色々忙しくて遅れてスミマセン。
「真守、ちょっといいか?」
背後から聞き慣れた声が聞こえた。首だけ後ろに振り替えると、少しばかりだが、困っているような顔に見えたのは気のせいではないようだ。
今日は体育祭前日。とうとう明日にせまってきた体育祭。葵がいった言葉に皆がついていったお陰で、いい感じに仕上がってきたのだ。背中わたりの練習になると、一段と真剣な表情になる皆。上に乗っているのは違う人だが、葵だと思って落とさないように最善の注意を払いながら練習した。ある一人を除けば……
「どうしたんだ茜?何か問題が起きたか?」
優しく問いかけてみると、頬を少し赤くして、俯く。ん?俺なんか恥ずかしいことやったかな?
疑問を抱いたまま笑顔の状態で俺が硬直していると、ハッとしたように、茜が我に戻った。茜、最近こんなことが多いけど大丈夫かな?無理してないといいんだけど……。
「ま、真守………あのな、茅根のコトなんだが…………。」
顔を上げて俺に面と向かっていった言葉は、茅根のことだった。………………………あれ?もしかして茜、茅根のことが好き……なのか?
俺の胸から何かソワソワしたものが出てくる。な、なんだこれっ!?もしかして………これがいわゆる親心?いやっ!落ち着け俺!さっきの茜の行動を振り返るんだ。
①俺に相談があった。
②顔を赤くした。
③茅根のことだった。
ってことは……
……………………………茜は茅根が好きなんだ!!
あー!なんかこっちが恥ずかしいな!!そうかそうか、茜は茅根が好きなんだな……。全力で応援してやらねーと。茜も青春してんのかー。俺も頑張らねーとなっ!!!
俺が一人でウンウンと頷いていると、変に思った茜が俺に向かって冷たいような目線を投げかけてきた。お、おう。な、なんか照れるな…。これが娘が嫁に行ってしまうときのお父さんの気分なのだろうか?嬉しいようで、寂しいような………さて、話を戻すか。
「茅根を練習に真面目に参加してほしい。って言う話だろ?」
すると茜は目を見開いて驚いた。その様子からは、俺が当てるとは予想していなかったと、誰にでもわかるような反応だった。
「スゴいな真守、何でわかったんだ 」
「いやいや、あんな顔されたら小学生でもわかるわ。」
「そ、そうなのか?そんなか分かりやすい顔をしていたのか?…知らなかった……。」
先程とは違い、少しばかり困ったような顔をする茜。意外と喜怒哀楽が激しいし、すぐに顔にでらるから、こっち側からしたらとても面白いな。
「まぁ、とにかく茅根のことは任せろ。俺だってクラスの皆が揃ってねーと嫌だもん。だから任せろ。」
ニカッと、茜が安心できるような笑顔を魅せた。先程いった通り、クラスの一人でも欠けるといけないんだ。だから俺は、明日にせまってきた体育祭だけれど、死ぬ気で茅根をこっちに戻す。
これが俺と、幸助の約束だ。でも、個人的にもイジメは好きではない。とにかく俺は、茅根のいった言葉を考えながら、作業につくのだった。
茜side
急に黙り込んで、顎に手を添える格好から、茅根のことを考えているのだと、ウチにもわかった。あの時もそうだった。ウチがまだ不良と言われていた時に、ウチののことを理解しようと一生懸命になりながら、今とまったく同じポーズをとっていたな?授業の時、休み時間の時、弁当の時。その日はずっとそのポーズをとっていたのを覚えている。だって…
ウチはずっとみてたからな。
誰かのために一生懸命になって、その人が笑顔になれるような言葉を見つけて手をさしのべる。真守の良いところだな。そーゆー部分はとても好きだったりするのは秘密だ。
ウチは、真剣な表情をしている真守を目に焼き付けてから、少し離れてしまうことに寂しさを感じながらも、邪魔にならないていどに話しかけた。
「それじゃ、ウチは用事があるから行くな。」
「…あ、うん。後は任せて茜は補助に集中しろよ。」
優しく微笑むその顔は、とても安心できるような、そんな顔だった。むぅ、その笑顔で何人を落としてきたんだコイツは……。
真守に手をふりながら教室のドアを開けて優の所に向かった。これからやらなきゃいけない事がたくさんあるんだ。練習したり、先生のところにいったり、たくさんあるんだ。終わったら真守のところに行こう。どんな顔をして出迎えてくれるのか楽しみだな。
口角が上がっている自分に気づかずに、軽い足取りで優のもとに走り出した。
「うわっ!?」
廊下を走っていたら、誰かとぶつかってしまった。その反動で、床に手をつき、お尻を床にペタンとついてしまった。
「あっ、すんまs……」
頭上から声がしたが、途中で切れてしまったことに違和感があり、誰とぶつかったのか確認するべく、顔をあげてみると、
「茅根……って、敬語使えるんだな……!」
「当たり前だろっ!!」
ウチのいったことを即答で否定する。おぉ、茅根って意外とマトモなんだな。
見た目からして、【ザ・不良】って感じなのに、意外と敬語を話せたり、先輩には気を使うことができたり、コイツ不良か?
