錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

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予告通り、おふざけと挿入話です。


それではごゆるりと。






Extra story

まずは没ネタ、おふざけから。

時系列はメチャクチャです。

 

 

 

 

ネタその1: 森での罰則

 

 

「魔法使いか。警告はした。ならばその命、捨てるということでいいのだな」

 

 

俺は目の前の影に警告し、剣を一本射出した。影は杖から銀の盾を出したが、出された剣は魔力を掻き消すもの。そのまま盾を砕き、その足元に...

 

グサリ

 

 

「ギャアアアアアアアアアッ!?」

 

「あ、しまった」

 

 

刺さらずに影に刺さった。地に倒れた影からは、霞のようなものが立ち上って来たので、霊魂に有効な剣を投影し、切りつけた。

 

 

「グアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

ハリー・ポッター、これにて完結!!

 

流石にふざけすぎました。

 

 

 

 

ネタその2: 森での罰則, take2

 

 

 

「魔法使いか。警告はした。ならばその命、捨てるということでいいのだな」

 

 

俺は目の前の影に剣を一本射出した。影は杖から銀の盾を出したが、出された剣は魔力を掻き消すもの。そのまま盾を砕き、その足元に...

 

ぷっす!

 

 

「あ……」

 

 

刺さらずに、代わりにケンタウロスの体に刺さった。序でに残りの三本も。目の前に割り込んできたケンタウロスは息絶えた。オレも影も、しばらくなにもせず、ただただ突っ立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタその3: 変身術の授業

 

 

「今日はカナブンからボタンを作ります。黒板を見てください」

 

 

黒板を用いてマグゴナガル先生が複雑な解説をしたのちに、生徒それぞれにカナブンが一匹ずつ配られた。そしてそれぞれ杖を取り、カナブンに杖を振ったけど、やっぱり上手くいったのはハーマイオニーだけだった。マグゴナガル先生はハーマイオニーの出来を褒め、グリフィンドールに十点加点した。

 

 

「他の方々はどうですか? それではミスター・エミヤ、やってみてください」

 

「はい」

 

 

シロウは返事をしてアゾット剣をかまえ、振った。私達は油断していた。今日は尖った要素を持つものは無く、まあ術後も尖った物になるわけでもないので、変なことは起こらないと思っていた。そしてシロウのカナブンはボタンに変わった。

 

......花の牡丹に。

 

 

「へ?」

 

「はい?」

 

「……失敗ですね。確かにボタンですが、ボタン違いです」

 

 

マグゴナガル先生が杖を一つ振ると、牡丹はカナブンに戻った。先生はもう一度シロウに試させた。シロウがアゾット剣を振ると、カナブンはボタンに変わった。

 

......猪の肉に。

 

 

「なんでさ…」

 

「「はい?」」

 

「……もう一度やってみてください。術は確かにかかってはいますから」

 

 

三度めの正直とばかりにシロウはアゾット剣を振った。そしてカナブンに魔法がかかり、その姿を変えた。

 

 

「最初に言っておく!! ここはどこだ……」

 

「俺、参上!!」

 

「千の偽り万の嘘。お前、僕に釣られてみる?」

 

「俺の強さにお前が泣いた!!」

 

「オオーみんなおっきい! ねぇねぇここで踊ってもいい? 答えは聞いてない!!」

 

「降臨、万を辞して」

 

 

なんかよくわからない小さな六人の鬼に。しかも赤青黄色紫白黒と本当に色とりどり。

 

 

「もはやボタンの要素ないじゃないか、誰だよお前たちは!?」

 

「デネ○です。これお近づきの印のデ○ブキャンディー」

 

「オレはモモ○ロス!! 言っとくがオレは最初っから最後までクライマックスだぜ!!」

 

「先輩あとがつかえてるよ? 僕はウラタ○ス。そこのお嬢さん可愛いねぇ。僕に釣られてm」

 

「ウラちゃん次々。僕はリュウタロ○だよ」

 

「ジークという。下々の者、よろしく頼む」

 

