何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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今回は少し長めです。

そして、久々に新ヒロインが登場します!




鈍感男の体育祭(当日)

 今日は体育祭当日。そして今は結果発表をしている最中だ。発表をしているのは、ここの学校の生徒会長、萌那さんだ。

 

 恐る恐る紙をゆっくりと開く萌那さん。一生懸命心情を顔に出さないように堪えているのがわかる。黒とは対になる白のたすきを頭に巻いていて、そのたすきがふわりとした風でなびいた。

 

 残念ながら、今年最後の体育祭は萌那さん、杏さんとは違う組団だった。なんにせ、白組は優勝候補の中の大本命。4年連続で優勝しているので、注目度が非常に高い。一番は、3年5組に強い人たちが集まっているからだろう。陸上部のエース。野球部のキャプテン、美術部の一番絵が上手い人。そして………………完璧生徒会長。そんな人たちが集まりに集まっているから、とても手強い。

 

 まあ、もう、終わったことなんだけどな。今回は【黒】がぜってー勝つ!!

 

 

 

「今年の体育祭の、栄光ある優勝組団は、…………だ。」

 

 萌那さんの発表と同時に得点板に点数が表示された。

 

 達成感。満足感。優越感。優勝したらそんな感情ばかりが出てくる。誰だってそうだ。勝負に勝って嬉しくない奴なんかどこにも居ない。俺だってそうだ。俺たち生徒会が並んでいる所は、萌那さんが立っている台のすぐ後ろだった。そして、俺のとなりにいる杏さんをチラリと見てみると、

 

 

 

 

 

 

 

 涙が頬を伝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 負けたら悔しいよな。努力して、努力して、努力して。それでも、勝つことのできないのが、厳しい勝負の世界のルールだ。現に先輩たちがそうだった。

 

 俺は実感が持てなくて、得点板をもう一度見た。あの、優勝候補の白組との差は、僅か一点。僅かなその一点の重みを感じとり、俺も涙を流した。今日の頑張りを、脳内に思い出しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか?ここまでの頑張りを無駄にするなよ!さぁ、いくぞおぉーーーー!!!!」

『おぉー!!!!!!』

 

 男女ともに声が枯れそうになるぐらい声を出して気合いを入れる。男女構わず肩を組んで丸くなり、そして、俺の掛け声と同時に皆の右足が地面を勢いよく踏みつけた。

 

 背中わたり直前の気合い入れ。ここまでの道のりはとても大変だった。しかし、それを乗り越えてきた俺たちなら絶対勝てる!!

 

 スタートラインギリギリまで先頭の人が詰める。そして、先生がピストルを空に高々と向けて……

 

 

 

 

『パンッ!』

 

「はしれぇーーー!!!!」

 

 ピストルがなると同時に皆も走り出す。先頭の人はすぐさま四つん這いなり、葵の踏み台となる。葵が素早い動きで背中に乗り、一気に駆け抜けていく。一人、二人、三人と、クラスの皆の背中を走っていく。その勢いはとどまらず、更に速く駆け抜ける。その目は、本気で勝ちたい。そう語っていた。

 

 俺は背中を丸めながら葵の昨日言った言葉を思い出す。

 

 

 

「私、一回しか走れないから。だから、皆も、私を落とさないように馬になってくれる?大変だけど……私、頑張るから!!」

 

 

 誰一人と頷かなかった人はいなかった。それほど、葵の真剣な目が、皆のやる気を上げていったのだろう。本番当日しか走ることのできない、一発勝負。皆の真剣な目に、心配はなかった。

 

 

 

 トンッ

 

 

 

 葵が俺の背中を渡った。一瞬で踏み終わる葵の速さに驚きながらも、流石だなと、尊敬もした。これが怪我している奴の速さかよ。口角が上がるのがわかった。チラリと隣を見てみる。

 

 

 誰もいない。

 

 

 俺達の速さについてこられないようだ。

 

 

 カーブを曲がり終えて終盤戦。まだ葵は一回たりとも落ちていない。勝てる!!そう思っていた瞬間、葵がぐらついた。背中を踏み外し、一つ右にズレて、転落しそうになる。誰も動くことのできない位い、一瞬の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人を除けば。

 

「落とすかよっぉ!!」

 

 茅根が葵の右足の所に馬になり、葵は馬になった茅根の背中を踏んで転落するのを防いだ。しかし、バランスが崩れてしまい、茅根の背中の上で膝をついている。

 

「葵、もうひと踏ん張りだ!がんばれ!!」

 

 俺が大声で話しかける。すると皆も、「もう少しだがんばれ!!」「優ならイケるよーー!!」「がんばれぇ!!!」と、皆の声援に、葵は立ち上がって再び走り出した。

 

「優は、ウチがいる限り落ちることはないからな。」

 