ウチの疑問もたくさん出てきた事を悟ったのか、ウチの手を引いてどこかにつれていこうとする。その行動に驚いて、無意識のうちに捕まれた手を払ってしまった。
「あぁ、悪い。いきなりつかんで悪かったな。」
2回も悪いって言ったぞ。しかも謝ってる……。いったいウチは何を見ているんだ?夢か現実かわからなくなってきてぞ………………。
先程の行動に謝ってきた茅根に驚きつつも、首を振って『大丈夫』と伝える。それを見た茅根は安心したようにホッと息を吐いて、胸を撫で下ろす。
「とにかく屋上に来てくれるか?話したいことがあるんだが。」
この言葉に少は期待しちゃうかもしれないが、茅根の真剣な目付きから、その期待は無いだろうとハッキリとわかるような感じがした。
なんとなくで茅根を見つめていたら、茅根が何故か突然顔を赤らめ、モジモジし始めた。顎に手を添えては、頭をがしがしと掻いたりしては、「は、早くいくぞっ//」と、不良とは思えないような照れた動きを始めた。何ていきなり照れているのか気になったウチは、ストレートにきいてみた。
「なあ、何でそんなに照れているんだ?」
するとピタッと立ち止まり、ぎこちなく振り返る茅根。その表情は、照れた女の子みたいな表情で、少々言いにくそうな顔にも見えた。何をそんなにためらっているのかはわからなかったが、茅根の言葉に初めて気づくのだった。
「……………………制服の時は短パン位履けよ……////」
数秒の間があった。その時ウチは、固まっていた。思考回路が停止して、なにも聞こえなくなる。その時間が約3秒。3秒後に止まっていた脳ミソが動き出して理解しようと働き出す。そして…
「バ、ババババ、バカやろーーーーーーー!!!/////////」
今までにない力で、思いっきり茅根の頬に張り手を喰らわせた。
「ぐほっ!?」
数メートル離れたところまで吹っ飛んだ茅根は、空中で回転しながら床へと落ちた。ハッ!しまった、つい思いっきりやってしまったじゃないか!
茅根のもとに行ってみると、頬に手形がくっきりと残っており、その部分は真っ赤に染まっていた。
「す、すまん茅根。大丈夫…じゃないよな?」
しゃがんで茅根の頬を触ってみる。
…痛そうだ。
ウチがビンタをやってしまった張本人なのにも関わらず、痛そうだ。
「あ、顎が外れるかと思った……。」
ゆっくりと起き上がった茅根は、さっきぶたれた頬に手を擦る。顔をしかめながら「言わなきゃよかった……」と後悔していた。
「まぁ、ゴメンな。次からは気をつけるんだぞ?」
「いや、オメーが気をつけろ!」
な、なんだ。全然元気じゃないか!これなら次からも大丈夫だな。
「ほら、怪我人のフリをしてないでさっさと屋上に行くぞ。」
「十分怪我人だわ!!」
鋭い突っ込みを入れてから立ち上がる茅根の姿には、教室で過ごしているすがたとは、まるで別人だった。
そんな茅根の後ろに続いて、屋上に向かうのだった。
小説書くのは楽しいですねぇ。
まだまだ頑張りますので、感想&指摘お願いします!