学園祭の次の日、一五郎は樹希にとある相談をしていた
一五郎「総帥、秋人君に…牙突を教えてもよろしいでしょうか?」
樹希「それは何故だ?」
一五郎「彼自身に可能性を感じてるのです。世界最強の弟と言うわけでもなく秋人君自身にです」
それを聞いた樹希は嬉しそうな顔をしていた
樹希「良いだろう、それを聞いたら彼奴は喜びそうだな…彼奴は物覚えも良いし、意外と良い弟子が出来そうだな…」
一五郎「はい、では、総帥…失礼します」
樹希「おっと、少し待て」
樹希はそう言って、一五郎にあるものを渡した
一五郎「総帥、これは?」
樹希「お前にはいろいろと恩があるからな…たいした礼にもならないが…家族でゆっくりしていってくれ…」
樹希は会社のテーマパークのチケットを五枚渡した
何事もない日常
これは案外崩れやすい物だとすぐに思い知らされることになった
その日は皆、学業に努めていた
そんな時、いきなり、モニターにある光景が起動した
鷹月「なにかな?」
樹希「臨時放送か?」
そんな会話を交わしていると、ある映像が流れた
そこには二機のISが鎮座していた
樹希「何だあれは…!?」
アダム『我が名は…アダム…』
イヴ『我が名はイブ…』
アダム・イヴ『『世界を修正するものなり!!』』
樹希「ウソだろ!? あれは俺の所で開発していたISコアが使われているのか!?」
樹希は(演技だが)驚いていた
そして、アダムとイヴは言葉を繋げた
アダム『この世界の浮上の象徴ともいえる国際IS委員会は既に我々が占拠した』
イヴ『貴様たちに選択を与えよう…』
アダム『このまま、IS委員会を消滅させるか…ブリュンヒルデをこちらに差し向け、委員会を助けるか…』
イヴ『刻限は明日の午後十二時…』
アダム・イヴ『選ぶのは貴様等だ…』
その声と共にモニターが消えた
樹希は忌々しそうな顔をして怖い顔をしていた
シャル「ねぇ、あのISのことを知っているの?」
樹希「厳密にはコアの方だがな…あれは、俺の企業が開発していた希望だ…それがある日…夏休みの間に何者かに盗まれた…」
秋人「まさか…あれだけ厳重な警備を…」
樹希「あの日は偶々一五郎がいなかった…それに…厳重と言うのはただ、そう言うだけで完ぺきとは言えないんだ…」
樹希はそう言って頭を押さえた
生徒1「で、でも…織斑先生なら…」
樹希「まだ分かんねぇのか!? こいつはそう言う問題じゃねぇ!!一人を犠牲にするか、大勢を犠牲にするかの選択を強いられているんだぞ!」
樹希は思わず声を荒げて叫んだ
本音はその言葉の意味が分かり、困った顔になってしまった
セシリア「樹希さん、何かあるのですか…?」
樹希「あのISのコアは自己学習機能付き…ブリュンヒルデの全盛期の頃のデータも入れた…言ってしまえば…お手上げだ…」
樹希は苦笑交じりに両手を上げた
秋人「何か、いい方法があるはずだよ!!」
樹希「そうだな…もう少し可能性を信じて見るか…」
樹希はそう言うのを皮切りに授業を再開した
授業が終わり、樹希は会議室で学園長や教師たちと話し合っていた
十蔵「七条さん、アダムとイヴの弱点はあるでしょうか?」
樹希「一応、あります…我が社が所有している衛星、エデンの園のメインプログラムからアダムとイヴを遠隔操作することが可能です…」
教師1「な、ならそれで…」
樹希「ですけど…数日前から何者かのハッキングでエデンの園とのコンタクトが取れなくなってしまいました…」
樹希は申し訳なさそうにしていた
その時、千冬が入って来た
千冬「学園長!!先ほどの放送を見ました!!私ならあんなどことも知らぬ馬の骨を簡単に…」
十蔵「はぁ…貴方は…講義はどうしたのですか?」
千冬「今はそのような事態ではありません!!」
樹希「お前は自分の立場が今どんな立場なのかわからんのか?」
その言葉と共に、千冬は樹希を睨んだ
千冬「何だと…?」
樹希「はぁ…彼奴らの言っていたことを簡単に言って差し上げましょう…『IS委員会を失うか、ブリュンヒルデを失うかを選べ』…だ…」
十蔵「成程…そう言う事ですか…ISのこの時代の象徴であるブリュンヒルデを犠牲にするか、ISをまとめている委員会を犠牲にするか…どちらにしても、大打撃になるかもしれません…」
