☆伝説の人斬り(オリ主)が異世界から来るそうですよ? 作:モン太
火龍生誕祭
あの"ペルセウス"とのゲームから約一ヶ月が経過。
何事もない日々が続いていた。
十六夜たちはあれからもギフトゲームをしていたが、あの時のような刺激はしばらく味わっていない。剣心は刺激を求めているわけではなかったが。剣心は傷を癒すために安静にしている事の方が多かった。
そんな日々も今日この瞬間で終わりを告げた。
黒ウサギ「な、───……何を言っちゃってんですかあの問題児様方ああああああああああ───!!!」
───髪色を緋色に変色させた黒ウサギが手紙を持つ手をわなわなと震わせながら悲鳴のような声を上げていた。
早朝から黒ウサギの絶叫が辺り一帯に響き渡り、彼女の側にいた狐耳の幼い少女がびくりと身体を震わせる。もう一人黒ウサギの側にいたレティシアも苦笑と共に溜息を吐いていた。
ノーネームは今日も平常運転である。
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数分後。
剣心「……どうした?」
黒ウサギ「あっ、剣心さんっ」
黒ウサギが絶叫した原因を知るべく尋ねる剣心。その声を聞き黒ウサギが振り返った。そして黒ウサギが事の発端を伝える。
黒ウサギ曰く、問題児達からリリを伝ってこんな手紙が渡されたようだ。
『黒ウサギへ。
北側の四○○○○○○と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。
貴女も後から必ず来ること。あ、あとレティシアと剣心もね。
私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合三人ともコミュニティを脱退します・・・・・・・・・・・・・・・・。死ぬ気で捜してね。応援しているわ。あと、剣心使うのは無しで。速すぎて卑怯だわ。まあ、春日部さんにならいいんじゃないかしら。
P/S ジン君は道案内に連れて行きます』
剣心「.....」
これにはさすがに剣心も内心頭を痛める。サウザンドアイズと言った大規模コミュニティならば戦力の一つや二つが抜けようとも問題無いが、この弱小コミュニティでは一つの戦力が抜けるだけで超が付く大打撃である。それに加え、このコミュニティは彼ら問題児達が要なのだ。サボタージュするのならまだしも、脱退など以ての外。黒ウサギが怒り心頭なのも当たり前である。
剣心「此処に十六夜達は居ない様だな」
黒ウサギ「はい……。子ども達も捜索を手伝ってくれましたが、居ないみたいです」
手紙を読んで絶叫した後の黒ウサギとレティシアの行動は迅速だった。二人は農園跡地から戻り十六夜達がコミュニティの領地内にいないかを確認。最後に鍵を持って下りた黒ウサギは資金が入ってある宝物庫へ。レティシアと年長組の子ども達は建物内の捜索を行った。剣心はその様子を見ているだけ。
しかし結果は発見ならず。益々心労が増した黒ウサギの所へ剣心がやって来たのである。そして黒ウサギが事情を説明するにまで至る。
剣心「……資金を使われた形跡は?」
黒ウサギ「それも有りませんでした。ですが、皆さんの自腹で境界壁アストラルゲートまで向かえる筈がございません! 上手くすれば外門付近で捕まえる事が可能かも知れません!」
レティシア「なら黒ウサギは先に外門へ急げ。万一捕まえられずとも、“箱庭の貴族”であるお前なら境界門の起動に金は掛からない。私と剣心は後で追う。招待状を出したのが白夜叉ならば、サウザンドアイズの支店に行けば無償で北の境界壁まで送り届ける可能性もあるからな」
やり取りを終え、黒ウサギとレティシアは行動を確認し合い、頷く。
特に黒ウサギの瞳には、かつて無い程の怒りの火花が散っていた。
黒ウサギ「あの問題児様方……! 今度という今度は絶対に!! 絶対に許さないのですよーーーッ!!!」
緋色の髪に染まった黒ウサギの周りは怒りのオーラで満ち、本拠に出るや否や、今までとは遥かに違う速度で爆走して行った。
