東方創星神録 ~始まりと終わりの物語~〖凍結〗 作:星の屑鉄
私は親兄弟と過ごしていますよ、はい。彼女なんていません。
さてさて、今回はタイトル通り人星について核心を突いていく部分になります。
それでは、本編をどうぞ!
八ヶ岳の麓。その場には、百鬼に及ばずとも大勢の鬼が、先頭に立つ一人の美男子の後ろに集っている。例外として目を回した片角を折られた幼い少女の姿の鬼が美男子の右肩に担がれている。
そしてそれらの目の前には、ハクロウと白狼天狗の椛が相対している。多勢に無勢とはまさにこのこと。目の前の鬼共が暴れれば、二人はおろか、この山に住む誰しもが、合わせて半日ももたずに敗れ去るだろう。
そんな戦力差にも関わらず、雰囲気はよろしくない。特に、美男子の機嫌が悪い。額に青筋を立て、口元をひくひくと痙攣させている。
「…………」
「…………」
ハクロウ、美男子、共に睨み合いが続く。もはや一触即発の状況、いつこの均衡が崩れてもおかしくない。鬼共など、おもしろそうだと準備運動を始めている。
「…………煉獄改より不味い酒でも造って貴様に飲ませてやろうか?」
「思い出した! 思い出したからやめろ馬鹿!」
あんな不味い酒は二度と御免だ、という一心のもと、ハクロウは電光石火の勢いで先ほどの忘れていた、という発言を覆す。
もはや緊張した空気など微塵も無くなっていた。鬼共は「なんだ、もう終わりか」と残念そうに溜息を吐いた。
「これに懲りたら、笑えぬ冗談は控えることだ」
「へいへい……。はぁ、もとはと言えば、手紙だけ残して消えたアユムが一番悪いだろ?」
「慰めつつも油断した瞬間に俺を床に組み伏せ、力があることをいいことに俺を襲い、孕んだ貴様が言うか?」
「発情期だったんだ。それくらいは許すのが、器の広さってものだろ?」
「よく口が回る駄犬め」
「あぁ? 狼だこの馬鹿」
またも一触即発のような雰囲気を醸し出すが、鬼共は既にそれがじゃれ合いだと理解して、準備運動に入ることは無かった。代わりに、「どっかに強い奴いねぇかなぁ」などと雑談をし始めた。
「……いがみ合っても始まらぬ。風貌は随分変わってしまったが、俺は俺だ。忘れるなよ、ハクロウ」
「わかっている。例え見た目が変わっても、覚えているよ。その傷だらけの美しい姿は。――っと、そうだ。アタシの後ろに隠れているのは、犬走椛。アタシとアユムの曾孫だよ」
「……ほぅ。どうりで、ハクロウの面影があるわけだ」
まじまじと彼はハクロウの後ろに隠れている少女を見つめる。しかし、どういうわけか怯えているらしく、瞳を見ただけで彼はそれを理解した。一体、何が問題だっただろうか、と彼はしばし考える。
「……とりあえず、その物騒な右腕どうにかした方がいいと思うけど?」
ハクロウに言われて気づく。なるほど、この右腕が原因だったか、と。彼は右肩に担いでいた萃香を後ろに居る勇儀の方に投げ渡し、右腕の御札を剥がしてもとの状態に戻す。
「すまない。怖かっただろう? もう安心だ」
そして少し強引に、椛と呼ばれる白髪と獣耳を持つ少女の頭を戻した右手で撫でる。わしゃわしゃ、と最初は少し強く、しかし椛が嫌そうな顔をすると、すぐに力を緩めていき、徐々に力加減を調整していく。数秒経った時には、既に椛は気持ちよさそうに彼に撫でられていた。
「……相変わらず、子どもが好きだな」
「我が子、子孫に愛を与えるのは、当然だろう?
