ミサトさんとして、精一杯、生きましょう! 作:Qの展開に?満載の人
来い。
実の父親から送られてきた手紙にはただそれだけしか書いてなかった。あと父親が所属しているNERVという組織のカードキー。それが何を意味しているのかよくわからない――考えたくもなかったが、十年ぶりに父親に呼び出されたこともあり、複雑な想いを抱きながらも碇シンジは第三新東京市を訪れていた。
「あっ、来た来た。待ってたわよぉ、シンジ君」
人気のない駅に辿り着くなり、シンジは一人の女性に呼びかけられた。駅前のロータリーに停車された青のルノーにもたれ掛かってシンジを待っていたのは、若干藍色がかった黒髪を長く伸ばす、一人の女性。赤いジャケットを羽織っている。
シンジは半ば反射的に予め手に持っていた写真を見る。そこに移っていたのは、ニカッという笑みにピースをする女性の顔写真。第三新東京市に辿り着いたら、そこから先の道をこの写真の女の人が案内してくれることになっていた。いい年をしてちょっと似合わない気もしなくもないが、彼女がこの写真と同一人物であるということは一目でわかる。
こちらに駆け寄ってきた女性に、シンジはぎこちないながらも挨拶する。
「初めまして……葛城ミサトさん」
「あーあー堅苦しいのはナシナシ。何だったらミサトって呼んでくれてもいいわ。長旅ご苦労様ー、荷物をお持ちしますわ」
女性――葛城ミサトは冗談めかしてそう言うと自然な流れでシンジの持っていた荷物の入ったバッグを掴む。
「詳しい話は車に乗ってからでいい?」
「は、はい」
何とも言えない勢いに押されたシンジは、彼女になされるがままに車の助手席に乗り込む。
「シートベルト締めたー?」
「は、はい」
「じゃあ、行くわよー」
ミサトはペダルを踏み込んだ。
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あれから十数年の年月が過ぎ去り、私は原作と同じように特務機関NERVの作戦部長になっていた。本来であるなら葛城ミサトが生き抜くべきだった人生を、私が生きさせてもらっているのだから、その生き様を知る私はできる限り、本来の彼女の役割を果たすべきだと考えたからだ。そもそも、碇ゲンドウのセリフを取るわけではないが、「使徒を倒さなければ我々人類に未来はない」状況なのだ。第二の人生を精一杯生きるためにも、人類を滅ぼす危険性のの使徒の殲滅に尽力するのは必然のことだ。無論、私より優れた人材が本来の
もしこの世界が原作と同じだとしたら、人類補完計画やらほかにもこんがらがった事はいろいろとあるのだが、まずは目下のことに集中しなければならない。2015年に襲来するとされる使徒との一戦だ。
その上で重要なのが使徒を戦う人造人間――すなわちエヴァンゲリオンを動かす操縦者の存在だ。一番良かったのは、
となると今、こちらにある人材で何とかするしかないのだ。レイは原作と違い、なぜか調子は良好であったのだけど、つい先週、零号機の起動実験後、シンクロ率やエヴァにおける基本戦術の確認のため、私と話して別れた直後、NERVのエスカレーターをなぜかレイが転がり落ちるという事故があって、全治三か月の重傷を負ってエヴァの操縦が無理な状況になってしまった。う~、折角、原作とは違う包帯まみれじゃないレイだったのに、お陰で全部台無しじゃない! なんとなくわかっていたけどレイって隠れドジっ子属性持ち!?
それで急遽、
理想を言うとシンジくんにも早く事情を説明して、どうにかエヴァに搭乗してもらい、来るべき日の時の為に訓練をさせておきたかった。いきなり呼び出して戦え、なんて14歳の子供に対してあまりにも酷すぎる。
けどあの碇司令はあんな威圧感溢れたおっさんの癖に10年前にほっぽり出した息子に会うのを怖がってる。万が一に備え、司令の息子さんにも事情を説明し、こちらに呼び寄せておくべきですと提言したら、「今はまだその時ではない」って何か意味深に言われたし。理由を説明しろ理由を。普通に考えて、いつ発動するか(少なくとも私には確証はない)暴走に頼るよりも、少しでも訓練させ、準備させた方が確実性が高いに決まっている。司令やら老人たちの
「みみミサトさん! なんですか、アレ!?」
「んー、化け物ー?」
ズゥーン、ズゥーンと遠目越しに見える二足歩行の巨大な使徒の姿をシンジくんが発見し、若干切羽詰まったような声で問いかけてくる。そろそろ国連軍の開幕爆撃が開始される頃ね……N2地雷が使用される前に本部にはたどり着きたいのだけど。
……ほんと、大人の都合に巻き込んじゃって、ごめんね、シンジくん。
*MISATOSANは遅刻しない。そしてレイさん、何があった……。