大変長らくお待たせしました。
今回の第三章「アズカバンの囚人」は、「孤高の牡牛~」と並行投稿いたします。
それではごゆるりと。
0. プロローグ
世間もホグワーツも夏休みに入って2週間が経過した。八月に入り、乾いた暑さが続くイギリスのプリベット通り四番地の家では、マリー・ポッターが夏休みの宿題をしていた。
去年までは「魔法」といった非現実的なものを敬遠していた家主のバーノン・ダーズリーもどんな心境の変化なのか、今年は一切追及したりすることはなかった。今も一人息子のダドリーと共にテレビでバラエティー番組を見ている。
「今週末から四日ほどマージが泊まりに来るぞ」
思い出したかのように突然告げられた叔父の言葉に、思わずマリーは顔を机に打ち付けた。
マージ叔母さん、マージョリー・ダーズリーはバーノン叔父さんの妹で、ブルドッグのブリーダーをしている。そしてマリーのことを去年までのバーノン以上に毛嫌いしている。今までも数度訪ねて来たことがあったが、その度に最低一匹はブルドッグを
「……それって本当?」
思わず叔父の正気を疑うように聞いてしまう。それほどにマリーは動揺し、マージを恐れていた。
「本当だ。ついでにまた一匹連れてくるらしい」
「……そうですか」
死刑宣告ともいえる内容に、思わず突っ伏してしまう。今まではシロウがいたから何とかなったが、今年に限って一週間前から不在である。彼の下宿先のフィッグさんも骨折かなんかで入院しているとのことだ。要するに、今年は逃げ道が……あ、あるかもしれない。
「ねえ叔父さん」
「なんだ?」
「私だけ先にロンドンに行ってもいい? 旅費と宿代は自前で用意できるし、学友もそこの宿にいるそうだし」
「悪いがそれは無理だ。マージには既にお前がいることを伝えてしまった」
はい、詰みました。
「その代わりになるかは知らんが、できるだけマージからはお前を遠ざけよう」
「……それで大丈夫なの?」
「ペチュニアの側に出来るだけ居させる。それで四日間我慢しろ」
仕方がない…か。ならその四日が終わったらすぐにでも「漏れ鍋」に向かうとしよう。幸いガリオン金貨も数枚、換金したポンド硬貨と紙幣も持っているから、旅費も宿代も心配ない。
ひとまず簡単な計画を立て、私は宿題の続きを再開した。
それにしてもシロウ、念話拒否までして何をしているんだろう?
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まったく、世話を焼かせる。
ダンブルドアの頼みでなければ無視していたぞ。というより、まだお前のことは信用していないからな。
さて、長話はあとにしよう。俺が何者か、そちらの三人と俺との関係が何なのか。それはこの場から拠点に戻ってからだ。お前は魔法界だけじゃなく、一般社会からも指名手配を受けてるんだろう? ならば早く行動するに限る。
桜、イリヤ。俺と認識阻害の結界を張ってくれ。お前は犬のまま大人しくしろ。
凛、頼んだぞ。行先は……
「漏れ鍋」だ。
はい、大変長らくお待たせしたことに加え、こんなに短くてすみません。
大学のカリキュラムがなかなかに鬼畜でして、必須科目に留学が含まれていたり、レポート課題が多かったりと、結構多忙な一年目を過ごしております。
さて、前書きでも述べましたが、今回の第三章は「孤高の牡牛~」と並行投稿するため、元々遅い更新ペースが更に遅くなります。
申し訳ありません。
引き続き、私めの小説をよろしくお願いします。