「まったく、本当に何にも変わっていない」
やれやれ、とハクロウは肩をすくめて微笑む。今も自分の知っている彼であったことが嬉しかった。本質的には、どうやっても変われない正直者だ。頑固者だ。
「……さて、ハクロウ、家を借りるぞ。少々、大掛かりなことをしなければならない」
「わかった。汚さない、壊さないなら、好きにしていいよ」
「助かる。……行くぞ、鬼共! この地に置いてきた七つの美酒を振る舞ってやる!」
おぉぉぉ! と鬼共の声が轟く。椛は突然の雄叫びにビクッ、と肩を震わせる。彼はそれに苦笑して、頭をぽん、ぽん、と優しく叩く。
「心配はいらないよ。無法者ってわけでもないから、ね」
優しい声音。まるで人が変わったように椛に言うと、彼は右手を頭の上から引いて歩き始める。「あっ……」と残念そうな声を上げるが、それは鬼の雄叫びに掻き消されて彼には届かない。
「ああいう奴なんだよ。アユムっていうのは」
種族は全く違う。痛々しい姿であり、常人であれば痛みに耐えきれず叫ぶほどの重傷をその身に負いながら、他人にはそんな素振りは見せずに接する。
分け隔ての無い交流。鬼に囲まれて、様々な話を振られている彼の姿を見て、椛は思わず羨望する。どうして、あれほど醜い姿なのに、美しく見えるのだろう。何て立派に見えるんだろう、と。
椛を見て、あることを察したハクロウはすぐさま口を挟む。
「アユムは、私たちとは生きている次元が違うんだ。生物ではなく、生命体。子は居れども、親は居ない。どれだけ奪われても、忘れても、今あるものだけで必死に生きる、でもそのくせ自分に頓着しない、悲しい奴。個としては完成されず、全を以て完成される存在。羨ましいなんて思うものじゃない。アレは何よりも、残酷な生き様なんだ」
――残酷だからこそ、美しく立派に見えるんだ。
ハクロウは椛の手を引いて歩く。
「……そんなところも、変われないのか。アユム……」
ハクロウには、もはやそれ以上のことは分からない。彼の歯車は一体、どこが歪み、狂っているのか。狂ったまま、おかしなまま廻り続けるそれは、きっと遠くないうちに、決定的な誤作動を起こす。
分かっているのに、止められない。
もどかしさに、ハクロウは強く、歯を食いしばった。
◆
とうとう、目的地の昔懐かしいハクロウの家に到着した。
伊吹萃香は未だに気絶している。当然だ。何せ彼がそうなるように、あらゆる力を行使したのだから。
そして現在。彼はひとり、倉庫の中で御札を取り出して、その力を行使する。
「――種族符『恨み祟る鬼変化』――」
それは今まで試していなかった、実験の1つ。彼という存在には、元来より種族というものが存在しなかった。人類という枠組みには入るのだが、人間ではない。かといって妖怪でもない。今となっては神でさえない。
彼も考えていた。自分が一体、どういう存在に当てはまるのか。ハクロウは昔、原種という未完成体から白狼という完成体に至った。しかし、ハクロウと違って彼は既に人類という枠組みに納まっていた。しかし、納まっているからと言って、どこかに特定できる存在でもない。まず、転生してから既に300年ほど経っていることから、人間という線は消えた。星の恩恵が機能していない今となっては、月の民という線も無いだろう。しかし、人型。何か特殊個体の妖怪かとも考えたが、それも有り得ない。何故なら、彼には特筆すべき長所が無い。特徴も無い。
だから彼は、今まで凡夫を演じてきた。しかし、平々凡々の見た目から一転、もとの美男子に戻った彼は、既に凡夫という存在からも逸脱し始めた。
(――ならば、俺は一体、何だ?)
まともに行使出来ない力。一点を尖らせることしか出来ない凡才。人間から逸脱している精神と寿命。
全てを考慮したうえで、考えて、考え抜き、彼はこういう結論に至る。
――俺は俺だ。種族なんてものは、存在しない。空白。故に、空っぽ。そこには器だけが存在し、中身が無い状態。だから、凡夫、平らなるこの現状に納まることしかできない。
ならば、逆にこうも考えられる。
――空っぽならば、器に中身を注げば、その分だけ力が溢れてくるのではないだろうか。
当然ながら、これは危険な賭けだ。何故なら、自分の器に中身を入れるということは、その種族に固定されてしまう恐れがあるのだから。中身が取り出せない可能性があるのだから。そうなれば、もはや二度と、元の曖昧な人類という立ち位置に戻ることは出来ない。
しかし、鬼という種族であれば、例え戻れないとしても、十二分になるだけの価値がある。戻れず、例え星の力が二度と行使出来なくなったとしても、地球上で生活していく上で問題が発生してくることは殆ど無いだろう。それほどに、鬼という種族のアドバンテージは計り知れない。
鬼という種族になる理由は至極単純。伊吹萃香の角を治すためだ。もとの角は、証拠として人間側にみせるためにも手放せない。また、折ってから数日経っているために、おそらく伊吹萃香の角としての役割が既に無くなっている可能性がある。分かり易く言うなら、あの角はもはや鬼との繋がりが感じられない。つまり、角としての機能を完全に殺されてしまった、といえる。
