何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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遅くなり申し訳ございませんでしたぁーー!!(スライディング土下座

今回は茅根のかいです。ちょいシリアス?



鈍感と茅根と…

 茅根side

 

「あれ、そう言えば茅根。あんまり茜と居ないよな? 喧嘩でもしてのか?」

 

 はぁ?

 

 塚崎 真守、馬鹿なようで、意外とみんなのことを考えているクソ鈍感野郎。

 

 ほら、みてみろよ、アイツの顔を。

 

 何の悪びれもなく、アホずらかまして、小さい子供が「どうしたの?」とでも言っているような顔をし、純粋を通り越し、もはや『馬鹿』と言っても過言ではない目をしながら、変なことを訊きやがった。マジで何考えてんだコイツ…。

 

 

「俺と茜はセット感覚なのか? あぁん?」

「いや、だって…ねぇ。」

 

 右頬をポリポリと掻いて、斜め下に目線を動かして、真守は俺の耳許で小さく呟いた。

 

「お前ら…これだろ?」

 

 そう言って、右手の小指をたてる。

 

 

 ………はぁッ!?

 

 

 

 顔…いや、全身が一瞬にして熱くなるのがわかった。突然の『茜と付き合ってるんだろ?』と、遠回しに言ったんだ。そりゃ、熱くもなるし恥ずかしくもなる。なんにせ、付き合っていると勘違いをされているのだからな。

 

 俺は誤解を解こうとするも、さっきの言葉のせいで上手く口がまわらない。

 

「ちがっ、あのな、ってか…何で知って、いや、違うけど、……何でそう思った!?」

 

 最後の言葉だけは、絶対に伝えたかった。ってか、そもそも何でこの鈍感クソ野郎がそう思ってんだよ。コイツ意外と他人のことについては鋭いのか?だとしたら気持ち悪いな…

 

 

 自分でもわかるほど顔をしかめて、睨んでしまった。

 

 睨んでしまったせいで、ビクッと真守は肩を震わせて、ピクピクしながら一歩、後退りする。そして、苦い顔をしながら、両手を前に出して『まあまあ。』と言わんばかりに手を動かしている。

 

「だって茅根、屋上でさ……なぁ?」

「 ………あれを観たのか?」

「ッ!?」

 

 輝く笑顔で、左手を胸の前で開き、その左手に、勢いよく右手の拳をパシンと当ててみる。その動作を3から4回ぐらい続けると、意味を察したのか、さっきまで浮かべていた苦笑いが一瞬で消えて、顔の色がみるみるうちに蒼白くなっていき、まさに【恐怖】。の二文字が、真守の顔だけをみても伝わった。

 

 

 

 怖がるくらいなら初めから言うんじゃねーよ。マジで殴るぞ…。

 

 真守は、運動神経がいいが、あまり他人と喧嘩はしない。

 

 優しい性格の真守は、どちらかと言うと、全てを受け入れてしまい、パシりに使われるような奴だろう。赤の他人のために、怖がっていても、その人の役に立とうとする姿勢は、馬鹿だ。馬鹿だと思ったと同時に、正直尊敬した。

 

 威張らず、見栄を張らず、皆の役に立とうとする事は、口先ではとても簡単だ。簡単だからこそ、いざそうしよう、としたときに難しいのだ。なのに…コイツは……

 

 

「今すぐ殺してーよ、クソ野郎。」

 

 馬鹿なうえに鈍感な奴は、意外と変人みたいだ。

 

 

 何を考えていてのか、身構えた姿勢でいるクソ野郎は、何が起こったのかよくわからずに、キョトンとしていた。

 

「…まぁ、いいか、茅根がいいならいいけど。」

 

 身構えた体制から、右手を腰にてを当てて、残りの左手を顎に添えて、なにかを考えるようなポーズに切り替わり、真守は「う~ん…。」と、一人で唸っていた。

 

 

 

 なんか、色々とムカつくな。

 