「わいはキン○ロス。わいの強さは泣けるでぇ!! 涙は、これで拭いとき」

 

「別の意味で泣きたいわアアアアアアアッ!?!?」

 

 

オルゥゥゥトォォォォォオオオ!!!! 、とシロウは涙を流しながら叫んでいた。黄色い一本角を生やした筋骨隆々の小さな鬼みたいなのは、シロウに小さな紙切れを渡し、日本のカラステングっていうのがつけてそうなお面をつけているのはマイペースにみんなに飴を配っていた。他の四人は好き勝手に喧嘩をしていた。机の上で。青いのは何か軽そうで嫌だな。赤いのは結構好感が持てるかも。白いのは上から目線だけど義理堅そう。紫のは結構可愛い。

 

オルトって誰なんだろう?

 

 

以上、マリーの日記より

 

 

 

 

すみませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタその4: 最後の部屋、鏡の前

 

 

「クィレル!! 石を奪え!! 殺しても構わん!!」

 

「御意!!」

 

 

ヴォルデモートがそう言うと同時に、私は出口に向けて走り出した。しかし目の前を炎の壁に阻まれた。気配がしたため振り返ると、目の前にはクィレルがおり、私は床に押さえつけられた。首を捕まれた瞬間、傷跡が燃えるような痛みに襲われた。私は思わず目をつむり、叫び声をあげた。

けどクィレルも一緒に苦悶の声をあげていた。手を離されると少し痛みが引いたから、目を開けてクィレルの方を見た。彼の右手は爛れて、次いでボロボロと崩れ始めた。

 

 

「何をしている!! 早く石を奪え!!」

 

「しかし御主人様。手が、私の手が!!」

 

「なら魔法を使え!! 小娘を殺せ!!」

 

 

ヴォルデモートの言葉に、クィレルは残った左手に杖を持って、呪いを唱え始めた。私は咄嗟に彼のもとへ行き、その顔を掴もうとした。そのとき、

 

 

━━ 右に避けろ

 

 

ただ一言シロウの声が頭に響いた。私はなにも考えず、無意識に体を横にずらした。と同時に、一筋の赤い方光が通り過ぎ、クィレルの眉間ど真ん中に刺さった。それは真っ黒な捻れた剣だった。

クィレルは末期の声を上げることなく、この世から去った。

 

 

 

11歳の子供にはちょいときついかな。という訳でボツ。

 

 

 

 

 

 

ネタその5: 最後の部屋、鏡の前

 

 

「クィレル!! 石を奪え!! 殺しても構わん!!」

 

「御意!!」

 

 

ヴォルデモートがそう言うと同時に、私は出口に向けて走り出した。しかし目の前を炎の壁に阻まれた。気配がしたため振り返ると、目の前にはクィレルがおり、私は床に押さえつけられた。首を捕まれた瞬間、傷跡が燃えるような痛みに襲われた。私は思わず目をつむり、叫び声をあげた。

 

 

「キャァァアアアアッ!! 痴漢!!」

 

「なっ!?」

 

「変態!! サイテイ!! ロリ○ン!!」

 

「なッ!? そんなつもりは……」

 

「女の子押し倒しておいて今更言い訳!?」

 

「ち、違うぞ!?」

 

「誰かー!? ここに淫魔が!! 真性の淫魔がー!!」

 

「おい、やめろ!? それは誤解d「ほう? 貴様か。マリーに変態行為を働いている真性のケダモノは」なっ!? エミヤシロウ!?」

 

 

クィレル(ケダモノ)が驚愕の声を上げると、シロウは右腕を一振りした。すると空中に三十は届くだろう数の剣が、剣先を全てクィレルに向けて浮遊していた。

 

 

「な、ななな、なな!?」

 

「天誅」

 

「ウワアアアアアアアアアア!?」

 

 

 

シリアスが台無しなのでボツ。というよりマリーさんのキャラじゃない気がするので。

 

 

 

 

ネタその6: ハロウィンのトロール騒動

 

 

 

