ゼロの使い魔 ~万事屋がハルケギニアで大暴れ!!!!~ 作:零光翼新
ゼロの使い魔の作者、ヤマグチノボル先生がなくなったというものです。
私は今までジャンプ作品くらいしか読んでいなかったんですけど、ゼロの使い魔のアニメを見て原作を買ってみようとなりました。これが初めて買ったライトノベルになります。
もしこの作品に出会わなければ、私はおそらくライトノベルを今も買っていなかったでしょう。
彼が心残りだったのは自分の作品を完結できなかったことだと思いますが、こんな作品に合わせてくださってありがとうございます。
ここまで長々と書きましたが、何が言いたかったのかというと、
先生、ご冥福をお祈りします。 m(_ _)m
1
銀時たちはルイズの自室へと戻ると、ルイズとキュルケキュルケが言い争っている場面に直面した。
「なに、この状況……修羅場?」
「私、昼ドラみたいなドロドロとした修羅場を生で見るのは初めてアル」
銀時神楽はこの状況の感想を客観的? に述べた。
「なにしてるんですか銀さん、神楽ちゃん。僕が入れないから入口で止まらないでくださいよ」
新八は入り口で止まっている二人に早く入ってと言い、ようやく中に入ることができた。
「さっきも言ったとおり、使い魔の道具はもう間にあってますから、ねえ、サイト?」
「え、あ、ああ……」
才人はルイズの威圧的な表情に思わずうなずいてしまった。
それでも手に持っている金ぴかな剣に夢中になっていた。
「いいえ。ダーリンはあたしの剣の方がお似合いよね」
「そりゃー、こんなきれいな剣は欲しいと思っていたし!」
先ほどのどもった声とは違い、嬉しそうな声でキュルケに答えた。
するとそんな態度の才人にルイズは思いっきり蹴とばした。
「いてっ! なにすんだ」
「早く返しなさいっていたでしょ!」
そんな状況を見ていた銀時たちは、自分たちが連れてきた生き物のことを話すことができそうに無い状況だということを理解した。
「まったくよォ、またメンドくせー状況に直面しちまったな」
「そ、そうですね……」
「わん!」
銀時、新八、定春の順にしゃべり、ルイズは三人が戻ってきたことに気がついた。
「あんたたち戻ってきたのね――わん?」
今おかしな声が聞こえたと思った。最後に声を発したのはカグラよね? とルイズは思う。
だけど神楽の声質はルイズと似ている(というか中の人が同じ)ので普通に考えて犬の声マネでもわかりそうだったけど、明らかに今の声は犬そのものだった。
「あんたたち……犬でも拾ってきたのかしら……?」
先ほどまでキュルケに向けていた怒りがこちら向けて放たれてきた。
「拾ってきたんじゃねーよ。見つけたんだ」
「同じじゃない!」
「同じじゃないネ! 定春は捨て犬じゃなくて見つけ犬アル」
「神楽ちゃん、それじゃ、意味が伝わらないと思うけど……」
「簡単にいやァ、俺らのペットだ」
「そうネ! 迷子犬だったアル!」
「……ペット、ねえ……それで? その馬鹿でかい犬の世話は、誰がするの、かしら、ねえ」
「そりゃ、オメーだろ?」
「私たちはお金なんてもっていないアル! エサ代はルイズに払ってほしいアル」
「飼わない! ぜーったいに買わない! ただでさえカグラ、あんたの食費でわたしのお小遣いが減ってきているっていうのに、その上こんなでかい犬を飼ったら、わたしお小遣いがなくなるじゃない!」
確かに神楽が毎度、「私がこれっぽっちで満足すると思ったら大間違いアル! ちゃちな飾り付けなんていらないネ! もっと量を持ってくるアル」と何度も言うので、そのたびに実費でルイズは食事を神楽に支給していた。
さすがに最初はそんなことは許そうとは思わなかったけど、一度人間離れした怪力を目撃すると怒らせたらさすがにただじゃ済まないと思い、特別に何度か量のある食事を出していたのだ。
「オメーはなにも分かっちゃいないな」
「なにがよ」
「俺はなァァァァァ!
「そんなの知らないわよ!! なんであんたの金銭状況を聞かされなきゃいけないの!」
はあはあ、とルイズは盛大に突っ込んだせいか、息切れしていた。
「まったく。もし飼いたいのなら、あんたらの食事が減るわよ。それでもいいのかしら?」
「平気ネ」
「そうだとも。おれ達は一週間ドックフード一個で潜り抜けた猛者だぞ」
「わ…わお――ん!」
定春は二人に感激して大きく遠吠えをする。
「それは人間の尊厳が残っているんでしょうか?」
どうやら、定春の件はどうにかこうにかおさまるところにおさまったようだ。
「そういやぁ、才人が今にもキスされそうな勢いだが、大丈夫か?」
状況説明。いまキュルケは才人に強引にキスをしようとしている。でも、あれは強引と言っていいのだろうか?
