異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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警視庁は19日、文書偽造の罪で都内在住・自称会社員のリィンネート・アラヤ容疑者(26)を逮捕しました。
調べに対し容疑者は、「私は女神だ」「逮捕される理由は無い」などと意味不明な供述をしており、警視庁は薬物の乱用等の可能性も考えられるとして引き続き取り調べをしています。

イ「女神様…」
ティ「やっちゃったね」



第4話 私はかぁぁえってきたぁぁ!

  すぅっと意識が遠のいていき、眩い光が広がる。そして次の瞬間視界に広がったのは、紛れもなく私が通っていた高校の屋上だ。

 

「やっと、帰って、これたんだぁ…」

 

  見渡せば懐かしい風景が広がっている。背の高いビル、屋根の低い工場、リン○ーハットやブッ○オフの看板に見慣れた駅、都合よく休日か祝日の様で吹奏楽部の奏でる音楽と、運動部の掛け声が響いている。

  そのどれもが物凄く懐かしい。気づかれる心配もほとんどなさそうだし、そしてその懐かしさを味わうように深呼吸した私は…

 

「けほっけほっ、はながぁ…」

 

  【アヴルム】の澄んだ空気とは違って、【地球】の空気は排気ガスやらなんやらで汚れているって事を私は忘れていた。

  その結果どうなるのかっていうと、獣人化は解除してるとは言え普段から《五感超化》を使っているので、鼻に大ダメージを食らうことになった。もう地球じゃ嗅覚の強化は絶対しない…

 

「知ってたし予想はついてたけど、これはキツイね…」

「けふっけふっ…」

「義手のスラスターを使った後の匂いを、何十倍にもしたような……」

 

  リュートさん達獣人と、純粋に異世界人のロイドにはキツイようだった。かくいう私も結構キツイ。昔の私、よくこんな中を平然と生活出来てたよなぁ…

 

「うぅ…ティアは大丈夫なの?」

「もちろん」

 

  そう胸を張るティアの周りには、魔眼で見ないと分からないレベルではあるけれど空気が何層にも重なってる。

 

「魔法を解いてもそれは言える?」

「無理」

 

 即答、いただきましたー! 自分でもテンションが上がっているのは分かる中、リュートさんを除いた全員が同じように風を纏う。

  魔法は…普通に使えるみたいだね。うん、これなら。

 

「みんなズルいよ…」

「はい、リュートさん。そう言うと思って、今空気清浄機みたいな魔導具作ったよ」

 

  適当な大きさのミスリル片を作って、そこに適当に魔法陣を刻んだ物をリュートさんに渡す。オンオフ出来なかったり、魔力の消費が若干重かったりするけど、即興だから許してほしいの

 

「流石イオ「しーっ、静かに!バレるでしょ」…うん」

 

 いくらバレそうにないとは言っても、大声なんて出したら即バレる。このままじゃ確実に不法侵入だから、バレたらもうアウトだ。

  急いで幻術で髪と眼の色を日本人っぽく変える。ティアは金髪碧眼で思いっきり外国の人風だ。

 

「ロイドも早く腕輪使って?」

「分かった!」

 

  ロイドも私の(魔)改造した腕輪を使って、日本人風の見た目になる。翻訳機能は抜かりなく付けてある。

 

「それで、これからどうするの?イオリちゃん」

「まずは校内から脱出!」

 

  そう言って私は、ティラノの時に使ったステルスフィールドを……あれ?これがあれば、変装の必要無かったんじゃ…

 

 

「うん、問題なく脱出できたね!」

「いや、一回バレかけたからね!?ね!?」

 

  高校から出て少しの所にある公園、そこで私達は話をしていた。

 一応そう強がってはみたものの、部活に顔を出す最中だったのか、知り合いの先生がこちらを見て怪しんできた時には本当に焦った。危うく記憶を飛ばす禁じ手を使うところだった…

 

「すごくヒヤヒヤしたよ〜」

「スリリングだったな」

 

  全くもってその通りだった。うん、やっぱり変装の魔法は必要だったね。さっきは浮かれすぎてた。

 

「それでイオリさん、何か計画とかはあったりするの? お金はないから特に何かが出来るわけでもないと思うけど……」

「それは問題ない」

 

  そう言ってティアが、両手に5枚ずつ諭吉さんを広げる。へ、ちょっ、私ちゃんと仕舞ってたのに!?

 

「まさか、この短時間に誰かから?」

「えっとねリュートさん!これはカクカクしかじかって事で」

「まるまるうまうま」

「いあいあくとぅるふ」

「それはダメ」

 

  最後のはティアに止められた。うん、当たり前当たり前、もう戦いたくない。リュートさんとはこれで通じたけど、他の2人には通じてなかったので改めて説明する。

 

「えっとね、転移の最中に女神様に拉致られて、そこで換金してきたんだ」

「イオリちゃんが盗んだとかじゃなくってよかったよ」

「女神……様?」

「ロイド、マスターはそういうもの。諦めて」

 

  とりあえずこれで誤解は解けたから、色々と行動の幅も広がった。だから、こっちに戻ってきてからずっと思ってた事を口にする。

 

「みんな、あの、私、やっぱり自分の家見てきたいんだけど……いい、かな?」

「資金はある、そちらも自由行動できるはず」

 

  鍵を開ける事は出来るけど、見てくるだけにするつもりだ。女神様曰く、私は本物の白沢 蒼矢らしいけど多分気付いてくれる人はいないだろう。

 

「僕は止めないよ?同じ転生者だから、なんとなく気持ちは分かるからね。レーナは?」

「自分の家なら、私も行ってきた方がいいと思うな?」

「お、俺も行ってきていいと思うぞ!」

「ほんとに?そっちで頼れるのリュートさんだけになっちゃうよ?」

 

  資金はあるとして、一番心配なのがそこなんだよね。地味に組み合わせが変だし、こっちの知識が一切ないロイドがいる分アレだし…

 

「ちょっとくらいは僕を頼ってよ…一応年上だし、ずっと一緒に行動してきたでしょ?」

「それに、そんな顔されたらね?リュートくん」

「まあね」

 

  え、嘘?そんなに私変な顔してるの?

 

「ロイド、言ってあげるといい」

「え?ああ。行きたくて行きたくて仕方ないって顔だな」

 

  ふぇ?

 

「大丈夫、マスターは私が抑える」

「それならこっちも安心して行けるよ。よろしくね、ティアさん」

「了解」

 

  そしてティアはそのまま、持っていたお金をリュートさんに渡してこっちに戻ってくる。

 

「え、あ、そうだ。合流とかってどうすれば…」

「私がいる」

  「えっと、それじゃあ、行ってきます!」

 

  そして私は、3人から行ってらっしゃいの言葉を貰って、毎日通っていた通学路を走り出した。

  もしかしたら、姉ちゃんくらいには会えるかな?

 




授業にイラつきすぎてシャーペン(本体)をへし折ってしまうとは…もうちょっと冷静にならねば。

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