異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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投稿が遅れてすみませんでしたm(_ _)m



第10話 やっぱりだよ!!

「むむむむ……」

 

 私はそう唸りながら、宿の朝ごはんで出てきたパンを口いっぱいに頬張る。まあそのままじゃ飲み込めもしないから、牛乳も一緒だ。

 と、言うわけで。私達が初めてダンジョンに潜って、予想外の再会をした次の日の朝、私達初めて普通に宿で朝ごはんを食べていた。

 

「イオリちゃん、顔にシワが寄ってるよ?」

「もごっ? もっごぐごご」

「とりあえずちゃんと飲み込んでから話そうか、イオリさん」

「んむ」

 

 ついつい口にパンを頬張ったまま喋ろうとしちゃって、リュートさんに注意されてしまった。むぅ……これくらいの事、元々というかこの世界に来てからもすぐの頃なら普通に出来てたのに……

 

「んぐっ。だってさー、結局ロイドは目を覚まさなかったし、ギルドと宿人に聞いた限り1人みたいだし。なんか腑に落ちないっていうかさー」

「イオリさん、足をぶらぶらさせるのも行儀悪いよ」

「はーい……」

 

 これも身体に精神が引きずられるってやつなのかな……自分でも最近、子供っぽい……いや、年相応? の動きをする事が多くなってるように感じる。高い場所に立ったりすると楽しく感じるし。あと今食べてるみたいな甘辛いお肉は好きだけど、一緒にあるピーマンみたいなのは嫌い。食べるけどね。

 

「まあとりあえず、昨日送ってきた宿に行って話を聞いてくればいいんじゃないの?」

「うん! だけど、私とリュートさんがいるのに、まだ特に酷い問題が起きてないって事が凄く不安で……」

「普通の旅なら昨日のロイド君の事だけで充分問題なのに……」

 

 レーナさんがそう呟いているのは多分本当なんだろうけど……大体この数ヶ月、1週間に最低一回は何かトラブルに巻き込まれてた私と、同じ転生者のリュートさんがいるのにアレくらいじゃおかしい。もっと何か大変な事が起きる筈。

 ん? コレってふらぐって言うのかな? 

 

「確かにイオリさんの言う通りなんだよなぁ……もっとこう、隕石が降ってくるとかドラゴンが襲来したりとか」

「私どっちも出来るけど?」

「やめてよね」

「イオリちゃん、やっていい事と悪い事って言うのがあってね?」

「私、これでも元々15歳なのに……」

 

 ぶーとほっぺを膨らまして抗議していると、よく分からない何かが私の中を通り過ぎていった。リュートさん達もビクッとなってたから今のは分かったんだろう。

 

「フラグ回収……早すぎない?」

「僕も今、全く同じ事を思ったよ」

 

 冒険者の皆様はギルドに集合して下さいという放送を聞きながら、ようやく来たかとどこか安心している私だった。

 まだパジャマだし朝ごはんも食べ終わってないからそっちの方が先か。…………パジャマはピンクの花柄だよ! 悪いか! 

 

 ◇

 

「空気がピリピリしてる……何があったんだろうねリュートさん」

 

 到着したギルドの中には緊迫した空気が漂っていた……のだけど、まだ何も説明はない。私を含めみんながみんなフル装備だから、その雰囲気には拍車がかかっている。

 

「さぁ? まあ、多分ダンジョン関連の何かではあるんだろうけど……」

 

 そんな事を話していると、ギルドのドアが勢いよく開けられ一人の男……昨日の鬼(仮)の人だ……が入ってきて叫んだ。

 

「【暴動】だ! ダンジョンから魔物が溢れてきている! 今すぐ誰でもいいから救援をくれ!」

「こんな朝っぱらにかよ!?」

「普段からいる奴らじゃ人出が足りねえ! 防衛する奴らと、原因のボスの討伐してるパーティーに加勢する奴らで分かれてくれ!!」

 

 ぼーどう……ハッ、昨日私がダンジョンから魔力を搾り取ったりしたから!? いやいやまさかそんな事はあるはずないだろう。

 

「リュートくん、【暴動】って何ですか?」

「大量の魔物が、何らかの理由で発生して溢れてくることだよレーナ。ダンジョンの中は外とは比べ物にならない程魔物がひしめいてるっていう話だね」

「うぅ……私行きたくないです……」

 

 レーナさんが凄く嫌そうにそう言う。やっぱり暴動っていうのはそういうやつだったか。虫が通路とか階段にみっちり……悪夢だね。

 まあそれは置いておくとして、

 

「リュートさん、私がダンジョンの中に行ってくるからそっちはダンジョンの外でいい?」

「レーナも行きたくないって言ってるし僕は別にいいけど、幾らイオリさんでも罠とかひしめいてる魔物は簡単に突破できないと思うけど?」

「大丈夫! 緊急時だからダンジョンぶち壊して進むから!」

 

 私は右手を、さむずあっぷっていうんだったかな? その形にしてリュートさんに言う。踏破するのが難しいなら、自分で道を作っちゃえばいいじゃんって事だよね! 

 

「あぁ、うん。緊急時だもんね、なんでもありだよね」

 

 リュートさんがまた遠い目をして、疲れた雰囲気を出しているけど別にいいよね! だってリュートさんだもん。

 

「レーナさんもそういうことでいい?」

「うん、いってらっしゃいイオリちゃん」

「いってきま──ってそうだ」

 

 そのまま勢いよく走り出そうとして、思い出したことがあったから足を止める。私としたことが、うっかり忘れ物をしそうなところだった。

 

「はいリュートさん、胃薬と頭痛薬渡しておくね!」

「……ありがたく貰っておくよ」

「それじゃあ気を取り直して。行ってきます!」

 

 そう言って私は昨日行ったダンジョンに向かって走り出した。

 ふふふ、助太刀ついでにダンジョンコアもゲッツしてやる。




コア(何か、何かよくないものが来る!)ビクビク

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