錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

32 / 115

今年最後の更新です。

それではごゆるりと






2. 隠れ穴と突然の来訪者

 

 

昼前に、モリーさんとパーシーが車できた。バーノン・ダーズリーは仕事でいないため、彼らの家には、ダドリーとペチュニアさん以外はおらず、下手に場がややこしくなることもなく、オレとマリーはウィーズリー家の車、フォード・アングリアに乗って『隠れ穴』へと向かった。既に昼食は食べていたため、パーシーの運転でモリーさんと喋りながら、目的地へと向かった。

それにしてもウィーズリー家、五兄妹以外にあと二人成人した子どもがいるとは。オレも子沢山だと思ってはいたが、それを越えるぞ?

 

まぁそれはともかく、オレ達は四時ごろにはウィーズリー家の家、『隠れ穴』に着いた。車から降車すると、ロンが駆け寄り、オレとマリーに手紙の返事がなかった理由を問い詰めてきた。それに関しては、ただ妨害を受けていたことのみを伝え、後程ハーマイオニーにも連絡をいれることになった。

 

荷物の整理をしているとすぐに夕食の時間となった。が、流石に人数が多いため、外に机を出して食べることになった。そこに家主のウィーズリーさんが帰ってきた。ふむ、挨拶をせねばな。

 

 

「やぁやぁただいま諸君!」

 

「「「「おかえりなさい」」」」

 

「いや~今日も疲れたよ。でもお客さんが来るからな、張り切って終わらせてきた!! で、君たちが?」

 

「お初にお目にかかります、シロウ・アインツベルン・エミヤです」

 

「初めまして、マリナ・ポッターです。マリーとお呼びください」

 

「これはこれは、初めまして。私はアーサー・ウィーズリーだ。この子達の父親だよ。ここにいる間はリラックスしていると良い。特にマリー、君も色々と大変だろうからね」

 

 

アーサーさんはそうにこやかに言い、着替えにいった。

成る程、ウィーズリー一家のこの暖かな空気。その大本はアーサーさんとモリーさんだったのだな。他人が世間でどう言われてようと、全てを受け入れる包容力。それはたしかに子供らにも受け継がれている。まさに暖かな家族のみほ……ッ!?

 

魔術の気配だと!? 馬鹿な……何故!?

 

隣に立つマリーも、その敏感な感性から何かが来ることを察知したらしい。隠れ穴からウィーズリー夫妻も駆け出してきた。夫妻は子供らを後ろに下がらせ、オレと同じく、庭のある一点を見つめていた。既に杖も準備している。

オレは懐に手を入れ、黒鍵を一本用意した。魔術の気配が大きくなる。オレは黒鍵を取り出し、いつでも投擲できるように構えた。マリーはウィーズリー兄妹のところまで下がらせている。

 

突然空間に球状の亀裂が入った。そして地面に大きな魔法陣が形成され、虹色の輝きを放ち始め……って、はい? これは万華鏡の世界移動の術式じゃ? 思わずオレは構えを解いてしまった。

 

オレが構えを解いたことにウィーズリー家とマリーが訝しんでいたが、それもすぐに表情を驚愕に変えた。オレも目が飛び出すかと思った。

 

 

「わーい!! ギュ~!!」

 

「ほらほらシィちゃん、走らないの。久しぶりねシロウ、元気だった?」

 

「……色々と聞きたいけど、何で父さん子供になっているんだ?」

 

 

魔法陣の光が消えた途端、幼子がオレの足にしがみついて頬を擦り付け、銀髪赤目の美女が少し大きめの荷物を持って幼子についてき、最後に中折れハットを被った少年が出てきたのだ。間違えようがない。

 

オレの妻であるイリヤと息子の剣吾、娘のシルフェリアだった。

 

 

「な、何故?」

 

「あら? 剣吾もそうだけど、てっきり万華鏡殿が話しているかと」

 

「何も聞いてないぞ?」

 

「カッカッカッ!! 成功だな!!」

 

 

家族の後ろには、高笑いしている貫禄のある老人の姿が。あのハッチャケ爺の仕業かあァァァァァアアアアッ!!

