序章
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サスペンダー星系第五惑星ムラサイ。
そこに、もはや文明の影はなく固有の知的生命体は滅びの運命を受け入れ、かの星に残るはチロト王家最後の一人となった王女ただ一人。
星の灯が消えるのを刻一刻と待っていた。
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光届かぬ暗黒の宇宙を一隻の
黒の旗に白い
道行く先を阻むものあらば粉砕し、無茶無理無謀と嗤われてなお、
その様はまるで
そんな優美な
しかし何より目を引くのは絢爛豪華なシャンデリアだろう。懐古趣味を丸ごと封じ込めたような、さながら子供の玩具箱のような部屋だ。
そんな
しかし、そんな至福の一時も長くは続かなかった。
頭の中に直接呼びかけてくるような、痛切な
「…だ……か………たす…て」
目を
迷う事もなく長く蒼く美しい髪を
「冒険かい?」
彼女の手にはミーメがふだん
実に愉しそうだ。
事実、彼女の胸は弾んでいた。
心は躍っていた。
瞳は輝いていた。
ミーメには
しかし彼女――ミーちゃんにはその声の全てが聞こえていた。
『誰か、助けて下さい。このままでは、このままではこの海が殺されてしまう。彼らが来たのです!』と。
かつて経験した
「楽しそうだなぁ、ミーちゃん」
「そりゃあそうでしょ!だって冒険なんだよ!」
ドヤ顔をしながら答えたミーちゃんは、しかしドヤ顔のまま足元に転がっていたバナナの皮に足を取られてすっ転んだ。
まるでスラップスティック・コメディのような完璧な転倒だった。
「いったー! 誰なんだよっ!?こんな所にバナナの皮捨てたのは~!」
ムキィーと叫び、しかしその声に怒りの色はない。ただ楽しく、とても愉快そうに。だから足は足早に、弾むように二人は
2/
目の前の男の手が震えた。
きっと私の手も少し震えたと思う。
頭に直接なだれ込んできた聲の詳細は
けれど、これだけは分かる。
分かってしまう。
目の前の男は手にしていたルークを碁盤 中央、天元に叩いて立ち上がった。
「楽しくなりそうだな!」
私は角をビショップの前に打ち放って立ち上がった。
「ああ、楽しくなりそうだ!」
こんな会話が、デスシャドウ中で起きた。
そして―――――
3/
二人がブリッジへ到着するとメインクルーのほとんどはぞろりと揃って笑っていた。
「キャプテン、声はテレザード星近傍! 意外と近いわね」
超空間解析席に座る美女が歯を光らせて笑い、
「そうか」
「機関部はいつでも
機関室へと繋がる艦橋操作席に座る優男が顔面に似合わないセリフを飛ばし、
「バナナの皮でも踏んだのか?」
青い肌に金の髪を短く刈った武骨な男が笑いかけた。
「なんか言ったのかな?」
「デスシャドウ号、発進!」
そしてミーメが締めるように宣言した。
宇宙海賊戦艦デスシャドウが、生温い休暇を終えて咆哮する。
眼前
それは超光速跳躍の光。
一条の青い軌跡を放ちつつ、紫の燐光を纏って船は行く。
行く先は知れずとも、漕いだ先にある冒険を求めて。
今彼らは新たな旅にその一歩を踏み出したのだ。
気が付けば最初の投稿から9年もの月日が流れ、最後の投稿から約6年半もの月日が流れておりました。
止まっていた期間も物語を終わらせることを考えてがおりました。
取り急ぎ、第一章までのリライト部分を含む執筆が終わりましたので、改稿も含めて投稿いたします。
改めて、宜しくお願いします。
2024年10月25日
改稿版投稿開始によせて