阿礼狂いに生まれた少年のお話   作:右に倣え

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書かれてないキャラが居る? 許せ、この時代で主要っぽいなと思ったキャラのみだ(吐血)

キャラが多いから全部出そうとすると間延びしてしまう! というか三十年かけた阿弥の時代と十年弱のこの時代じゃ無理がある!!

というわけで登場人物紹介です(濁った目)
あんま長い時代でもなかったので書くことも少ないため、見なくても問題はありません。


登場人物紹介

 火継信綱

 

 本作の主人公であり、もう立派な老人である。変革の時代終了時点で66歳。いつ死んでもおかしくはない。

 新しいルールが施工され、人妖の共存が成る前――吸血鬼異変に始まり、多くの騒動を解決し、共存への道標を作った幻想郷にとっての英雄としての役目はすでに終わった。

 そしてその武力を以って、人里を守る守護者としての役目も一線を退いた。

 

 これら全て、他者より求められたからやったに過ぎないことを全て終え、信綱はようやく阿礼狂いである自分自身の願いを自覚する。

 彼はやはり生まれてから死ぬまで阿礼狂いであり、行動は全て御阿礼の子のためにある。

 自らの在り方を再確認し、彼は再び歩み始める。最初で最後になるであろう、彼自身の願いを抱いて。

 

 武力、政治力、知力、およそ個人が持つ力は全てが傑出しており、どれもが人間の枠組みどころか妖怪と比してもトップクラスの才覚を持つ。

 その力が求められる未来がもう来ないことを願いながら、御阿礼の子の寿命をどうにかすべく行動中。結末がどうなるのかは誰にもわからないが、何かしらの結果は残すのだろう。

 

 

 

 

 

 先代の巫女

 

 博麗の巫女からクラスチェンジ。一応は霊夢が博麗の巫女という形式になるが、小さな子供である彼女の代わりに巫女の真似事もまだ続けている。

 博麗の巫女を退役した途端、信綱と婚姻を結んだことは人里のみならず妖怪も仰天する大ニュースだった。

 確かに妖怪を退治する人間同士、という接点はあったものの博麗の巫女と阿礼狂いがどうして!? という驚愕が大きく、噂はあっという間に幻想郷を駆け抜けて尾ひれが大量にくっついていった。

 

 曰く、彼らは出会った時から愛し合っていたが身分が邪魔をしていた。曰く、かつては殺し合いに近いことをしていたが、いつの間にか惹かれ合っていた。曰く、実は信綱の側には妖怪の恋人がいて、さらに巫女も彼に懸想をする三角関係があった。などなど。男女の噂話の常か、大体ノッブが悪者になっていた。

 

 とはいえ人の噂も七十五日。おまけに結ばれた二人は特に何か問題を起こすことも変なことをすることもなく、実に普通にいつも通りの生活を送っていたため、すぐに消えていった。ちなみに嫁入り。

 

 サバサバとした性格で細かいことは気にしないが、根は真面目。本質的に情も深く、面倒見も良い。

 博麗の巫女時代はどこにも肩入れできなかったため、その役目が終わった後は好きなように生きているようだ。

 

 そこには夫となった信綱への献身も含まれており、彼は名目上のそれとしか思っていないが、彼女にとってはそれなり以上に大きな意味を持っている。

 自分のために全てを投げ出すようなことはないが、それでもいつか自分が死別する時まで彼は自分を嫌わないだろうし、自分も彼を嫌わない。そんな関係。

 きっと最後の最期、旅立つ彼女の顔には微笑みが浮かぶのだろう。

 

 

 

 

 

 犬走椛

 

 こいつが出ると読者の反応がやたらと良くなる妖怪側のメインキャラ。

 もともと出した理由については前回話したので、今回は彼女の能力について話そうと思う。

 千里先を見渡す能力の持ち主である――という当たり前のことではなく、ノッブと戦いまくって鍛えられた白兵戦の方である。

 ノッブ以外と剣を交えた経験が少ない上、百鬼夜行の時もノッブのサポートについていたという認識を持っているため、自分の強さに全く自覚がない。

 ――が、白兵戦というカテゴリで見れば通常の烏天狗なら複数を相手取って大立ち回りも可能なほど、彼女の剣術は研がれている。

 もう当初の目的である烏天狗を越える白狼天狗になるというものは叶っているのだが、ノッブは敢えてそれを教えないことで彼女のさらなる成長を促している。

 才能があるとは思っていないが、自分の鍛錬になんだかんだ言ってついてきてくれる。信綱にとっては見放すことのできない存在の一人なのだろう。

 