才人もキスをされることはなんかまんざらではなさそうだし。
「キュ~ル~ケ~。あ~ん~た~ね~え~、人の使い魔に、なにしようとしているのかしら~~」
「あら? もう少しそちらでおしゃべりしていてもよかったのに……」
キュルケとルイズはまた口論をし始めた。
「才人、オメーも大変だな……」
「そう思うなら、この状況を早く何とかしてくれ……」
「オメーが早く決めねーからこんなことになってんだよ」
「お、俺のせいか……?」
「そだよ。さっさと決めてこいや」
バンッと才人の背中を叩いて、気合いを入れてやる。
「銀ちゃん銀ちゃん! 外にでっかい竜がいるアル! 始めて見たアル!」
「あれは本当にでかいですね。一体何人ほど乗れるんでしょう?」
「今日は、ドラゴンをよく見る日だな……」
今日はこっちに来て初めて人からの依頼を受けた銀時は正体不明の巨大な生き物を森から追い出してくれという依頼を受けて、韻竜を別の場所に移動させたのだ。
ただし、この竜の行き先は銀時以外誰も知らないので、いま彼がどこにいるのかは銀時が話さない限り誰にも分からない。
「そういや、韻竜っつーのはどんな生き物なんだろう……?」
韻竜という言葉にピクッと普通の人では見逃してしまうほどの小さい動きをした女の子がいた。
青い髪をしたタバサと呼ばれる子だ。
「なあ、オメーは何かしってねーか?」
銀時はタバサに近づいて韻竜のことについて聞こうとした。
「何故、こっちに来るの?」
「いや、だって淫
「反応して――」
「あ、間違えた。韻竜だった。わりーわりーあまりにも似てるもんでよォ」
「…………」
銀時はニヤニヤしながら、タバサの反応をうかがっていた。
一瞬でもそれに反応をしてしまい、タバサは自分が知っている知識を銀時に話した。
「韻竜は、もう絶滅した竜の種族のこと。それ以上は知らない」
「なるほどねェ。もう絶滅したってことか」
「そう」
タバサは短くどんどん質問に答えていく。
「ってことは、韻竜を見つけりゃ、高く売れるのかねぇ~~~」
冗談交じりに銀時はタバサに向けてそう言ってみる。
その態度にタバサはある予感をする。彼はもしかしたら韻竜を見たのではないのかと。
タバサは銀時にそのことを聞こうとすると、才人のいた方向で蹴られる音がした。
「ねえ」
「なによ」
「そろそろ決着つけませんこと?」
「そうね」
「あたしね、あんたのこと、大っ嫌いだったのよ」
「わたしもよ」
「気が合うわね」
二人は目を吊り上げながら睨み付けていて、そうして二人同時にこう言った。
「「決闘よ!」」
2
「で、なーんでこんなことになっているのかね? 才人君やぁ~」
『俺に聞くな! というか降ろせ!』
才人の声は遠くから聞こえていた。
別に危険だから銀時たちが離れているわけではない。
そして、才人が身を隠して遠くにいるわけでもない。
才人は上空にいたのだ。なにを言っているか分からないと思うので状況を説明すると、才人は縄で縛られていてタバサの風竜シルフィードの口に縄がくわえられていて、宙ぶらりんの状態だ。
「まあ、ありゃ、落ちたら即死だな」
「そんなこと言っている場合ですか! 早く助け――」
「おーいィ! 才人ォォォ、おまえとのここ何日間は楽しかったぜェェェェェ! せめて成仏しろよォォォォ!! スタンドになって化けて出ようなんて考えんじゃねーぞォォォォ!!!!! 特に俺の前にィィィィィ!!!!!!!」
「あんたは、なに最後になるにつれてなに声を荒らげているんですか?!」
銀時は幽霊こそ信じてはいないものの仙望郷にてスタンドを見てしまったので、スタンドにはスタンドだけにはなってほしくなかった。
『化けてやる! 死んだら絶対化けて出てやる!!』
才人は自分が死んだら助けようとしない銀時のもとにいち早く化けてやろうと思った。
「もう一度ルールを確認するけど、いいかしら?」
「私が決闘のルールを覚えられないとでも?」
「そうじゃないわ。念のためよ、念のため」
この決闘は才人が決闘で怪我をするのはバカらしくないかと、決闘をやめさせようとするが、逆に自分が的扱いになってしまったのである。
「そうして、才人の意志とは関係なく、決闘が開催されようとしていたのだ。決闘方法は才人のロープを切った方が勝ちだ! ちなみに商品は才人が使う剣の所有権だぞォォォ!」
