異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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蒼の彼方のフォーリズム、デモンベイン、fate、誠死ね、神座シリーズ(+戦神館)にkey作品。
全部元はR18ゲー…つまりイオリちゃんって結構エr(殴≡


第2話 地球に転移だー

「ねえねえリュートさん、そういえばリュートさんってどの地方出身なの?」

「ん?」

 

  地球へ転移してみようとする日の朝、ふと気になった事があったからリュートさんに聞いてみる。ロイド?宿の外で、ティアと一緒に魔法の練習をしてた。

 

「えっとね、私は関東出身だし、転移するのも監視カメラとかを考えると学校の屋上辺りが丁度いいだろうし…近くだったら、リュートさんの出身地にも寄れるかなって」

「そういう事ね」

 

 リュートさんが納得したように頷く。多分、訛りが無いような感じがするから東北じゃないとは思うんだけど…

 

「うーん、僕はこっちの世界に来てから10年は過ぎてるし別に寄らないでいいかな。それよりもイオリさん、まずは自分自身の心配をした方がいいと僕は思うな」

「ほえ?」

 

  いや、こっちに来てから半年は経っちゃってるから心配ではあるし、一応元の僕とは似ても似つかない姿になっちゃってるのは心配だけど…

 

「だって、イオリさんがイオリさんって証明できるのは記憶だけでしょ?もしかしたら元の人格のコピーをくっ付けられただけかもしれないでしょ?」

「ん〜…例えばテイルズのルークとか、エスケヱプ・スピヰドの鴾子様とか…」

 

 後は自分自身を否定されたとかなら、神ないのアイも似たような事になってた気がする。あとはどこぞの蜘蛛子とか。

 

「また分かりづらいネタを…けど、自分自身に関してはそういう事だね。もしもの話だけど、覚悟はできてるの?」

 

 まあ要するに、自分が自分じゃないかもしれないって話でしょ? それって凄いヤな事だしすっごい怖い事だけど……そういう事があるかもしれないって事を知っているのと、知らないままその事実を突きつけられるのとじゃ、ショックに天と地ほど差がある。

 

「一応は…ね。もしそうなったら…うん、多分私を攻略するチャンスなんじゃない?ティアが許さないだろうけど、案外コロッと言っちゃうかもしれないよ?」

「いや、僕はそういうふざけた事を言ってるんじゃなくてね?」

 

  リュートさんが真剣な眼でそう言ってくる。まあ、自分が自分である事を否定された人って大体精神崩壊しそうになっちゃったり、ヤケになっちゃってたからね。

  かく言う私も、本当にそんな事になったら耐えられるとは思えないけど…

 

「まあ、もしそうなったら神様に八つ当たりした後、本当の自分を探してみるかな。女の子になった僕はこんなんなっちゃったよーって」

「いや、イオリさんがそれでいいならいいんだけど…」

「いいんだよそれで。暗い気持ちでやったら、成功する筈の魔法も成功しないだろうしね!」

「そうじゃなくて、向こうの気持ちを考えようよ…」

「あっ」

 

  口ではそう軽く言ってるものの、リュートさんとこんな話をした事で私の心には、ほんの少しだけ嫌な感情が巣食い始めていた。

 

 

  宿の大部屋からいきなり消えたら大騒ぎになる。そんな事は分かりきっているので、今はみんなでダンジョンのショゴスがいた部屋に来ている。

 

「そろそろ時間は大丈夫かな……準備はいい?」

 

  朝の通勤ラッシュも夕方〜夜の帰宅ラッシュからも大きくずれた、昼の11時頃。多分この時間ならいきなり屋上に現れても問題ない。校舎内からは屋上の真ん中辺りは見えないし、そんなに魔法のえふぇくとも派手じゃないし。

 

「おう!」

「大丈夫です」

「問題ないよ」

 

  そう口々に答えるみんなの服装は、それぞれコートとかダウンジャケット(私製)を羽織っていたりしててオシャレな感じけど、ロイドだけはそれっぽいズボンにパーカーと手袋という適当な感じだ。

  まあ、年齢的には男子中学生だし多少適当でも問題ないよね?だって私もそうだったんだもん。私とティアはって?いつも通りイリヤコスと足して二で割ったようなやつだよ。

 

「よし、それじゃあやるよティア!」

「ん」

 

  目配せして私は大鎌を、ティアは鍵の杖を構える。構えている手は、私は右手でティアは左手だ。

 

「コネクティブ・ティア!」

「アクセプション」

 

  部屋の中を魔力が嵐のように荒れ狂い、私とティアの思考がリンクする。鎌と杖からそれぞれ蒼とピンクの光が漏れ、実質MPも魔法の処理能力も2倍になった。あ、いや、カップリングシステムっていっても別にレズゥなわけじゃないし…うん!バディは大切って事で!