女子トイレに入ると、まさにトロールがマリーを叩き潰そうとしていたところだった。オレは咄嗟に剣を投影し、トロールの腕を切りつけ、マリーを連れて離脱した。マリーをロン達のところに移すと、オレはすぐにマリーとは逆方向の壁へと向かった。今トロールの注意はオレに向いているからだ。

 

 

「三人とも今のうちに出口に行け!! オレもすぐに行く!!」

 

 

そう伝え、オレは巨大な剣を数本投影し、トロールの足止めをした。しかしトロールの注意はオレではなく、マリー達に向いてしまった。オレは咄嗟に手に持った剣をトロールの頭に投げつけた。剣はトロールの口に入り、そこから首の後ろにかけて貫通した。

 

 

壊れた幻想(ブロークンファンダズム)

 

 

ついいつもの癖で剣を爆発させた。結果、トロールの口から上は吹き飛び、そこから血が噴水のように吹き上がった。

 

 

「ふぅ、間一髪だったな……あ(汗)」

 

 

もう大丈夫という感情が大きく、マリー達のことを失念していた。オレの目に入ったのは、頭からトロールの血を被ったマリー達三人と、マグゴナガル、スネイプ、クィレルの三人の教師陣だった。全員こちらをジト目で見つめるというおまけ付きで。

 

 

 

スプラッタ過ぎたのでボツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは挿入話です。それではどうぞ。

 

 

 

 

その1: 談話室にて, 時系列:クリスマス

 

私達がプレゼントを開封したあと談笑していると、フレッドとジョージ、パーシーが部屋に入ってきた。パーシーは普段かけていない眼鏡をしている。そして三人ともイニシャルの入った栗色のセーターを着ていた。

 

 

「おっ、マリーも起きてきたのか」

 

「おはようさん、マリー」

 

「メリークリスマス、マリー」

 

「おはようございます、そしてメリークリスマス」

 

「見ろよ、マリーとシロウもウィーズリー家特製セーターを着てるぜ」

 

「けどマリーとシロウのほうが上等だな」

 

「母さんは身内にもそうだけど、それ以外には特に力を入れるから」

 

 

フレッドとジョージは私達のセーターと皆のセーターの違いを指摘し、パーシーはその理由を説明した。

 

 

「けど心配ないぜ」

 

「ああ、お袋はちゃんと俺たちがどっちかをわかっているからな」

 

「「二人合わせてグレットとフォージだ!!」」

 

「間違えられてるじゃん!!」

 

 

フレッドとジョージのボケにロンが盛大に突っ込んでいた。しかも胸板を手の甲で叩くという動作つきで。それを見ていたシロウが頭を抱えて俯いていた。なんかブツブツ言ってる。

 

 

「……それ日本の漫才だろうが何でお前たちがそれを知ってるんだよおかしいだろこの間のごちゃ混ぜドリンクといいどこからそんな情報を仕入れてくるんだよなんでさなんでさなんでさナンデサナンデサ……」

 

 

シロウ、ストレス溜まってるのかな? 今はクリスマス休暇なんだからしっかりと休まないと。

しばらくしてシロウが持ち直すと、フレッドとジョージはシロウに質問をしていた。なんでも前々から気になることがあったみたい。

 

 

「なぁなぁシロウ、聞いていいか?」

 

「どうしたんだ?」

 

「たまにシロウがもうスピードで走ったりしているとこ見るけど、普通に走っているわけじゃあないんだろ?」

 

「普通は二人以上いないと運べないものを軽々と持ち運んでるらしいし」

 

「「どうやってんだ? そして俺たちにも教えてくれない?」」

 

「それは僕も興味があるな」

 

「実は僕も気になってたよ。 どうやってるの、シロウ?」

 

 

ウィーズリー四兄弟に迫られて、その異常ともいえる身体能力の秘密について聞かれていた。確かに私も気になってた。シロウの身体能力は色々とおかしい。入学初日に校舎の壁を破壊して傷一つなく平然としていたことや、授業初日に壁を蹴って吹き抜けを上っていたのがいい例だ。

 

 