「そんなことより! 才人さんを救出する準備をしないと!」
「大丈夫アル……。下で定春を待機させたから」
『わんわんわんわんわん』
定春はなぜかめいっぱい走り回っていた。しかも学院中をぐるりと。
「あの……定春どっか言っちゃいましたよ」
「気にすんなヨ。走り回りたい年頃なんだろ?」
こうしてルイズVSキュルケの決闘が幕を上げた。
3
「お先にどうぞ。それくらいのハンデはあげる」
「いいわ」
この決闘では使う魔法は自由である。『火』でも『水』でも『風』でも『土』でも構わない。
ルイズは魔法を使うためのルーンを唱え始めた。魔法を使うにはまずルーンを唱えないといけない。
そのルーンは扱う魔法や属性によって疎らだ。そして今ルイズが唱えているルーンは『ファイヤーボール』の『火』属性の魔法だ。
ロープを焼き切るには最適の魔法だけど、それはキュルケも同じこと。
いや、キュルケの方が有利に働くだろう。
キュルケの属性は『火』。それにキュルケは学院生徒では珍しいトライアングルクラスのメイジだ。
そんな彼女が揺れているロープを外すようなことはありえない。
おそらくチャンスはこれ一度きり、外すわけにはいかなかった。
杖を才人のロープめがけて振った。
するとまた魔法が失敗してしまい、才人のとなりの壁が爆発してヒビが入ってしまう。
「あぶねえ! 殺す気か!」
才人は近くで爆発がしたので生きた心地がしなかった。
「うるさいわね!」
ルイズは今の失敗よりもキュルケに順番を回してしまったことに怒りをあらわしていた。
「ん? 確かあそこは……」
「? どうしたんですか銀さん?」
「いや、ちょっと用事を思い出してな。あとのことは任せた!」
銀時は用事でここから離れてどこかへ行ってしまう。
「用事って……」
「おそらく宴会の約束でもしてたんだろ?」
「確かに、その用事は銀さんらしいけど……」
新八と神楽は銀時がここから離れたことに疑問に思いながらも、二人の決闘の行方を見守っていた。
「さてと、あたしの番ね」
そう言い、キュルケは胸の谷間から杖を出して軽くルーンを呟いた。先ほどルイズが唱えたルーンと同じ『ファイヤーボール』だ。
杖から飛び出した火の玉はそのまま才人が縛られているロープに見事に命中した。
支えられていた力がなくなり、才人は重力に身を任せてそのまま地面に落ちていった。
「うわああああああああああああああ!」
才人は悲鳴を上げながら落ちていくが、途中で空中に止まっていた。
タバサが『レビテーション』を唱えてくれていたので、才人は落下さまにならずに済んだのだ。
『レビテーション』をかけられた才人はゆっくりと地面へと降ろさせていく。
4
「確か、さっきの亀裂が入った場所は宝物庫だったよな?」
銀時は本塔の階段をのぼりながら、ブツブツと呟いていた。
「だとしたら、あそこを土くれのフードってヤローが見逃すわけもねーよな……」
銀時は街で噂を聞いた貴族を狙う盗賊『土くれ』のことを思い出していた。
彼は貴族の屋敷に忍び込んではその屋敷の財宝を奪っていく盗賊なのだ。
素顔はフードによって隠されていて、だれもその顔を見たことがないという。
それに何より恐ろしいのは、彼はメイジであるということ。
「確か……『土くれ』のクラスはラインだったか? それともトライアングルだったっけか?」
『土くれ』のフーケのメイジのクラスを思い出しながら、銀時は宝物庫にたどり着いた。
「さあ、早く来てくれよ
銀時はフーケに多額の懸賞金がかけられていることを知って、自分の力でフーケを捕まえようとしていた。
「ヤローを捕まえたら、今日負けた分が戻ってくるだけじゃねェ、莫大な金額が俺の手元に入ってくんだ!」
フーケはおそらくここを狙っていると銀時は予想していた。
「さあ! どっからでもかかってきな!」
そう言うと同時に、何かの衝撃が銀時を一瞬のうちに襲い、そのまま銀時は壁に叩きつけられて気を失ってしまった。
5
少し時間は戻って中庭へ。
キュルケとルイズの決闘はキュルケの圧勝だった。
キュルケはこの決闘に勝利して、キュルケの買ったあの金ぴかの剣は才人の手に渡った。
それに対してルイズは不服そうにキュルケと才人を見つめていた。
「…………っ……!」
「別にいいじゃないアルか。どーせ、あとであの女に捨てられるのがオチなんだから」