 

 

「……剣吾」

 

「……わかってる」

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!!」」

 

「今更数えられるか!!」

 

 

オレと剣吾は手に武器(刃もちゃんと付いている)を取り、高笑いを続けるクソ爺に突進していった。全てはあの爺に制裁を加えるため、オレ達は手加減無しで向かっていった。

 

 

 

 

━━ 数分後……

 

 

 

「万華鏡殿、てっきり彼らには話を通しているかと」

 

「なに、あやつらの驚く顔が見たくてな」

 

 

カンラカンラと笑うクソ爺のすぐ側で、オレと剣吾は地に倒れ伏していた。シルフェリア、シルフィはオレと剣吾の顔をつついたり、引っ張ったりと好き放題だ。

 

 

「ハァ……ハァ……あのクソ爺……「ぷにぷに」……いつか絶対に泣かす……」

 

「ハァ……フゥ……その時は……「ぐに~」……ほへおよんへふれ(俺も呼んでくれ)、父さん」

 

「カッカッカッ!! 二万年早い!!」

 

「「クソッ!!」」

 

 

暫くしてオレ達も回復し、唖然としているウィーズリー家のみんなと、マリーに自己紹介することになった。オレ以外の皆が、一列に並ぶ。

 

 

「初めまして、イリヤスフィール・フォン・エミヤ・アインツベルンです」

 

「衛宮・アインツベルン・剣吾です」

 

「シィはシルフェリア・フォン・エミヤ・アインツベルンだよ!!」

 

「は、はあ」

 

「ど、どうも」

 

「「「ん? エミヤ?」」」

 

 

あ、そういえばオレはまだ12才という設定だった。まずい、これは非常にまずい。

 

 

「やっぱりシロウは説明してなかったのね」

 

「う……だ、だがなイリヤ。こんな成りのオレの話なんて、そうそう信用できないだろう?」

 

「まぁわからないでもないけど。万華鏡殿、話しても大丈夫ですか?」

 

「うむ、この者達なら大丈夫だろう」

 

「ですって、シロウ」

 

「だ、だがな……「パパー、抱っこー」……ハァ……」

 

「「「パ、パパ!?」」」

 

「おいで、シルフィ「わーい!! ウェヘヘヘ~」……食事前だから要点だけ話そう。そのあと、質問に答える」

 

 

それからオレは、実はもしもの世界の出身であること。とある事情で元の世界にいられなくなり、別の平行世界に渡ることになったこと。偶々この世界にきたが、その時体が六歳まで若返り、実年齢は三十路に入っていること。オレが普段使っている身体強化等は、全て元の世界の技術であること等々、話しても大丈夫だろう内容は、全て話した。

オレが話し終えて皆の顔を見ると、心の整理がついてないようだった。2、3分ほど経過して、マリー、ロン、ウィーズリー夫妻がまず復活した。

 

 

「……やっぱりシロウ、年上だったんだ」

 

「僕漸く納得いったよ」

 

「私たちとあまり変わらないのでは、アーサー?」

 

「そうだね、モリー。まさか息子の友人が……ダンブルドアはこの事を?」

 

「ええ、既に知っております」

 

「成る程……ダンブルドアが信頼なさっているなら、私たちから何も聞くことはないよ」

 

 

アーサーさんがそう言い、隣のモリーさんもにこやかに頷いた。やはりすばらしい程の包容力だな。と、復活したパーシーがこちらに近づいてきた。

 

 

「えっと、あの。シロウ……さん?」

 

「シロウで良い。君もその方が呼びやすいだろう。それに敬語もいらんよ」

 

「じゃあお言葉に甘えて、僕から質問が一つだけある」

 

