設定を思いついたけど連載する気は無いから設定だけ書こうと思ったのですが、設定だけ書いても途中でダレると思ったので会話方式。ただし描写はほぼ無いです。各自脳内補完でお願いします。

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とある鎮守府の提督の話

 はい。❘私《わたくし》艦コレ世界に神様転生した提督です。ぶっちゃけチートに頼り若干十八歳で提督の座に就いたのですが、ここまで提督業が忙しいとは思いませんでした。

 今も秘書官の阿武隈と書類の山を相手に格闘しております。

 現代において全ての海に深海棲艦が蔓延っていて、艦娘によってなんとか制海権をギリギリ維持しているこの世界では、艦娘とそれをまとめる提督の仕事量がとんでもない事になるというのは分かりきっている話でしたが、こうして実際に着任するまで夢ばかり見ていた結果がこの現状です。

 本当に、この世はこんなはずじゃなかった事ばかりです。

 だからまあ、口くらい駄弁ってもいいですよね。

 

 「あー、阿武隈ぁ」

 

 「なんですか、提督」

 

 「ふと疑問に思ったんだが、艦娘って何なんだろうな」

 

 「……提督、よくそれで着任できましたね」

 

 「運用とか作戦指揮とかはトップだったからな。で、阿武隈は知ってるの?」

 

 「んー、説明が難しいですね。一言で言うなら、船の幽霊です」

 

 「いや、それくらいは知ってるよ。そうじゃなくてさ、なんで人型なんだろうな、って今更に思ったんだよ」

 

 「あ、そういう事ですか。まあ、ほら、私達のルーツって要するに戦争で沈んだ船じゃないですか。でも、そこに一番強く染みついた思念って、やっぱり人の物なんですよね。沈む時のもそうですけど、作った職人の人達の思いも、私に乗って戦っていた人たちの喜怒哀楽も、その大小の違いこそあっても、船としての意識、思いと同じくらい、艦によってそれ以上にたくさん積もっているんです」

 

 「あー、残留思念とかそういうのか。つまり、艦娘は半分おっさんでできている、と」

 

 「そんな訳ないじゃないですか。思念は思念。魂じゃないですから、私達は見た目通りちゃんと女の子です」

 

 「確かめてないからシュレディンガー的には可能性はゼロじゃない」

 

 「本気で言ってるなら怒りますよ?」

 

 「無論、冗談だ。で、つまりは思念が影響して人型になったと?」

 

 「そんな感じですね。艦娘の人の部分が思念に影響された部分で、艤装の部分が船としての意識を象徴しているんです。どっちが本体、という訳でもないですけどね」

 

 「でも、艤装って装備の変更とか近代化改修で色々いじれるよな?」

 

 「んー、艤装は船としての側面が強いですから、装備を変えても、艤装本体を弄っても、原型をある程度留めていれば機能するんですよ。私なら、軽巡阿武隈としての面影が残っていれば問題なく機能するんです。まあ、当然、限度はあるんですけどね」

 

 「そんなもんか。でも、近代化改修で艤装いじるっていうなら、別に俺も見てて良くないか? なんでいつも追い出されるんだ。こないだも覗こうとしたら曙にぶん殴られたし」

 

 「またやったんですか。そりゃあ、近代化改修って言っても、艤装を弄るだけじゃないですから。というか艤装いじるだけなら開発した装備なり資材なり消費して終わりじゃないですか」

 

 「ああ、艦娘の娘の部分があるのか」

 

 「そうですね。艤装は艤装で、人の部分は人の部分でそれぞれ改修するんですよ」

 

 「で、それを見られるのは恥ずかしい、と」

 

 「改修を見られるのがというより、改修をするために裸になるんですよ。だから、男子禁制です」

 

 「なん・・・だと・・・。で、なんで裸?」

 

 「さっき言いましたけど、妖精とか精霊とか言われる事があっても、結局幽霊ですからね。どういう訳か、私達艦娘の魂は人の部分に大きく偏って存在していて、それを主体となる側に融合させる時に、融合する側はそのままいくつかに分割して鬼火みたいな感じにするんですけど、される側が服を着てると上手く融合しないんですよ。だから、一度裸にならないと駄目なんです」

 

 「桃源郷がそこにあると知ったのに、突入できないこの悲しみはどこにぶつければいいんだ」

 

 「そこは仕事にぶつけてください」

 

 「ああ、現実は非情だ。じゃあ、改装は? 阿武隈もそうだけど、夕立とか時雨とか、明らかに急成長する艦娘がいるけど、あの辺はどうなってんの?」

 

 「そこはまあ、半分実体無いですからね。夕張さんは条件がどうとか言ってましたけど、明石さんは魂が外見の器に合わなくなった結果だって言ってましたね」

 

