしそうならまとめて"ペルセウス"に来いってマジで。道楽には好きなだけ金をかけるのが性分だからね。生涯面倒見るよ? 勿論、その美脚は僕のベットで毎夜毎晩好きなだけ開かせてもらうけど」

 

黒ウサギ「お断りでございます。黒ウサギは礼節を知らぬ殿方に肌を見せるつもりはありません」

 

ルイオスのセクハラ極まりない言葉に対して黒ウサギはとりつくしまもなく拒否をする。

 

「「てっきり見せ付けるために着てるのかと思った」」

 

黒ウサギ「ち、違いますよ皆さん!これは白夜叉様が開催するゲームの審判をさせてもらう時、この格好を常備すれば賃金を三割増しにすると言われて嫌々……」

 

一方で白夜叉と十六夜の間には変態同志の奇妙な友情が芽生えていた。話が全然先に進まず黒ウサギは泣く。

 

そして話し合いは再会する。ルイオスが求めてきたのはレティシアの引渡しだ。それに対して黒ウサギは本拠地で"ペルセウス"のメンバーが行った暴挙についての謝罪、もといゲームでの決着を申し出る。

 

黒ウサギ「───ペルセウスが私達に対する無礼を振るったのは以上の内容です。ご理解いただけましたでしょうか?」

 

白夜叉「う、うむ。ペルセウスの所有物・ヴァンパイアが身勝手にノーネームの敷地に踏み込んで荒らした事。それらを捕獲する際における石化のギフトによる無差別の攻撃。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日」

 

黒ウサギ「結構です。ギフトゲームも無しにノーネームのメンバーごとお構いなしに攻撃するなど、無礼にも程が有ります。ペルセウスに受けた屈辱は両コミュニティの決闘をもって決着をつけるべきかと」

 

黒ウサギの台詞を聞けば分かる通り、彼女の狙いは両コミュニティの直接対決だ。

当然ながら、レティシアが敷地内で暴れ回ったというのは捏造だ。しかし彼女を取り戻す為にはこれぐらいの事をしないとなりふり構っていられないのだ。使える手段は全て使わねばならなかった。レティシア自身もそれを承認しているから問題ないだろう。

 

黒ウサギ「サウザンドアイズにはその仲介をお願いしたくて参りました。もしペルセウスが拒むようであれば主催者権限な名の下に」

 

ルイオス「いやだ」

 

ルイオスが唐突に口を開き、そう言った。

 

黒ウサギ「……それはどう言ったおつもりで?」

 

ルイオス「だからいやだって言ってるんだ。ついでに聞くけど、あの吸血鬼はともかく、僕の兵士が其処で暴れ回った証拠があるの?」

 

だがルイオスもコミュニティの長。若いながらもその座に着いた彼は少なくともコミュニティを纏める能力があり、話し合いにしてもこちらを有利に進める交渉術も持ち合わせている。

話し合いの中で最も重要なのは第三者である。裁判においても加害者が被害者に犯罪行為を加えた瞬間を第三者が目撃していれば、それは決定的な証拠となる。第三者が嘘を吐いている可能性も捨てきれないのだが、ありのままの事実を話す割合が高いのも第三者であるのだ。それに加えて証拠品まで揃えば完全に加害者が敗訴となるだろう。

ルイオスは黒ウサギの話に嘘が混じっている事を看破していた。実際に吸血鬼にノーネームを襲えなどと言う命令は下していないし、兵士達には吸血鬼を捕縛しろとしか言っていない。

だが兵士達がそこで暴れ回ったとなれば話は別だ。それが紛れもない事実で黒ウサギ達ノーネームに晒されているのならば仕方のない事だろう。

だがルイオス本人は兵士達が黒ウサギ達を襲った瞬間を見ていない。従って兵士達がそこで暴れ回ったという証拠には確実性が無いのだ。

ルイオスはそこを衝き、黒ウサギを黙らせ逆に此方に引き込む手段を頭の中で確立していた。黒ウサギを引き込む手段としてレティシアと交換する等が有る。絶対的有利は此方に有ると思っていた。

 

だが黒ウサギ達にはその証拠が揃っていた事をルイオスは知らなかった。

 

黒ウサギ「証拠ならあります」

 

ルイオス「……なんだって?」

 

黒ウサギ「剣心さん」

 

剣心「……ああ」

 

剣心と耀がやって来る。そして、2人はそれぞれ兵士達が背負われてた。

 

その光景にルイオスは驚愕した。

 

ルイオス「な、何……!?」

 

黒ウサギ「これだけではありません。この石は石化のギフトで石にされた土と彼等が持っていた旗印です」

 

そう言って黒ウサギの懐から取り出したのは灰色の石とゴーゴンの首を掲げた旗印。それは石化のギフトで一部を石にされた土を削ったものと、剣心によって戦闘不能に追い込まれた兵士達が掲げていた旗印を拝借したものだ。