「君はこの世界で何かしよう、ってわけで来たんじゃないんだね?」

 

 

その言葉に最初に反応したのは、イリヤだった。

 

 

「ちょっと。その言い方はないんじゃない?」

 

「仕方がないさ。ここではつい12年前まで、誰も安心できない世の中だったんだ。警戒するのもわからないでもない。だからイリヤ、その怒気を抑えてくれ」

 

 

オレはイリヤを宥めつつ、パーシーの方へと顔を向けた。当のパーシーはシルフィから突っかかられて困っているが。

 

 

「にぃに!! このお兄ちゃんパパを苛める!!」プンプンッ

 

「苛めてないから。少し難しい話をしているだけだよ」

 

「むぅ~」頬っぺた膨らませ

 

「大丈夫だよ、シルフィ。さて、君の質問だがパーシー。オレにそのつもりは毛頭ない」

 

「……そうか。わかった」

 

 

パーシーはオレの答えに納得したのか、それ以上は聞いてこなかった。と、フレッドとジョージの腹がなった。まだ夕食を食べていなかったな。

 

 

「それより今はメシ食おうぜ?」

 

「俺たち腹が減って」

 

「そうね、そうしましょう」

 

「ええ、わかりました。イリヤ達は?」

 

「シィとママは食べた!!」

 

「は?」グゥ~~~~

 

 

シルフィの言葉に剣吾が反応すると同時に、剣吾の腹が鳴った。成る程、どうやら剣吾が依頼をこなしている間に、イリヤ達は食べ終えたのだろう。……気持ちはわかるぞ、剣吾よ。

と、地面に膝をついている剣吾の元に赤毛の少女、ロンの妹のジニーが近寄っていった。気のせいか? 若干頬が赤いような気がせんでもないが。

 

 

「あの……」

 

「ウェ? えっと……どなたですか?」

 

「ジネブラ・ウィーズリーです。ジニーと呼んでください」

 

「あ、うん。よろしく」

 

「はい。よ、よろしくお願いたします。そ、それでですね。その……もしよければ、い、一緒に夕食食べませんか?」

 

「え? でもそれは……」

 

「ママ、大丈夫?」

 

「問題ないわ。てことであなたもどう?」

 

「しかし……」

 

 

剣吾は渋っていたが、結局モリーさんの言葉攻めに敗れ、夕食を共にすることになった。オレも息子も、女性には勝てないのだな。特に裏表のない、純粋な厚意には。何か悲しくなってきた。

イリヤ達も席につき、漸く夕食となった。万華鏡は既に帰っている。イリヤとシルフィには、お茶と茶請けを用意した、オレがな。

オレの隣には、イリヤとマリー、シルフィはイリヤの膝の上だ。向かいに座る剣吾の隣には、ロンとジニーが……って、やはり気のせいでないか。

 

 

「なぁイリヤ、あの子」

 

「ええ、間違いなくそうね」

 

「「剣吾、また一人落としたのか(のね)」」

 

「しかもこの世界における、あなたの友人の妹」

 

「確か一成の娘もだろう?」

 

「ま、父親の血を強く引いたんでしょう」

 

「うぐ……」

 

 

イリヤの口撃が地味に痛い。まぁこれに関しては、剣吾に任せるしかないな。オレからは下手に手は出せないし。

 

 

「シロウ、イリヤさんのお尻に敷かれてるね」

 

「アハハ!! そうね、マリーの言う通り!!」

 

「ぐっ、言わないでくれ、マリー」

 

 

まさかの挟み撃ち、オレのライフはもう残り少ない。剣吾、お前は同情する目でこちらを見るな。っと、ジニーが顔を赤くしながら剣吾に手拭きを渡した。オレとイリヤ、モリーさんは自然と顔を綻ばせた。アーサーさんとロン、パーシーは複雑そうな顔をし、フレッドとジョージはニヤニヤしている。

アーサーさん、家の息子がすみません。

 

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「ふぇ!? な、何?」

 

「「あらあら、なにも?」」

 

「「「……」」」

 

「「ニヤニヤ」」

 

「!! ~~~~……」

 

 

双子のニヤニヤ笑いに止めを刺され、ジニーは撃沈し、食べ物を口に運び始めた。そこでパーシーが手を伸ばして剣吾の肩を掴んだ。気のせいか、少し力が入ってるような?