「オレ自身の素の力もあるが、単純に魔力で強化しているだけだぞ?」

 

「肉体を魔法で強化しているってことか。それによって筋力が爆発的に上がるってことかい?」

 

「その通りだパーシー」

 

「いいじゃん!!」

 

「いいじゃん!!」

 

「「すげーじゃん!!」」

 

「オレのやり方は少々特殊で君らには教えれないが、似たようなことはできるかもしれん」

 

「「「マジ(本当)!?」」」

 

 

あ。パーシーと私以外が食いついた。まぁ三人とも男の子だから、そういうのに憧れるよね。パーシーはインドア派っぽいからそうでもないのかな?

 

 

「ああ、たぶんな」

 

「いいじゃん!!」

 

「いいじゃん!!」

 

「「「すげーじゃん!!!!」」」

 

「だが、そのためにまずは肉体の基礎能力が高くないとダメだ。でないと肉体が負荷に耐えられない」

 

「具体的には?」

 

 

三人ともそわそわして落ち着きがないから、パーシーが質問している。こういうとき、一人でも冷静な人がいると話が円滑に進むよね。パーシーの質問に対して、シロウは羊皮紙と羽ペン、インクを取りだして何やら書き込み始めた。数分後にそれを私達に見せてきた。パーシーが代表して読み上げた。いつの間に私達以外に寮に残っていた生徒も集まっていた。

 

 

「何々? 素振り三百回、肩幅腕立て伏せ五百回、腹筋五百回、背筋五百回etc…………。これを一日でするのか?」

 

「なんだ。それなら出来ないことはないな、フレッド」

 

「だな、ジョージ」

 

 

フレッドとジョージの言葉にクィディッチのチームメンバー、そして何人かの先輩達も頷いていた。でも私は知っている。何せ五年間早朝のシロウの鍛練を見てきたから。

 

 

「いや、一時間でだが?」

 

「「「「「「………は?」」」」」」

 

「何を驚いている?」

 

「「いや、そりゃねぇだろ?」」

 

「「「「ウンウン」」」」

 

「いくらシロウでもそれは無理だって」

 

「冗談きついぜ」

 

 

みんなシロウの言うことは質の悪い冗談だと思っているみたい。

 

 

「いや、冗談じゃないが」

 

「「「「「またまた」」」」」

 

「みんな、ちょっといい?」

 

「お、マリー。お前からも言ってやれよ。冗談きついって」

 

「シロウの言うことは本当だよ?」

 

「「「「…………は(゚д゚)?」」」」

 

「私の知る限り五年間ずっとやって来たから。ねえシロウ、今日は何セットやったの?」

 

「うん? 今日は少し遅く起きたからな。2セットしかできなかった」

 

「はい。こんな感じだよ、みんな?」

 

 

私とシロウの会話に、みんな呆然としていた。

 

 

「ふむ。良ければみんなも明日から一緒にしないか?」

 

「「「「結構です」」」」

 

「そうか、残念だ。フレッドとジョージ、ロンはどうだ?」

 

「「遠慮しとくわ」」

 

「僕も止めとく」

 

 

みんなから断られてシロウが少しだけ寂しそうな目をしていた。この日からグリフィンドールでは、シロウは異常体質の持ち主ってレッテルが張られて、更に悲しそうな目をしていた。少しそれが可愛いと思ったのは秘密。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その2: ライバル, 時系列: 漏れ鍋の二日目

 

 

私とシロウ、ハグリッドの三人は朝食を食堂で食べていた。シロウは相変わらず鍛練をやっていたらしく、今は簡素な黒のノースリーブと黒のレギンスをはいている。朝食はトーストとトマトサラダ、そして豆のスープだった。

 

事の発端はその豆のスープだった。

シロウはその豆のスープを一口食べたとたん、目を見開いて無言で食べ進めた。そして全て飲み終わると一息ついて、バーカウンターまで歩いて行った。

 

 

「シロウは何をしちょるんだ?」

 

「さあ?」

 

 

私とハグリッドは、シロウの突然の行動に首を傾げていた。そしてシロウの行動を見守っていた。

 

 

「店主殿はいらっしゃるか?」

 

「はい、私が漏れ鍋のマスターのトムです」

 

「豆のスープを作ったのはあなたですか?」

 

「ええそうですが、何か不都合が?」

 

 

もしかしてシロウ、スープの文句でも言うのだろうか? 確かにシロウは料理が上手いけど、店主に文句っていっていいの?

