異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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きーまーつーのーテースートーがー迫ってくるー
夏休みに入ったら毎日投稿していきたいなぁ…


第32話 何故どうして広い世界の中で

「まあ、何をするにしてもここから出ないとだねー」

「確かに」

 

 勿論、目の前の大穴から出たりする気はない。どこまで続いてるのか分からないし、もう疲れちゃった。だから転移だ転移。

 

「って、ここはどれくらいの深さの場所なんだろう? 少なくとも1階層じゃないんだろうけど…」

 

 ある程度自分の場所が分かってないと、長距離の転移は出来ない。正確には出来ないこともないけど、じっちゅーはっく失敗する。

 

「ここは殆ど最深部。転移は私がやる」

「え、うん、分かった」

 

 私は握ったままのティアの手を、更にギュッと握りしめる。大丈夫、別に16分割には見えてないし紫色のオーラも出てない。そう、私にしてきたちゅーはカンピオーネのと同じ原理、断じてレズゥじゃない。

 

「《銀の門》」

 

 ティアがそう魔法を唱えると共に魔法陣が広がり、ふわっという感覚がして目の前は違う光景になっていた。というか、あの凍りついた部屋の真ん中に転移してきていた。

 

「なんか、私の転移が雑に思える感じの転移だなぁ…」

「当然。年季の差」

「年……季?」

 

 いや、確かにステータスには? が4桁付いてたけど…背筋がゾワッてしたから、これ以上の詮索はしないでおく。なんだろう今の寒気、ティアじゃなくて上の方から来たけど……

 

「まあいっか。とりあえず外に出るとして、ギルドに行ってリュートさん達と合流して……」

「ちょっとまってマスター。その前に私もマスターも着替えないとダメ」

「え?」

 

 そんな事を言われたので、改めて私達の格好を確認する。ティアは私があげたコートだけしか着てなくて、私は艦これなら大破って感じの服(ボロ切れ)が引っ付いてるくらい……犯罪臭がプンプンする。

 

「これは…捕まるね」

「あたりまえ」

 

 そんな事を言いながら、何時ものように収納の中に手を入れようとするが……そもそも収納の扉自体が開かない。

 

「あれ?」

 

 何かの間違いかと思って何度も手を動かしてみるけど、手は何もない空をかくだけで開かない。え、嘘?

 

「私が元々持ってて、マスターにも共有されたもう一つの世界(アナザーワールド)は、自分だけの異空間を作るスキル。慣れてないとちゃんと考えないと開かない。私のには何も入ってないけど、マスターのは引き継がれてるはず。人も入れる」

「まじで?」

「まじ」

 

 ティアがこくんと頷く。何その便利そうで若干不便になったけど、実はかなりメリットが上回ってるスキル。

 って、とりあえず着替えないといけないし使ってみるか。

 

「えっと、じゃあ《もう一つの世界(アナザーワールド)》!」

 

 私がそう言うと、目の前に私より少し大きな半透明の門の様な物が現れ、1人でに開いていく。

 凝ってるなぁ…と思いながら、その門を潜るとそこには驚きの光景が広がっていた。

 

「ふぇぇ……」

「やっぱり、マスターはおかしかった」

 

 門を潜った先には、真っ白な精神と時の部屋みたいな空間が広がっていた。入ってすぐの所には、結構前に作ったオフトゥンとかキッチンとか、魔法書を仕舞っておくための本棚とかが並んでいた。作った記憶のないクローゼットやらタンスやら食器棚……果てには冷蔵庫モドキまであって、普通に部屋だった。床は真っ白だけど。

 

「うん、後でここには畳か木の板でも敷いておこう」

「いやマスター、気にするのはそこじゃない。あっち」

 

 ティアがそう言って、遠くを指差している。この床だけが微妙にマッチしてない空間より変な事って何かあるかな?

 

「特に何も無いと思うんだけど」

「ちょっとした山くらい積んである魔物を、普通って言い切るマスターの頭、大丈夫?」

「大丈夫だよ! それに、鍛冶だったり調薬だったり料理だったりに使うから、そんなにおかしくは……」

「それでもおかしい」

 

 うぅ……バッサリと切り捨てられてしまった。これでダメなら、これ以外にも大鎌に結構食べさせてた分は言えないし……

 

「それに、武器防具の量もおかしい」

「そうなの?」

「マスターの記憶にある、自転車の立体駐車場みたいになってるのは絶対に作りすぎ」

「これでも結構リュートさんに渡してるのに…」

 

 お店でよくある名品なんて量産出来るんだし、武器を色々合わせて1000個くらいあってもおかしな事じゃないと思うんだけど。最低でも1日10振りは増やしてるし、防具はそれより少ない上に、未だに槌は音速を超えてないし……

 

「もういいや、マスター。とりあえず着替えよう?」

「えぇ〜色々言いたいこと有るのに。まあ着替えるけどさぁ」

 