 茜が、そう微笑みながら言った。それを聞いていた葵は走りながらも細く微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 優side

 

 皆の声援で立ち上がることができた。そして、走る。痛い足を懸命に動かして、とにかく皆の背中を渡る。一人一人に、ありがとう。と、心の中で呟きながら、ゴールだけをを目指して走る。

 

 体力も残り少なくなるし、足はとても痛いし。それでも、皆と勝ちたい。皆のためにも、自分を犠牲にして馬になってくれた畑くんのためにも、負けられない。そう思うことで、自ら自分自身を奮い立たせ、自分の走る動きに勢いをつけた。白組も隣から迫ってきているのが、迫力で伝わってくる。でも、

 

 

 

 勝つのは【黒】だよ。

 

 

 

 最後の馬を踏み終えると、皆がいっせいにしゃがんだ。しゃがまないとゴールしたことにならないから。白組も、ほとんど同時にしゃがんだ。隣には最後に馬になってくれた塚崎くんが笑顔で「葵、完走おめでとう。」と、優しい笑みで言ってくれた。塚崎くんの笑顔と、結果と、二つにドキドキしながら俯いた。すると…………

 

 パサッ

 

 終わった合図の旗の色を確認する。女子は手を組んで祈り、男子は静かに息を飲んだ。私は、ゆっくりと上がった旗の色を見てみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【白】だった。

 

 隣から歓声の声が聞こえた。私は、罪悪感と悔しさで胸がいっぱいになって、目から溢れる涙を抑えきれなかった。あの時、転びそうにならなければ……きっと今頃は、

 

 ポンッ

 

 頭に置かれた誰かの手が、私の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。……塚崎くんだ。

 

「自分を責めるな、………優は怪我をしてもなお走ったんだ。俺は尊敬するね。」

 

 そんなの……ズルいよ…………余計涙が止まんなくなるじゃん。私は、陣地に戻ってからたくさん泣いた。そして、泣き止んだあと、立ち上がって、笑顔で皆に顔を向けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 真守side

 

 立ち直ってくれて良かった。俺は、皆に囲まれながら、嬉しそうに接している優を見て心から安心した。あの時の優の表情は、自分をとても責めていて、とてもじゃないが見ていられなかった。やっぱり優は、笑っている方が、断然可愛い。と、俺はそう思っている。

 

 

『借り物競争に出場する選手は、準備を始めてください。』

 

 おっ、もう、借り物競争が始まるのか。準備しないと。俺は借り物競争に出場する選手なので、準備を始めた。各クラスの代表5名だけが出場することができるこの競技は、物凄く得点が高い。なので、皆の顔はとても真剣だ。残念ながらそれに選ばれてしまった俺は、渋々とよっシーと共に準備を始めた。

 

 俺の出番は、3番目。数メートル離れている地面から、2枚の紙を選んで、その紙に書いてある物を持ってゴールする。いたってシンプルな競技だ。だが、それがなかなか見つからない。去年の例では、【好きな漫画5冊】や、【初恋の人】などと、なかには【現在好きな人♪】等と、とてもえげつないものが紛れ込んでいる。

 

 ったく、誰だよこんなの作ってるやつ!!俺は心の中で愚痴を叫ぶ。しかし、その間に自分の順番が早々と回ろうとしている。そしてとうとう、俺の順番がやってきてしまった。

 

「真守ぅー。頑張れよ?」

 

 よっシーに背中をビシバシと叩かれながら、嫌々スタートラインについた。どうか運の神様、俺に変なのが当たりませんように。

 

「よーい………………『パンッ』

 

 合図と共に俺は地面を思いっきり蹴って、走り出した。滑り出しは順調で断トツでトップを走っている俺。急いで紙を2枚拾い上げ、恐る恐る中身を見てみた。

 

 

 

【可愛い双子(女子)】【ポニーテールとツインテール】

 

 

 

 

 

──はっ?

 

 

 

 瞬きを5回、目を擦る回数13回。だがしかし、俺の持っている紙に書いてある文字は一文字たりとも変わらない。いやいやいやいや、いるわけないでしょこんなやつら。無理だから。諦めている最中にも、背中からの足音がどんどん近づいてくる。とにかく俺は、1年生のいる所に向かって走り出した。

 

 まずは近くにいる青組の1年生を探してみることにした。いや、ぜってー居ないって。ホラ、その証拠にここには誰一人と双子がいn「あの、どうしました?」

 

 ソコには、ポニーテールの可愛らしい女の子が不思議そうに俺をみていた。

 

「双子じゃないけど、ポニーテール見つけたぁあー!!!」

 

 嬉しすぎて叫んでしまう俺を目にした女の子は、ビクッと肩を微動させた。あ、不味い。説明しないと変な誤解が学校じゅうに流れてしm「おねーちゃん…に………なにしてんですか……?」

