☆伝説の人斬り(オリ主)が異世界から来るそうですよ? 作:モン太
剣心と三毛猫は耀のギフトゲームの予選を観ている。
耀は特に苦戦する事も無く、無事予選突破した。
観衆の声が止む中、柏手を打った白夜叉が声を上げる。
白夜叉「最後の勝者は“ノーネーム”の出身の春日部耀に決定した。これにて最後の決勝枠が用意されたかの。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールは…… ふむ。ルールはもう一人のホストにて、今回の祭典の主賓から説明願おう」
白夜叉が振り返り場を開けると、僅かに緊張した面持ちの少女が前に出てくる。
少女に白夜叉が少し言葉をかけると彼女は大きく深呼吸し、凛とした声音で挨拶を始める。
サンドラ「ご紹介に与りました、北のフロアマスター・サンドラ=ドルドレイクです」
剣心(ジン同様、まだまだ未熟な頭のようだ。これから、どう成長していくか。)
サンドラの言葉を聞き流しながらそんなことを考えていると、ふとこちらを見ていた白夜叉と眼が合う。
意味深な笑みを浮かべている白夜叉に首をかしげると愉快そうに扇子を開く
剣心は言い知れぬ悪寒を感じた。
大会終了後剣心は白夜叉に連れられ運営本陣営の謁見の間へと来ていた。
そこにはすでに黒ウサギと十六夜の姿があった。
白夜叉「随分と派手にやったようじゃの、おんしら」
十六夜「ああ、ご要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」
黒ウサギ「胸張って言わないでくださいこのお馬鹿様!!」
黒ウサギのハリセンが十六夜を勢いよく叩く。その光景を見たジンが痛そうに頭を抱える。
マンドラ「ふん! “ノーネーム”の分際で我々のゲームに騒ぎを持ち込むとはな! 相応の厳罰は覚悟しているか!?」
白夜叉「これマンドラ。それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろ?」
白夜叉がマンドラを窘めているとサンドラが声をかけてきた。
サンドラ「“箱庭の貴族”とその盟友の方。此度は“火龍誕生祭”に足を運んでいただきありがとうございます。貴方達が破壊した建造物の一件ですが、白夜叉様のご厚意で修繕してくださいました。負傷者は奇跡的になかったようなので、この件に関しては私からは不問とさせていただきます」
それに対し、小さく舌打ちするマンドラ。そして十六夜が意外そうに声を上げた。
十六夜「へぇ。太っ腹なことだな」
剣心(そう思うなら、なぜ壊した。だいたい走るだけで時計塔が壊れるとは、一体どうゆうことだ?)
そう呟いているといつの間にか周りにいたサラマンドラの同士がこの場からいなくなっていた。
サンドラ「ジン、久しぶり! コミュニティが襲われたと聞いて随分と心配していた!」
人がいなくなったことでサンドラは硬い表情と口調を崩しジンに駆け寄る。
ジン「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」
ジンも笑顔でサンドラに話しかける。
サンドラ「本当はすぐに会いに行きたかったけど、お父様の急病や継承式のことでずっと会いに行けなくて」
ジン「それは仕方ないよ。だけどあのサンドラがフロアマスターになってたなんて―――」
マンドラ「そのように気安く呼ぶな! 名無しの小僧!!」
ジンとサンドラが親しく話していると、獰猛な牙をむき出しにしたマンドラが帯刀していた剣をジンに向かって抜く。その刃がジンの首筋に触れる寸前
キン
マンドラの剣の刀身が丸々無くなる。
マンドラ「なっ!」
カチッ
音の方に視線を向けると、剣心が刀を収めていた。そして、左手にマンドラの剣の刀身が親指と人差し指でつままれていた。