 そう言って私は、着ていたボロ切れをポイっと投げすてる。それによって、私の若干白めの肌が露わになる。私もティアも、結局は【謎の白い光】も【謎の白い光】もツルーンペターンで、【謎の白い光】に【謎の白い光】が【謎の白い光】したりしてない。

 

「いやマスター、もうちょっと恥じらいって言うのを……」

「ティアしかいないからいいじゃん」

「はぁ……」

 

 ティアがそんなため息を吐いている中、タンスの引き出しをグイッと引っ張る。するとそこにはタイムマシンが……なんて事はなく、いつも私が手を突っ込んでいた黒い空間が広がっていた。

 

「あ、ここはいつもと同じなのね」

 

 別にオシャレとかする必要はあんまり無いし、適当に長袖を……ぶかぶかだけどいいや。たーとるねっくとか言うんだったかな? コレ。後は長ズボンでも穿いておけばいいか。

 う〜ん、今度ちゃんと丈夫でキレイな服でも作ってみようかなぁ…同じ名前の読み方繋がりで、かなり前に生命戦維モドキを混ぜた布作ってた筈だし。まあ、今となっちゃ何処にあるか分からないけど。

 

「わぷっ」

 

  そんな事を思い出しながら服を引っ張り出していると、私の顔に白い布が直撃する。ってこれ、今思い出してたハイパーな布じゃん。

 

「因みにここだと、考えれば物は取れる」

「何それ便利」

 

 そう言って振り向くと、学生服のような格好に白いコート、頭には黒いリボンを付けたティアが立っていた。ちょっと待とうか、物凄く見覚えのあるキャラと被ってるんだけど。布はタンスの引き出しの中に押し込んでおく。

 

「マスターの記憶にあった、ユ○とアヴロ○ラを足して2で割ってみた。どう?」

「わ、私のこと食べたりしないよね?」

「…………しない」

「何その怪しい間はぁっ!?」

 

 ちょっと私の貞操がヤバいかもしれない。リュートさんとか思春期のロイドなんかより、よっぽどティアの方が危険じゃないこれ?

 因みにロイドが夜、偶にガサゴソしてるけど見て見なかったことにしてるよ。まあ、直接私に手を出してきた場合はロイドが氷像になるだけだから問題無いね。

 

「冗談」

「ほ、本当に冗談だよね?」

「うん」

 

 そ、そうだよね。私は何処ぞの歌いながら戦うオッパイの付いたイケメンとは全然違うもんね。うん、あの中じゃ私は多分キャロルかエルフナイン。

 でもティアの私とは逆のオッドアイを見てると、足して2で割ったって言うのも納得できる気がする。

 

「そういえばティアの眼って、図ったみたいに私と正反対だけど…元から?」

「違う。だってマスターの左眼、元は私の」

「へ?」

「リィンネートが、面白半分に急にチェンジした」

「へぇ……」

 

 あの女神様、そんな事してたんだ。本人に一切了承なく急に眼をチェンジしてたと。

 

「ねえティア、壊毒撒き散らせば神様も大ダメージにはなるよね?」

「なる、むしろ死ねる。けど、私は別に怒ってない」

「そうなの?」

 

 あれ? 確か外を覗いてたってさっき言ってたけど…そのための眼を取られたら、普通怒るんじゃないの?

 

「だって、その眼が無かったら呼べなかった。その点は感謝」

「それ以外は?」

「むかつく」

 

 多少ムッとしたティアがそう言う。それならもう、やる事は決まったね。とりあえずティアに対して謝ってもらわないと。

 

「確か聖剣(カリヨン)って、神様でも余裕で斬れた気がするなぁーそれに壊毒は神様にも効くみたいだしねー」

「私がいるから、場所はすぐに特定できる」

「どうしよっかなー」

 

 ティアとふざけ半分でそんな事を言ってると、懐かしいポンという破裂音がして、1枚の紙切れが落ちてきた。あ、場所とか関係無いのね。

 

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 ごめんなさい出来心だったんです。あの毒は私程度じゃ本当にシャレにならないのでやめて下さい謝りますから。ティアさん本当にすみませんでした。

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「「イェーイ」」

 

 とりあえずティアとハイタッチする。いつものふざけた調子じゃなくって、こんなに真面目な感じの手紙が降ってくるとは思わなかった。

 

「ねえティア、あの壊毒ってそんなに危険物?」

「リィンネートが可哀想に思える」

 

 とりあえず神様すみませんでした。本当に大変な物を送り込もうとしてたみたいです。…神様なんだから、心くらい読めるよね?

 

「色々あったけど、とーしょの目的だった着替えも終わったしダンジョン出よっか」

「異論はない」

 

 そう言って私は《もう1つの世界(アナザーワールド)》から出て、ダンジョンの出口に向かって歩いていった。


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