異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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章題は午後帰宅したら追加予定


第5章 平和溢れる地球
第1話 ぷろろーぐ


  微睡みの中、コン、コン、コンと私が鍛冶をする時とは違った、ハンマーで何かを叩く音が外から聞こえてくる。

  春先の陽気とはまた違った、けれど丁度良く私を眠りに誘っていくその音が私を再び眠りの世界へ誘っていく。

 

「んみゅぅ…」

 

  冬の寒さも相まって、起きようなんて気はどこかに吹き飛んでしまい同じ布団の中に居るティアにギュッと抱きつく。やっぱり冬場は湯たんぽとか、人肌の温もりがあると気持ちいいよね……

 

「…まふ…はー?」

 

  それでティアが起きかけてしまったが、結局私が抱きついてしまっている所為で諦めたらしく、そのまま私と一緒に寝息を立て始めた。

  束の間、すぅ…すぅ…という寝息と外から聞こえてくるハンマーの音が響くだけの静かな空間が形成される。

 完全に眠りに落ちるまでの数瞬の間に、こんな幸せな瞬間が続けばいいなぁなんて思ったけれど、私は一つ失念していたことがあった。そう、ここは今までの部屋と違ってみんなと一緒に泊まっている大部屋なのだという事を。

 

「イオリさん、それにティアさんも起きないの?うわ、冷た」

 

  リュートさんが私たちをおこそーと近よってきたけど、寝る前に張った私の結界に触ったみたいで、多分触った場所に霜が降りるくらいの寒さが一瞬で襲ったと思う。 効果のたいしょーは異性だから、レーナさんがきたらおしまいだけど。

 

「もうたべられにゃい……」

「……たこやき」

「ダメみたいですね。レーナー」

「……いんむー」

「やじゅぅ…」

「本当に起きてないんだよね?」

 

  なんかりゅーとさんのこえがきこえたようなきがするけどそんなことはしらない。まどがあいててもこのあったかいばしょでねてたいんだー。

 

「イオリちゃん、ティアちゃんも起きてー?」

 

  レーナさんにゆっさゆっさとゆさぶられる。けどそんなんじやたりない、わたしはまだまだねむぃ…どうせこんなあさはやくにおきてるのなんて、おしごとがある人かひまじんだけだよぉ…

 

「これでも起きないんだ…」

 

  そう、だから毛布をはぎ取られても起きるわけにはいかなぃんだぁー。

 

「うーん、これで起きないんだったら…えい!」

「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

  ほんの数瞬前にそう決めたはずの覚悟は、突如として首元に発生した氷によって、私の眠気もろとも一瞬で吹き飛ばされたのであった。

 

 

「それにしても、あれから1週間でここまで直っちゃうなんてね」

「驚き」

 

 パジャマから着替え終わった後、日光を浴びつつ窓から外をみると8割方元に戻った街が視界に広がる。石畳とかは私も手伝ったりしたけど、それにしても復興が地球基準で考えるとあり得ない程早いと思う。全壊してた建物以外ほぼ完璧に直ってるってどうなのよさ? 

 

「ねえ、僕には何も無しなの?イオリさん達を起こそうとして音響兵器をくらったんだけど」

「私とティアの無防備な寝顔が料金って事で」

「正当な料金」

 

  私とティアとでリュートさんにごり押しする。いや、でも、うん?って言ってるから、あながち考え自体は間違ってないと思う。 レーナさんが後ろでニコニコしてるけど…なんだろう、怖い。

 

「それでリュートさん、今日って何かする予定ってあった?」

「明日地球行くって自分で言ってたくせに……準備するんじゃないの?」

 

  はぁ…とリュートさんがため息を吐く。けど仕方ないじゃん、まだまだ私もティアも寝起きなんだし。それにここ数日、Sランク冒険者って理由で色々な場所の手伝いに行かされてたんだから、若干日付がくるっても仕方ないと思うんだ。

 

「今日は、私とリュートくんがデー…街にちきゅうで着ててもおかしくないような服を買いに行って、イオリちゃん達はこすぷれがなんとかって言ってたよ?」

「んー…なんだろう?」

「分からない」

 

  ティアと顔を見合わせて考えてみるけど、ついさっきの事もあってか全然思い出せない。あんな寝起きドッキリみたいな事をされたら仕方ない、仕方ないったら仕方ないんだもん!

 

「イオリちゃん、この前貯めるって言ってたMPは?」

「うん、往復2回分くらいは貯めてあるよ」

 

  レーナさんが不意にそんな事を聞いてくる。多分、ちょくちょく対策してた事を総当たりで確認していくんだろうけど、長くなりそうだなぁ…。

 因みにこれはよくある地球じゃ魔力が無いから魔法が使えないとか、MP消費が多いとかの対策ね。最大限に補正して4人でMP消費が10万とかいうキチガイみたいな数値なんだから、対策は必須だよね。

 

「髪の色は?僕とレーナ以外、レイヤーさんくらいしかしない髪色だけど」

「幻術で対策可能。ロイドは腕輪を、マスターが弄ってた」

「えへん」

 

  もし目立って職質なんてされた日には、住所不定無職の容疑者としてリュートさんがタイーホされてしまう。だから一応、そこら辺の対策はちゃんとしてるのだ。レイヤーさんと言えば、天上院と行ったコミケは楽しかったなぁ。今の私がコスプレするとしたら…艦これの響とかかな?艤装作らなきゃ。ん、艤装?なんだろう、何か忘れてる事があるような…

 

「リュートさんを殴らないと…」

「なんで!?」

「いや、なんとなく」

 

  爆弾、ロリっ娘、虚ヌー…なんだろう、この喉まで出かかってる関係のなさそうな事。でも何か思い出さないといけない気が…

 

「ただいま帰りましたー」

 

  そんな事を考えていると、いないなぁと思っていたロイドが帰ってきた。そこそこ汗をかいてて双剣を持ってるから、多分素振りとかでもやってたんだと思う。演舞は基本だからいいんだけど、私を誘ってくれたって…寝てたんだった。

 

「はい、タオルー」

「あ、ありがとう」

 

  とりあえず汗臭くなるのは嫌なので、ロイドに適当に取り出したタオルを投げる。そしてそれをロイドは右手で受け取って…

 

「思い……だした!」

「作者のしらないドラゴン?」

「いやそうじゃない。さっきまで話があってた事!」

 

  別に私は覚醒してもギザギザしたりはしないし、あんな笑いを誘う走り方は出来ない。というか、このくらいのネタに乗ってくるティアって本当なんというか凄い。

 

「違和感無くなってたけど、ロイドの義手の見た目をどうにかしないと駄目じゃん!」

「おー」

 

  ロイドだけ?が浮かびそうな顔だけど、他の3人はポンと手を叩き納得してる。ティアだけは気の抜けたおーって声を出してたけど。

 

「えっと、ありがとう!リュートさんにレーナさん。引き止めちゃってゴメンね、 ゆっくりデート行ってきていいよ!」

「うん、行ってくるねイオリちゃん!

「デートかぁ…デートだなぁ…。行ってきます」

「「行ってらっしゃい」」

 

  そんなこんなで、私達は明日の準備を始めた。ロイドの義手、手首から先は魔法受け付けないから、ギリギリ触れないレベルで覆うように幻術掛けないと…あくまで普段は手袋と長袖て隠すとしてね?

 




少しは悩みを話さないと身体を壊すと言われたので愚痴ってみた場所。

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