異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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ちょいと前のポケモンにて

フレA「すきなおとこキャラは?」
フレA「ちなみにおれはかみやん」
フレB「アーカードのだんな」
フレC「おなじくかみじょうさん」
銀鈴「けものどの」
フレABC「「だれそれ?」」
銀鈴「なきたい」

…泣きたい。なおリアルでも大体同じ事が起こった模様。泣きたい…



第26話 TRPGじゃ無くても詰んでる件

「わたしは しょうきに もどった!けど、なにこれ?」

 

 扉を開け放った瞬間、糸が切られたかのように私の身体のこんとろーるが戻ってきた。この絡みついたままの天の鎖を解いて欲しかったりするんだけど、それよりも大変な光景が目の前に広がっていた。

 

「真っ白……」

「これは、霧か?」

「霧……クトゥルフ……紋章……あは、あはは、終わったかも」

 

 リュートさんのSAN値が若干削れ過ぎてる感じがしないでもないけど、私としてはそれよりも目の前に広がる真っ白な霧がもうもうと立ち込める空間の方が気になる。ただの濃霧にしか見えないのに、どこからか花の香りが漂ってくる。

 そしてその霧は、開いた扉から段々こちらにも流れ込んできている。

 

「イオリさん、全体的にバフを掛ける感じの魔法って使えたりする?」

「え? あ、うん一応少しは。とりあえず天の鎖解いて欲しいんだけど?」

 

 ギシッと鎖を軋ませて振り返ると、みんな水から上がっていた。というか、私の開けた大穴が無くなっているからそうするしか無かったんだろう。

 

「了解。強化は防御面重視でお願い。多分気休め程度にしかならないけど」

「《エナジーシールド》《ライフフォース》《ビーストスピリッツ》、オリジナルで《プロテクトマインド》《マジックバリア》《ピオリム》《スクルト》、そして〆に《ゴッドブレス》!」

「こんな時にふざけないでって言いたいけどちゃんと効果はあるみたいだし……はぁ」

「俺の知ってる本職のエンチャンターよりも補助魔法が多いんだが……」

 

 とりあえず鍵の杖を引っ張り出して私の覚えている限りの補助系の魔法を使ってみる。全ステータスが大体1.5倍くらいにはなってる筈だし、言われた通りメンタル面……この場合はMINDは2倍位にはなってる筈。でもリュートさんの言う通り気休め程度の効果しか無さそうなんだよなぁ。

 ロイドがそう言った時、いきなり視界を埋め尽くしていた霧が晴れて全員が足を踏み入れている部屋の全貌が明らかになった。多分1km2kmじゃきかない程、縦にも横にも奥にも空間が広がっている。

 

「レーナさん!」

「うん、見ちゃ駄目だよ? リュートくん」

 

 そしてその空間の中央付近には、神話生物じゃないけどこの場にいる男2人は見ちゃ駄目な光景が広がっていた。それに気づいた私はレーナさんに目配せをし、お互いにロイドとリュートさんの前に立って2人の視界を塞ぐ。

 

 暗い緑色の壁から透明な水が流れ落ちていき、床には私の足首位まで水が溜まっているそんな空間。そんな中に不自然に突きたっている真っ黒な十字架、そしてよく見るとそこには同じ色の鎖で小さな人が磔にされていた。

 女の子で歳の頃は分からないけど、身長は大体私と同じくらい。目立つのは虹色に見える髪の毛と、元々は服だったんだろうけどもはや大事な場所すら隠せてないボロ切れを纏ってる事かな?眼は閉じられてるからよく分からないけど、何故か物凄く親しみっていうかなんというか…そういう感覚を覚える。

 

「とりあえずロイドもリュートさんも見ちゃ駄目!」

「えっと、いきなりどうしたんだ?」

 

 ロイドがそう不思議そうに聞いてくる、そういえばロイドって獣人って訳でもないしまだ普通だからこの距離じゃ見えないのかな? いや、そんな事言ったら私が頭おかしいみたいになっちゃうから、ロイドの目がそんな良くないって事にしておこうそうしよう。

 

「えっとね、殆ど何も着てない私くらいの女の子が、部屋の真ん中で十字架に磔にされてる」

「え、それって大変な事なんじゃ」

「うん、そうなんだけど……リュートさんは緊急時以外動かないでね?」

「じゃないと食べちゃいますよ?」

 

 レーナさんは奥を覗こうとしていたリュートさんに、ぞっとするような笑みを浮かべてそんな事を言う。リュートさんの顔が、狂気とは無関係に青くなっている。…ドンマイ。

 