千冬「何を言っているんですか!?私が…」
樹希「…いい加減にしろよ…? ブリュンヒルデ…いや、白騎士!!」
樹希は思わず言ってしまった
千冬の顔が青ざめ、周りの人々は千冬を思わず見てしまった
樹希「この際だ…はっきり言っやるよ…十年前、ISを批判した科学者共を見返すために束が織斑千冬を使い、引き起こした事件が白騎士事件、だが不思議に思わないのか? あれだけのミサイルを人間一人が全て撃ち落とし、犠牲は無かったのか…答えはNOだ…撃ち落としたミサイルは様々な人間を襲った…俺の企業はそういう人たちが集まっている…これは学園長と一部の教員には話しましたが…」
千冬「そ…それがなんだ? 巻き込まれた方が悪いのだ…」
樹希「なら、それを彼奴らの前で言えるのか?」
樹希が千冬にそう訊ねると、千冬はその通りだと言わんばかりの顔をしていた
樹希「そうか…言っておくが、加賀美骸がその一人だ、もう呼んである…」
その言葉と共に、骸が入って来た
いや、骸だけではない、秋人やラウラも来ていた
秋人「姉さん…そう言う事だったの?」
千冬「あ、秋人…これは…」
ラウラ「教官…貴方が…貴方が兄上のご家族を殺した…!!」
骸「…」
骸は何も言わず、無言で千冬に近づき、胸ぐらを掴み、睨みつけた
骸「お前が…俺の家族を…ひよりを…!!」
ラウラはあそこまで感情をさらけ出した骸を見るのは初めてだった
骸は今にも千冬を殴りそうだった
骸「何で…何で殺した!!? 何で罪もない俺の家族を…俺等の居場所を奪った!? 答えろ白騎士!!」
千冬「あ…ああ…」
樹希「その辺にしておけ、骸…お前の気持ちも分かる…だが、これからどうするかを考えている…IS委員会を守るために白騎士を差し出すか…白騎士を守るためにIS委員会を見捨てるか…」
樹希は骸をなだめながら、今後の事を話した
道化「はぁろぉ、皆々様」
樹希「道化か…何か用か?」
道化「はい、IS委員会の様子をお伝えに参りました」
十蔵「そうですか…それで、なんと」
道化「織斑千冬を差し出せ、とのことです」
それを聞いた教員たちは驚きで何も言えなくなっていた
秋人「そ、それって…」
樹希「ああ、選択肢を消しに行ったな…なんと愚かな…」
道化「ええ、全く…」
千冬は狼狽えていた
そして、秋人を見た
秋人は少し俯いていた
誰も死んでくれとは言っていない
だが、千冬が勝手に思い始めていた
樹希「さて…道化、IS委員会本部にいる役員はリストアップできているか?」
道化「ええ、こちらです」
樹希はもしもの事を考慮しつつ、今後の事を考えていた
そして、リストを調べると、ナツキは舌を打った
樹希「役員のお偉いさんがいないな…そして、こいつら女性権利団体の一員だな…」
秋人「それって?」
樹希「俺等には最初から選択肢は二つしかないという事だな…だが…IS委員会の回し者がいたとすれば選択肢は一つしかないな…織斑千冬を犠牲にしてIS委員会を助ける…」
骸「それなら、俺の復讐はどうすれば!?」
樹希「…復讐にとらわれるなと言っただろう? それに、最高の復讐は何もしないことだ…罪を突きつけて何もしない…罰が無いものほど恐ろしいものだ…」
樹希は骸の怒りを抑えつつ、諭した
樹希「では、この件はまた後程…」
樹希はそう言って会議室から出て行った
千冬は何も言わず、その場にへたり込んでしまっていた
パンデモミウムの隠し部屋で樹希は狂ったように笑っていた
樹希「アハハハハハ! 流石だな、道化、あんなでっち上げの証拠をそろえてくれるだなんてなぁ?」
道化「ええ、あれくらい簡単ですよ」
樹希「学園に潜伏しているIS委員会の連中を少し煽るだけで事が起こりやすくなるな…」
樹希はそう言いながら玉座に腰掛けた
樹希「どうなろうが良い展開になりそうだなぁ…」
道化「ですけど、障害がおひとつ…」
樹希「女性権利団体か…面倒だな…いずれ潰すがな…」
樹希はそう言いながら書類を眺めていた
樹希「いよいよ、計画も本当の意味で最終段階に近づいてきた…あとは社員たちがどの位賛同してくれるかだ…」
樹希は玉座から立ち、その部屋から出て行った