異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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テスト期間中に体調を崩したゴミ作者。
初めて学校を早退したよ。


第5話 姉との遭遇

  このままずっと魔法で匂いを遮ってちゃ良くないので、段々と魔法の効果を薄くしながら通学路を歩いてく。

  周りの道路を走る車、視界を遮る電線や信号機、やっぱりそのどれもが懐かしく帰ってきたって感じがする。

 

「特に怪しまれてはないみたいだね」

「ラッキー」

 

  念のためティアと手を繋いで歩いているのが効いているのか、ステルスしてないのに声はかけられてない。髪の毛の量はちょっとおかしいから、そこら辺はあまり気に止められないよう工作してるけどね。

 

「半年もすれば結構変わっちゃってると思ったけど、そんなに変わってなくて安心したよ…」

 

  赤信号で止まりながらそんな事を呟く。ほんの少し並んでいるお店が変わっただけで、そんなに激しく変わった所はないように見える。

 

  ずっと歩いてるだけってのもなんだから、ここで私の家族について説明しようと思う。

  パパとママ、そして私と姉ちゃん。家族構成はまあこんな感じで、パパとママは結構帰ってはくるものの海外を飛び回ってるらしく、家にいるのは大体大学生の姉ちゃんと僕だけだった。

  そんなラノベの主人公みたいな環境だったから、私はアニメとかラノベとかにのめり込んでいったし、姉ちゃんはブラコ…いやシスコン?になってた。まあ、パパがアニメ好きだったのもあるんだけどね。

 

「なるほど、マスターの無駄な知識量はそこから…」

「そうだよ。そのままなら、私の部屋にはラノベとかゲームとか色々残ってるだろうね」

 

  ピヨピヨいい始めた信号を渡りながら、ティアとそんな話をする。うーん、この距離だと天上院との関係を話してたら家に着きそうだね。

 

  姉ちゃんは大学生って事もあって時々外泊する事があった。それで、一軒家に1人なんて寂しいって話をした時に相談に乗ってくれたのが天上院だった。それでまあ仲も良かったし、家が自転車で5分くらいな事と向こう方が快く受け入れてくれた事もあって、時折お泊まりさせてもらってたんだよね。初めて行った時、向こうのお母さんから『匠のお嫁さんになって欲しいわ』って言われたなぁ…

 

「やったねマスター、いまなら出来るよ」

「天上院とは、あくまで親友ポジがいいなぁ…」

 

 今はもう女の子になっちゃってるけど、流石に天上院をそういう目では見れない。それに天上院ってロリコンじゃないし、ベッドの下とかに置いてあった物が普通のやつだったからね。

  そんな事を考えながら、小さな踏み切りを渡って少し進み住宅地に入っていく。

 

「変わってなくてよかった…」

「ここが?」

「うん、私の家だよ」

 

  目の前の表札にはきちんと白沢の文字があり、私の記憶と寸分違わない一軒家が鎮座している。私の乗ってた自転車があるし、車はないけど多分姉ちゃんが乗ってどこかに行ってるんだろう。これで私の家じゃなかったら詐欺だろう。

 

「それで、どうするの?マスター。入る?」

「ううん、ただ家を見たかっただけ。欲を言えば入りたいけど、もう別人みたいなものだからね」

 

  そう言ってリュートさん達と合流しないとなって思い振り返ろうとした時、プッと小さくクラクションの音が鳴った。

  げっと思い振り返ると、見慣れた軽自動車が視界に入った。運転席には間違いなく姉ちゃんが座っている。

 

「マスター、とりあえず退く」

「え、あ、うん」

 

  車を止めるのに明らかに邪魔な場所に立っていたことに気づき、ティアと一緒に横にずれる。あわよくば逃げ出したいけど、ここで逃げたらいたずらしてた子どもに思われそうだから止めておく。

  くっ、やっぱり自分の家に来るのは迂闊だったか?そんな事を思っている間に姉ちゃんは車を停め、降りてこっちに向かってきた。

 

「ねえあなた達、うちに何か用なのかな?」

「あ、いえ、ごめんなさい、ちょっと見てただけです…」

「ごめんなさい」

 

  自分だって事を言いたいけど、多分信じてはもらえないだろうし混乱させるだけだと思うから、いつも通りティアと一緒にペコリと頭をさげる。

 

「ちゃんと謝れるなんて、偉いわね」

「うぅ、くすぐったいです」

 

  ティアは撫でられるままになっているけど、やっぱりいつになっても頭を撫でられるっていうのはくすぐったい。ちょっと頭を振ってナデナデから逃げ出す。

  頭を上げて姉ちゃんの顔を見てみると、若干訝しげな表情をしている。あ、あれ?何か変なことした?

 

「今の癖……いや、でも、蒼矢は半年も前から…でもそう考えると顔もどこか…それに居なくなった状況も…」

 

  そんな姉ちゃんの小さな呟きが、地球でも衰えないステータスの恩恵もあって私の耳に入る。こ、これはマズイかも…姉ちゃんを見くびりすぎてた。い、いやでも、まだ姿形声の違う私を僕と認識できるとは決まってない!

 

「どうかしましたか?」

「ううん、なんでもないわよ。ちょっとそっちの子がね、居なくなっちゃった家族と似てただけで…」

 

  ティアがそう聞くと、姉ちゃんは普通に正解を答えていた。姉ちゃんって一体……

 

「うーん、まあいいわ。お姉さんの名前は結衣って言うんだけど、お名前教えてくれるかな?」

「キリノ イオリです」

「ティア クラフト」

「うん、ありがとうね2人とも」

 

  姉ちゃんがそう笑顔で言う。ティアの名前を聞いて外人さんなのかな?って呟いてるけど問題ない。よし、あとはバレない内にこのまま…

 

「あ、そうだイオリちゃん。最後に一つだけいいかな?」

「あ、はい。なんですか?」

「イオリちゃんは、青色は好き?」

 

  もっとこう、核心を刺すような質問が来るかと思ったら意外に普通な質問だった。元々好きだし、私の今まで作ってきたアレコレを見て分かる通り…

 

「はい!大好きですよ?」

 

  私がそう言うと、姉ちゃんは軽く握った左手を顎に当て何かすごい勢いで考え事を始めたみたいだった。

  そしてすぐに手を元に戻し、私を指差して優しい声音で言う。

 

「あなた、蒼矢の子どもね!!」

「いや本人だよ結衣(ゆい)姉!!」

 

  全く、酷いラノベ&ゲーム脳を見……た……

 

「あっ」

「あーあ」

「へ?」

 

  つい反射で言ってしまった事に気付いた時にはもう遅く、場には沈黙が降りていた。

 




最後の質問は、冗談8割5分・鎌かけ1割・確信五分 程度なので、イオリちゃんが冷静に対応していた場合何もありませんでした。

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