しかし、角が治らない理由は、単に時間が経ち過ぎたからに過ぎない。ならば、自分が鬼となり、その角を萃香に譲渡すれば良い。本来ならば、他の誰かの角を他者にくっつけるなど不可能だが、萃香は彼の血肉を食らった。それを食ったことにより、存在が少なからず人星によってしまった筈だ。人間でいうところの、血小板の交換による血液型の変化と同じだ。これにより、彼と萃香は血液型(存在の傾向)が(多少)同じになり、輸血……即ち、角が移植出来るようになる。
どこまでも無駄なく、実験とアフターケアの両方を兼ね備えた計略。ここまで一寸の狂いもなく、彼の描いたエピソード通りに進んでいる。
あとはただ、サイコロの出目に天命を任せるのみ。
種族符『恨み祟る鬼変化』とは、自身に膨大な憎しみ、嫉妬などの念で自身を呪うことによって鬼へと変化するものだ。事実、そうした念の呪いによって人が鬼に変化した事例は過去に数件、確認されている。鬼共自身の証言なので、間違いない。
今回は、その性質を利用しての変化となる。成功確率はわからないが、試してみる価値は十分にあった。
そして発動した直後、自分の内から溢れ出てくるような力の奔流を、彼は感じた。急いで手元に置いていた鏡を覗き込んでみると、そこに映っていたのは、額の中央から一本の立派な真っ黒な角が生えた彼の姿だった。
「……成功だ」
彼は種族を得ることに成功した。大広間では、既に萃香の角を元通り……とまではいかないものの、見た目からして折れていることがわからない程度にはする心づもりだ。今後を配慮して、完治は条件付きだ。
「この土地に与えた輪廻の力、少しだけ返してもらうとしよう」
彼は倉庫から外に出る。そこで一度、大地に手を置き、それをほんの少し抽出するために力を行使する。
……結果、成功。その抽出した力は、青色のリボンとなって顕現する。力の本質は輪廻、円環の理の中、途切れることのない繋がり、廻り、そして回帰。これにより、左角は時を経るごとに、本質的に違う二つが繋がり、血液のように力が廻るようになり、そしてもとの形へと回帰することだろう。
「……あれだけ簡単に出来たことを、今ではどれだけやろうと出来ぬ、とは……」
少なくとも、気分の良い話ではない。そしてやるせない思いが溢れ出てくる。もう少し余裕があれば、角を折る必要も無かっただろう。力が奪われていなければ、万事が上手くいっただろう。力を制限されていなければ、これほどまだるっこしい方法を取らずとも済んだだろう。
力が無い故の苦悩。これまで、制限され、奪われ続け、それを痛感した彼は、それ故に弱者に味方する。誰も悲しまない未来のために、足りない力は自分を削って捻出することによって補う。どうしても変わらない、自己犠牲の姿勢。己に無関心、他人に寛容だからこそ起きたこの齟齬は、彼が己に関心を示し、価値を見出し、認め、そして他人に必要とされ続けていることを自覚しなければ、けして直らないだろう。
「……酒も持っていくとしよう」
もう一度倉庫に戻り、彼はそこに置いたはずの八つの瓢箪を探す。それはものの十数分で見つかり、それらの紐を全て右手に搦めて、彼は萃香の居る大広間へと戻った。
「お、来たき………………」
「この八つの瓢箪、預けるぞ」
話しかけてきたが途中で言葉を詰まらせた勇儀に八つの瓢箪を預けて、彼は伊吹萃香に歩み寄る。彼は一度青いリボンを萃香の左角の折れた箇所に引っ掛けるように置いて、そして自分の黒い一本角に右手を掛ける。
「ふんっ――――ッ!」
バギィ、と不快な音が大広間に大きく鳴り響いた。今まで雑談をしていた鬼共はその音の発生源である彼に何が起こったのかと注目し、そして目を剥いた。
それは、彼がいつの間にか鬼になっていたからではない。鬼になっていたことも十分に驚きだが、それ以上に驚きの事実が目の前には広がっている。
彼は自分の右手に、真っ黒な角を持っていた。それは漆のような光沢を放ち、まるで黒曜石のように美しい。あれほど立派な角の持ち主は、鬼共の中でも数少ない。美しさで張り合えるのは、勇儀の赤と星がトレードマークの一本角程度だろう。
鬼共が認めるほど立派な角。それを今、彼は自分自身の意思で、何の躊躇もなく圧し折った。見間違いではない。彼の額には黒い角の根元が残っている上に、そこから少量だが目視出来るほど濃密な妖力が抜けている。加えて、黒い一本角の鬼など、今まで彼ら鬼共でさえ見たことが無い。これだけの状況証拠が揃っている中では、もはや否定材料など見つからない。
「……これで、良いだろう」
そして折れた角を萃香の折れた箇所に合わせて、彼はそれを青いリボンで結んだ。片手だけで作業を行ったので、結んだというよりはむしろ巻き付けて、そのリボンと角の間にまたリボンを滑り込ませただけのものだ。片手では結び目をつくるのが難しかったのだろう。しかし、想像以上に強く巻き付けているためか、角はしっかりと固定されている。