 

 

「……剣吾君」

 

「は、はい?」

 

「ジニーを泣かせたら許さないからな」

 

「ウェイ!?(;OwO) ダディイッデルンディス!?」

 

「いいな?」

 

「は、はい!!」

 

 

……パーシーよ、君はもしかしなくても、シスコンなのか? って嗚呼嗚呼、またシルフィに突っかかられてる。シルフィはどうもパーシーが気に入らないみたいだな。この子が他人を気に入らないとは、珍しい。

 

 

「そういえばイリヤさん達は、今夜どうするんですか?」

 

 

モリーさんがイリヤに質問をした。確かに、今晩どうするつもりだったんだ?

 

 

「近くの宿を探そうかと、無ければ野宿をします。あと敬語とさん付けはいりませんよ」

 

「ならあなたも敬語とさん付けはいらないわ。それにしても野宿?」

 

「わかったわ。ええシルフィは兎も角、私と剣吾は慣れてるから」

 

「ならうちに泊まっていかない?」

 

「え? でも一週間程いますよ?」

 

「大丈夫よ!! 部屋は何とかなるわ!! アーサー?」

 

「勿論ですとも。是非とも泊まってください」

 

 

イリヤも剣吾同様渋っていたが、ウィーズリー夫妻の波状口撃にやはり撃沈した。どうもオレ達家族は、百パーセント善意の口撃に弱いらしい。あれよあれよといううちに、部屋割りも決まってしまった。

剣吾とロン、フレッドとジョージが同じ部屋に入り、イリヤはマリーとジニーと同じ部屋。オレはパーシーとシルフィと同室になった。頼むイリヤ、どうかオレの幼少の頃の話を暴露しないでくれよ? 剣吾も、フレッドとジョージにオレのことを話さないでくれよ? あの双子に聞かれると、色々とネタにされてしまう。

 

そんなこんなで入浴も済ませ、俺達は床に入った。パーシーは自分のベッドに。オレは床にマットを敷いて寝転がり、シルフィはオレの上に乗っている。

 

 

「うにゅ……パパとおねんね……」

 

「流石に疲れたのだろう。けっこうはしゃいでいたからな」

 

「こうしてみると、シロウがお父さんと呼ばれても不思議じゃないね」

 

「少なくとも十四年は親をしていたのだ。であれば自然とな」

 

「……前に言った、見た目が全てではないって言葉。あれはシロウ自身が体現しているよね」

 

「言わないでくれ。オレもまさか体が六歳まで若返りするとは思わなかったのだ」

 

「ハハハ」

 

「くぅ~~~……」zzz

 

 

シルフィがオレの左腕に頭をのせ、寝息をたて始めた。

 

 

「寝たな。なら俺達も寝るとするか」

 

「そうだね。まだ色々と聞きたいけど」

 

「なに、時間はまだあるさ」

 

「……パパ……だいすき……」

 

「父親冥利に尽きるんじゃない?」

 

「まったくだ。おやすみ、パーシー」

 

「ああ、おやすみなさい。」

 

 

別の部屋で騒ぐフレッドとジョージ、剣吾とロンの声を聞きながら、オレ達は眠りについた。

 

 

 

 

 

 





はい、ここまでです。


今回は2015年、最後の投稿です。
次回は年明けに投稿させていただきます。
番外編にするか、本編にするかは決めていません。

因みにシルフィちゃん、マリーにはとてもなついており、マリーもシルフィを可愛がっています。


では今回はこの辺で。

皆さん、良い年末年始を




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。