異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
あの後、特にな何も問題はなく私達は魔界側の橋の街に到着した。獣人界側の橋の街とそんなに街並みの違いはなかったが、大きな違いが一つこっちの街にはあった。
まあわかってる事だけど、ダンジョンがあった。最前線が14階層って話でそれなりに多くの冒険者が挑んでいるって門衛の人が言っていた。という事で、
「ちょっと潜ってこうよリュートさん! ここのダンジョン!!」
「さっきの話の通りだと危険も多くはなさそうだし、僕も行ってはみたいけど出てくる魔物の種類がなぁ……」
「が、我慢するよ」
レーナさんが苦笑いしながら答える。なんでレーナさんがこうなってるのかというと、ここの街にあったダンジョンに出現する主な敵が虫系ばかりという話なのだ。私? よく分からない液体でベタベタになったりGが大群で来たりしなければいいかな?
「ダンジョンについて少しは知っておかないと大変だから、挑むにしても明日からだね」
「はーい」
「楽しみなのは分かったから、とりあえずイオリちゃんは落ち着こう? 尻尾がすごい勢いでバタバタしてるよ?」
「はーい……」
昼間は否定したけど、やっぱり私の行動って……まあ精神的な部分がそうなんないならいいか!
◇
「それじゃあ、これからダンジョンについて説明していきたいと思います!」
「わーわー。どんどんぱふぱふー」
「イオリちゃん、茶化さないで欲しいな」
「はーい」
という訳で宿の部屋では今、リュートのぱーふぇくとなダンジョン教室が開かれている。実際この世界のダンジョンについては、私はほぼ知らないのでこれからは真面目に聞こうと思います。
「まず、ダンジョンっていうのはこの世界の……まあ、獣人界では聞いたことが無いから除外するけど、あちこちにある洞窟みたいなやつだね。イオリさんはテンプレ9割って認識してればいいよ。それで、現在確認されているダンジョンはこの魔大陸に大半があって、ダンジョンにはダンジョンコアっていう核が存在するんだよ。で、それが取り外されたり壊されたりすると、ダンジョンとしての機能を失うんだ」
「はい! 質問質問! それって魔物とか宝箱が出なくなったりとかするってこと? ダンジョンが攻略されたらその都市も道連れにならない?」
それだったら、あわよくばダンジョンコアゲットだぜ! とかとったどー! な私の目標は諦めなければならない事になる。
「いや、【魔核】っていうSSランク以上の魔物から採れるアイテムをセットすれば、いずれは全部復活するらしいよ。ボスも含めて。だからそれをギルドに報告して、自分で【魔核】を置けるなら何してもお咎め無しって話だよ。だからこそ何度も挑戦可能なんだよね」
「なるほどねー、じゃあここのダンジョンもコアはとって良いってことか。【魔核】ならたしか3個はあるし」
うん、異次元収納の中に確かに3つはある。
「そもそもそう言うと思ってこの話はしたんだよ。Sランクの冒険者なんだし、いいんじゃないかな?」
「わーい」
それなら良かった。この数ヶ月分の危険が役に立ったというものだ。なんてことを思っていると、レーナさんから質問が飛ぶ。
「リュートくん、ダンジョンは洞窟みたいな物って言ってたけど、明かりはどうなってるの? 真っ暗?」
「いや、一般的なダンジョンだと壁が光っていたり、消えない取れない松明が所々に置かれていて明るいらしいよ」
なにそれ気になる。消えない松明? そしたら酸素とか魔力はどうなってるんだろう? 一本欲しいな。
「で、ダンジョンで一番危険で注意しないといけないのは罠。これに関しては【チュンパオ山脈】で嫌という程味わっただろうから説明は要らないよね?」
「散々な目に遭ったからね……まあ、リュートさん達と会うきっかけにもなったけど」
「懐かしいね」
かなり前だもんなぁ〜……でもよくよく考えると、あの山自体がダンジョンだったりして。
「それで、確認しておくと凄く便利なのが【安全地帯】って呼ばれるダンジョンの魔物が進入してきたり、発生したりしない場所だね。深いダンジョンだと、中で寝泊まりする事もあるからそっちになると確認が必須だね」
「安全地帯か……リュートさん質問質問!」
「何? イオリさん」
「今日渡ってきた橋の金属を作れるんならさ、どこでも安全地帯になったりするの?」
一回解析したからもう作れるし、もしちゃんと効果があるならすっごく便利だと思うんだ!
「ごめん、それはわからない。明日ギルドの人に聞いた方がいいかな?」
「じゃあもう一個質問! トイレとかはどうなるの?」
「トイレは……うん、無い。一箇所だけ、安全地帯にトイレが設置されていたダンジョンが有ったらしいけど、それは人間界のだからね……」
それは、ヤバイな。安全地帯とか近寄りたくない状態になってるかもしれない。えっと、次元の果てに消し去るのはまだ無理だし……かといって浄化じゃ消えないし、燃やしたら燃やしたで問題が起こる……
「何やらイオリさんが考え込んでるけど、レーナは何か質問はある?」
「えっと、深いダンジョンだと一回出たらもう一回同じ場所に行くまで時間がかかっちゃうよね? だったら物凄く深いダンジョンだと、絶対に攻略出来ないんじゃないの?」
「それはね、ダンジョンの5の倍数の階層にワープ装置っていうのがあるらしいんだよ。まあ、それもその層まで行かないと使えないみたいなんだけどね」
「そうなんだ〜」
レーナさんの猫耳がピコピコ揺れるのを横目に、私は考えを巡らせる。木系の魔法じゃ効果は期待出来ないし、風と雷は何をどうすればいいのか分からないからパス。いっそ凍らせる? いや、それじゃあ根本的な解決になら無いし……
「で、さっきからイオリさんは何を深刻そうに悩んでるの?」
「トイレの事!」
「そんなのそこらへんで……そっか、二人は女子だもんね」
「そうです! ちょっとはリュートくんも考えてください!」
なんか、地味に男女の違いを感じた。けど……あれ? 確か次元魔法に《転移門》って魔法が確か……えっと、なるほどルーラか。
「リュートさんリュートさん! なんか私、頭ぶつけないルーラ覚えてたみたい!」
「あはは……万事解決だね」
「リュートくんが白目に、大丈夫なの!?」
レーナさんが、白目を剥いたリュートさんを揺さぶって……あ、戻ってきた。
うん、やっぱりパーティーでの旅はこういう事があるから楽しいよね!