 信綱は子供の時は彼女を見上げ、成長してからは彼女を見下ろして今は亡き椿とともに三人で歩んできた。

 その時間が彼を作り上げたのは一面において事実であり、椿との殺し合いの結末が幻想郷の変革のきっかけとなった。

 

 誰も知ることはないし、記されることもないが、それでも変化の魁となったのは彼女であることに変わりはない。

 

 信綱が御阿礼の子以外で大きな感情を向ける存在の一人。ある意味、妻である先代の巫女より大事にしている。彼女のことをどこか神聖視しているフシもあるかもしれない。

 

 

 

 

 

 霧雨勘助

 

 霧雨商店の店主であった。もう今は息子の弥助に後を継いでもらい、信綱と同じく楽隠居状態。

 信綱とは子供時代からの付き合いであり、今なおその付き合いは続いている。

 一時は狂人である彼から離れることも考えるほどだったが、今は彼との付き合いが続いたことを心の底から誇りに思っている。

 信綱の活躍を聞いては親のように喜び、また彼が助力を願う時は援助も惜しまなかった。

 そんな彼だが、最近の楽しみは生まれた孫娘の相手をすること。もう幸せの絶頂と言わんばかりに甘やかしている。

 

 

 

 

 

 霧雨伽耶

 

 上記の勘助の妻。良妻賢母として夫と息子を支え、独り立ちした息子を見て目を細めている。

 彼女もまた信綱とは寺子屋からの付き合いで、彼がそういう家の生まれであることも家柄上、結構最初の頃に知っていた。

 それでも普段から見る彼の姿がとても狂気に落ちるような人に見えなかったことと、それが知れ渡った今でも彼は決して無感情でなくむしろ情の深い類であると知っているため、付き合いを変えることなく今に至る。

 勘助とともに一線を退いた今、彼女は静かに夫に寄り添っている。彼女の幸せは今も昔も変わらず、好きになった人の隣りにいることなのだろう。

 

 

 

 

 

 森近霖之助

 

 後の香霖堂の店主。今は霧雨商店で修行中。

 もともと無縁塚に居を構えており、そこで無縁仏の供養や物漁りをして暮らしていた。半妖のため、食事も睡眠もほとんどとらなくて問題がない。

 そうして集めた物に囲まれ、その使い方などを夢想しているうちにこれらの使い方を知る人たちに渡したいと思うようになり、今に至る。

 すごくざっくばらんに言うと道具を愛し、知識に生きる趣味人。生きるために働く気はないので、ある意味幸せな人。

 

 信綱とは出会い方こそ割りと物騒だったものの、紹介してくれた店は厳しくも面倒見の良い店主と大らかな大旦那。そしてそっと手助けをしてくれる大奥方と、あまり人と深く関わってこない彼をして大恩を感じるほどの店を紹介してもらえたため、非常に感謝している。

 ……同時に彼が人里で成し遂げたことの一部も耳にしているため、あまり怒らせるのはやめておこうという決心もしている。

 ちなみに天狗の騒乱は人里では感知できていない出来事なので、これは伝わっていない。主に吸血鬼異変と百鬼夜行異変の内容が人里で有名なエピソードとして残っている。

 

 

 

 

 

 上白沢慧音

 

 人里の守護者。もはや長老に近い信綱にとって頭の上がらない数少ない人。

 彼女が人里に関わり始めたのは御阿礼の子で言うところのおよそ四代目ぐらいになる。

 そのため彼女は御阿礼の子の短命を知ってはいるが、どうしてそうなっているかなどの仕組みまでは知らなかった。

 自身もまた歴史の編纂を行うため、妖怪の対策本を作る御阿礼の子とはその関係でよく話す。

 代々の御阿礼の子が短命で死に、彼女と同じ時間に生きた人間が皆死んだ頃に転生する彼女を見てきて、何かできることはないかと心を痛めながらも表に出すことなく友人として付き合ってきた。