 「……改装ってしなくてもやっていけるよな?」

 

 「その辺りは余剰分が能力を発揮できない状態になってるらしいですよ。大和さんに20.3cm連装砲を載せるようなものらしいです」

 

 「本来発揮できるスペックを殺してるって事か。夜戦でゴム付けるようなものだな」

 

 「夜戦で、ゴムですか?」

 

 「こっちの話だよ。じゃあ、戦闘終わって新しい艦連れてくるのも幽霊だからか?」

 

 「はい、そうなりますね。深海棲艦は、大元を辿れば私達と同じ第二次世界大戦で戦った軍艦の亡霊になりますからね。彼女達の場合、私達のように単独の艦の魂で構成されている訳ではなくて、複数の艦の魂が混ざり合って存在しているんです。空母系の深海棲艦なら、空母系の艦の魂が多めの比率で混ざってる、みたいな感じですね」

 

 「出てくるのが大体日本の軍艦ばかりだが、日本の軍艦の魂しかないのか?」

 

 「いえ、日本が活動していた海域で日本所属の艦娘が戦うからそうなっているだけで、アメリカ所属の艦娘が戦えば、アメリカの軍艦の艦娘が出てくるそうですよ。それもドイツ艦の皆さんとか、イタリア艦の皆さんのように、別の国の艦娘が出てくる事もあるみたいですけどね」

 

 「ああ、日本だから日本なのか。でも、そうなると大和とかの大型建造じゃないと出ない艦娘ってどうなってるんだ?」

 

 「ああ、それは簡単ですよ。深海棲艦みたいな寄せ集めの魂だと、どうしても大型艦に分類される人達が艦娘として形になるだけの魂の量が確保できないみたいです」

 

 「あー、そういう事か。大型艦、資材無茶苦茶使うからなぁ」

 

 「しかも、それで確実じゃないんですよね。遠征で資材集めに出るのがすごく大変なんですけど、それが一瞬で溶けるのを見ると、もう笑うしかないですよ」

 

 「でもやらずにはいられない、と。運とか必要性の分からない項目のためにまるゆ量産するのは辛いよなぁ」

 

 「山のような資材があの小さい体のどこに収まってるのか、気になりますよね。ちなみに、大型でしか出ないのは陸軍で作っていたからだそうです」

 

 「陸と海の諍いがそんな処に響くのか。世知辛いな」

 

 「まるゆさんはいい子なんですけどねぇ」

 

 「争ってるのは大体お偉いさんだからな。現場でそんな事してる暇ないし」

 

 「……提督、一応階級は上から数えた方が早いですよね?」

 

 「俺のは飾りだからなぁ。よっし、山一個消化、っと。そろそろ長距離練習航海から帰ってくる頃合いだな。今回はバケツゲットできてるかね」

 

 「そうですね。バケツって、今五百くらいありましたよね。まだいるんですか?」

 

 「可能なら貯蔵限界まで貯めるに決まってるだろ。大規模な作戦が動けば数百はすぐに溶けるからな。で、バケツで思い出したけど、あの高速修復材って何なんだ? 艤装も肉体も一括に高速で治すっておかしいだろ」

 

 「そこ聞きますか。ここまでの話で理解できてると思いますけど、あれの中身は霊体なんですよ。何かの魂とかじゃなくて、何にもなっていない無色の魂なんです。人で言うと万能細胞ってやつですね。骨髄の中にあるあれです。それのすごい版なんですよ」

 

 「んー、なんとなく分かるような、分からないような。ゲームでよくある謎の回復剤みたいのか」

 

 「謎って、もう理解する気ないじゃないですかー。もぉ」

 

 「はっはっは。さて、そろそろ迎えの準備しないとな」

 

 「誤魔化しても駄目ですよ。後で続きですからね!」

 

 「はいはい。じゃ、補給の準備をしますか」

 

 補給物資を用意するために立ち上がり、体を伸ばすと体中がバキバキと鳴る。まだ成人してもいないのにこれはヤバいよなぁ、と思いつつも、なんとなく感じる充足感に顔が笑みを作っているのが分かる。

 想像、というか、妄想していた生活と違って鬼のように忙しいが、この生活も楽しいものだ。

 腰に手を当てて怒っているアピールをしてくる阿武隈に笑みを深くしながら、窓の外、港とその先の海を見やって、ちょうど帰って来たらしい遠征隊の姿を見つけた。少し急がないと、待たせる事になってしまいそうだ。

 本当に暇の少ない仕事だが、望んで就いた仕事だ。存分に楽しまないとな。

  

 

 とりあえず、我が艦隊における当面の目標は。全艦娘とケッコンカッコカリにするか!


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