才人もまた、ルイズのその表情を見て胸の中にもやもやとしたものがあった。
「……まずはこのロープを解いてくれ」
才人は近くにいたキュルケにそう言うと、キュルケは「喜んで」と言って才人のロープを解こうとする。
だが、キュルケはすぐに解こうとはしなかった。
背後に何者かの気配を感じ取れたからだった。
背後を振り返ってみてみると、そこにいたのは巨大なゴーレムの姿があったのだ。
「なに、これ……!」
キュルケは絶句してしまう。
そしてその巨大なゴーレムはキュルケの方に向かって歩み始めた。
「きゃああああああああ!」
それを見たキュルケは悲鳴を上げてしまい、すぐさまそこから逃げてしまう。
「おい! 置いていくなよ!!」
才人はその場に取り残されてしまい、しかも体はロープによって縛られているため、身動きもとれなかった。
そんな身動きの取れない才人にさらに追い打ちをかけるかのように、巨大なゴーレムの姿がこちらに歩み寄っているのが目に入った。
「なん、だよ、こりゃ……! で、でけえ!」
その大きさに驚き、才人はすぐさま逃げようとした。が、ロープのせいで逃げられなかった。
そんな中ルイズが駆け寄って、才人のロープを解こうとしていた。
「おい! 早く逃げろ!」
そう才人は叫ぶも、ルイズは一向に逃げようとしなかった。
「二人とも! 危ないィィ!」
「定春ぅ!!!」
神楽はゴーレムがあと数歩で二人を踏み潰しそうだったので定春を呼び、二人を救出に向かわせた。
定春はそのまま二人のもとへと向かい、巨大ゴーレムのあと一歩というところで難なく救出された。
それにもし定春が間にあわなかったとしても、タバサの風竜シルフィードが救出に向かっていたので、どちらにしても二人は確実に助かっただろう。
「いででででででで! ひきずってるひきずってる!!!」
才人は縛られてるロープの先端は定春によって咥えられて、引きずられながらもゴーレムがいたところから離れていく。
二人と一匹は避難すると、改めてそのゴーレムの大きさに驚愕した。
「なんなんだよ、ありゃ……」
「わかんないけど、巨大なゴーレムのようね」
「あんな大きいモン、作れるやつがいるアルか?」
「あれだけ大きなゴーレムを操れるのは、おそらくトライアングルクラスのメイジね」
「トライアングルって、そんなメイジが何でこんな所に!」
「わかんないわよ!」
ルイズはそんなことは知らないという態度をとる。
「けどよ、ルイズ。なんでお前は逃げなかったんだ?」
さっき、才人を助けるために危険を承知で才人の元へ向かっていくルイズの姿を思い出した。
その理由を才人はルイズに問うた。
「使い魔を見捨てるメイジはメイジじゃないわ」
ルイズはその質問にキッパリと答えた。
6
木陰に隠れていたフードをかぶった人は、自分の握っていた杖を振り、先ほどのゴーレムを操っていたのだ。
「まさか、こんなに簡単にいくとはね……」
フードをかぶった人、つまりは『土くれ』のフーケその人だった。
フーケは自分が呼び出したゴーレムを操り、先ほどルイズが作った壁のヒビに向かってゴーレムの拳を繰り出した。
拳が壁に入る瞬間にフーケはゴーレムの手を鉄へと変えて、壁を粉砕する。
その衝撃はドアまで到達して、宝物庫の扉を破壊していた。
そこに一人の男が倒れている。どうやら気絶しているようだ。
そんなことをフーケは気にせず、そのまま宝物庫の中へと入っていく。
宝物庫の中はその名にふさわしく、様々なマジックアイテムや金品が保管されている。
そんな中から一つ、フーケが盗みに来たものを見つけた。
そのアイテムの近くのプレートにはこう書かれていた。
『破壊の杖。持ち出し不可』と。それを見たフーケはますます笑みを深めた。
そのまま『破壊の杖』に手をのばして、手に抱え込む。
フーケは少し驚いてしまう。
『破壊の杖』は外見の形状よりも軽かったからだ。これはなにでできているのだろうと思うも、それを考えている時間はフーケにはなかった。
手に取った『破壊の杖』をもって、ゴーレムの手に乗る。
と、同時に壁にこう刻んでいく。
『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』
前書きでも書きましたが、完結しなかったみたいで続きを読みたかったという気持ちが本当に強いです。癌めっ! よくも先生を殺しやがったなァ!