 

 信綱が現れ、そして御阿礼の子が笑って旅立ったのだと確信できるほど彼が御阿礼の子に尽くす姿を見てきて、心の底から祝福をしていた。

 

 だから彼女は自らにできることで御阿礼の子に伝えようと思うのだ。御阿礼の子三代に渡って仕えた男が幻想郷に対して行ってきた偉業の全てを。

 求聞持の力を持つ彼女にとっては不要であっても、忘れゆく人々にとっては大切な役割を果たす。

 そうして皆の心に何かが残るなら――きっと、御阿礼の子も喜ぶことだろう。

 

 

 

 

 

 河城にとり

 

 最近、人里ではそこそこ真面目な方の河童と認識されつつある妖怪。実際は信綱の制裁が怖くて真面目にやらざるを得ないだけ。

 目的よりも手段が優先される上お調子者の困った妖怪だが、本気で悪いことはやろうとしないため、信綱も彼女に対してはため息を連発しながらも面倒を見てしまう。

 信綱を驚かせようと釣具であるミミズ君の改良に余念がないが、もはやミミズ君とは呼べないナニカになりつつある。すでに釣り針には刺さらない上、魚が食いつくサイズではなくなっている。

 

 日々楽しそうに生きている彼女ではあるが、これでも人間との死別をすでに経験した存在であり、信綱のことももう受け入れている。

 しかしそれが彼と過ごす時間を無為にするものではない。死んだ時はきっと悲しいけれど、決してそれだけではないことを彼女は知っている。

 人間が死んでも妖怪は変わらない。時々思い出しながら、彼の作り上げた人間と妖怪の生きる幻想郷を面白おかしく生きていくのだ――

 

 

 

 

 

 橙

 

 実は登場している人物の中でもトップクラスに面倒見が良いという裏設定を持つ妖怪。

 お調子者で子供っぽく、あんまり強くもないけれど、自分の子分と認めた存在に対しては決して見捨てず、何があっても助けようとする。

 弱音を吐いたら自分に任せろと言ってくる性質。ある意味ダメ男製造機。ノッブは人間としてはおかしい部類であってもロクデナシではなかったため、お蔵入りしてしまった。

 そんな彼との付き合いもかれこれ半世紀。信綱から感じ取れる匂いが徐々に老いを帯びていることに気づいた橙は、いつか彼とも永別する時が来ることを理解する。

 そのことに恐怖はあるが、同時に彼の言葉も彼女の胸に息づいていた。

 

 死んだ人を道具の力なしに思い出すのは辛い、と。

 

 だから彼女は鈴をもらった。これを見る限りあいつのことを思い出せるように、と。

 

 

 

 

 

 射命丸文

 

 文々。新聞が発行されつつあるため、割りと今は忙しい天狗。カメラは多分河童からちょろまかしてる。

 天魔からの指示で始めたものだが意外と自分の書いた情報が皆の目に触れるということは快感であり、のめり込みつつある。

 しかしそれでも皆が求める情報には信綱や火継の人間が関わるものも多くあり、またどこかで彼と顔を合わせなければならないのが憂鬱。嫌いというわけではないのだが、どうにも厳格な彼には親しみやすさというものが欠けていた。

 

 ……まああれが笑顔で近づいてきたら殺されることを真っ先に考えなければならないのだが。

 

 元来、弱者を見下し強者におもねる天狗ではある。あるが、天魔が人間と共存することを選んだ以上、それに従うのが役目であると考えている。だからお前は根が真面目なんだよ、とは言っちゃいけない。

 

 

 

 

 

 天魔

 

 妖怪の山で暗躍中。ゴメン嘘ついた、悠々自適のお気楽ライフ満喫中。

 お山の大将があんまりフットワークが軽くては示しが付かない、という大義名分のもと、天魔としての姿ではなく変化をして遊びまわっている。有事の際は真面目だが、それ以外は基本的に人生が楽しい人。厳格で真面目な信綱とはあらゆる意味で対照的。