「――って、人星ッ! あんた、何やっているのさ!?」
「治療だ。これで、数百年ほど大人しくしていれば、完治するだろう。日常生活だけならば、今も問題はあるまい」
「そうじゃない! というか、何で、どうやって鬼になったんだい!? それと、どうして自ら角を折ったんだい!?」
あまりに驚いたためか、勇儀は彼に詰め寄って質問で攻め立てる。しかし、勇儀がそれだけ慌てているにも関わらず、彼はあくまで冷静に答える。
「自分を呪い、鬼に変化しただけだ。何でといわれても、折れた角をもとに戻すには、別の角が必要だったからだ。そして角を折った理由は、俺が折ってしまった角をもとに戻すためだ。何も問題はあるまい? 俺が俺の体をどうしようと、俺の勝手だ」
彼の言葉に、誰もが息を呑む。そして、ようやく鬼共は気が付いた。彼が異常であることに。彼の価値観はあまりに、自分を度外視し過ぎている。まるで自分は無料だ、いくらでも湧いてくる、無限だ。そういわんばかりに、湯水のように自分を使い潰している。自分を削ることに、一切の躊躇をしていない。まるでそれが当然とばかりに、軽々と重々しいことをやってのけている。
「……はっきり言うよ。あんたはオカシイ。……どうして、そんなに自分を使い潰し、切り捨てることが出来るんだい?」
「はて、おかしなことを訊くものだ。俺だけに出来るからこそ、それを行うのだ。それで俺の気に入った誰かが笑うのであれば、俺は喜んで身を粉にしよう。良薬として、貴様等に分け与えよう。幸せに浮かべる笑顔がどれだけ尊いか。喜びに溢れて浮かべる笑顔がどれだけ心温まるものか。あとに感謝をされるときにどれだけ報われた、と俺自身の心が救われるか。……これは、経験したものにしか分からぬ、美酒なのだ」
「……そこに嘘はないだろうさ。でも、それは目的の結果として生まれるだけであって、目的はいつも第一に、誰かの為に在れと刻まれている! それがどれだけ残酷な行いか、分かっているの!?」
「些末な問題だ。例えどれだけ残酷であろうと、そうしなければ救われぬ者も居るのだ。それを黙って見捨てろと言うのか? ふざけるな。そちらの方がどれだけ残酷なことか。この手が届く限り、俺は差し伸べられた手を握ろう。落ち行く者の手を握ろう。無差別なわけではない。俺は我儘だ。故に、気に入った者にしか手を差し伸べない。
……今回の場合はそれに加えて、俺に過失がある。ならば、身を粉にしてでも責任を取るのが道理というもの。しかし、俺は力不足で、足りない部分をこの身、そして土地から捻出するしかなかった。ならば、責任の所在が俺にある以上、たとえこの身を粉にしてでもやらなければならぬ。故に、これは俺の義務だ」
言い切って、彼は勇儀の持っている瓢箪の中の1つを取り、その栓を抜く。間違いはないだろうが、一応念のためということで臭いを嗅いで、一つ頷く。
「宴会の時間だ。寝覚めの酒でも飲め」
そして情け容赦もなく、彼はその瓢箪の飲み口を萃香の口に突っ込み、その中の液体を彼女の口の中に流し込む。
一秒。まだ何も起きず、萃香の口には酒が注がれる。
三秒。萃香の顔色が徐々に険しくなっていく。
五秒。何があったのか、口から酒を溢れさせる。頑なに飲み込もうとしない。
八秒。終始赤かった顔が今だけは青色に染まり、痙攣を始める。
十秒。萃香はまだ目を開けていないにも関わらず口に含んでいた酒を、転がることで瓢箪の飲み口から逃れて吐き出し、けほっ、けほっ、と咳をする。
「けほっ、けほっ……まっずい! このくそ不味い酒は何なのさ!?」
突如目を開け、涙目になって咳き込み、しかし寝起きにも関わらず、彼女は目いっぱいの眼力で周囲を睨み付ける。流石は最強の鬼というべきか、それだけで大半の鬼が竦み上がっている。
「あぁ、やっと起きたか。最高に覚める酒だろう? 俺が不味い酒で在れと造った最高傑作、その名も『煉獄改』だ。良かったな、萃香。この世で最も不味い酒を飲めたぞ?」
「そんなもの飲みたくもなかったよ……。ああ、もぅ……本当に醒める酒だよぉ……」
徐々に、顔が元の肌色に戻っていく。どうやら、素面に戻ったようだ。言葉を紡ぐごとに尻すぼみしていくのは、それが彼女の本来の性格なのだろう。
「ならば、再び酔うためにも勇儀の持っている7つの瓢箪の中から、『鬼殺し』でも探し当てればよい。ちょうど、今から宴会を開くところなのだ。角が一時的にだが直った祝いだ。開始の音頭は貴様がとれ」
「角……?」
首を傾げて、萃香は自分の手で折れていた左角の部分に手を当てる。少しずつ上へと手を滑らせ、感触を確かめる。
「……あれ、布? え、ていうか何、この感触? 私の角、もうちょっとゴツゴツしている筈なのに……」
あれ、あれれ、と萃香は何度も触って、そのたびに首を傾げて悩ましそうに考える。あまりに見た目相応な態度に、萃香が鬼であるという事実を忘れてしまいそうなほどに、その光景は衝撃的な物だ。