そして第三者である白夜叉は星霊。この灰色の石を見れば、どのギフトで石化されたのかぐらい簡単に判別出来る。それが理由で石化された石を態々削り取って持って来たのだ。

 

白夜叉「これは……確かにゴーゴンの威光のギフトで石化された石だの」

 

黒ウサギ「その通りです。そしてこれだけの証拠が揃っています。これでも貴方のコミュニティの兵士達が暴れ回った証拠が無いとでも仰るつもりですか?」

 

黒ウサギはハッキリとルイオスに言い放つ。レティシアが暴れ回ったという捏造もルイオスがこの問い掛けをして来るだろうと踏んで巡らせた策だった。つまりルイオスはまんまとその策に乗せられたのだ。

だがルイオスはそれでも余裕の笑みを崩さなかった。

 

ルイオス「ハハハ……成る程ね。ここまで証拠が揃っちゃあ何とも言えないね。参った参った」

 

黒ウサギ「ならば私達とのギフトゲームを受けるという事ですか?」

 

ルイオス「うーん、君達が必死に証拠を集めたのは褒めてあげるよう。だけどそれでも言っておくよ。───いやだ」

 

黒ウサギ「なっ……!」

 

ルイオスは露骨にノーネームとの決闘を拒否した。その言葉に黒ウサギは憤りそうになる。

 

ルイオス「あの吸血鬼は既に箱庭の外のコミュニティに売り払うって決めているんだ。そのコミュニティと既に契約を終えているのに、吸血鬼を賭けてギフトゲームを「ハイします」って言う馬鹿はいないんだよ」

 

黒ウサギ「あ、貴方という人は……!」

 

黒ウサギはウサ耳を逆立てて叫ぶ。だが黒ウサギにはそれを咎める事が出来なかった。

基本的にギフトゲームはお互いの承認で始まる。それは逆に言えば片方が承認しなければいつまで経ってもギフトゲームが始まらないのだ。そのコミュニティのギフトゲームに挑む挑戦権を用意しているギフトゲームをクリアされたのならば何を言おうとその挑戦を受けなければならないのだが、生憎ペルセウスはそのギフトゲームを最近廃止したばかりだ。故に黒ウサギにはペルセウスにギフトゲームを挑む為の手段が無いのだ。

それが理由で、こうしてお互いに会談を開いたのだが、話は平行線のままになってしまっていた。そしてルイオスはある話を持ち掛ける。

 

ルイオス「そうだねぇ、レティシアを取り返したければ取引をしよう」

 

黒ウサギ「……何ですか」

 

黒ウサギがそれを聞き、ルイオスはとんでもない事を言い出す。

 

ルイオス「なに、簡単な事さ。吸血鬼をノーネームに戻してやる代わりに君が僕のものになれば良いのさ」

 

黒ウサギ「なっ、」

 

ルイオス「僕は君が欲しいし、君を隷属させたい。ま、一種の一目惚れって奴? それに箱庭の貴族という箔も欲しいしね」

 

その条件を聞き、黒ウサギは絶句する。飛鳥もこれには堪らず長机を叩いて怒鳴り声を上げた。

 

飛鳥「外道とは思っていたけど、此処までとは思わなかったわ! もう行きましょう黒ウサギ! こんな奴の話を聞く必要は無いわ!」

 

黒ウサギ「ま、待ってください飛鳥さん!」

 

飛鳥は黒ウサギの手を握ってさっさと出て行こうとする。だが黒ウサギは座敷を出なかった。その瞳には困惑の色が混ざっていた。この申し出に彼女は悩んでいるのだ。

 

ルイオス「ほらほら、君は“月の兎”だろ? 仲間の為に煉獄の炎に焼かれるのが本望だろ? 君達にとって自己犠牲って奴は本能だもんなあ?」

 

黒ウサギ「………っ」

 

ルイオス「ねえ、どうしたの? ウサギは義理とか人情とかそういうのが好きなんだろ? 安っぽい命を安っぽい自己犠牲ヨロシクで帝釈天に売り込んだんだろ!? 箱庭に招かれた理由が献身なら、種の本能に従って安い喧嘩を安く買っちまうのが筋だよな!? ホラどうなんだよ黒ウサギ

 

飛鳥「黙りなさい・・・・・!」

 

我慢の限界が来た飛鳥が叫ぶ。

ガチン! とルイオスの下顎が閉じ、困惑した。飛鳥の威光の力だ。

 

ルイオス「っ……!? ………!!?」

 

飛鳥「貴方は不快だわ。そのまま地に頭を伏せてなさい・・・・・・・・・・!」

 