 よくわからないイライラが、どこからともなく込み上げてきた。……まぁ、いいか…。

 

 

「あっ、おはよう真守、茅根。」

「っ!?」

「あ、おはよう茜。」

 

 背後から聞き覚えのある声が聴こえて、ついドキッとしてしまった。

 

 恐る恐る首を動かして、後ろをみると、右手を上げてニコッと笑う、可愛い茜が立っていた。長い艶のある、綺麗な髪に、長い睫毛、鋭い目許に、整った顔。まさに美少女の文字が相応しい茜が、俺の前に立っていた。

 

 

 

 

 何でだ…いつもより茜が、か、可愛く……見える…。

 

 

 

 俺の視線に気づいたのか、茜は俺の方に近寄り、見上げてきた。

 

「どうしたんだ茅根? ウチの顔に何かついているのか?」

 

 小首を傾げたとにき、長い髪の毛が小さく揺れた。大きな睫毛がパチパチと動き、それに…近いせいか、シャンプーか何かの、いい匂いがする…って!? なに考えてるんだよ俺!? 変態かよっ!? それに…上目遣い…何なんだよコイツッ!?

 

 

 クルクル目が回るような感覚に襲われ、顔が一気に熱くなった。手からは汗がじわりと溢れてきて、背中からも嫌な感じのする汗が、ゆっくりと伝った。

 

 

 

 どうしたんだよ…俺ぇ!?

 

 

 混乱する頭を必死にフル回転させて、変に思われないように、何か、話題を必死に探した。言葉を探しだしたり、単語を見つけては、今の状況に合っているのか確認しては、ダメだと本能が呟き、違う話題を探す。これの繰り返しだ。

 

 言葉にいきずまり、「えっと、うんと…あの…。」と、なかなか言い出すことができない。いつもなら、こんなことはなかなか起きないのだが、ってか、起きることはない。なのでぶっちゃけ、とても困っている。

 

 

 不良と言われているから、ナンパはできるだろうと思っているだろうが、俺はこう見えてナンパはしたことがない。したことがない。ホントだぜ?

 

 だから、テンパるも納得いくだろ? ナンパしかしていないやつは、こういう場面のトークスキルが半端なく高いのだ。だから、仕事帰りの疲れがたまっている女や、駅など、そこら辺にいる、少し悪に憧れているような女なら、一発で釣れる。そして、まんまと騙されて、金を盗られたり、嫌な行為までされ、体だけではなく、心と共にボロボロになってから、後悔するんだ。

 

 これをただのバカと言う。

 

 そんなことを思っていると、茜が俺の頬っぺたを、優しくペチンと叩いた。そして、それと同時に、一瞬にして現実に引き戻された。

 

「茅根~、熱でもあるんだろ。さっきからボーッとして、保健室行ってこい。」

「イヤ…多分……平気だ。」

「そうか? なら無茶はするなよ。」

「…おう。」

 

 俺と茜のやり取りに、ニヤニヤする人物が1人。マジでぶん殴っていいか。ウザイんだけどあの顔。

 

 

 真守を鋭く睨み付けると、何かを思い付いたのか、先程よりもニヤニヤが増した顔つきで、パチッと、右目でウインクすると、手をヒラヒラ振ってから「ガンバれ。」と、口パクで言い残して、朝一と義成のもとに走って行ってしまった。

 

 

 

 

 余計なお世話だっつーの!!!!