「その布、けして外すな。角は俺がくっつけたから問題は無い。しかし、それはその布あってのこと。まだ完治はしていない。完治させたければ、数百年間は大人しくしていることだ」
「えっ、喧嘩しちゃだめなの?」
「左角を狙わないとか、手心を加える相手ならばいいが……過度なものは控えよ。次に折れても知らんぞ」
「うっ……わ、わかったよ」
随分と聞き分けが良い。普段の酔っ払っているときの我の強さなど微塵も感じない。素面の時は驚くほど素直だ。まるで、素面の時の精神年齢だけが見た目相応であるかのように。
「……そういえば、名を聞いていなかった。貴様、名はなんという?」
「あれ? 言ってなかったっけ……。うーん、どうにも素面の時には物覚えが悪くてね……」
恥ずかしそうにはにかむ萃香は、もはや年相応の少女と見てもいいほど、無害に見える。
彼としては、「いや、素面に戻ったから覚えていないだけで、素面だからといって物覚えが悪いわけではないだろうに」とも言いたかったが、場の空気を壊すときは弁えている。そのため、思っていても口に出すことは無い。
「……最後に素面だったのは何時の話だ?」
「え、そりゃあ、生まれて十数年経って、鬼になったとき……かな? ちょくちょく素面に戻っていた覚えはあるけど、よくて数年に一度だし」
飲兵衛此処に極まる。彼は勇儀に視線を向けて、「鬼ではそれが普通なのか?」とアイコンタクトで訊く。勇儀は意図を理解したのか、頭(かぶり)を振った。溜息を吐いたところから見て、鬼の中でも相当な飲兵衛だということが、それだけでわかった。
「……まぁ、よい。それよりも、名前は?」
彼が催促すると、萃香は「あ、忘れていたよ」と何気なく口にして、その後すぐに、えっへん、と胸を張る。
「私は伊吹萃香。鬼の統領にして最強の鬼、そして四天王の一人でもあるんだぞ! どうだ、凄いだろー?」
「……統領、最強の鬼、四天王……二つ名というか、役職というか、多くないか?」
「うん、ぶっちゃけ四天王は他の誰かになってほしいけど、優秀な鬼がなかなか居なくて、ちょっと困ってるんだよねー」
どうやら、鬼も存外に世知辛いらしい。萃香や勇儀のような強い鬼は珍しいことがわかる。萃香は暢気なのか、無邪気が過ぎるのか、この場で「どうしようかなー……」などと考え始める。
「……それよりも、宴を始めるために音頭を取れ。鬼共が突っ立って硬直しているぞ」
「あ、ごめんね。すっかり忘れてた。あー、やっぱり素面だったら物覚えが悪いよ……」
ただ単に酒に頭をやられただけじゃないのか? などとは誰も口に出さない。そんなことを口にすれば、物理的に頭をやられる。一同黙して、萃香を見る。
「それじゃあ、私の角がくっついた記念に乾杯! 杯は適当に自分で用意してねー!」
短い。その上で適当過ぎるし、無茶ぶりも大概にしろと彼は思ったが、鬼共全員が雄叫びを上げて懐から杯を出した様子を見て、もはや何も言うまい、と萃香に視線を戻す。鬼共は結局、同じ穴の狢ということだ。
「あ、そうだ。いっそのこと……えっと、誰だっけ?」
「ん? あぁ、そういえば名乗っていなかったか。長生きするとどうにも、物覚えが悪くなる」
そんなことを宣って、彼はふと顎に手を当て、考える。
「ふむ。裁定者としての人星は、既に此処には居ない。創造主としての人星も、この非力な身では、名乗ることさえ烏滸(おこ)がましい。白狼の親友のアユムは俺だが、しかし既に転生してしまったこの身。考えれば、名乗るための名が無い」
「あれ、そうなの? うーん……なら、出生とか、今までのことについて聞かせてよ」
「……まぁ、良いだろう。酒の肴程度にはなるか」
「おっ? なんだい、そういうことなら私たちも話に混ぜてもらうよ。肴を独り占めなんてさせないよ」
勇儀が突然話に割り込んできた。萃香は「えー、まぁいいけど」と特に気にした風もなく言って了承する。自分から肴にすると言った手前、彼も静かに頷いた。
気が付けば、人星の周囲は鬼共によって囲まれていた。酒の匂いが彼を包み込む。とんだ席だ、などと思いながら、彼は口を開く。
「ならば……まずは、生い立ちから話すとしよう」
――さて、生い立ちといっても、特に面白いことはない。この世界にまだ光が存在しなかった時期の話。いわば、世界の黎明期の物語。
――俺は、いつの間にかポツンと、訳の分からぬ場所に居たのだ。自我が芽生えたのはさて、生まれて何時の時だったか。自我が生まれる前の記憶も、今の俺には備わっている。
――えっ、そんなに昔の話なの? てっきり、神々が跋扈した大和朝廷あたりの話だと思っていたんだけどなー。
――下に見過ぎだ。俺は一応、この成りでも星を無意識に創造した。世界を無意識に創造した。いわば、俺こそが開祖だ。本来であれば、鬼共に傷を与えられるようなやわな存在ではない。
――と、話しが逸れた。では少々、先の非礼の詫びとして面白い話をしてやろう。そも、俺は生まれたという自覚がある。しかし、生まれるには必ず原因がある。原典がある。そうは思わないか?
