異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
ロマン、アームズ←違う。いや合ってる。
『……という訳でリュートさん、義手渡すついでにロイドの事をパーティーに誘ってきてもいい?』
『えっと、向こうが大丈夫なら僕は別にいいけど……レーナは?』
『私も別にいいよ? なんとなく予想出来てましたし』
義手を完成させた後リュートさん達の部屋で話した結果こんな感じの返事を貰えたので、今私は上機嫌でギルドの廊下を歩いている。
受付嬢の人に「お見舞いにきましたー」って言ったら、あんまり人がいなかったせいか受付嬢の人達から暖かい目で見られたり「頑張れ」とか「服似合ってるよ」とか「青春だね」とか言われたけどなんだったんだろう? そんなに似合ってるのかな? このパーカーにスカートって。
「うーん、まあ、別にいいか」
そんなことを考えている間に、昨日私自身が肩を貸して運んだ部屋の前に着いた。さて、辛気臭い挨拶なんてしょーじき柄じゃないし。
「おっはよーロイドー。生きてるー?」
「えっ、あ」
バァンとドアを開けると、ベッドの上で上半身裸の状態で顔を赤くしているロイドがいた。手には濡れてるタオルっぽい物を持ってるから身体でも拭いてたんだろう。って、腹筋割れてるとか凄い……元々の僕は割れてなかったのに……じゃなくて! 普通こういう覗きイベントは私とかレーナさんとかがされるものでしょうに。
「まあ丁度いいからいいや。ちょっと本気で造った義手持ってきたらそのままでいてね!」
「えぇ!?」
そう言って私は、見た目で言えばれんたろーのバラニウムな義手の青い線が紫がかった赤に変わった感じの義手を取り出す。
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浪漫式義手・右腕
STR +590
DEF +530
AGL +550
DEX +570
MIND +530
【属性】混沌
【耐久】頑丈(自動回復)
【重量】600g(最適化待機中)
《スキル》
擬似・幕引きの拳
擬似・理想送り
最適化 Lv── パイルバンカー Lv──
スラスター Lv── 魔力生成 Lv──
魔力無効化(一部) Lv── 最適化 Lv──
耐久強化 Lv9 物理耐性 Lv5 魔法耐性 Lv5
寄生 Lv 2 呪い Lv 4 武具接続 Lv 2
《備考》
イオリが持てる技術の全てを使ってロマンを詰め込んだ
若干の呪いの効力によって触覚と温度を再現し、多少の損傷は埋め込まれたダンジョンコアの欠片の効果で再生する。必殺技をどちらか1つでも使った場合オーバーヒートして、半日間ただの義手になってしまう。
使用者の熟練度により隠し機能が解放される。
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元々、この大鎌の10歩手前くらいの性能になる予定だったのに、張り切っちゃったせいで凄い性能になっちゃったんだよね。何気にユニーク装備になってるし。
「はい右腕だして」
「あ、あぁ」
よし、とりあえず変に膿んだりもしてないし綺麗に治ってると。これなら特に問題なく付けられるね。
「あっ、若干初めは痛いから」
「へ?」
「えいっ」
出されたままの腕にグイッと義手を押し付ける。凄い痛そうだけど仕方ないじゃん、変に魔法で固定したり私なんかが手術じみた事をするより、ネフシュタンの鎧的な感じで固定した方が安全なんだもん。本当に色々な意味で。
なんて事を思ってる間にどうにかなったようだ。
「OK?」
「おーけー?」
「大丈夫? って事。それで?」
「お、おーけー」
ゼロじゃなくて結構プラスで始まってたよな私の異世界生活。いや、TS転生(ロリ)だからプラマイゼロかな? ってまた話が逸れたや、とりあえずOKらしいから次に進める事にする。
「じゃあ好きに動かして動作確認してみて。多分取れたりしないから」
「分かった」
そうロイドは短く返事をして、手をグーパーグーパーしたり手首を回したり、手を振り回したりしてみている。よしっ! 取れてない取れてない、ちょっと割って組み込んだダンジョンコアナイス!
「何かおかしなところ……ある?」
「いや、特に無いな。けど強いて言うなら一つだけ……」
「えっ、嘘? 何かダメなところあった!?」
それならマズイぞ。浪漫を詰め込むあまり安全性とか安定性が下がるなんて本末転倒って奴だ。とりあえず錬金を準備して魔眼もちゃんとして……
「俺の知ってる義手は確か最高級品だった筈だけど、それと比べてもコレは性能が高すぎる事かな。触ってる感覚とか温かさが感じられるなんて聞いた事も無いぞ?」
そう慌てている私に向かって真顔でそんな事を言ってきたせいで、ズコーッと滑ってしまう。全くもう、焦ったじゃん。
でも改めて考えると褒められたって事なので、えっへんと(無い)胸を張って笑顔で私は言う。
「これでも私、鍛冶師でSランクの冒険者だもん!」
「昨日ギルドの人に聞いて確認したんだけど、それって本当だったんだな」
「信じてくれてなかったんだ……」
ぶーとほっぺを膨らまして抗議する。ロイドの顔が更に赤くなってるけど、風邪でもひいたのかな? それならそれで風邪薬があるけど……
「まあいいや。それじゃあ機能の説明に移りたいと思うんだけど……その前に」
「その前に?」
「ロイドってパーティー組んでる人達とか居たりする?」
「いや、居ないけど……なんでそんな事を?」
「ちょっとね」
ロイド自身はしないとしても、必殺技(擬似マッキーパンチとか擬似理想送り)を悪用されたりとかしたらたまったもんじゃ無いし。千切られたりしたら私はキレる自信がある。
「それじゃあさ、ロイドが良ければ私達のパーティーと一緒に来ない?」
「え?」
「いや、あふたーけあみたいな意味も含めて一緒に来ない? っていう事」
鍛冶とか料理とかは楽しいけど、レーナさんとは模擬戦はしたくないしリュートさんはしてくれないし、その義手があるなら結構いい勝負が出来ると思うんだよね!
「あふたーけあ?」
「うん。今回の場合だと私がその義手を付けたから、その後暫く面倒をみるみたいな事…………ダメ?」
上目遣いで首を傾げてみる。因みにちゃっかり義手を両手でギュッと握ってみたりしてる。リュートさんならこれで1発なんだけど……
「こ、こっちこそよろしくな!」
「うん! ありがとう。それじゃあこの義手の機能だけど、手のひらをこうやって押し付けて使うのがパイルバンカーっていうやつで……」
と、こんな感じで説明出来るやつは説明して、ロイドが私達のパーティーに加入するのが確定した。
計画通り(ニヤリ
ロマンっていいものですよね(木原感)