堕天使は叫んだ、素晴らしき英雄がきっと世界を救うと。そのために自らの生をすべて託すと。
悪魔は誓った、もう、なにも取り零さないと。なにも失うことがないよう自らが神となり、総てを統べると。
復讐者は決意した、神も悪魔も、なにもかも。あらゆる化け物を滅ぼし、人界の守護者となることを。
少女は探した。きっと世界は美しくて、どうしようもない現実をどうにかしてくれる英雄を。
青年は走り出した。たった独りの少女を拾い上げる為に。
これは彼らの酷く自分勝手で、善も悪もない、我欲ばかりの物語である。
俺の文才では駄作になる確率が大な為、短編化。続き読みたいとか言ってもたぶん書かない。
「嗚呼、今日はなんて実に素晴らしい日だ・・・・・・!」
この世に生を受け、幾生年。これほど感嘆にむせび泣いた日はない。嗚呼そうとも、まず、間違いなく。彼はこの日のために生まれてきた。
「そうだ、これだ。これが見たかった・・・・・・! 彼に会うために、私は生まれてきたのだ!」
漆黒の翼を持つ男、トレンチコートを身に纏い、理知的な瞳はまさしく、狂喜に彩られている。
「聖戦はここにあり! 終端よ来たれ! おおおおお! 今まさしく、英雄譚は幕をあけた! 創世の時は来たれり、新世界よ開け、千年王国はすぐそこだ!!」
響く狂乱の唄、喜びに彩られた旋律に、彼は激しく心を射たれた。
「おおおおお!! 神よ、我が父よ! 感謝します、今まさしく、私は生まれてきた意義を、その存在を見つけました! これ程、これ程嬉しいことはないッ!!」
髪を振りかざし、痙攣する身を抑えながら、興奮によって、口からは泡を吹く堕天使。その日が彼の生の本当の始まり、輝く流星たる人間たちの英雄譚の始まりなのだから。
「私は人を愛している! だからこそ見せてくれ、その流星のような人生という輝きを! このアスベヱルに!!」
堕天使アスベヱル。それが彼の名。忌むべき天界の反逆者、『神に見捨てられた者』。そして英雄という人間を愛した存在であった。
「さあ! 駆けよ、我が英雄たちよ! 願わくば、全能の権能を以て、我が全知を打ち破れ! 天の席を埋めろ! 黙示録の時は来たれり、私を殺し、世界を救え! 救世主よ!!」
彼は唄う、神の席のその前座にて誰にも聞こえない唄を謳いつづける。それはまさしく英雄譚、誰にも聞こえない英雄譚を、一人の青年にのせて。
「さて、往こう諸君。神の座はすぐ其処だ」
彼は王である。御前には彼の配下たるそうそうたる面々が集い、彼に忠誠を誓う。
「問おう、貴様らの主君は?」
「「「「クィントゥス・アンドロマリウス様であります」」」」
「問おう、我らが行くべき場所は?」
「「「「天辺への頂、至高の神の座であります」」」」
「ならば征こう、もうこれ以上、涙は流させはしない・・・・・・!」
最上級悪魔が一人、クィントゥス・アンドロマリウスは今まさに神の座へと向かう。その身に背負うは秩序の文字のみ。
悪魔として生誕し、幾ばくかの年月が過ぎようと、その誇りは全く欠けることはない。自身は恵まれている、されど、皆が皆恵まれている訳ではない。
人も、或いは悪魔も皆平等はあり得ないのだ、皆が皆、不平等という世界に生まれ落ちた、それはこの悪魔の世でも変わらない事実である。
そして、彼はそれは否定しない。ただ一つの事柄を除いて。
「神は死んだ、もういない。ならばこそ、誰かがその責を全うせねばなるまい。私は、全世界における贄となることをここに誓う。そして言いたいのだ。貴様らの求める神は、きっといると、そういってくれると信じて、私は全能の席へと座ろう」
きっと、彼は終生救われることはないだろう、なぜならこれは犠牲他ならないから、それでも彼は全知全能を目指す、なぜか。
それは、きっとほかの人には計り知れない何かがあるからだろう。
「報われぬ者にこそ救いの手を指し示そう。悪人に悪果あり、善人に善果あり。世界は捨てたものではない。世界を運営する歯車になろうとも、自らの良心に従い、私は総てを守り抜こう。
―――それが私の『正義』なのだから・・・・・・」
狂うことは許されない。誰もが望む世界を運営しよう。そのために彼はここにいる。
たとえそれがご都合主義と呼ばれるモノであろうとも、悲劇のない世界を彼は誰よりも望んでいるのだから。
「スキピオ・アフリカヌス、頼豪阿闍梨、崇徳院顕仁、加藤段蔵、山本五郎左衛門、孫武長卿、朱泙漫。そして我が赤の女王よ。征こう、これが我らの聖戦だ」
そう、これが最後の戦い。神の座は唯一にして無二が故に彼らは戦うのだ、他の何を犠牲にしてでも・・・・・・。
「た、助け・・・・・・」
グシャりと、言い終わらないうちに、その悪魔は脳漿をまき散らしながら絶命した。