――うーん、神とかなら信仰だけのぽっと出とかよくいるけど、そうした常識すらまだまともに機能していない時代だよね?
――そうだ。そんなものは機能していない。そのような便利なものがあって堪るか。即ち、俺にも創造主が居るというわけだ。
――しかし、そうすると、俺の能力を顧みて不可解な謎が発生する。
――不可解? え、いやそれって元からのような……。
――それは甚だ遺憾だ。そして、その感覚は世界の始まりの神秘という未知に触れているが故のものだ。俺の知ったところではない。
――さて、また話が逸れてしまいそうになった。続けると、俺の能力は『創造する程度の能力』というもので、これを無意識に行使することによって、俺は天体、太陽、地球、月、更には宇宙などを創った。
――ごめん。規模が大きすぎてよくわからない。
――つまり、制約なく何でも創り出す能力。それが、俺の生まれた時から持っていた能力、『創造する程度の能力』だ。まぁ、実際に生まれた時から持っていたかといわれれば、疑問を覚えざるを得ないが。今はそうしておこう。
――やろうと思えば、生命の創造さえも可能だろう。今は本来の力が失われ、もはや無いにも等しいものになってしまったが……視点を変えて使い方を変えてみれば、まだ使い様もある。
――うわぁ……規格外とか、想像以上とか言う前に、そんなとんでもない能力持っていたの? その上で正真正銘最古の神? そんなの、存在からしてインチキだよ。
――そういじけるな。さて、認識したところで、今度は不可解な点を指摘しよう。俺には創造主が居ると言ったが、それは果たして、何なのだろうな?
――首を傾げているところをみると、わかっていない様子だから付け加える。果たして、本当に『創造する程度の能力』は、俺の能力だったのだろうか?
――なにさ、それ。さっき自分で、生まれた時から持っていた能力、とか言っていたよね。今更疑問を抱くところなの?
――視点を変えるのだ。そも、生まれた時から持っていた能力というのは推論であり、実際にはいつの時点で備わったか、それは俺にも把握出来ていない。だからこそ、ここには疑問が生まれるのだ。
――分かっていないようだから、答えの間際まで言おう。……果たして、”鶏が先か卵が先か”、どちらなのだろうな?
――ぅぇ!? えっ、え、待って。それって……。
――”Chicken or egg dilemma.”。この疑問に、果たして答えを出せるだろうか?
――俺には出来る。答えを出せる。証拠はいささか不足気味だが、あとはそれを補うだけで説明が可能になる。しかし、その補うものが何なのか、まだ分からない。仮説は立てられるが、どうしても推論の域を出ない。
――なに、それ。でも、それならどうして、素の状態でそれだけ弱いの?
――あぁ、それについては、俺が一度目の死を迎えた時の話……ちょうど、月の王を死ぬことで辞任した時の話だ。
――って、何それ!? そっちの方がびっくりだよ! え、一度死んだことあるの!?
――今までに二度、死んだことがある。一度目は先に行った、月の王を辞任する際に、ケジメとして月の全てを守るために。二度目は、我が子に愛というものを教えるために、この身を打ち抜かせた。
――さて、この月の民、月の兎を守るために命を賭したわけだが、まぁこれが俺の不始末による結果なのだ。要約すれば、ブラックホール……コラプサーといった方がいいか。最恐の天体が暴走したのだ。法則から外れ、太陽系を飲み込もうとした。これは、ある意味では星を無意識にでも生み出した俺の責任だ。故に、この命と共に消滅させることで贖った。
――えっと……なんか、とんでもない話を聞いている気がするんだけど、勇儀はどう思う?
――いや、私に聞かれてもねぇ……。想像以上に規模が大きい話で、理解するだけで精一杯さ。
――話を続けるぞ。俺はコラプサーと心中した。この時に右腕を圧潰されたのは、今でも覚えている。そして消滅する前に、俺は『創造する程度の能力』によって、自身とコラプサーに『輪廻する程度の能力』を付与した。これにより、俺とコラプサーは輪廻の輪を通って、転生を果たしたわけだ。
――しかし、ならばここにも疑問が生まれる。コラプサーほどの天体が、一体どこに輪廻することが出来る? 果たして、この世にそれほどの器を持った者が、どれだけ居るのだろうか?
