☆伝説の人斬り(オリ主)が異世界から来るそうですよ?   作:モン太

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これよりフォレス=ガロに天誅を加える

剣心の催促によって全てを語ったジンは悲痛な面持ちでその話を終えた。

 

ジン「ーーーこれが、今の僕達のコミュニティの現状です」

飛鳥「成る程ね。貴方が言いたいのはつまり、何のメリットも無い彼のコミュニティに入るくらいなら、此方のコミュニティに入らないかと。そう言う事ね?」

ガルド「そうです。私のコミュニティ、フォレス=ガロはコミュニティの旗印を賭けたゲームに連戦連勝。今やこの地域を治める程になっています。とはいえ、このカフェテラス自体は本拠が南区間に有るので手出しは出来ませんが」

 

ガルドが得意気に話をする中、ジンは黒ウサギと同様に後悔していた。強力な戦力を持つ彼等に、真実を語る事無く欺けると思ってしまった自分を殴りたくなる気分だった。

剣心の催促で話してくれる展開に持って行ってくれたものの、彼がそうしなかったらそのまま黙るしか無かっただろう。そしてガルド=ガスパーに言われるがままとなっていたであろう。

結局は彼が切っ掛けを作ってくれたからに他ならない。ジンだけでは真実を語ろうとする勇気すら無く、その一歩すら踏み出せなかっただろう。

ジンはその後悔に苛まれ、項垂れてしまった。こんなに後悔するのなら、初めから話せば良かったと。彼もまた、黒ウサギと同様な事で後悔していた。

 

ガルド「ジン=ラッセルのコミュニティと何方どちらが裕福かなんて比べものにならないでしょう。もう一度言います、黒ウサギ共々私のコミュニティに入りまーーー」

飛鳥「結構よ。ジン君のコミュニティで間に合ってるもの」

ジン「……え?」

ガルド「は?」

 

飛鳥の言葉にジンは顔を上げ、ガルドは笑顔のまま固まり、お互いに飛鳥の顔を窺った。

彼女は何でも無い様な表情のまま、耀に顔を向ける。

 

飛鳥「春日部さんはどうするの?」

耀「……私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

飛鳥「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら? 私達って正反対だけど、意外と仲良くやっていけそうな気がするの」

耀「……うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」

飛鳥「そう、よろしくね春日部さん」

『良かったなお嬢……お嬢に友達が出来てワシも嬉しいわ』

 

女子二人の中に友情ムードが広がる。

 

飛鳥「それで、緋村さんは?」

剣心「……俺が外道の率いるコミュニティの傘下に下るとでも思っているのですか?」

飛鳥「成る程ね、理由としては上等な部類だわ」

 

飛鳥も自分の目から見て、剣心は相当な強者である事は分かっている。そんな強者がホイホイと他所のコミュニティに率いられるがままの者なら、それは強者としての器では無い。彼女は剣心のその言葉を上等な部類として納得した。

その様子にガルドは頬を引きつらせながら質問した。

 

ガルド「……何故、そのような結論に至ったのか教えて頂けますか?」

飛鳥「だから間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達を作りに来ただけ。剣心さんは貴方のコミュニティに入る気は更々無い。そうよね?」

耀「うん」

剣心「愚問だな」

飛鳥「そして私、久遠飛鳥はーーー裕福だった家も、約束された将来も、全てを捨ててこの世界に来たのよ。今更恵まれた環境に入れられて、喜ぶとでも思う?」

 

飛鳥はそうピシャリと言い切る。それに対してガルドは身を乗り出して反論しようとしてーーー

 

ガルド「し、しかしーーー」

飛鳥「黙りなさい・・・・・」

 

ーーー出来なかった。

飛鳥が命じたと同時にガチン! とガルドの口が勢い良く塞がり黙り込んだ。

その事実にガルドは混乱してしまう。口を開こうとしているが、開く気配は全く無く、声すら出ない。

 

ガルド「!?………っ!?」

飛鳥「そういえば私、少し気になっている事が有るの。貴方はそこに座って、私の質問に答え続けなさ

い!」

 

再び飛鳥が命じる。すると先程と同じ様に命令通りとなり、今度は勢い良く椅子に座り込んだ。

こうなればガルドはパニックに陥る事は必然、抵抗すら出来なくなっていた。

 

剣心(……此れは大した力だな。言葉で相手を支配するとはな)

 

飛鳥の放つ、その理解不能の力を目にした剣心はその能力に興味を持った。

この様な力は剣心の世界でもそうはいない。

 

その剣心の興味を他所に、飛鳥達の中で話し合いは続いて行く。

 

飛鳥「ねえジン君。ブランド名にも等しいコミュニティの旗印を賭けたゲームはそうそう有るものなのかしら?」

ジン「や、止むを得ない状況なら稀に。しかし、コミュニティの存続を賭けたゲームはかなりのレアケースですから」

飛鳥「そうよね。此処に来た私達でもそれぐらい分かるもの。ギフトゲームに強制力を持たせる事によって“主催者権限”を持つ者は魔王として恐れられている筈。その魔王でもない貴方がどうして強制的にコミュニティを賭け合う様な大勝負を続けられるのかしら。教えてくださる・・・・・・・?」