「で、でもこういうのって罠の可能性が高いと思うんだけど」

「ヨウジョミステマスカ?」

「Noに決まってるでしょ?」

 

 リュートさんが普通にそう言ってくる、流石ロリコン歪みねぇな。お礼に今度部屋に忍び込んで、添い寝してるのをどっかのAIみたいにコレハセツクツ? とでも言ってあげよう。私にシスコンの兄はいな……姉ちゃんは居たや、うん止めておこう。

 

「えと、とりあえずロイドは周りを警戒してて! ちょっと行ってくる」

「あぁ! とりあえずリュートさんを行かせなければいいんだな?」

「うん! よろしくね」

 

 一応レーナさんがいるから大丈夫だとは思うんだけど、一応ロイドにも頼んでおく。万が一があったら(リュートさんが)大変な事になるからね。

 

「いや、ハイライトが消えたロリっ娘も……」

「リュートくん?」

「か、刀を抜くのは止めてねレーナ」

 

 後ろで何かが聞こえた気がするけど知らない知らない。今はそれよりあの女の子を助ける方が優先だ。わざわざ走って時間を使うのも馬鹿らしいから一気に転移で十字架の近くに跳ぶ。

 

「むむむ……どうしようこの鎖」

 

 怪我させちゃうかもしれないから下手に引っ張る訳にもいかないし、武器とか工具も使えない。う〜ん、とりあえず試してみるか。

 

「《錬金》!」

 

 いっつもは合成させたりする事にしか使ってない錬金だけど、多分どっかの兄さんみたいな使い方もできるでしょっていう予想で使ってみると、凄く抵抗を感じるけれど黒い鎖の輪っかになっている部分が段々と広がっていく。

 

「やった、ってうわぁ!」

 

 鎖を全部外し終わり、磔にされてた幼女を助けるのには成功したけど、キャッチに失敗して私は浅い水の中に倒れこんでしまう。そして冷たい水にまた浸かった事で私は、ロイドと初めてこのダンジョンに来た時の頭痛の内容を思い出す。

 

「これ、まさか何かのとりがー?」

 

 何か凄く嫌な予感がするから、適当なコートを無限収納から引っ張り出して幼女に掛け、リュートさん達に意見を聞くために転移で元いた場所に戻る。

 そして転移が終わり、私+1人がみんなの前に戻ってきた瞬間どこからか無機質な声が響く。

 

 ――■■▪︎■■■■ の封印が解除されました――

 ――プログラム機動 これより封印を解除した者達を探索者ABCDと呼称します――

 

「リュートさん『私は悪くない』よね? だ、『だってリュートさんの意見も聞いたし』……ね?」

「とりあえず、腹くくって対処するしか無いみたいだね」

「とりあえずレーナさん、この子お願い」

「うん」

 

 まだ背負っていた幼女を、レーナさんに預ける。それと同時に絶唱の歌詞を口ずさみ大鎌にかけてあるリミッターを外す。そしてそんな事をしている間にもアナウンスは流れ続ける。

 

 ――解放の試練を開始――

 ――召喚準備中です――

 

「な、何が起きるの?」

「とりあえず大変な事、ロイドも多分必殺技使うから準備してて!」

「どっちのだ?」

「二個目」

「分かった」

 

 いつもなら『第三次大戦だ』って感じでふざけてたけど今はそんな訳には行かない。明らかにヤバイっていうかクトゥルフな神格が出てくる予感しかしない。そして出てくるのはこの場所の雰囲気からして。

 

 ――いあ いあ くとぅるふ ふたぐん――

 ――ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん――

 

 あぁ、やっぱりそうか。そんな実感と共に膨大な魔力が上の空間に集まっていくのを感じる。

 

「とりあえずレーナさんは絶対に上は見ないで!! 出来ればロイドも!」

「発狂した僕とイオリさんを止められそうなのは、正直レーナには荷が重いからロイド君にしか頼めないしね」

 

 私はあんまり運が良くない、だから多分1D10/1D100で100の方を引いちゃう可能性が高い。そうなったら…うん、詰みだね。見なきゃいいって話だけどそれは、リュートさんは時間稼ぎで見なきゃいけないし私も多分何かの拍子に見ちゃうだろうから早いか遅いかの違いだね。

 

 ――ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん――

 ――模造生物(レプリカ)・■■◾︎■■ 完全召喚まで35秒――

 

 そしてその宣言と共に、まだ実像は薄いが、私達の頭上にそれは顕現した。そして私の中で何かがドクンと脈打った。




バイシオン「解せぬ」


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