 

「「混沌を支配する赤き闇よ!時の流れを弄ぶ球体をいざ招かん!巡りに巡る終末の灯火をただ繰り返し、溢れ出す雷で空を満たせ!」」

「もし過去に跳んだりしたら、ミステイクイオリって呼ぶ事にするよ…」

 

  リュートさんのそんな言葉に、お好きにどうぞって思いながら詠唱を続ける。静かだなって思ったら、レーナさんとロイドはありえないレベルで渦巻く魔力に呆気に取られてるみたい。

 

「「黒を歩む者、塵を踏む者!罪深きその忌み名をもって自らを運び屋とせよ!」」

 

  あ、詠唱間違えた。

 

 そんな事を思っている間にも吹き荒れていた魔力が圧縮されて、私達の前に大人1人が通れるくらいのよく分からない長方形が作られていく。そしてそれは段々と繋がった世界の光景を映し出していき……重低音の響く重いBGMが流れ始める。

 

「輝きだけではないと、覚えてもらおうか!!」

 

  長方形の向こうで、なんか凄い格好のおば…オネーさんが目をくわっと見開く。

 

「嗚呼、終焉への追走曲(カノン)が薫る」

 

  そしてその空中に浮かんでいるオネーさんが、歌の歌詞を口ずさみながらクルリと回転し、合わせた両手から凄まじい光が迸る。

 

  ……うん。私達は歌が次のフレーズ?に入る前に魔法を中断する。もう聖遺物の欠片でも掘ってきたい、いや、大鎌が完全聖遺物扱いになる可能性が微レ存?(現実逃避)

 

「ミステイクイオリさん、今のは成功?失敗?」

「わかってるならきかないでよばかぁ…」

 

  リュートさんの容赦ない言葉で、若干目尻に涙が浮かぶ。うぅ…失敗だよ失敗!日本は日本でも、絶対平行世界とかだもん!いや、諏訪原とか冬木とか駒王とかに繋がらなかっただけマシだけどさぁ…

 

「大丈夫、誰にでも失敗はあるよイオリちゃん」

「うぅ…」

「まあ、そんなに気にする事はないと思うぞ?魔法が上手く発動しないなんてよくある事だ」

「…うん」

 

  2人が優しい口調で慰めてくれる。ま、まだ泣いてないし!泣きそうになってるだけだし!

  そんな風に頭の中で弁明していると、ティアが私の服の袖を引っ張りながら聞いてくる。

 

「そろそろ魔力、回収できなくなる」

「えっ、もう!?い、急がないと!」

 

  スターライトブレイカーの時みたくMPを回収するのは、実は地味に骨が折れるからやりたくない。急がないと10万分のMPが消し飛んじゃう!

  今度こそちゃんと成功するように祈って、空いてる手を伸ばしティアと手を繋ぐ。

 

「それじゃあ今度こそ行くよ!」

 

  私のその言葉に、それぞれが「おう」とか「うん!」という感じで返事をする。今度は趣向を変えて短い詠唱で!!

  私達の繋いだ手が光ったところで、詠唱を始める。

 

「モコナモドキも〜」

「どっきどき」

 

 私とティアの髪の毛がまるでツバサのように広がり、本当に小さな幼女2人分の大きさの魔法陣が広がる。かぁ〜ぷぅ〜! 

 

「ちょっ、それって僕たちがイオリさんに食べられるパターンじゃ!?」

「問題ない」

 

 淡々と言うティアの言葉に応じて全員を囲むように霧が立ち込める。そして段々と霧で囲まれた中に魔力が収束していき…

 

「「ディメンション・メタヴァシィ!!」」

 

  シュンッと言う呆気ない音と共に、私達はこの世界から消え去った。

 


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