――んぇ……? いや、いやいや! ちょっと、ちょっと! え、子どもとかは?
――我が子どもでも、コラプサーを収める器には成り得ないだろう。それは覆せない事実だ。それに、そもそも縁というものが繋がっていない。そのような偶然、起こり得る筈もない。
――ならば、依代の選定がどうなるかは、もはや明白だろう?
――え、いや……え、つまり、今も右腕にいるの?
――これは必然だったのだ。同時に輪廻し、右腕を圧潰された経験があり、親子であり、器にも収まる。そう、コラプサーは俺の右腕に輪廻転生した。
――ならば、ここにどういった弊害が出てくるか、というものだが……。実のところ、二度目に死ぬ直前までは、弊害はあまり出ていなかったのだ。唯一の弊害は、記憶を食まれていたことだが、思えばそれは兆候だったのかもしれない。まだコラプサーは冬眠状態にあった時の話だ。目覚めたのは、龍神……我が子と相対し、戦い、太陽系の力全てを行使した直後のことだ。
――冬眠って……。それで、目覚めたらどうなったの?
――簡潔に言おう。星の力を全て、喰われた。……まぁ、驚くのもわかる。何せ俺も、最初は驚いた。あの瞬間に、俺は自分の力の九割九分九厘を失った。辛うじて前々から用意していた札は残されていたが、逆に言えばそれだけしかない。
――コラプサーは俺の油断した刹那を以て、俺の力を喰らい尽くした。大好物の星には目が無かったということだ。そして、ついには魂まで喰らおうとしていた様子だったが、それは八雲紫の張った出鱈目な境界によって守られた。さしものコラプサーも、そこに在るか無いか分からないものを喰うことは出来なかったようだ。まったくもって、便利なものだ。
――え……いや、本当にどうなってるの? そんな残りカスのような力で、鬼と対等に、まともに戦ったっていうの?
――その通りだ。今俺が行使できる力は全て、コラプサーの喰い散らかしたあとに生まれた排泄物のようなものだ。また、俺自身の才能の器とも呼ぶべきか、その部分をコラプサーが極限まで圧迫しているせいか、俺は戦いにおいて1つの技術を極めることしかできない。今は刺突に特化している。250年ほど前には斬ることに特化していたのだが……刺突を練習した際に、コラプサーの領域にまで食い込み、技術を全て喰われた。
――そして3度目の生を授かった時、俺は一時期、低級妖怪にすら勝てないほど脆弱となった。加えて、記憶を定期的に、少しずつ、喰われていった。しかし、御札はどうやら魂と繋がっているのか、どういう仕掛けか、気が付けば懐の中にあった。不幸中の幸いとは、まさにこのことだろう。魂と繋がっているだけで、それ以外と繋がってはいないのか、コラプサーに御札の力を喰われることはなかった。
――あれ、でも御札のコラプサーと右腕のコラプサーって、同じ存在だよね。それって、一体どうなってるの?
――どうやら、俺の右腕は俺の力を吸収するための装置と化しているらしい。本体……力は全て御札の方に封印されており、それを俺の右腕と同化させることにより、初めてコラプサーは真の力を発揮する。
――……まぁ、これも俺の身から出た錆であり、コラプサーに責任というものは、まったく無いわけだが……。
――? まぁ、いっか。それらの構造はわかったよ。凶悪性も。……いっそのこと、右腕を切断しようか?