レティシア「それじゃあ、私達もサウザンドアイズの支店に行くぞ。」
剣心「ああ」
そして、
黒ウサギ「ふ、ふふ、フフフフ………! ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方………!」
緋色の長髪を戦慄かせ、怒りのオーラ全開の黒ウサギがいた。
そして彼女の怒りの鉾先には問題児達。危機を感じ取った三人は逃走を図る。
十六夜「逃げるぞッ!!」
黒ウサギ「逃がすかッ!!」
飛鳥「え、ちょっと、」
十六夜は隣にいた飛鳥を抱きかかえ、展望台から跳躍して飛び降りる。耀も旋風を巻き上げて空に逃げた。
十六夜達を追う為に展望台から跳躍する黒ウサギ。跳躍した衝撃が風となって剣心達を通り抜ける。
剣心「………」
レティシア「はは……」
その一部始終を見ていた剣心達は呆気に取られていたのだった。
レティシア「では、我々は別行動で追跡していけばいいか?」
剣心「ああ」
レティシア「なら、剣心は耀を追え。耀なら剣心は追いかけていいそうだからな。」
そう言うと、レティシアは飛んでいった。
剣心は上空のある一点を見つめる。そして、
耀「きゃ!」
一瞬で現れた剣心にお姫様だっこされる。
剣心「......捕まえたぞ。」
耀「う、うん/////」
耀は顔を赤くする。
剣心「今から白夜叉の所に連れて行く」
耀「う、うん/////」
剣心「.....聞いているのか。」
耀「え?あ、はい/////」
剣心(なぜ急に敬語になった?)
剣心「ならいい。」
そう言って、白夜叉の元へ行く。
白夜叉は剣心達を見て、
白夜叉「若いっていいの~。私もあと10年若ければ……あんま変わらんか」
それを白夜叉はニヤニヤと見つめていた。
剣心は相変わらず無言で無表情だが、耀は白夜叉を睨みつけていた。
白夜叉「カカカッ、まあそう怒るでない。少し話したいこともあるし中へ入れ。茶くらい出すぞ」
白夜叉に促されて先程までいたサウザンドアイズ旧支店まで戻る。
そこで耀は出された茶を啜りながらことの経緯を二人へと説明した。
白夜叉「ふむ、なるほど。しかし脱退とは穏やかではない。ちょいと悪質ではないか?」
耀「で、でも黒ウサギもお金がないことを説明してくれたら、私達だってこんな強硬手段に出たりしなかった」
耀は珍しく拗ねたような口調で話す。要は信頼の問題なのだ。
白夜叉「そういえばおんし、髪を染めたのか?」
耀「私も思った。」
剣心は箱庭に召喚された時は、黒髪だったが、今は赤毛になっている。
剣心「元々こういう色だったが、暗殺の仕事の関係上、あまり目立つ特徴は消しておきたくて、黒染めしていた。」
剣心がまた、表情が暗くなる。
耀「そ、そういえば大きなギフトゲームがあるってさっき言ってたよね?」
白夜叉「そ、そうじゃな。まだ説明しておらんかったの」
強引に話題を変える2人。
そう言って白夜叉は先程のチラシとそれとは別のチラシ。
耀の前に出されたのは"造物主達の決闘"というギフトゲームについて記載されているチラシ。参加資格は創作系のギフトを所持していること。
戦いの内容はその都度決まるというものだった。
白夜叉「"生命の目録ゲノム・ツリー"。この恩恵であれば力試しのゲームも勝ち抜けると思うのだが……」
勿論勝者への恩恵は強力なものを用意していると付け足す。
耀はあまり興味なさそうであった。
――――だが、ふと何かに思い立ったようだ。
耀「ね、白夜叉」
白夜叉「なにかな?」
耀「その恩恵で……黒ウサギと仲直りできるかな?」
幼くも端正な顔を、小動物の様に小首を傾げる耀。それを見た剣心と白夜叉はやや驚いた顔を見せたが、次の瞬間暖かな笑みで白夜叉が答える。
白夜叉「出来るとも。おんしがそのつもりがあるのならの」
耀「……そっか。それなら、頑張らなきゃ」
剣心も普段の無表情にしては、珍しく眼に暖かさが篭っていた。
戦闘描写がないとコンパクトに収まる。つまり、戦闘描写は苦手という事(笑)