そう考えていると、シロウは鬼気迫る表情でトムさんに顔を近づけた。私達以外のお客さんも、その行動を驚きの表情で見つめている。

 

 

「どうやって作っているのですか!? 是非教えて頂きたい!! 私が食したなかで一番おいしい豆のスープです!!」

 

 

途端食堂中の椅子からお客さんがずっこけ落ちた。クレームをつけるのかと思いきや、まさかのスープの調理課程を聞くということをしたのだ。今までの緊張感はいったい、という思いをみんな持っているだろう。ハグリッドなんて目が点になっている。

 

 

「私からはお教えできませんねぇ。見るのは自由ですが」

 

 

トムさんはニコニコしながら厨房へと引っ込んでいった。その言葉を聞いたシロウは、獰猛な猛禽類のような目をして部屋に行き、着替えて手を洗って厨房に向かった。

 

 

「盗むのは自由ということか。フフフフ…………」

 

 

低い声でシロウは呟いていたけど、そこまでのことのなの?

 

それからはキッチンの方とお客さんは盛り上がっていた。豆のスープだけでなく、シロウ自身も料理を振る舞っていたのもある。

 

 

「店主殿、どうだろうか?」

 

「ん~中々ですね。けどまだ足りないものがありますね」

 

「なんと!?」

 

「そう言えばあなたの手際を見て思いましたけど、ずっと料理をしてきていますね? 何が得意なんですか?」

 

「和洋折衷いけます。ですがそのなかでも和食が一番得意ですね」

 

「なるほど、なら今日の夕食はあなたが作ってみませんか? ここには醤油など、和食に必要な調味料は一通り揃ってますしね」

 

「本当ですか!?」

 

「ええ、日本の調味料は繊細な味をつけるのに重宝しますから」

 

「是非やらせていただきます!!」

 

 

 

 

----------

 

 

「和食ってのは癖が強いって思っていたが、中々美味だ」

 

「少年、美味しかったぞ」

 

「とってもヘルシーで旨かった」

 

「もういっそのことトムと二人で漏れ鍋やったらどうだ?」

 

 

お客さんにも中々好評だったみたい。私は何度か食べているから、いつも通りの美味しさだと思った。それにシロウの料理は食べるとほっとするんだよね。

 

 

「ふふふ。お見逸れしましたよ、シロウ君」

 

「いえいえ、トム殿にはまだまだ敵いません」

 

「「アッハッハッハッハッハッ」」

 

 

トムさんとシロウは、お互いに笑いながら握手を交わしていた。でもその目は二人とも笑っていなかった。気のせいではないだろう。ハグリッドは冷や汗を流していたし。

二人ともまるで、己の全てを出して競いあえるライバルを見つけたような、そんな激しい火を灯した目をしていた。

うっかり失念していたけど、二人とも魔法使いだよね? 料理人じゃないよね?

 

 

「「HAHAHAHAHAHA!!」」

 

 

そろそろ静かにさせないと近所迷惑になっちゃうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その3: ???, 時系列: ???

 

 

 

 

Side ???

 

 

とある街の秋の夜、俺は一人の男と向かい合っていた。

俺は中折れハットを被り、黒いスラックスにネクタイ、白のカッターシャツに黒のベストという出で立ち。

もう片方は、いかにも怪しい紫色のロングコートに金髪の上には同色のシルクハット、コートの下は派手な色のスーツという出で立ちだ。

 

 

「お前、誰だ? 見たところ一般人じゃないな」

 

「貴様のような猿に語ることはない。それに話したところでお前たちには理解できない話さ」

 

 

シルクハットの男はそう言って宝石を二つ、右手の指に挟んだ。

 

 