 しかしそれで彼の優秀さが陰るかと言われればそうでもなく。人間の英傑が信綱ならば彼は天狗の英傑として、天狗と部下である河童を導くことにかけて彼の右に出るものはいない。

 

 最近は新聞を流行らせようとしている。天狗の退屈しのぎが主目的のため、情報の信憑性はある程度無視する方向で、基本的にお祭り騒ぎの内容を書き出す方針にしている。

 

 最近の悩みはスペルカードルールが制定された後、妖怪と人間の勢力をどのように分けていくか。概ね以前の形で問題ないと思うのだが、なぜか最近悪寒が走る。具体的にはどっか他所の勢力がいきなり妖怪の山にドカンとやって来そうな気配が。

 

 

 

 

 

 レミリア・スカーレット

 

 ノッブ大好き吸血鬼。ズタズタに斬られ、血反吐撒き散らかしたあの戦いで惚れ込むという、率直に言って頭の病院に行った方が良いんじゃないかと言わざるをえない子、と美鈴は密かに思っている。

 ちょっと、いやかなり嗜好が特殊だが、それ以外は割りと普通な妖怪。気高く、美しいものを好む有り様はさすが紅魔館の主とも言うべきものを備えている。

 

 友人でもある阿弥の死を見ることによって、生物とは死ぬものであると再認識。そして終わりは誰にでも唐突に訪れる。

 妹との対話を決意し、現在は対話を実行しようとしている――が、あと一歩が踏み込めない状態。

 しかしこれもいずれは越えていくのだろう。兄弟との距離感が掴めないなんて悩みは人間と同じようなものであり、そんな悩みで彼女が足を止めるはずはないのだから。

 

 

 

 

 

 八雲紫

 

 境界の賢者。幻想郷の全てを愛し、同時に彼らを守るためならいかなる悪行にも手を染める覚悟を持つ者。

 御阿礼の子のシステムの根幹に関わり、火継の家のシステムにも関わっているある意味全ての元凶。火継の一件については元凶と言うより、被害者と言った方が近いかもしれないが。

 少女らしく色恋に目を輝かせる姿も、管理者として冷徹に物事を切り捨てる一面も、どちらも偽ることない彼女の本性。

 前者の方を知る者は稀で、彼女が認めた相手にしか見せない姿でもある。つまり信綱は紫がその姿を見せても良いと思われるほどに認められているということ。

 とはいえ彼女が優れているのは管理者としてであり、その中での勢力争いの調整――要するに政治面での能力は天魔や信綱に比べると一歩劣る部分がある。

 天狗の舵取りを千年以上続けている天魔は仕方ないかもしれないが、信綱にまで抜かれているのは納得がいかない模様。

 

 

 

 

 

 四季映姫

 

 幻想郷の閻魔大王。死者を裁く者。公明正大で絶対平等な裁定者。

 死後の御阿礼の子を監督する者としての役割を持っており、信綱にとってもかなり重要な存在に当たる。

 信綱以上に厳格で公正。信綱は事情の説明さえあればかなり柔軟に対応するが、彼女は頑なに秩序に則った立ち振舞をする。

 それは彼女が全てに平等でなければならない閻魔大王であり、自分が何か不正を成してしまった場合、裁かれる魂に不誠実だと考えているからである。

 

 とはいえ私人としての彼女はやや堅物のきらいがあるものの優しく、慈愛に溢れる人物。だらしない人物を見るとついお説教をしてしまうのはご愛嬌。

 信綱との相性も別に悪いわけではなく、お互いに秩序を守る者として敬意を払っている。彼の狂気は知っているがそれで成し遂げたことに変わりはないと思っており、信綱への評価はかなり高い。

 

 人妖の共存のため、何も手を出さず見守ることを選んだ八雲紫。

 そして短い一生を走り続けている者全てに善き生を送るようにと願いながら見守る四季映姫。

 

 信綱は意外と多くの妖怪に見守られて今に至っている。

 きっと彼の死後を裁く彼女の口元には、己の生を全力で駆け抜けた彼への労いの笑みが浮かぶのだろう。




次回から阿求の時代――幻想の時代になります。

そして仕事先が忙しくなりそうなので投稿間隔は怪しくなります(白目)

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