異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
ツンデラジン
ロリコニウム
………なにこれ凄い化学反応起こしそう(白目)
「ゆ〜きやこんこ、あっられやこんこ」
街に続く舗装された道。フローの上で懐かしい童謡を歌いながら、もう見えている街に向かって進んでいく。
「ふって〜も、ふって〜も、ま〜だふ〜りやまぬ」
「きゅう?」
雪が降ってきそうなら位気温は低いのに、いつまで経っても降らないから歌ってみている。確か、ゆきやこんこんじゃなくて本当はゆきやこんこで、雪よ此処に来いってどこかで見た気がする。
そんな事を思い出していたら、街の城門に到着した。入る時にフローの事で門衛さんと一悶着あったけど、ギルドカードを見せたらなんか納得した顔になって、目の前でフローに帰ってもらったら諦めた感じの雰囲気を漂わせてた。なんでだろうね?
「リュートさん達はまだ着いてないみたいだし、とりあえずギルドで換金してもらって街をブラブラしてようかな」
そう呟いて私は、木造と石とかレンガっぽい家が混じった街並みを眺める。最近木造建築ばっかりだったから中々に新鮮だ。
因みにギルドは、どこに行っても外見はそんなに変わりがないので凄く分かりやすい。それに気づいた時、ちゃんとした組織なんだなーって思った。えと、要するになにが言いたいのかと言うと、結構城門の近くにあったのでもう着きました。
(そんなに見れなかったなぁ……街並み)
そうちょっと残念に思いながらギルドに入って、若干感じる視線を無視して受付嬢の人の場所に向かう。
「あの、ちょっといいですか?」
「うん、大丈夫よ。どうしたのかな?」
お姉さんが優しく私に話しかけてくる。うん、もう慣れたよ。初めて行った街だとギルドカード見せないと信じてもらえないって。
「此処に来る道中に、アシッドヒュドラって魔物に襲われたんですけど、そのまま返り討ちにしてきたので素材の買取お願いします」
ヒュドラの首を一本……というか頭の部分だけ出しながらそう言った瞬間、ギルドが静まり返った。……あぁ、ギルドカード出してなかったか。仕方ないじゃん、おっきいから両手じゃないと持てないんだもん。
「えっと、ギルドカードと胃薬もどうぞ」
「ありがたく貰っておくわ。買取と依頼の報酬を合わせるとかなりの額になるから、明日もう一度ギルドに来てもらっていいかな?」
「わかりましたー」
元気にそう返事をして、私はギルドを後にした。
余談だけど、こういう事が多いからワザワザ調薬とかを覚えたんだよね。……クラネルさんに頼み込んで。お陰で胃薬から猛毒まで色々作れるようになったよ、何故か媚薬の作り方を教え込まれたけど。
◇
「と言うわけでやってきました魔法屋さんが多い通り!」
ギルドでの用事も終わったので、不思議な匂いのする方向に私は歩いていっていた。それでしばらく歩いていくと、いかにも魔法屋ですというお店の並ぶ通りに出た。
「よしっ」
私はその中でも立派なアトリエ風の建物…………ではなく、その向かい側に建っていたボロボロのお店へとドアを開け入っていく。
ここ数ヶ月、いくら私がSランクの冒険者と言ってもまずは偽造を疑われ、もしも疑われなくても足元を見られる事が多かった。まあ、幼女だから仕方は無いんだろうけど……
「いらっしゃい、おや? お嬢ちゃんみたいな子が来るとは珍しいの……」
そう言って、薄暗く謎の光を放つ鍋が置いてある店内の奥から、ローブを着て、杖をついた老爺と思しき人物が姿を現す。
魔法屋さんの人って、なんでこう、お年寄りの人が多いんだろう?
「えっと、ここのお店って魔導書って売ってますか? 出来ればマイナー……珍しい属性のやつで」
「今ある珍しいのは、闇と氷の魔導書かのう? まあ、お嬢ちゃんには買えないと思うがの」
ホホホと笑う老爺。むう、期待していたのにまさかここもなのかな?
「お金なら持ってますよ! 私、これでもSランク冒険者なんですから! 後、氷魔法は使えます!」
私はヤケクソ気味にギルドカードを取り出して見せる。いつもならここで一笑に伏されるのだが……
「ほぅ、お嬢ちゃんが《流星群》だったか。なら、どうして儂の店に来たんじゃ? 他の所ならもっと良いものがあったろうに……」
「大きなお店に行くと、貴族のボンボンに間違われたり、ギルドカードも信用してもらえなくって足元見られるんですよ……その上勧めてくるのは火とか水とかの魔導書ばっかり……もうとっくに使えますよ!」
このようにしっかりと会話する事ができた。なんだろう、泣きたくなるくらい嬉しい。
「そりゃあ大変だったのう……でも、儂も魔導書を売るのには1つ条件を付けさせてもらおうかの」
「え、な、何ですか?」
値段を吊り上げるとかだったら嫌だなぁと思いながらも、老爺の次の言葉を待つ。
「儂は覚えられもしない奴に魔導書を売るつもりは無くての、お嬢ちゃんの適性を確認させてくれんかの? 単純にSランク冒険者の適性ってのを見てみたいというのもあるんじゃがの」
「それくらいでしたら全然構いませんよ。それで、どうやって測るんです?」
「この水晶に手を置いてくれ、そうしたら儂の側に適性が表示されるようになっておる」
なにその便利道具? と思いながらも特に気にもしないで私の身長に合わせて置いてくれた水晶に手を乗せる。私の魔法の適性ってどんなものだろう? と思い老爺を見ると、その顔を驚愕させて固まっていた。
「えっと、適性ってどんな感じだったんですか?」
「え、あぁ、これじゃよ」
そう言って見せてもらった画面は、正直に言ってちょっと目を疑う感じだった。
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イオリ
火属性 EX 光属性 SS 雷属性 SSS
水属性 SSS 闇属性 SS 空間属性 EX
風属性 SS 木属性 SS 呪属性 D
土属性 EX 氷属性 SSS 無属性 B
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「あは、あははは……」
これってあれだ。火と土、雷は確実にヘーパイストスとドヴェルグで、空間は多分転生者だからだろう。水と氷は元銀狼の腕輪だろうし……残りはあれか、チートを強化とか言ってたけどそれなのかな?
因みに、ギルドのランクと同じ表記らしく、EXは測定不能の事らしい。
(うわ、私の適性高すぎ?)
そんなことを考えている間に老翁は、近くの棚から
「え? 闇だけじゃなかったんですか?」
「二冊目は空間の魔導書じゃよ。今まで誰も適性を持つ者がいなくてのぅ、ほぼ死蔵扱いになっておったんじゃよ。そんな時に現れた嬢ちゃんに託さない手はあるまいて」
マジか! 魔族になら居そうと思ってたのに……って事は、地球に帰るのは望み薄かな? はぁ……
「ありがとうございます! それで、何ゴールドですか?」
「2つ合わせて、金貨1枚じゃな」
「安すぎないですか?」
私がいつだったか買った木魔法の魔導書は、一冊でそのくらいだったのだが……
「面白い物を見せてもらったお礼じゃよ。それに、孫がいればこんな感じかと思うとの……」
「本当にありがとうございます、おじいちゃん! それで、ちょっとここで読んでいてもいい?」
お年寄りは大切にっていうしね、何と無くそういう気分で言う。
「ほほっ、構わんよ。ゆっくりしていってくれ」
許しも出たので、私は近くにあった椅子に座り、魔導書を読み始めた。魔眼は使わずにね。
欲しい誕生日プレゼント?
APTX4869かな。