「貴様、魔術師か。しかも宝石。遠坂やエーデルフェルトとは別の家系だな」

 

「ほう? 僕のことをわかるとは、君も同業者かい? けどいただけないな。あのような陳腐な家系や猿たちと一緒にしないでくれ」

 

「どうでもいい。何しに来た?」

 

「君も同業者なら知ってるだろう? 極東の猿ごときが第二魔法を修得したとか言う大ボラを。これ以上調子に乗る前に、潰しにきたのさ。この街ごとね」

 

「関係ない人々を巻き込むつもりか」

 

「どこが関係ないんだい? この街は遠坂の管轄だろう? それにこの街の猿共は英雄として奴等を称えているらしいじゃないか? 目障りなんだよね、正直。それに」

 

猿の街の一つや二つ、消えても問題ないだろう?

 

 

 

男の言葉は頭にきた。散々見下した挙げ句、虫を殺すみたいな感覚で街の人々を殺すといったのだ。

 

 

「理解したなら退いてくれないか? 僕は忙しいんだよ。君のような身の程を知らないお猿さんと会話してあげただk「退かない」……何だと?」

 

「退かないと言ったのだ。人々を、この街を泣かせる奴は俺が許さない。俺がお前を止める。戦闘形態(セットアップ)

 

 

俺は父さんと同じように、刻印として体に礼装の類いを刻み込んでいる。魔力を流して起動するだけで戦闘準備は完了だ。

 

 

「やっぱ猿には言葉は通じないか。なら先に死ね!」

 

投影開始(イミテーション)鋼の長槍(メタルランス)

 

 

男が投げてきた二つの宝石を、術が発動する前に切り砕く。

 

 

「言い忘れていた。俺は魔術師ではない。魔術使いだ」

 

「何だと? 猿に加えて面汚しだったとは」

 

「その面汚しの猿に攻撃を防がれたお前は?」

 

「ぬっ!? 五月蝿い!! 猿風情が!!」

 

「さっきから猿しか言ってないな。全身強化(パワーセット)

 

 

俺は投影した槍を構え直し、男と向き合った。

 

 

「魔術使い、衛宮・E・剣吾。お前の業を数えよう」

 

「この青二才がぁ!! 一度防いだぐらいで調子に乗るなぁ!!」

 

 

魔術師は今度は全てよ指の間に宝石を挟み、こちらに投擲してきた。だが、俺にはその軌道がハッキリと見えていたため、全て弾き返した。要するに、魔術師は自分の魔術を自分で食らっていた。

情けない。

こいつずっと部屋にこもっていて、戦闘経験はろくにないな。

 

 

「ぐっ……ゴホッ……」

 

「生きていたのか?」

 

「ぐう、舐めるなぁ!!」

 

 

今度は宝石を握り締めてこちらに殴りかかってきた。

そう言えば凛ねえやルヴィアさんが言っていたな。最近の魔術師は格闘が必須だとか。試しにこいつのパンチを受けたが、片腕で止められた。

軽すぎる。

肉体を強化はしているのだろうが、それにしてはペラッペラだ。おおかた自分には格闘は必要ない、魔術だけでなんでもできると思い込んでいたのだろう。

 

 

「な、何故僕の攻撃が防がれる!? 僕は一族で最も強いし才能があるんだぞ!? それがこんな面汚しなんぞに」

 

「『井の中の蛙、大海知らず』ってのは知ってるか? まさにお前の事を指す」

 

「何だよ……何なんだよ貴様は!?」

 

「通りすがりのこの街を護る魔術使いだ。覚えなくていい。小さな限られた場所で威張れても、一度外の世界に出れば厳しい現実が待っている。あの世でじっくりと学んでこい。属性身体付加(ダイレクト・エンチャント)

 

 

俺は持っている自属性のうち、「風」を右足に付加させる。これは俺が編み出した魔術。だが五大元素の属性を持っていれば、誰でもできる筈のものだ。師匠に面白いと言われた俺が編み出した魔術の一つ。

 

 