 

そして飛鳥の言霊がガルドに再び飛び、ガルドの抵抗とは関係無くその口は開き言葉を紡ぐ。

 

ガルド「き、強制させる方法は様々だ。一番手っ取り早いのは相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫し、ゲームに乗らざるを得ない状況に持って行く事だ」

飛鳥「あら野蛮。でも、そんな方法で組織を吸収しても彼等は従順に貴方の下で働くかしら?」

ガルド「す、既に各コミュニティから数人の女子供の人質を取ってある」

ジン「な……!」

飛鳥「……それで、その人質は何処に?」

 

 

ガルド「もう殺した」

 

 

その事実に、周りが凍り付いた。

 

飛鳥、耀、ジンの三人は目を開き、思考を停止させる。その中で剣心だけは動じる事は無かった。既に殺し殺されの世界にいた事で、その程度の事実など驚愕するに値しないからだ。

ガルドは言葉を紡ぐ事を止めず、飛鳥の命令通りに続ける。

 

ガルド「初めてガキ共を連れて来た日、鳴き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、苛々は止まらずまた殺した。それからは連れて来たガキ共は全部纏めてその日の内に始末する事にした。だが身内のコミュニティの人間を殺せば組織に亀裂が入る。そして始末したガキ共の遺体は証拠が残らないよう腹心の部下に食わせーーー」

 

飛鳥「黙れっ・・・!!」

 

ガチン!! とガルドの言葉の紡ぎは飛鳥の凄味を増した怒鳴り声で黙らせた。その飛鳥の表情には怒気が含まれていた。

 

飛鳥「素晴らしいわ。ここまで絵に描いた様な外道とはそうそう出会えなくてよ。似非紳士さん」

 

パチン、と飛鳥が指を鳴らし、それを合図にガルドを支配していた力が霧が晴れたかの様に解ける。混乱から脱出したガルドは怒り狂い、カフェテラスのテーブルを勢い良く叩き砕くと、

 

ガルド「こ……この小娘がァァァァァァァァァァッ!!」

 

怒りの雄叫びと同時にその体を変化させた。元からピチピチのタキシードを着用していたそれは弾け飛び、黒と黄色のストラップ模様の虎へと姿を変えた。

ガルドのギフトはワータイガーと呼ばれる混血種。人狼などに近しい種族である。

 

そのワータイガーへと姿を変えたガルドはその丸太の様な太い剛腕を振り上げ、飛鳥に襲い掛かるーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー筈だった。

 

「黙れ、殺すぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、剣心の剣気によって強制的に中断させられる事になった。

剣心はほんの僅かな剣気を発し、ガルドにぶつけただけだ。

そう、ただそれだけの行為でガルドの中に有る本能は危険信号という悲鳴を上げ、恐怖によってその体を無理矢理止めているのだ。

ガルドの脚はガタガタと大きく震え、それは徐々に酷くなって行く。先程の怒りは恐怖によって塗り潰されてしまった。目の前の小娘を殺す事などどうでも良いと無意識で思ってしまう程に。

 

剣心「先ほどの話など、よくある事だ。だが、俺の眼の届く範囲で決してその様な事は看過できない。」

剣心「次喚けば、殺す。」

 

静かなる言霊を発する剣心。それはガルドにとって死刑宣告にも等しい言葉となって聞こえて来る。冷や汗が流れ、それが止まる気配は一切無い。

剣心の僅かな剣気と言葉。ただ此れだけの要素でカフェテラスの周りの四人は兎も角、周囲にいた無関係の者達まで1人残らず静まり返ってしまった。

 

 

 

現在、街中で言葉を発する者は誰一人としていない。

 

 

 

剣心はガルドを一瞥する事すらせず、飛鳥に視線を向ける。その表情は呆れ返ったものであった。

 

剣心「……飛鳥殿」

飛鳥「何かしら?」

剣心「俺はこの外道が許せない。ここは箱庭のルールで天誅を加えるべきだと考えているのだが」

飛鳥「あら、元からそのつもりよ」

 

その素っ気無い剣心の言葉に飛鳥は不敵な笑みを浮かべ、椅子から立ち上がる。どうやら、飛鳥と耀は剣心の剣気に当てられても特に影響は無かった様だ。とはいえ、当然と言えば当然なのだが。

飛鳥はそのまま震え上がったままのガルドに歩み寄り、悪戯っぽい笑顔で話しかけて来た。

 

飛鳥「無様ねガルドさん。そんなに震え上がってしまうなんていい気味だわ。でもね、貴方の様な外道はこれ以上にズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよ。ーーーそこで皆に提案なのだけれど」

 