白夜叉(抜刀から納刀までの流れが全く見ないとはの)
白夜叉が冷汗をかく。
十六夜「おい。止める気なかっただろオマエ」
マンドラ「当たり前だ! サンドラはもう北のフロアマスターになったのだぞ! 誕生祭も兼ねたこの共同祭典に“名無し”風情を招き入れ、恩情をかけた挙句、馴れ馴れしく接されたのでは“サラマンドラ”の威厳に関わるわ! この“名無し”のグズが!」
白夜叉「これ!止めんか!」
白夜叉「まずは私の話を聞け」
柏手を打ち視線を集めると一枚の封書を取り出す。
白夜叉「この封書に、おんしらを呼びだした理由が書かれておる」
十六夜は封筒を見る。
黒ウサギ「十六夜さん?何が書かれているのです?」
十六夜「自分で確かめな」
十六夜の手から手紙を取ると、黒ウサギに渡す。
そこには只一文、こう書かれていた。
『火龍誕生祭にて“魔王襲来”の兆しあり』
黒ウサギ「……なっ」
黒ウサギは絶句した後、うめき声のような声を漏らす。次に確認したジンも同様の反応だ。
十六夜「正直意外だったぜ。てっきりマスターの跡目争いとか、そんな問題だと思ったんだがな?」
マンドラ「なに!?」
白夜叉「謝りはせんぞ。内容も聞かずに引き受けたのはおんしらだからな」
十六夜「違いねぇ」
十六夜が肩を軽くすくめながら肯定する。
十六夜「で、俺たちに何をさせたいんだ? 魔王の首を取れってんなら喜んでやるぜ」
獰猛な笑みを浮かべて尋ねる十六夜に愉快そうに眼を細める白夜叉。
白夜叉「まずはこの封書だが、これは“サウザンドアイズ”の幹部の一人が未来を予知した代物での」
十六夜「未来予知ねぇ。で、その信憑性は?」
白夜叉「上に投げれば下に落ちる、という程度だな」
十六夜「なるほど、よくわかった。それじゃあ、もうすでに犯人も犯行も動機も全部わかってるんじゃないのか?」
十六夜の言葉に全員の視線が向き、すぐに白夜叉へと向けられる。白夜叉は何も答えず只口元を扇子で隠すだけだ。
十六夜「……なるほど。そいつは口に出すことが出来ない立場の相手ってことか」
理解した十六夜の言葉にジンがハッとしてサンドラを見た。どうやら何かしら嫌な予想が立ったらしい。それを聞きながら剣心は白夜叉を見た。
白夜叉「ボスからの直接の指示でな。内容は預言者の胸の内一つに留めておくように厳命が下っておる」
白夜叉「ま、そう緊張せんでもよい。魔王はこの最強のフロアマスター白夜叉様が相手をする故
な! おんしらとサンドラは露払いをしてくれればそれでよい。大船に乗った気でおれ!」
呵々大笑する白夜叉。しかし、剣心は少しの不安を抱いていた。
剣心(魔王と言うことは、リュウやカズキ、白哉の様な者を相手取るという事。白夜叉殿でも油断していると倒されかねん)
そんなことを考えていると、十六夜が不機嫌そうな表情を浮かべる。
白夜叉「やはり露払いは気に食わんか小僧?」
十六夜「いいや。魔王がどの程度だか知るのに丁度いいしな。だが、『どこかの誰かが偶然に』魔王を倒しても問題ないよな」
白夜叉「かまわん。隙あらば魔王の首を狙え、私が許す」
そして、話題は耀の参加するギフトゲームに移る。
耀「明日戦うコミュニティって何処?」
白夜叉に明日の対戦相手を聞くが、詳しく説明するのは不公平だと言って指をパチンと鳴らす。すると空中に羊皮紙が現れ、そこに文字が浮かび上がる。
そこには決勝参加コミュニティが記されていた。それを見た飛鳥が驚きの声を上げる。
ゲームマスターに"サラマンドラ"。参加コミュニティに"ウィル・オ・ウィスプ"と"ラッテン・フェンガー"、そして"ノーネーム"。
羊皮紙を見ていた十六夜は何かに気がついて笑った。
十六夜「へえ……"ラッテン・フェンガー"? 成程、"ネズミ捕りの道化ラッテン・フェンガー"のコミュニティか。なら相手はさしずめハーメルンの笛吹きってところか?」