「ッ!? その体に直接属性を纏わせる魔術は!? 貴様!! まさか『厄災のエミヤ』の四代目か!?」

 

「厄災とは言ってくれる。この街にとっては、貴様のほうがよっぽど厄災に相応しい。属性、身体、強化臨界(シングルドライブ)

 

「ひっ、ヒィィィァァァアアアアアッ!?」

 

 

右足の風が新緑色の光を放ち、身体中が最大まで強化されたとき、魔術師は悲鳴をあげながら逃げ出した。

本当に情けない。

魔術師が戦闘をするということは、命を奪い奪われる覚悟を必ず持たなければならないのに、こいつはそれを持たずに挑んできた。呆れる。

俺は強化を維持したまま走りだし、そして飛び上がった。

 

 

「ヒィッ!? く、来るなぁ!?!?」

 

「ハァァアアア!!!!」

 

「オデノカダダハボドボドダァー!?!?」

 

 

ドロップキックの要領で蹴り飛ばすと、奴は末期の声をあげながら爆散して消えた。まったく、どんなやつが相手であれ、命を奪うのは慣れないものだ。

 

 

「ふぅ。戦闘終了(リフォメーション)

 

 

戦闘服を解除してもとの服に戻す。そしてベルトに取り付けてる帽子を外し、被り直す。今はまだまだ帽子に被られている状態だ。帽子は一人前の男の証、いつか必ず似合う男になる。

まぁ父さんに見つかるといつも取り上げられてしまうんだが。それに相棒からも受けが悪い。そんなに似合わないか?

それにしてもあの蹴り、名前決めるとするかな。疾風の蹴脚(ハリケーン・ストライク)なんてのはどうだろうか? いや、ないな。

 

 

「終わったか」

 

「師匠ですか? ええ終わりましたが、本当に師匠の系譜の一族なんですか?」

 

「まあな。当時はエーデルフェルトと並ぶ芽のあった弟子だったんだがな」

 

「なるほど、長い年月の間に落ちぶれたと」

 

「何はともあれ、ご苦労だった。さて報酬だが……」

 

「にぃに~!!」

 

「え? はい?」

 

 

唐突に俺の足元に小さな女の子が抱きついてきた。俺の妹なんだが、何故ここにいるんだ?

 

 

「にぃにだ~スリスリ~♪」

 

「へ? なんでここにいるんだ?」

 

「あら、聞いてなかったの?」

 

「か、母さんまで?」

 

「お仕事お疲れ様。それとはい、これ持ってくれる?」

 

「え? あ、うん」

 

 

何が何だかわからないまま、俺は母さんから小さな荷物を渡された。よく見ると、妹は小さなリュックを背にからっている。母さんは少し大きめのバッグを地面に置いていた。

因みにそれらは、師匠があるときの仕事の報酬でくれたもの。凛ねえの家にある、第二魔法を応用した収納箱と同じで、見た目以上の荷物が収まる。

さて、そろそろ現実逃避はやめるか。俺が把握しないままに、話は進んでいる。俺一人だけが蚊帳の外にいる状態だ。どうなってんだ? 予定では早く家に帰って晩飯食う筈だったのに。

 

 

「ありがとう。シィちゃん、こっちいらっしゃい」

 

「はーい!!」

 

「母さん? 何がどうn「では万華鏡殿、宜しくお願いします。」って、は?」

 

「相わかった」

 

 

師匠は腰から万華鏡のように輝く短剣、あれが宝石剣か、を抜いて一振りした。すると俺と母さんと妹の三人の足元に大きな魔法陣がっておい!?

 

 

「師匠!?」

 

「いってこい」

 

「じぃじ~、いってきまーす!!」

 

 

こんのはっちゃけジジィがぁぁぁぁああああああ!!!!

 

 

 

そして俺たちは飛ばされた。

 

 

 

 

 

 




はい、ここまでです。

サイゴハダレナンデショウカネー、ワタシニハムズカシイヨ。


さて今回より、一旦こちらの更新はとめて、もう片方を次は切りが良くなるまで更新していきます。

それではこの辺で





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