とある噂が流れている。
「なんでも最近魔界からとある人が引っ越してきたらしい」
「魔界から?それは少し恐ろしいな」
「人里壊滅するかもしれんなぁ」
―このような噂を聞きながら姿を隠しながら魔法の森に向かう銀髪で紅い服に身を包んだ女性は魔界の創造神、神綺だ。
彼女は金髪の愛らしい少女の手を引きながら急ぎ足で新居へと向かう
人里にいる人間達に自分達を見られては恐れられてしまう
そんなことがあってはアリスちゃんの将来が危ない
魔界はそんなに恐ろしいところでもないのに
そう思いながら魔法の森の奥地へと向かって行った
―「おぉ!博麗さん!どう?この野菜!」
博麗霊夢の母、博麗霊奈は人里で夕飯の買い物をしていた。
「ん?あぁ!良いねぇ!ピッチピチだ!」
「だろう!?買ってかない!?」
霊奈は少し考えて
「あと少しまけてくれたら買っちゃおうかなー…?」
「おぉー、やるねぇ、しょうがない、まけてやるよ!」
「よっ!おじさん太っ腹ー!」
このやりとりは人里である意味名物となっている
「よし、じゃあ私はそろそろ帰るよ」
「まいどありー!」
買い物をあらかた終えて帰路につこうとした霊奈の耳にとある噂が聞こえてきた
「魔界から来た奴らは住処に近づいた幼子を喰らうらしいぞ」
「魔界人は人間の生き血を生きる糧にしているらしい」
霊奈はその噂を聞いてどんな奴らなんだろうと興味がわいた
―「っていうことがあったのさ」
博麗神社の食卓は
娘、博麗霊夢
博麗霊奈
そして八雲紫の3人で囲んでいた
「魔界から来た人たちがいるのねぇ」
紫は味噌汁を啜りながら呟いた
「結構酷い噂も流れてるみたいだよ」
「魔界人はどこに住んでるのかしらね?」
二人の興味本位の会議は深夜まで続いた
―やっとついた、
新居についた魔界二人組は一息つけていた
ドンドンドンドン!
「なっなに!?」ビクッ
神綺は驚いて鍋を頭にかぶりおたまを片手にドアを開けた
外にたっていたのは変わった形の装束に身を包んだ巫女だった
「すまないね!こんな夜分遅くに!」
そう言うと巫女は紙を取り出し自分の名前を名乗った
「博麗神社の巫女、博麗霊奈だよ!よろしく!」
神綺は自分を恐れる様子が全くない目の前の巫女に興味津々だった
「よろしくお願いします…」
おずおずと礼をする
「で、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
霊奈は急に真面目な顔になって問いただしてきた
「最近あんたたちの噂を聞くんだが、あれらの噂は全部事実なのかい?」
ドキン
神綺は頭が痛くなった
目の前の人間を一瞬でも信用しかけた自分が愚か過ぎると思った
声が震えて、動悸が激しくなり、涙が出てきた
「あんたが違うってんなら私は別に気にしな…」
「いきなり会った巫女なんかに私達の何がわかるのよ!!!!!」
結局人間なんかに私達のことなんか分かる訳が無いんだ
そう思うと悲しくて、悔しくて、憎らしくて、羨ましくて
「人間なんか大嫌いだ!帰れ!」
神綺は感情の抑制が出来なくなり発狂してしまった
「おぉっと危ない、じゃあ今日のところはお暇しとくよ」
霊奈は八雲紫の作ったスキマに入って帰って行った
「神綺様…?」
「アリスちゃん…ごめんね、怖がらせちゃったでしょう?」
「神綺様、泣かないで、神綺様泣いちゃダメだよ」
アリスは神綺に抱きつき涙を拭いた
やっぱり私にはアリスちゃんしかいない、そう思って眠りについた。
―翌日
「アリスちゃーん、朝よー」
神綺は朝食を作りアリスを呼んだ
しかしアリスからの返事はない
「アリスちゃん…?」
心配になった神綺はアリスの部屋に向かった
