異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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熊本…


第8話 電波幼女と苦労男

「よし、イオリさんも落ち着いたし、ダンジョンに入りますか」

「おー!」

「そうだねー」

「あ、頭ナデナデしないでよレーナさん!」

 

 特に意識した訳じゃないけど、手をバタバタ振り回していた。スキルを使ってないのと、力をあんまり込めてないのもあってレーナさんに手が当たるもナデナデは継続している。あぅ、あぅぅ……

 

「あぁもう! 早く行こうよリュートさん!!」

「分かったよ、イオリさん」

 

 ぷんぷん怒りながらも周りを警戒するという、 自分で言ってておかしいと思う事をしながら階段を降り1階層に入った時、左手に嵌めていた腕輪から痛みが走り、頭にテレビの砂嵐みたいな音が鳴る。

 

「リュートさん、なんかテレビの砂嵐みたいな音聞こえない?」

「え? 何言ってるのイオリさん。不気味なくらい静かじゃん?」

「私も何も聞こえないよ?」

 

 レーナさんも首を横に振る。そういえば、この砂嵐みたいな音ってこの契約の腕輪? を嵌めた時にも聞こえたような……なんて事を考えている間にもその音は聞こえてくる。

 

【ザー、誰かザザッ……水……ザーッ、迷kザーッザーッ……助けプツン】

 

 プツンという音を最後に痛みも音もピタリと止んだ。……小さい女の子の声が聞こえた件。

 

「つーしんーしてるかーらとー、せーつぞーくしてみーるとー」

「イオリさんが変な電波受信した!?」

「一回布団に巻かれてみるのもいいかも。ピザは焼けばいいし」

 

 うん、そうだ。1日くらいそうしていてもいいはずだ。多分何かしらの問題が起きるだろうけど。

 

「まあ、もうふざけるのは止めようか。誰かと鉢合わせするのもアレだし」

 

 ネタを1つ挟んでもなお落ち着かない気分だが、とりあえずリュートさんの言うとおりなので歩き始める。見た限り、大鎌を振りまわせる程の広さは無いみたいなので銃形態にして、魔法と鎌剣がメインになりそうだ。

 っと、そうだそうだ。

 

「リュートさん、魔界にあるダンジョンにさ、水なんたら迷宮ってある?」

「あるも何も、有名な迷宮の一つだよ。【水神の大迷宮】まだ未攻略の、確か6大迷宮っていうやつの一つだよ」

 

 むむむ……なんかそこに行かないといけないような気がする……やっぱりさっきの奴が関係してるのかな? いや、むしろそうじゃなかったらビックリだけど。

 

「う〜ん……なんだろう、絶対に行かないと駄目な感じがする……。呼ばれてる?」

「まあ行く事になるとは思ってたけど……まずはこの迷宮で練習してからだね」

「それも……そうだね」

 

 今行っても、多分駄目なのだろう。なんとなくそんな気がする。

 

「なんか出鼻を挫かれちゃった感じですけど、行きましょう? リュートくん、イオリちゃん」

「そうだね! とりあえず今は今」

「地図によると、このまま真っ直ぐみたいだね」

 

 喉の奥に魚の小骨が突き刺さってひっかかってる感じの微妙な気分だが、とりあえず今は目の前のことに集中だ。

 

「ねえねえリュートさん、ちょっと試してみたい事があるんだけどいい?」

「別にいいよ。危ないことじゃなければ……というか、僕達に被害が及ばなければ」

「大丈夫だいじょーぶ」

 

 いきなりな話になるけど、初めて魔導書を読んだ時からずっと思っていたのだ、MP消費は酷いけど次元魔法ってつくづくチートだなって。チート=理不尽、理不尽な次元魔法と言ったらかなみん。もうこうなったらやるしか無いでしょって事で、

 

「次元魔法『ディメンジョン』!」

「何も……起きない? イオリちゃんの事だからもっと何か大変な事になると思ってたんだけど……」

 

 そういってレーナさんが首を傾げているのが、見えてないのになんとなく分かる。流石本家の10倍くらいのMPを使ってるだけはある。

 今は半径3mくらいだから、情報が来過ぎないように注意して、このまま範囲を広げていって……って、あれ? 

 

「リュートさん、前から凄い勢いで人が走ってきてる。結構ケガしてて、その後ろには強そうな魔物が居るみたい。どうする?」

「いや、どうしようも何も助けようよ」

「んー……でも、あと15秒くらいでここ通りすぎるよ?」

 

 多分風系の補助魔法でスピードをあげてるから、このままスピードを落とさなければ階段をソッコーで上がって脱出する感じだ。私達に魔物をなすりつけて。死なないための方法としては間違ってないと思うよ! 

 

「わかった。それじゃあイオリさんはその通り過ぎる人を回復してあげて? その魔物は僕とレーナでどうにかするから」

「ちょっ、リュートさんそれ私の難易度が」

「できるよね?」

 

 鏡のようなピカピカの短刀を構えているレーナさんのとなりで、王の財宝の発射準備の出来ているリュートさんがニッコリ笑いながら言ってくる。そ、そんな風に言われたら断れないじゃん。

 

「ふ、ふん。リュートさんに頼まれてからじゃないんだからねって言ってみたり!」

「とりあえず頼むよー!」

 

 なんて事を言ってる間にももう見える範囲内にその人物が出てきた。緑髪で、狐の獣人の少年が逃げてきていて、後ろには何かが先行して追いかけてきている感じの砂けむりがある。

 なんかこの逃げてきてる人、見覚えのあるような……なんて考えられる私って、結構ききかんが薄かったりするのかな?


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