風に揺れる紫煙と、丈長のコートの内側には様々な符や重火器、ぼさぼさの髪に無精ひげ、しまいには死んだ目をしながら、男はゆらりとその場所を後にする。
山縣兵護、かつてはエクソシストとして第一線で活躍した人類としては最高クラスの実力の持ち主、されど今は教会を抜け、天使、悪魔、堕天使、そしてその他の化生を狩る狂人と呼ばれる男だ。
今さっき殺した悪魔はSランク相当と呼ばれるが、長年多くの悪魔を殺した兵護からすれば肩慣らしにもならない相手であった。
神は死んだ、もういない。
だってそうだろう、どれだけの祈りをささげようと、どれ程のモノを犠牲にしても、神はなにも答えてくれない。
『ねぇ、兵護。生きるのって・・・・・・、辛いね』
彼女は最期にそういった。彼女に何か罪があったとでも言うのか、たった一人の少女を犠牲にしてでも、守るべき何かが本当にあったとでも言うのだろうか。
「私は、誓う。この世のあらゆる人外どもを殺すと、人というものの尊厳は、決して穢させはしない・・・・・・!」
それは決意、約束そして呪いである。人間であることの尊厳を、人であり続けることの強さを、兵護は証明する。たとえ自身が信念の怪物と呼ばれようともだ・・・・・・。
嗚呼、それは人界の守護者としてはあまりにも哀しい生き方。しかし、彼の歩みは決して止まることはない、そんな無責任なことは出来ない。
復讐者は今日も夜の帳を巡る、彼の信ずる正義を以て悪を断罪するために。
「きっと、きっとそうなのよ。きっと、世界はもっと美しくて、それで素晴らしいモノなんだよ」
「凪子・・・・・・」
「ねぇセイバー、きっとそうよね?」
悔しさに顔をゆがめるセイバー、残念なことにセイバーはその問いに対する答えをもちえていなかった。
いいや、セイバーだけではない、ここにいる七体の英雄が集まってもなお、その問いの答えは見つからない。
月島凪子、白髪と灰色の片目をもつ少女、張り付いた笑みと、見えない片目、白髪は幼少期に背負ったトラウマと罪により黒曜のような髪からは一転、雪のように真っ白となった。
凪子の持つ七体の英霊、その中でも最古参たるセイバーだからこそ、その状態はあまりにも堪えた。
昔はもっと、笑う少女だった。少女らしく、いつか王子様が来ると信じていたそんな健気な少女だった。そんな少女をセイバーは守れなかった。いっそ殺してしまった方が、よほど楽になるだろう、それでもなお、セイバーに彼女を殺すことは出来ない、それは彼女の為にならないからだ。
蟲毒という儀式がある。凪子はそんな蟲毒の壺から唯一生き残った少女だ、親友を犠牲にして、たった一人生き残った哀れな少女、この世の悪夢を一人背負わされた細く弱い少女。生まれながらにして、既に15人の人生のそのすべてを背負わされた少女に、セイバーは何を言えばいい。
「そうだな。世界は、美しくて、優しいモノなんだ」
そう、世界は優しい、けれど彼女はそれを享受はしないだろう、そんな資格はないと、きっとそういってしまうから。
微笑む少女、この時ばかりは年相応の少女らしい。
「ご報告があります、マスター」
「あら、アサシン。どうしたの」
「周囲を取り囲んでいた悪魔をすべて取り押さえました、現在はライダーの管轄へと」
「そう、ご苦労ね。ライダーね。後でほめてあげなきゃ! アサシンもありがとう!」
「私はあくまで仕事でありますので、マスターもご無理はなさいませんように、セイバー殿、引き続きマスターの身辺警護を」
「あぁ、わかっているとも、凪子に傷はつけさせない」
「・・・・・・了解致しました」
彼が出来ることは、凪子を守ることだけ、それが彼の意義であり、彼女との約束だからだ。
周囲、特にライダーとバーサーカーからは過保護と揶揄されるが、彼には関係ない、なぜなら彼は王子様だからだ。
「えぇ、どういうことだいアーチャー? 説明はつくんかい?」
チャイナ服を纏う坊主頭の男、ランサーは己が元同朋たるアーチャーに対し問を投げかける。
「アーチャーだけではありません、正気ですかバーサーカー? マスターを裏切り、その男に付くと。剣はちゃんと抜いてないですよね?」
「勿論、伊達や酔狂であんたらとは戦わないさアサシン、ランサー、そしてライダー」
金髪碧眼の美しい容姿に不釣り合いな黄金の大剣を背負い、三騎に立ち向かう二騎と一人の男。マスターたる月島凪子に反旗を翻した同僚を見ながら、アサシンは考える。
バーサーカーは数少ないマスターとは同性であり母親代わりの人物だ、キャスターも女性だが、あれは姉と言った方が近いだろう。そんな彼女がマスターを裏切るとは考えられなかった、それ以上に、アーチャーが裏切るということが彼にとっては混乱の極地に至らした原因であった。