ハーメルンの笛吹きは正式名称"ハーメルンの笛吹き男"。グリム兄弟等の複数の作者によってドイツの街、ハーメルンの災厄を記した民間伝承のことである。ちなみに現在ツナが想像しているのは"ハーメルンの笛吹き男"では無く"ブレーメンの音楽隊"。同じグリム童話の話ではあるものの話の内容は全く違う面白おかしい話だ。
黒ウサギ「ハ、ハーメルンの笛吹きですか!?」
白夜叉「どいうことだ小僧。詳しく聞かせろ」
突然黒ウサギと白夜叉が声を荒げた。
何でも"ハーメルンの笛吹き"という魔王コミュニティ傘下のコミュニティが実際にあったそうで、そのコミュニティ自体は魔王が敗れたことでこの世から消え去った筈だったのだ。だが、もし十六夜の話が正しいのであればまだ残党が残っているということになる。しかもその残党はこの祭りに潜んでいる可能性が高い。
明日の決勝で"ラッテン・フェンガー"が何か仕掛けてくるのではと皆が心配になったが、白夜叉が前もって"参加者以外はゲーム内に入れない"や"参加者が主催者権限を使うことができない"といった決まりをつけていたのでとりあえずゲームの最中に魔王が襲ってきても主催者権限を使うことはできない。だが、剣心は一抹の不安を感じ取っていた。
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次の日、日が昇りきり、開催宣言の為に黒ウサギが舞台中央に立つ。黒ウサギは胸一杯に息を吸うと、円状に分かれた観客席に向かって満面の笑みを向ける。
黒ウサギ『長らくお待たせいたしました! 火龍誕生祭のメインギフトゲーム・"造物主達の決闘"の決勝を始めたいと思います! 進行及び審判は”サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』
「うおおおおおおおお月の兎が本当にきたああああああああぁぁぁぁああああ!!」
「黒ウサギいいいいい! お前に会うため此処まできたぞおおおおおおおおお!!」
「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおお!!」
観客(主に男)は喉が壊れんばかりの熱裂な声援を発して、地震でも起こったかのような揺れを引き起こす。中には『L・O・V・E 黒ウサギ♥』と書かれた旗を持っている者もいた。
そんな男達を社会のゴミでも見るような冷めた目で観客を見下ろす飛鳥。彼女はまだ娯楽の少ない戦後であったが故のギャップを感じ取っていた。
リリを挟んだ隣では黒ウサギのスカートの中身について熱く語り合っている十六夜と白夜叉がいる。馬鹿二人は顔を見合わせ頷きあった。そして何処に隠していて、何時持っていたか分からない双眼鏡を取り出し黒ウサギのスカートの裾を目で追う。
サンドラ「あ、あの~?」
マンドラ「見るな、サンドラ。馬鹿がうつる」
飛鳥「はぁ~。もうすぐ春日部さんの試合が始まるっていうのに・・・・・」
飛鳥は呆れながら馬鹿二人を空気と思うことにしたのだった。
ここにいない耀は観客席から見えない舞台袖にいる。レティシアやジン、剣心、そして三毛猫も一緒だ。耀はジンから対戦相手の情報を聞いている。
ジン「――"ウィル・オ・ウィスプ"に関して、僕が知っている事は以上です。参考になればいいのですが……」
耀「大丈夫。ケースバイケースで臨機応変に対応する」
どこかで聞いたような返答に苦笑するジン。
本当であればパートナーを一人まで参加させても良いのだが、耀はそれを拒否。
剣心「あまり無理はするな」
耀「……うん、いってきます」
普段、何事にも無関心な剣心が心配してくれる事に少し嬉しくなる耀。
耀の決勝戦が始まった。