異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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あぁ…気楽に書けるイオリちゃんサイドに戻りたい…
いや、次回には戻るんだけども


閑話-15 人間界の今②

 俺たちが【リフン】の街に避難してから数ヶ月が経った。

 避難してきた当初は、街に活気のかの字も見られない程暗い雰囲気が漂っておりどうにも過ごし辛い状態だった。けれどそれもダンジョンとしての能力で5つの街が行き来できるようになった事や、あの状態異常も悪化する前ならば解けるという事が分かったことによって段々と持ち直していき、今となっては小さな子供が外を走り回るくらいには明るくなってきている。

 

 俺たちとしては、元凶である海堂を倒す事以外の解除方法は分からず、その海堂を倒しに行く事も容易じゃない上に、街のキャパシティに余裕が無くなってきた事もあって胃が痛い毎日だったのだがそれが癒しにもなっていた。

  が、やはり平和な日々が長く続く事はなく、大きな亀裂が入る事になる。

 

 ◇

 

「以上が今回皆さんに集まってもらった理由と、これから起こるであろう事だ」

 

 アルディートさんが言い終わると、かつても来た記憶のある会議室はしんと静まり返った。

 無理も無いと思う。他の街から来た3人(・・)の代表者とその護衛の人、ダンジョン関係の事なので先生と、洗脳される危険が限りなく低い勇者の代表として俺と鈴華さん、纏め役としてアルディートさんが出席していたこの会議で発表されたのは、街が1つ陥落した(・・・・・・・・)という事と当然の如くそこから人が流れてくるという情報だったのだから。

 

「何か質問のあるやつはいるか?」

「何が原因で突破されたんだ?そこの小さい先生のスキルとここにいる奴等の協力で、防衛能力に関しては申し分なかったはずだ。ほぼ同じ防衛能力の街が落とされた以上、何か対策をしない限り他の街も同じように落とされるだろう」

 

 そう質問をしたのはシュワちゃん似の…たしかメイさんという人だった。Sランクの冒険者で、今回は確か3つ目に拠点に出来た街の代表者の護衛として来ていたはずだ。20mおきに地雷を……いや、なんでもない。

 確か元々拠点にしていたらしいリフンの隣町はもう……なんて事を思い出しているうちに、先生と話を聞いてきていた鈴華さんが話し始めた。

 

「無事だった人に聞いたところ、酷い物量押しだったそうです」

「私の設置していた罠に多数の一般の人達を突撃させて罠を無効化し、その後魔物や騎士の人達が攻め込んできたとの話でした」

 

 そう苦虫を噛み潰したような顔でいう先生を見て、今聞いた事に対する驚愕よりも先に海堂に対する怒りが湧いてきた。前々から頭がおかしくなってるとは思っていたけど、今聞いたような事を本当に実行できるレベルなの?

 

「ふむ、そうかそれでは…「こんな事態になった原因は、あなたが設置した罠が不充分だったせいではないですかねぇ?」

 

 メイさんが質問を締めようとした時、今まで黙っていた2つ目の街の代表者の人がそう嫌味ったらしく言ってきた。因みに男だ。

 正直俺はこの人が苦手だ。協力を頼んだ時にも真っ先にお金を要求してきたし、 自分では何もしないくせに意見だけはしてくる。今回護衛として連れてきている人も確かモーブとかいう人で、一部では変態って言われている人だった筈だ。因みにアルディートさんからも、金さえ渡しておけば信用できるが信頼はできないって言われていた。

 

「これでももう、かなり限界に近いんです。あなたはいつも口で言うばかりで…この状態を維持するのに、私達がどれだけ苦労しているか分かってるんですか!?」

「分かりたくもないですね、そんな明らかに人の使える範疇を超えた…むしろ魔物の親玉のようなスキルの使い心地なんてものは。私のような凡人には想像すら出来ませんよ」

 

 手を横に広げてそういうあいつに対して、隣に座っている鈴華さんがボソッとネギトロにしてやろうかしら?って言っていたけど今回ばかりは俺も同意見だ。今のにはカチンときた。

 

「アンタが貶した先生のスキルのお陰で今、この場所もあんたの街も無事でいられてるって事を分かった上でそれは言ってるんですか?」

「怖いですねぇ勇者様? あなたのような強い力を持っている人に睨まれたりしたら、それだけで私の様な人は震え上がってしまいますよ。それとも、そのような人物はその剣で黙らせるのですかぁ?」

「っっ!!」

 

 そんなこちらを煽ってくる言葉に、つい剣を抜きかけるが相手の思う壺だと思ってどうにか押しとどめる。戦闘や道具の生産などに尽力している事で印象は良くなってきているが、海堂も元は勇者だったせいか一部は俺たち全体を敵視していたりする。こいつはその中でも特にそういう傾向が強かったりする。

 

「別にそんな事はしませんよ。よっぽどの事をしでかさない限りですけどね」

「へぇ、それなら私が何を言おうと問題はないという事ですね。何せ話しているだけなのですから」

「っ、あんたは!」

「あーもう、そこまでだお前ら」

 

 一触即発な雰囲気は、そんなアルディートさんの声で一気に霧散した。

 

「お互い、そんなに相手を挑発すんなよめんどくさい。そんなにやり合いたいなら他の場所でやってろ」

「…すみません、少し熱くなりすぎました」

「手を出そうとしてきたのは、向こうの筈なのですがねぇ?」

 

 ほんと、真っ二つにして……いや、これじゃ海堂とあんまり変わらない考えだ。落ち着かないと…

 

「大丈夫?委員長」

「うん、もう落ち着いた。あいつは毎回毎回…」

「落ち着けてないじゃん、ステイクールステイクール」

「2人共、そう言うのも後回しにしてくれ」

 

 ……

 




完結までエターはしない……予定です。

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