 

 

 顔が強張るのが自分でも解る。眉間にシワがよって、とてもじゃないが、キレているようにしか、周りからは見えないだろう。まぁ、実際そうなんだけどな。

 

 俺の様子が変わったことに気づいたのか、茜は不思議そうな視線を俺にビシバシ投げ掛けてくる。そのあとに、一つ小さな息を吐いて、真守の方に視線を移した。

 

 

 ズキン。

 

 そんな効果音が、俺の胸を、心を、刺した。

 

 締め付けられるように、苦しい。まるで、心臓を誰かに鷲掴みされるように、苦しい。

 

 

 茜の目を見ると、そう思えてくるのだ。

 

 真守をみつめる、優しい、何かの感情が、入り交じっているその眼は、想像もしたくない、考えたくもない、なんとも言えない……そんな感じだった。

 

 

 

 

 

 何で、そんな眼をするんだよ。

 

 

 何で、俺に向けてくれないんだよ。

 

 

 何で、俺じゃないんだよ。

 

 

 何で、こんなに苦しいんだよ…。

 

 

 

 

 …あんな鈍感野郎より、俺にその眼を向けてくれよ。アイツの鈍感プリは、みててあり得ねぇ! って、思うくらい、もどかしいんだよ。

 

 可笑しいだろ、あんなのまさに奇跡といってもおかしくないだろ! 本気でさ!!

 

 

 

 

 

 …でも、アイツは、恨んでも、憎んでも、怨めしく思っても、やっぱり、いいやつなんだよな。

 

 

「あ~あ、やっぱり勝てねーわ。」

 

 笑顔で呟いてみた。

 

 

 茜は、俺の声が聴こえなかったのか、それとも無視してるのか、まぁ、明らかに聴こえなかったのだろうけど、真守だけをみつめている。

 

 手を伸ばせば、届く距離なのに、逆にそれが、とてつもなく遠い存在だ。

 

 俺は君が好きで、でも君はアイツが好きで、憎いアイツは友達で、恨めなくて、……………なんだよこれ、俺って、フラれてるんじゃねーかよ。

 

 

 大きい、大きい溜め息を吐いて、 俺は茜の背中を押した。

 

 女性らしい細い背中、そこまで伸びた髪の毛、一本一本が、艶があって綺麗で。

 

 そんな俺の片想いの相手の恋を応援する。はは、どっかの漫画でもあったな~。最後はどうなるんだっけか? まぁ、いいや。

 

 

 驚いている茜の目の前に握り拳を突き出して、笑って魅せた。

 

「行ってこい。」

 

 恥ずかしそうに、でも、嬉しそうにはにかむ笑顔は、目惚れるほど美しかった。

 

「行ってくる!」

「…おうっ!」

 

 

 茜が真守のところに走っていく。そこで俺は、自分のやっていることに後悔を覚えた。

 

 

 あんな可愛い笑顔は、マジで反則だろーが。惜しいことしたなー。

 

 

 楽しそうに話している茜。これでよかったよな。

 

 そうでもしないと、泣きそうになるから、歯を必死で噛み締めて、感情を、とにかく堪える。胸から込み上げてくる、悲しい、哀しい感情を、とにかく堪える。

 

 

 

 

 

 そう言えば、 漫画の人物はこんなこと言ってたな。

 

 

 

「もしフラれたその時は、俺が一番に慰めて、2回目の恋をさせてみせる。」

 

 

 窓の外を観てみると、あの日、屋上で話した時みたいに、太陽は照りつけてきて、空はウザイほどに真っ青で、それで。

 

「絶好のサボり日和だな。」

 

 俺は、教室を出て屋上に向かった。階段を登り、重たいドアを、手で開けて、新鮮な空気を思いっきり吸って、そして─

 

 

 

 

 

「ありがとぉおおぉぉぉおーーーー!!!!!!」

 

 

心から叫んだ。何故だかそんな言葉が出てきたんだ。…出て……きたんだ。

 

「待ってるよ、お前が俺のもとに来るまで。ずっと……」

 

強がって、笑顔で言ってみたら、ポタポタと、頬をつたるものが流れてきた。

 

暑苦しい太陽の光を浴びながら、俺は、屋上で1人、涙を流したのだった。

 

 

 

 

 

 




まぁ、しゃーないんだよ。

そんなこと、誰かは経験したことあるだろ?

ちなみに作者は経験ありますよ。そんな恋。

とにかく泣きました(笑)


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