「ふん、向かう気があるならば結構なことではないか」
「ライダー・・・・・・」
「王たるこの身に向かうこと、赦そうぞバーサーカー、そしてアーチャー。案ずるな、この悪縛王は最強故な」
ライダー、悪縛王タフムーラス、全サーヴァントの中では四番目に召喚されたが全七体の中では最強に近いサーヴァントである。そう、唯一勝機があるとすれば、目の前のアーチャーのみだろう。
「特にアーチャー、貴様とは雌雄を決したかったからな、我が右席にはシーダースプがいるが、左席程度なら与えてやるのも吝かではないぞ?」
「・・・・・・否だ、ライダー。ワシは、これが最善だと信じておる。たとえそれが貴殿と戦うことになろうともだ。タフムーラス」
「言うではないか、ビーシュマ。玉座を捨てた落伍者が!」
瞬間、大地より鎖が噴出すると、まるで意志を持つかのように、アーチャーの下へと流れるように襲い掛かる。
アーチャーに鎖がかかるその瞬間、一瞬で鎖はバラバラに粉砕される。
「・・・・・・まだ、僕のことを忘れてはないだろうか」
それは先ほどまでアーチャーとバーサーカーの後ろに控えていた青年の声であった。
身の丈に合わぬ長槍を構え、ライダーを見据える青年。
「・・・・・・小僧、名を何という」
「根津修太、駒王学園三年。志望は自衛隊だ・・・・・・!」
癖のある短髪、そして煌めき熱く輝く瞳、それはただの人間ではなく、まるで英雄を彷彿させるものであった。
「成る程、ただの人間ではないな。アーチャーが目を付けたのも得心がいく。だがな!」
ライダーは鎖を今度は自身のいる地面に垂らすと、鎖は地面に吸い込まれ、そして、彼の乗騎が姿を現す。
「この悪縛王タフムーラス、ただの英雄如きに倒されるほど落ちぶれてはおらんぞ!!」
「あぁ、そうだな。彼女の相棒がこの程度でやられるはずがない。だからこそ本気で行かせてもらう・・・・・・! ビーシュマ、ヘルヴォル!」
「ああ、承知したさ。往くよティルヴィング・・・・・・!」
「この身背負うは一つの誓いのみじゃよ。行くぞ根津修太。今世の英雄よ・・・・・・!」
インド神話における不死身の英雄、そして、呪いの運命より生き延びた一人の女戦士。
「全く、正面戦闘は得意ではないのですがね」
「呵呵呵、善きかな善きかな、一度は戦ってみたかったんじゃ。見とけアサシン、俺の無影脚が火を吹くぞ!」
武道一筋に生きてきた生涯、その集大成たる奥義がこうして使えることに喜悦を浮かべるランサー、逆に溜め息混じりに気落ちしていくアサシンと対比していた。
「来い、目の前の女の子を助けられないで、多くの人間が救えるか・・・・・・!」
手を伸ばせば、きっと届くはずだと彼は確信している。だからこそ彼は戦うのだ・・・・・・!
主人公たちの流れ
アスベヱル 神の座の前で待ってるから、お前の輝きを見せてくれ!
クィントゥス・アンドロマリウス これ以上悲しいことは嫌だから、神になって優しい世界を作るのだ!
山縣兵護 神とか天使とか悪魔とか堕天使とか、人を歪ませる人外要素要らないから全部なかったことにしてやる
月島凪子 英雄は理不尽を粉砕してくれる、だから彼を試そう。私か彼どちらか死ぬまで最期まで試そう
根津修太 (アスベヱル以外の上記三人を)救わねば・・・・・・(確信)
凪子の神器で呼んだ英霊たち、禍の団をパチモン集団と言っちゃう人たち
セイバー イスファンディヤール 王書における英雄で青銅の肉体を持つメイン盾、王子
ランサー 黄飛鴻 中国近代史上最大の英雄である武術家、何本も映画化している
アーチャー ビーシュマ マハバーラタにおける大英雄、不死身の肉体を持っている
ライダー タフムーラス 王書に登場する王、悪魔縛りのタフムーラス。悪魔たちのトラウマ
アサシン ハサン・サッバーハ オリハサン先生、そこそこ強いサポート要員
キャスター 倭姫命 日本武尊の叔母、初代斎宮
バーサーカー ヘルヴォル 北欧神話における女戦士、唯一魔剣の呪いから解放された人間
クィントゥス・アンドロマリウスの配下、或いは協力者たち、禍の団いじめ
スキピオ・アフリカヌス 戦車 共和制ローマにおいてハンニバルを打ち破った男
頼豪阿闍梨 兵士 鉄鼠として有名な僧
崇徳院顕仁 僧侶 崇徳上皇、大天狗、或いは夜叉として有名
加藤段蔵 騎士 NINJA
山本五郎左衛門 僧侶 日本妖怪の元締め的存在、魔王
孫武長卿 戦車 孫子
朱泙漫 騎士 屠龍之技、イッセー逃げて
赤の女王 女王 クトゥルフ神話におけるニャル子の化身の一柱
ハイスクールD×Dって神様が死んだからその席を奪い合う物語だろ! えっ、違うの?