 

 

 ソコには、ツインテールの可愛らしい眼鏡をかけた女の子が不思議そうに俺をみていた。

 

 

 

 

 

 

 

『双子キタァーーー!!!』

 

 俺は、二人の腕を掴んで、ゴールに向かって走り出した。

 

「えっ!?ちょっと!!?」

「おねーちゃん、私、初めて拉致されました。」

「拉致じゃねーよ。借り物競争だ。正式に認められてるんだから、問題ないだろ?」

 

 二人は納得したように「「あぁ。」」と、呟いた。いやー、参ったな。まさかこの学校に双子がいるなんて…………初耳だぞ………。

 ゴールのテープをきって、走者の邪魔にならない位地に移動してから、二人の手を放した。

 

「突然手を繋いでイヤだっただろ。ゴメンな。」

 

 とりあえず頭を下げて謝る。すると、頭の上から「いえいえっ!!頭を上げて下さい!」と、声が聞こえたので、頭を上げることにした。

 

「あの、私、野坂 陽乃(のざか ひの)と言います。」

「妹の……野坂 月乃(のざか つきの)です。」

 

 太陽と、月……か。俺は、二人の特徴をまとめてみることにした。

 

 まずひとつは、髪型。陽乃ちゃんの方はポニーテールで、いかにも運動が出来そうな雰囲気がある。それとは反対に、ツインテールの月乃ちゃんは、眼鏡をかけていて、勉強がとても得意そうだ。

 

 次に目にはいるのは………………………………………胸だ……。

 

 陽乃ちゃんは、少し小さめだが、月乃ちゃんは中学生とは思えないほどの大きさだ。美保さんよりは小さいが………。

 

 最後に目許を見てみる。陽乃ちゃんは、優しそうなタレ目で、月乃ちゃんはクールそうなつり目だ。

 

 二人をよく観察して、見分けられるようにする。間違えたら失礼だからな。おっと、そういえば俺の自己紹介をしていなかったな。忘れてたぜ。

 

「遅くなったけど、俺は、塚崎 真守だ。これからよろしくな。」

 

 ニコリと微笑みかける。第一印象は肝心だからな。ふと、時計を見てみると全員リレーが始まる時間になってきたので、ここでお別れだ。

 

「それじゃ、俺いくな。あと、借り物競争に参加してくれてサンキューな。」

 

 二人にヒラヒラと手をふってから、俺は、その場から消えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 陽乃side

 

 笑顔を向けられた瞬間、私の心の中で、なにかが目覚めた。な、なんだろう……今までの男性は、私(月乃も)を見たとたん、頬を赤く染めて、照れるのに、この人は……そうならなかった。…………ふふふっ、落としてやろうかな?

 

 私が脳内である計画を立てていると、その脳みそが何かの震動によって揺れた。

 

「……おねーちゃん。また…男を落とそうと……………企んでいる…でしょ………?」

「あっ、バレたぁ~?」

「それは……よくないと思う……。」

「えぇー楽しいのにぃ~。」

「……………知らない…。」

「むぅー、何よそれぇ~。」

 

 バレバレだったかぁー、流石双子の妹だねっ!姉の考えてることがわかるなんて……恐ろしい子。

 

 私は月乃と一緒に同じ陣地に戻って、会話を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真守side

 

 全員リレー。結果的にいうと一位だった。白組はバトンパスでミスをしてしまい3位になっていたのが奇跡だった。因みに2位は青組だった。青組を見たときに、愛川が嬉しそうに飛びはねているのを見ていて和んだのは秘密だ。

 

 そして、全ての競技が終わり、結果発表に移るのだった。

 

 

 

 

 

 

「今年の体育祭の、栄光ある優勝組団は、青組だ。」

 

 俺達黒組の点数は1042点、3位の白組は1041点、そして、優勝した青組は1043点だった。僅か一点。抑えきれない感情に、俺は、とうとう泣いてしまった。悔しい、悔しい、悔しい。一致団結して、その結果2位だった。

 

 

 《本気で悔しい。》

 

 

 俺は、この気持ちを忘れることは無いだろう。決して。

 

 優勝した青組は、閉会式が終わったあと、トロフィーを掲げた団長を、空高く胴上げをしていた。その光景を無意識に見てしまう。嬉しそうに胴上げをする人、嬉し泣きをする人、来年に向けて頑張ろうとする人。様々な人が、色んな感情を抱いて、胴上げをしていた。

 

「来年は、絶対勝つ。」

 

 俺は、それだけ言い残すと、泣いている黒組の元に、走っていった。悔しい感情を忘れないように、心にしまいながら。

 

 

 

 

 




はい、双子ちゃんヒロインでしたー!

あと一人出したいと思います。

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