夏休み、樹希はD&P本社に来ていた
樹希「…今日はこのくらいだな…」
秘書「総帥、次の会議まで十分くらいありますが、どうなさいますか」
樹希「そうだな…会議のための書類はあるか?」
秘書「はい、こちらでございますが…」
樹希は書類を秘書から渡されると、少し睨みつけた
樹希「随分と少ないんだな…」
秘書「申し訳ありません、まだ目玉となるものの企画ができていませんので…」
樹希「わかった…」
秘書が出て行くと、樹希は紅茶を飲んだ
その時、電話が鳴った
樹希「…もしもし」
社員1「あ、総帥、入社を希望している男が来ていますが」
樹希「今行く…待ってろ…」
樹希はそう言って総帥室を出た
場所は変わり、応接室、そこに小太りの中年男性がいた
樹希「初めまして、私、D&P総帥、七条樹希と申します」
男性「初めまして、総帥、私は田中小太郎と申します」
二人は名刺を渡し、受け取った
樹希「さて、田中さん、貴方が我が社に入社しようとしたのはなぜでしょうか?」
田中「私には夢がありまして、子供たちにペンギンの可愛らしさをアピールしたいからです」
樹希「ふむ…」
田中「こう言った世の中だからこそ、ペンギンの可愛らしさが必要なのです!!ISのせいで家族を失った子供たちの心を少しでも何とかしたいのです!!」
田中と名乗る男性の言葉を聞いて、樹希は密かに近くにいた社員に耳打ちしていた
樹希「良いでしょう、田中さん、貴方を採用しましょう」
田中「はい!!それでは明日でよろしいのでしょうか?」
樹希「いえ、本日からでよろしいでしょうか?」
それを聞いた田中は唖然としていた
樹希「田中小太郎様、貴方を本日、D&P主催テーマパーク、七条グランドパーク最高責任者に任命します」
田中「え?」
樹希「貴方の言葉に感動しました!!ISのせいで家族を失った子供達を思いやる心が素晴らしい、貴方のような人材があれば子供の心を掴み、子供達の傷ついた心を癒せるでしょう」
樹希は手を差し出し、田中は手を握った
樹希「これからよろしくお願いします、田中さん」
田中「こちらこそ、よろしくお願いいたします!!七条総帥!!」
会議は滞りなく進み、樹希は受け付けの前で待っていた
その時、秋人と五反田兄妹、数馬がやって来た
樹希「ようこそ、D&P本社へ」
秋人「凄い…」
蘭「こんなに立派だなんて…」
弾「本当にすごいんだな…」
数馬「ここまで凄いだなんて…」
樹希「中に入ってくれ、見せたいものがあるんだ」
樹希はそのまま案内した
D&Pの地下室、そこではISの研究と開発が行われていた
その中心、マゼンタ色の宝石とシアン色の宝石がカプセルの中に入っていた
樹希「あそこにあるのは、俺が今、最も力を注いでいるISコア、検体名は『アダム』と『イヴ』だ」
蘭「アダムとイヴ…ですか?」
樹希「ああ、誰でもISと会話できるようになるISコアのサンプルだ」
弾「誰とでも会話できる?」
樹希「ああ、これが完成すればまた一歩宇宙進出へ近づける」
樹希は嬉しそうに言った
樹希「あ、そうだ他にも見せるべきものがあったな」
蘭「そうなんですか?」
弾「これ以上何があるんだ?」
樹希「…あ、いや、あそこに行くのに道化の部屋を中継しないといけないんだった…」
樹希は溜息をつきながら頭を掻いた
弾「道化さんの部屋?」
樹希「ああ、あそこは悪趣味な部屋だからな…目隠ししてもらおうか…」
もう一つの地下施設に到着すると、そこにはアリーナのある町が広がっていた
樹希「ここが我が社のテストパイロット達の暮らす町、コープスタウンだ」
中に入ると、子供たちがやって来た
子供1「兄ちゃん!久しぶり!」
樹希「元気していたか? 先生を困らせていなかったか?」
子供2「聞いてよ、この子が先生に悪戯して…」
子供1「ちょ!? それは内緒って言っただろ!?」
樹希「あはは、元気そうで何よりだ、俺の友人達を連れて来たぞ」
その瞬間、秋人達は子供達に取り囲まれた
子供3「あ、このお兄ちゃん、樹希お兄ちゃんと同じ顔だ!!」
秋人「あ、実は樹希さんとは双子なんだ…」
子供4「そうだったの!?」
子供たちは驚いていた
とあるもので遊んでいたのが、弾の目に留まった
弾「何だ?あれ?」
樹希「あれか? あれはISを小型化、ホビー化して子供達に試してもらっているんだ」
蘭「へぇ~、樹希さんって子供を大事にしているんですね」
樹希「なんか照れるな…」
秋人「ねえ、兄さん、夏休みの間ここにいていい?」
樹希「構わないが…家はどうするんだ?千冬は家事ができないようだが…」
秋人「その辺は大丈夫、姉さんは夏休みの間は学校だし、家は知り合いに頼んでいるから問題ないよ」
秋人は嬉しそうに笑っていた
夕方、秋人達は帰宅する時間となっていた
樹希「今日は来てくれてありがとう、今度そっちに行くからな…秋人の知り合いとやらに」
弾「ああ、それもかなりの美人で有名らしい」
樹希「ほお、秋人、あれだけ恋愛はしないと言っておきながら…」
樹希はニヤニヤしながら秋人を見た
秋人は顔を赤くして否定していたが、結局誤解は解けなかった
その夜、地下研究施設では事件が起こっていた
『アダム』と『イヴ』のISコアが侵入者に盗まれてしまった
盗み出した者は知らない、これは夢のISコアなどではない、樹希の計画のためのいわば核弾頭であり、盗み出した人間は引き金、その人間が所属している組織が発射台となっていることを…盗まれること前提でこのISコアが開発されていたことを…