コンコン
「アリスちゃん?朝よー?」
アリスの部屋に入りアリスの様子を見た神綺は驚き、血の気が引いていった
「し、神綺様…」
アリスは真っ赤な顔をして震えている
「アリスちゃん!?」
急いでアリスの元へ駆け寄り額に手を当てる
「熱っ!?」
アリスは体調を崩してしまったのだ
おそらく環境が変わったストレスだろう
「薬…ないわ…」
どうしてこうも私は運がないのだろう
悲しんでいてもしょうがない、神綺は急いで人里に向かった
「ダメだねぇ、得体の知れないやつらに大事な薬は売れねぇよ」
「そんな…!!」
どこを当たっても他所者の私には薬を売ってくれない
「このままじゃ…アリスちゃんが…!!」
次から次へと溢れてくる涙が神綺の頬を濡らす
トントン
誰かに肩を叩かれた
「…?」
「よっ!」
振り向いた神綺の真後ろには昨日の巫女が立っていた
「い、いつの間に!?」
「いやいや、噂で紅い服を着た女が薬を探してるらしくてさ」
「だから何よ?」
「まぁちょっと来てみ」
そう言うと霊奈は神綺を引っ掴んでスキマに連れ込んだ
―ドサッ
「な、何よここ!」
神綺が落とされた場所は一面竹、竹、竹
「ここは迷いの竹林っつーとこだよ、ついてきなー」
ここで意地を張っていても仕方がない、神綺は仕方なく霊奈について行った
―「あら、霊奈じゃないどうしたの?」
「あー、今日は私じゃなくてこっちが用あんだってさー」
「あら、初めての方?私はこの永遠亭で薬を売っている八意永琳よ、よろしくね」
「私は神綺です…あの、熱に効く薬はありますか?」
「熱ね、えっと確かこの辺に…」ガサゴソ
「あったわ!この薬を飲ませてあげてくれる?」
「あっ、はい、ありがとうございます!」
神綺は薬を受け取り急いで帰ろうとした
「帰り道わからないんだったわ…」
「神綺ー…だっけ?紫がスキマ出してくれてっからおいでー」
「あっあなたの世話になんか…」
「今はそんな変な意地はってる場合じゃないだろう!!」
「…!!」
「あんたの愛娘のアリスちゃんだかアリオちゃんだかの一刻を争うときだろ!?そんな変な意地張ってる暇があるならさっさとくるんだ!」
「霊奈さん…」
「ほら早く!!!!」
霊奈は神綺を引っ掴んでスキマに飛び込んだ
ーゴスッ
相変わらず放り出し方が雑だ
「アリスちゃん!大丈夫!?」
「神綺様…」
先程よりも辛そうだ、急いで袖口から薬を出した
「今薬をあげるからね?」
アリスに薬を飲ますことは無事実行できた
「何か野菜とかなかったかしら…」
人里では何も売ってもらえなかったから遠いけれど魔界まで買いにいかないと駄目だろうなと思った
「神綺ー、ほれ野菜」
野菜の入った段ボール箱が投げられてきた
「きゃっ!」
「おぉー、ナイスキャッチ」
「野菜…?」
「人里で何も売ってもらえてなかっただろう?これで栄養のつくもの作ってやんなよ」
「霊奈さん…ありがとう…」
神綺はこんな良い人を疑っていたことを悔やみ、心から礼を言った
「じゃあ、元気になった頃に霊夢も連れてくるわーじゃあねー」
霊奈はスキマに消えてった
神綺の心には一筋の光が射し込んだ
―一週間後
「アリスー!遊ぼー!」
「あっ!霊夢ちゃん!今行くねー!」
アリスと霊夢はとても仲が良くなった
そして親同士も一時はどうなるかと思ったが、今では一緒にお茶を飲むくらいの仲ではあるのだった
神綺の新たな生活はこれからだ
本来この話たちは、霊夢たちが高校生という設定で連載を書こうと思っていたのですが連載ものを書く才能がなく、昔話を読み切りという形で投稿させてもらってます。
不快になられたらすみません
読んでくれた方ありがとうございます