――やろうと思っても、出来ないだろうな。力を吸収するものだといっても、それは自他に関係ない。その上、強度は星と同等かそれ以上だ。切断など、まず不可能だろう。諦めた方が早い。
――さて、つまりコラプサーには俺の力の九割九分九厘が宿っているわけだが……。これは置いておこう。いちいち反応していたらキリがない。
――それもそうだね。うん、もう驚き過ぎたよ。
――はははっ! まぁ、俺の生い立ちは以上だ。あとは成り行きのもと、今にたどり着いた。
――ただ、それだけなのだ。
鬼共はすっかり出来上がっていた。顔を真っ赤にして、話が終わったと見るや、口々に話し合い始めた。それは彼が話した生い立ちのことであったり、はたまた全く関係の無い話であったりと様々だ。
「……あ、そうだ。聞き忘れていたけど、何なの? その、額についた炭みたいなやつ」
「ぶふっ!?」
萃香が彼に訊いた瞬間、勇儀含めた複数人の鬼が酒を噴出した。そして、今それを訊くのか、と皆が一様に何とも言えない視線を萃香に向ける。
「あぁ、これか。鬼の角の跡だが……まぁ、もうじき消えるだろう」
「ん? 鬼の角って……あれ、なんで角の跡なんてあるの?」
「自分を呪って鬼となり、その自分の角を折って貴様の折れた角に接合したのだ」
「――えっ?」
あちゃー、と勇儀が顔に手を当てて天を仰ぐ。他の鬼共は顔を逸らして、努めてその二人に触れないように雑談をしながら酒を飲み交わす。
「ちょ、え、それ大丈夫なの!?」
「心配ない。何やら力が少し漏れただけで、他には何の弊害もない」
「いや、それは知っているけど……って、そもそも鬼になったことはともかく、え、これあんたの角だったの!?」
どうりで感触が違うと思った、と萃香は驚いたような、どこか納得したような表情でひとり頷いた。
「あぁー、だから妙に力が溢れてくると思ったんだよ。ようやく原因がわかったよ。いや、あんたの肉とか食ったことも原因だけど、一番の原因は確実にこの角だね」
うんうん、と萃香は何度も頷いて自己完結した。
「さて、ならば戻るとしよう」
懐から彼は御札を取り出した。いや、ただの紙切れというべきか。それには何も書いていない。白紙の御札の形をした紙切れだ。
「――理符『世界は逆説的に輪廻する』――」
そして言霊が呟かれる。勘違いされているかもしれないが、御札というものは別に、使い捨てのアイテムというわけではない。根源の力を内包したアイテムであることに違いは無いが、使用回数に制限があるといったことはない。行使するために必要な力の源は全て、自然から取り込んでいるのだから。
――理符『世界は逆説的に輪廻する』――
それは、世界が終わり再び始まりの状態に戻った時、果たして世界は同じ過程を辿るのだろうか。もしくは、同じ結末にたどり着いてしまうのだろうか。即ち、始まりから終わりではなく、終わりから始まりに至るのだろうか、という命題だ。その命題に準えて、この御札の力は非常に稀有なもので、”指定されたある時間帯の指定された現象を逆順処理にて解決していく”という効果がある。
彼が指定した時間は、自分が鬼になる前の僅か数秒前と、鬼になった後の数秒後まで。しかし、彼が行ったことは”鬼になるために自分を呪った”ことであり、逆順処理にて解決していったとしても、再びもとの種族に戻ることは出来ない。
故に、その力はこの事象を無理にでも成立させるために、彼の”呪い”の性質さえも逆に変えてしまう。即ち、人を鬼とする”呪い”ではなく鬼を人に戻す”浄化”という機能となって、その現象を解決してしまった。
その力により、彼は晴れて、人の姿に戻った。角の跡は綺麗さっぱり消えてしまった。彼を鬼とした象徴は、もはやどこにも無かった。
「うわっ……インチキも本当に大概にしてよ……」
諦めたように、萃香は深い溜息を吐いた。もはやこれに何を言っても無駄だろうな、という意味合いがそこには色濃く出ていた。
「……あっ、そうだ! ねぇ、さっき鬼だったんだから、潜在的に種族が鬼、鬼人とかだと考えてもいいわけだよね?」
「まぁ、潜在的にはそうなるが」
「そっか! なら、あんた、四天王になってよ!」
ぶふぅ!? と酒を噴出す音がそこらかしこから聞こえてきた。見てみると、ほとんどの鬼共が驚きのあまりに美酒を噴出した様子だった。なんてもったいないことを、と彼は思いながら、はぁ、と溜息を吐く。
「誘いはありがたいが、ことわ――」
「よし、決まり! なら今日からあんたにはイブキという名前を与えるよ! 世界に命の息吹を与えたっていうなら、その名前がピッタリだね!」
彼、イブキの言葉を遮って、萃香は勝手にとんとん拍子で話を進めていく。
「……萃香、少しま――」
「さぁ、鬼の統領の決定だけど、異論のあるやつは――」
「こんな美味い酒が飲めるし、実力も違いない! 賛成だ!」
「俺を一撃で沈めたんだ! 文句なんてねぇ!」
「私も賛成だよ。正直、四天王じゃなくて鬼の統領でもいいんだけどねぇ」
「あはははっ! それもいいかもしれないけど、でもそれだったら何処かに行っちゃいそうだし。よし、反論無しということで可決! 今日からイブキは私たちの仲間、鬼の四天王の一人だよ!」
――それじゃあ、新たな鬼の四天王、イブキの仲間入りと就任に、乾杯!
本人の意思に関係なく、音頭を取られて話が進み、ついには鬼の中で、イブキは鬼の四天王という立場に既成事実と化して君臨した。
新たな四天王の誕生とあってか、酒盛りは更なる賑わいをみせた。過去の遺恨など無いように、誰もが大騒ぎをして、話し合い、絡み、時に大喧嘩をして、時に大外れを引いてのたうち回り、楽しくも平和な宴は、あっという間に過ぎていくのだった。
少々わかりにくかった点もありますが、如何でしょうか?
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次話は12月26日の21:00になります。
それでは、失礼いたします。