多少駆け足気味ですが、なんとかクウガに…。
(なんなんだこの声…、一体誰が…)
僕は頭のなかに響く声の主を考える。だが一向にその声の主はわからなかった。
(とりあえず確かめてみるか)
そう思い必要最低限の準備だけをして窓から夜の街に飛び出す。
頬を撫でる湿った風が妙に気になった。
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(確かこっちの方だな)
手元にあるCOMPのMAP機能を使いながら夜の街を駆ける。
目標地点まであと半分というところで突然画面をERRORの文字が埋め尽くす。
驚き立ちすくんでいると、道の向こう側からキュラキュラとタイヤが回る音が聞こえてくる。
自分の心臓の音が妙に大きく聞こえる。逃げたいと思う気持ちと、立ち向かわなければという相反した気持ちがせめぎ合う。
「そんなに怖い顔をしないでくれ。わたしはただのプログラマーだ。悪魔召喚プログラムをつくったね」
闇の中から車いすに乗った中年の男が話しかけてくる。
その風貌は平凡、だが今まで生きてきた中で感じたことのないオーラを感じた。
「さあ、そのCOMPを渡したまえ、エネミーソナーをアップグレードして、ジュエルシードを感知できるようにしてあげよう」
言葉使いは丁寧そのもの、だがそこには有無を言わせぬ迫力があった。
自然とCOMPを差し出していた。最大級の警戒心を持って相手を見定める。不自然なほど隙が見当たらない。
「私はね、後悔をしているんだ」
男は懺悔をするように突然話し始めた。
「最初は良かれと思ってつくったんだ。世界の平和を考えてね。げんに世界を救いTHE・HEROと呼ばれる少年もいるんだ。」
「わたしのつくったプログラムは様々な人間を助けた。私は歓喜したよ、自らのしたことが正しいと証明されたからね」
どこから取り出したのかノートパソコンに何かを入力している。
「けれどある時気づいてしまった、いや今まで気づいていないふりをしていたんだ」
男は空を見る。空には無数の星が輝いており、宇宙の広さと僕らの小ささが伺える。
「わたしはねある少年を2回も地獄に叩き落としてしまった。別の場所では、学校丸ごとを魔界に落とした例もある」
男は淡々と話す。なのにその言葉には水の中にいるような気だるさを錯覚させる力があった。
「さて、これで大丈夫なはずだ。もし君が疑問を持っていることがあるなら、私にわかる範囲で答えよう。」
そう言ってCOMPを渡してくる。さっきまでほとんど重さを感じなかったのに、ずしりとした重さを感じる。
「あんたは一体何者なんだ。そしてジュエルシードとはなんなんだ?」
男は軽く唇を歪めたかと思うと、ゆっくり車いすを進める。
「私はSTEVEN最初に言っただろう、ただのプログラマーと。ジュエルシードは超高密度のMAGの塊だ。それは擬似的に深層心理にある願いを叶えることができる。ただし悪魔の姿になるがね」
「それと君がジュエルシードを手に入れればきっと君の力となるはずだ」
そう言って再び闇に消えていく。
「最後に一つ、力はあまり過信しない方がいい。慢心したものの末路は滅びだけだからね」
タイヤの音がしなくなり、心臓の音も元に戻った。しかし、彼の言葉がずっと頭のなかで反響していた。
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「なのは!危ない!避けて!」
悲鳴にも似た叫び声が夜の街を響く。
声の主は小さなフェレット、なぜ人間の言葉が喋れるかは別として今は危機が迫っていた。
なのはと呼ばれる少女は、テレビの中の魔法少女が着るような服を着ているが、激しい攻撃にさらされた為かボロボロになっていた。
そんな攻撃をする主は異様な風貌だった。
幾つもある手はそれぞれ短剣を持っており、その一つ一つが命を容易に奪えるのは想像に容易い。
さらに一本の手は奇妙なマスクを持っており、時折それを奇妙に揺らしていた。
「あの剣の攻撃はまだ大丈夫だけれど…」
異形はボロボロの少女に攻撃を仕掛ける。彼女も紙一重で避け続ける。だが、足をもつれさせ倒れてしまう。
誰しもがダメだと思った時黒い影が彼女を救い出していた。
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なんとか間一髪女の子を助けだす。
「お前が声の主?あとは頼んだぞ」
そう言ってフェレットの近くに女の子をゆっくりと下ろす。
「お前のマジックのタネは割れているんだよ!」
そう言って異形に駆け出す。右手に持ったCOMPを構える。
「召喚!幻魔…。」
その時気づいた。COMPの画面がノイズに覆われていたことを。そしてヤツの炎が避け用もないほど近づいていたことを。
熱い…、熱い…?熱い!
「くっそ…、アクアン!メディアラハン!」
水流呪文を自分に向かって唱える。間髪入れず回復呪文も。
「こういうことか、STEVEN!」
どうやらあの中年もルイと同じで重要なことを言わない。
(くっそ、目が霞んで来てる。早めにケリをつけない…と?)
自分の腹の位置にベルトが見える。そのベルトは微かに炎をまとっていた。
(どうやら切り札はまだまだあるようだな。)
自らのことながらどこか客観的に見ている自分に気づき、苦笑する。
大きく息を吸い込み、両手を左腰に当てる。右手は目の位置まで持ち上げ手のひらを相手に向け、平行に右に動かす。
改めて、大きく息をすい覚悟を決める。
(これしかできないなら、やってやる、やってやるさ!)
変身ッ!という掛け声とともに右手を右腰に勢い良く当てる。
すると、体の内側から赤い装甲が盛り上がり、顔も同じカラーのマスクが覆う。
その顔はどことなくクワガタに似ており、猛々しさを表現していた。
「俺はクウガ、仮面ライダークウガだ!」
邪悪なる者あらば 希望の霊石を身に付け 炎のごとく邪悪を打ち倒す戦士あり
赤きクウガが舞い降りた。
英雄が現れ、歴史が今、刻み始めた。
どうも皆様方逆に天才と申すものです。
第五話後編楽しんでいただけたでしょうか。
さて、今回の話は非常に難産でした。その割にどことなくパッとしない話になってしまいました。ですが今回の反省を踏まえてより良い作品造りを目指しますのでどうかご愛顧ください。
~次回予告~
「これがクウガの力」
「なあ一体昨日の夜どこいってたん?」
「あの、昨日はありがとうございましたなの」
次回~魔術師、理想を現実に
なお内容は報告なしに変更する場合がございますのでご了承ください。