飛鳥のその言葉に固まっていたジンや周りの者達は我に返り、飛鳥を見上げて首を傾げる。飛鳥は細長い綺麗な手を逆さにしてガルドを指差し、

 

飛鳥「私達とギフトゲームをしましょう。貴方の“フォレス=ガロ”存続と“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」

 

彼女は高らかにそれを宣言した。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

それは、十六夜と黒ウサギが噴水広場に合流した時の事である。

 

黒ウサギ「フ、フォレス=ガロとゲームをするうううぅぅ!?」

 

黒ウサギ「な、何であの短時間にフォレス=ガロのリーダーと接触して更に喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備している暇も有りません!」「一体どういうつもりなのですか!」「というか聞いているのですか四人とも!!」

 

剣心「すまない。黒ウサギ殿、2人に任せるつもりだが、一応俺も参加するので勘弁してはくれないでしょうか?」

飛鳥&耀「「ムシャクシャしてやった。今も反省していない」」

 

黒ウサギ「騙らっしゃい!!」

 

スパァーン! と黒ウサギのハリセンが2人の頭に直撃する。剣心にはハリセンは飛んで来なかった。おそらく1番まともであろう事と、何より召喚の際の殺気を当てられた事がトラウマになってしまっていた。

 

十六夜「まあ良いじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売った訳じゃねえし許してやれよ。」

 

黒ウサギ「でもこのゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ? この“契約書類ギアスロール”を見て下さい」

 

黒ウサギはそう言いながら“契約書類”を十六夜に見せる。

“契約書類”とは“主催者権限”を持たない者達が“主催者”となってゲームを開催する為に必要となるギフトである。

そこにはゲーム内容・ルール・チップ・賞品などが書かれており、これに主催するコミュニティのリーダーが署名することでゲームが成立する。そして、その“契約書類”に記されていた賞品の内容はこうであった。

 

十六夜「“参加者が勝利した場合、主催者は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する”ーーーまあ、確かに自己満足だな。時間を掛ければ立証出来るものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだしな」

 

これが、今回のギフトゲームに置いての賞品の内容だった。ノーネームとなり、衰退した状態での初のギフトゲームにしてはあまり華が無いだろう。“相手は罪を認め法の下で裁かれ、コミュニティを解散する事”に対して此方側は“罪を黙認する”というものだ。この様な内容は箱庭のギフトゲームでも有る意味レアケースものだろう。華が無いとか地味などと言われても仕方が無い事である。

 

黒ウサギ「確かにそうですけど時間さえ掛ければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は……その……」

 

黒ウサギも流石にフォレス=ガロがそこまで酷い状態であった事は思いもしなかったのであろう。最後の方で言い淀む。

 

飛鳥「その通りよ。人質は既にこの世にいないわ。まあその点を責め立てれば必ず証拠は出るでしょう。だけどそこには少々時間が掛かる事も事実よ。あの外道を裁くのに無駄な時間を掛けたくないの」

 

箱庭の法の有効範囲は箱庭都市内のみ。外は箱庭の管轄外であり、様々な種族のコミュニティが各々独自の法を敷いて生活している。其処へ逃げ込まれたら最後、箱庭の法で裁く事は不可能となる。

 

飛鳥「それにね黒ウサギ。私は道徳云々よりも、あの外道が私の活動範囲内で野放しにされる事が許せないの。此処で逃がしてしまえば、また必ず狙って来るに違いないもの」

黒ウサギ「そ、それはまあ……逃がせば厄介かも知れませんけれど」

ジン「僕もガルドを逃がしたくないと思ってる。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」

 

飛鳥の言にジンも同調する姿勢を見せる。それに対し黒ウサギは諦めた様子を示し頷いた。

 

黒ウサギ「はぁ〜、仕方が無い人達です。まあ良いデス。黒ウサギも腹立たしいのは同じですし。フォレス=ガロ程度なら十六夜さんか剣心さんがいればーーー」

十六夜「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

剣心「参加しますが、手を貸すつもりはありませんよ?」

黒ウサギ「HA?」

飛鳥「当たり前よ。貴方達は参加させないわ」

 

黒ウサギが言いかけた時に参加をきっぱりと拒否する二人。その事に黒ウサギは唖然となり、慌てて食って掛かる。

 

黒ウサギ「だ、駄目ですよ! 御二人様はコミュニティの仲間なのですからちゃんと協力しないと」

十六夜「そういう事じゃねえよ黒ウサギ」

 

だがそこで十六夜が真剣な表情となり、黒ウサギを説き伏せる。

 

十六夜「いいか? この喧嘩はコイツらが売った。そしてヤツらが買った。そこに俺達が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ。まあ俺は兎も角、剣心も手を出す気は更々無えみてえだし、説得しても無駄だぜ?」

剣心「……」

飛鳥「あら、分かっているじゃない」

黒ウサギ「……もう好きにして下さい〜」

 

彼等に振り回された黒ウサギには既に言い返す気力すら残っていない。もうどうにでもなれとばかりに投げやりになり肩を落とすのであった。

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