黒と藍色の機体、アルファはアリーナの防壁を破壊した後、三機は何かを見つめていた
その方角にはカメラがあり、そこに武装であるキャノンを向けていた
その時、光の矢が飛んできて、アルファの一体に突き刺さった
樹希「降臨…満を持して…」
矢が飛んできた方角には六枚の翼の生えた金色の機体を纏った樹希が佇んでいた
アルファはその樹希を見て、銃口を構えた
樹希「来るか…ならば来るがいい!!」
樹希は弓矢をしまい、サーベルと盾を出した
アルファはキャノンを樹希に向けたが、一瞬で斬られていた
残り一体となったアルファはキャノンを連射し、樹希を近づけないようにしていた
樹希はその攻撃を盾で防ぎつつ、空に舞い上がった
樹希「余の前に平伏すがいい!!」
翼が輝きだし、そこから無数の光が放たれ、アルファを完全に破壊しつくした
樹希「さて…後始末が大変だな…」
樹希はそう言ってピットに戻った
会議室に学園長である十蔵と樹希が向かい合っていた
樹希「それで…あのアルファを輸送していた車を襲った犯人についての情報はありません…」
十蔵「そうですか…それにしても、何者なのでしょうか、D&Pの警備を搔い潜って輸送車からアルファを盗み出したほどでしょうから、貴方以上の頭脳の持ち主…若しくはD&P以上の組織…」
樹希「いずれにしても、俺等の常識を超えていますからね…それにしても、アルファが盗られたということは…何かしらのことをすると思います…」
樹希と十蔵は書類の方を見ながら色々と話し合っていた
その時、乱入者が入って来た
千冬「学園長!!何故、私を呼ばないのですか!?」
十蔵「何の御用ですか…?貴方に指揮権はないはずですが…?」
樹希「用件だけ聞こうか…」
樹希は千冬を睨み、千冬はたじろいでいた
千冬「貴様の企業も大したことはない、今すぐ…」
樹希「却下、言っておくがあんたには何の権利もない…これ以上ふざけたことを抜かすとお前の立場も危ういものとなるだろうな…」
樹希はそれだけ言うと、会議室から出て行こうとした
千冬「ま、待て!!話はまだ終わっていないぞ!!」
樹希「そう言えば、白騎士事件の被害者は白騎士様を相当恨んでいるようだが…白騎士は何処でのうのうと知らずに生きているのでしょうねぇ? 織斑千冬先生?」
樹希はまるで悪魔のような笑顔を向けて千冬に笑いかけた
そして、千冬は直感した
樹希は白騎士事件の全貌を全て知っていることに
そして、彼のもとに集まっているのは白騎士事件の被害者だと言うことを…
いつか自分に刃が向くかもしれない
いや、樹希がその気になれば一斉蜂起もあり得る
それを考え、恐怖で震えていた
樹希「それでは、俺はこの後大事な要件がありますので…では…」
樹希はそう言って、会議室から出て行った
パンデモミウムに戻ると、樹希は一人クスクスと笑っていた
樹希「アルファの試験運用完了…このデータをアダムとイヴに転送…」
道化「かしこ参りました」
シルファ「主様、紅茶です」
樹希「そうか…」
樹希は紅茶を飲み、書類に目を通した
樹希「予定よりも早く決行できる…たった一つの悪と戦うもの、服従するもの…そして、現実から逃げていくものと英雄となるものを求める狂った正義無き世界」
ベル「樹希はそれからどうするのです?」
樹希「何もしない…いや、自作自演のショーだ…何かしらアクションをしないと…」
マモン「意外と腹黒いですね…お兄ちゃん…」
樹希「そんなものだろ? 人間なんざ…常に思考を巡らせ、様々な手を尽くす…正々堂々と戦う奴は…ただの愚か者だ…」
樹希はそう言いながら書類を破り捨てた
そして、ゴミ箱に捨てると、レヴィの頭を撫でた
リリス「ダーリン、なんだかますます男らしくなって…襲われたい…」
サタン「樹希!!いつまで抱き付かれているんだ!!」
樹希「俺が知りたい…」
樹希は溜息をつきつつ、立ち上がった
ファルベ「おにいちゃん、どこにいくの~?」
樹希「風呂だ…」
樹希はそう言って出て行った
大浴場、この時間帯は入る人間も少なく、樹希はゆったりと浸かっていた
樹希「…あいつらにはああ言ったが…少し、怖いな…俺のせいで世界が壊れていくのが…幸せに生きている人間の幸せをまた奪うことになると考えると…震えが止まらない…」
樹希は自嘲気味に笑っていた
だからこそ気が付かなかった
誰かが大浴場に入ってきたのかを…
シャル「樹希…?」
樹希「シャルロット!? 何でここに!?」
シャル「誰もいないと思って…」
樹希「もう上がるから!!後はゆっくりしていけ!!」
シャル「待って!!」
シャルロットの声で樹希は立ち止まった
シャル「一緒に入っちゃ…ダメ…?」
樹希「・・・」
樹希はおとなしく一緒に入ることになった
樹希「…何でこんなことに…」
シャル「…樹希…」
シャルロットは樹希の背中に抱き付いた
樹希「お、おい…何をして…」
シャル「酷い怪我…どうして…」
樹希「…黙秘する…」
樹希は顔を赤く染めながら答えた
そして、樹希は心の中で思っていた
『暖かい』
長らく感じられなかった感覚
樹希が一夏だった頃から求めていた物、それが今ある
樹希「シャルロット…暖かいな…」
シャル「え?」
樹希「…その温かさを忘れるな…」
樹希がそう言った時、シャルロットは頬を赤く染めていた
樹希「さて、そろそろ上がらないとな…のぼせてしまうからな…」
樹希はそう言って、風呂から上がり、逃げるように出て行った
その時、樹希の顔は悲しそうで、愛おしそうだった
まるで、暗い何かを背負っているかのようにさえ思えた
シャルロットはこの時、樹希を助けてあげたいと思った
その次の日、シャルロットの入学の書類ミスで男となっていたということになり、D&P社所属の女子として再転入が決まり、いろいろと騒ぎがあったのは別の話