混乱しているルイオスを追い込むように体が勝手に前のめりに歪む。

だがルイオスは命令に逆らって強引に体を起こす。飛鳥のギフトを理解した彼は閉じられた口を強引に開いて言葉を紡いだ。

 

ルイオス「おい、メスガキ。そんなのが、通じるのは格下だけだ、───馬鹿が!!」

 

激怒したルイオスは懐からギフトカードを取り出し、光と共に現れた鎌を柄を掴み、それを飛鳥に向けて振り下ろす。

十六夜はそれを見て飛鳥の前に立ちそれを受け止めた。

 

その剣を人差し指て止めた十六夜。それに驚いて思わず後ろに退がるルイオス。互いに一触即発の空気になってしまった。

 

白夜叉「いい加減にせんか戯け共! 話し合いで解決できぬなら放り出すぞ」

 

白夜叉の一喝によって互いは攻撃の手を収める。

 

ルイオスは悪態をつきながらその場に座った。

 

今まで目を閉じて静かにしていた剣心の口が開く。

 

剣心「……レティシア殿に見合ったモノがあれば、ギフトゲームを受けると言ったな」

 

黒ウサギ「剣心さん」

 

沈んでいた黒ウサギは剣心の方を振り向く、剣心の蒼眼は真っ直ぐルイオスを見ていた。

 

ルイオス「言ったけど、それが何?」

 

瞬間、その場は一人の人斬りの放つ強大な殺気で支配されていた。

 

ルイオス「カハッ……!? ァ、ガ……!」

 

その殺気の前に呼吸困難に陥っているルイオス。

 

彼は現在、あまりの重圧に押し潰されその身体は床に這いつくばっていた。それと共に身体の自由を全て奪われ、心臓を鷲掴みされているかの様な感覚に襲われている。それは彼だけでは無く、他の者達も同じ事が言えた。

周りに破壊を振りまく剣気ではなく、方向をコントロールできる殺気なだけましだが、それでもルイオス程ではないが、皆一様に呼吸が上手く続かない状態だった。唯一対応出来ている白夜叉ですら冷や汗が止まらない状態にあった。

 

剣心が放つ強大な殺気にひれ伏しているルイオスは戦慄し恐怖していた。

 

剣心は静かに口を開く

 

剣心「なら俺を賭けの対象にすればいい。力の程なら、白夜叉が説明してくれる。」

 

黒ウサギ「剣心さん!?」

 

白夜叉「なっ、やめんか剣心!」

 

普段なら、ルイオスは鼻で笑って断るが、ここまでの殺気を出せるなら、白夜叉の説明など不要。こんな戦力が加われば、五桁の本拠を四桁にあげることも容易いだろう。それに早くこの殺気から、解放されたかった。

 

ルイオス「わ、わかった。受ける。」

 

剣心の強大な殺気が解かれる。圧迫感と重圧感から解放され、剣心と白夜叉を除く者達は咳き込んだり、その場から動けずにいた。特にルイオスは酷く、殺気が解かれた瞬間に気絶していた。これではギフトゲームどころでは無い。そこで白夜叉が剣心に提案する。

 

白夜叉「……1週間後にギフトゲームを開催する。それなら良いだろう? 今はこの有様じゃからな」

 

剣心「……ああ、すまない。」

 

ゲームは一週間後に"ペルセウス"が指定した内容で行われることになった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ルイオスが浮き足立って帰って行った後、"ノーネーム"はその場に残された。

 

白夜叉「このバカ者!! ……と言いたいところだが、あの局面では仕方ないか」

 

剣心「すまない……」

 

本当はもっといい方法があったのだが、と白夜叉は言おうとしたが無粋なので止めた。あの時の剣心の目には確かな覚悟を見た。

 

黒ウサギはきっかけをつくってくれた剣心に頭を下げて感謝する。

 

黒ウサギ「あの、ありがとうございます。私達のために」

 

剣心「いや、俺が勝手にやったことだ。出過ぎた真似だとは、自覚している。」

 

十六夜「よし、そうと決まればさっそく準備に取り掛かるか」

 

十六夜からすれば初めてのチーム戦に腕がなる。狙いは当然ルイオスだ。

 

飛鳥「要は勝てばいいのよね」

 

飛鳥も自分の"威光"が破られたことに屈辱を感じている。"ペルセウス"に一泡吹かせなければ気が済まないようだ。

 

黒ウサギ「……私は審判しかできませんけど、精一杯サポートさせていただきます」

 

つまり十六夜、飛鳥、剣心、耀、そしてリーダーのジンで"ペルセウス"と戦うことになる。向こうも当然数の差を生かしたゲームを用意することだろう。

 

しかし、黒ウサギは不思議と負ける気がしなかった。

 

"ペルセウス"とのギフトゲームまで後一週間。

 

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