異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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なろうと比べると、こっちの方が気楽に書けるから好きなんだよなぁ…

投稿時間ミス…


第15話 危険なスキル達

「うんっ、なんかすっごく久しぶりに入った気がする!」

 

 私がそんな事を言って、軽く伸びをしながらギルドに入った瞬間空気がガラリと変わる。具体的に言うなら、和やかな雰囲気から第二戦闘配置くらいまで。

 その変化に慣れていないロイドの手を引き、冷や汗を流して固まっている受付嬢さんの待つカウンターへみんなで歩いていく。

 

「すみません。この男の子のランクアップとこっちの女の子のギルドカードの更新をお願いします」

「私は転職部屋を使わせて下さい」

「了解しました……はぁ、Sランクへの昇格ですか」

 

 やっぱりかという感じで、頭を抱える受付嬢さん。そしてもう諦めきった雰囲気を出し、能面のような無表情で受付嬢さんは続ける。

 

「はい、名前は……ロイドさんですね。お二人の推薦という事でよろしいでしょうか?」

「は、はい!」

「気合は十分なようですね、それでは闘技場にてお待ちください。数分後に担当の者が伺いますので。それと【流星群】さんに関しては、そこの突き当たりの角にあるのでご自由にお使いください」

 

 えっと、その…….私への対応冷たすぎない? 一応私にも迷惑をかけてたって自覚はあるけど泣いちゃうよ? こ、これでも精神は結構退行……してるもん。

 

「ギルドカードの更新はランクによっては、再発行となります」

「ランクはS、年代は古すぎて分からない」

 

 そう言ってあの古文書みたいな紙を取り出す。うーん、やっぱりどう見ても再発行のような……

 

「これは……いえ、ランクはそのまま再発行させていただきますね。30分ほどお待ちください」

「了解」

「うぅ〜……じゃあ私は職業見てくる」

「暇だからついてく。リュートさん達は、ご自由に」

 

 トボトボと歩いていく私にティアが付いてきてくれる。いいもんいいもん、どうせ私は迷惑掛ける系幼女だもん。

 

「それじゃあ僕達は、ロイド君の戦いを観戦してるから」

「イオリちゃんが応援に来れば、絶対勝てると思うもん!」

「うん、わかったー!」

 

 そう言って手をパタパタと振り、私とティアは一緒に転職部屋に入る。この変わり身の速さはやっぱり、私みたいな小さなこの特権だと思う。

 

「さーて、今回はいい職あーるっかなー?」

 

 そのままハイテンション気味で、台座の上の水晶に手を乗せる。いつも通り大量の職業が表示されると思っていたけど、今回はたった3個の職業しか表示されなかった。えっと、なになに? 

 

『ゴブニュ』『ベルゼブブ』『ラジエル』

 

「ねえティア、これって……」

「うん、確実にスキルの影響」

 

 ゴブニュはいつも通りの鍛冶系職業だからいいとして、他は……

 

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《ラジエル》

 叡智の功を得た者に贈られる聖なる職業。

 その者、智の詰め込まれし神の本。世界を暴く者也。

 特別職業:この職業を入手すると、種族にラジエルが追加されます。

 ================================

《ベルゼブブ》

 暴食の罪を犯した者に贈られる罪深き職業。

 全てを喰らうその力は、いつか己すらも喰らい尽くすのだろうか? 

 特別職業:この職業を入手すると、種族にベルゼブブが追加されます

 ================================

 

「マスター、取るならゴブニュ1択。他はダメ」

「え、あ、うん。元々そのつもりではあるけど……」

 

 ラジエルは楽しそうだから取ってもいいかなーって思ってたのに。ベルゼブブは無し、絶対超ハイリスクハイリターンな性能だもん。

 

「折角のバランスが、一瞬で崩れる事になる」

「バランスブレイクって強そうだけど……まあいいや。この際だし、七大罪のスキルと、その反対だから……七元徳? のスキルってどんなやつか教えて欲しいな」

「了解」

 

 頼んでみたら普通にOKしてくれた。もうちょっと渋るかと思ってたけどラッキーだね! 

 

「まず、七大罪のスキルについて。種類は《傲慢》《嫉妬》《色欲》《暴食》《強欲》《憤怒》《怠惰》の7種類。詳細は長くなるから省く、けどどれもチートスキル」

「うん、それは分かるよ! 一応一つは持ってる身だし」

 

 あのストックの量はキチガイ染みてるし、ちょっと応用しただけで……いや、こっちはまだ未完成だからいいか。

 

「ここまでは確認。そしてデメリットとして、そのどれもが理性を侵食する。暴食なら極度の飢餓感に取り憑かれ、傲慢なら慢心に取り憑かれる。けど、スキルだけの状態なら、七元徳のスキルがあれば、それは押さえこめる」

「ほえ〜……だからティアは、私と契約するのを急いだんだ」

 

 確か契約するときに似たような事を言っていた気がする。

 

「そう。そして大罪と対応する職業は、そのスキルの能力、理性の侵食速度、身体能力の3つを強化する。これを取ったら、七元徳のスキルは塗り潰される。これは七元徳側でも同じ」

「ティア、もし『ベルゼブブ』と『ラジエル』を同時に取ったらどうなるの?」

 

 どっちかを取ったらどっちかが塗り潰されるなら、両方取ったらいいんじゃないの? っていう頭の悪い考えだ。ほら、よく光と闇が合わさって最強に見えるってあるし。

 

「一つだけある前例だと、取った瞬間半径10kmを吹き飛ばす大爆発を起こして、しばらく極大の汚染を撒き散らし続けた。因みにバカ転生者」

「やっぱり光と闇が云々は憧れる物なのか……やらないけど」

 

 最高ランクの魔物がうじゃうじゃいるっていう魔物の大クレーター、作られた経緯がまさかそんなのだったなんて……

 

「それじゃあ七元徳側に移る。こちらは大罪に対応して、《忠実》《節制》《慈愛》《勇気》《叡智》《正義》《忍耐》の7種類。こちらもこちらでチートスキル」

「それも、この眼で実感してるかな」

 

 そう私は自分の左眼を指差して言う。最近ティアに教えてもらって、叡智込みでのちゃんとした使い方ができるようになってきてるのだ。

 

「こちらはデメリットはなし。けど、ほんの少し対応する感情が強くなる。ただし、対応する職業を取得した場合は別」

「別?」

「そう、極端に強くなるけど、対応する感情に取り憑かれる。あと羽が生える」

「うわぁ……」

 

 もしさっき相談しないで取ってたら、叡智だから……ノゲノラのフリューゲルみたいになってたって事? もしくはそれ以上……ぶるぶる。

 ちょっとした寒気に襲われていると、ティアが最後にと話を続ける。

 

「最後に。どのスキルも、例外を除き所持者は世界に1人。しかも所持者によって、少しスキルは変質する。詳細は後で教えるけど、正確ではないかも」

「分かった。教えてくれてありがとね、ティア」

「マスターの精霊として、当然の事」

 

 凄く自慢げなティアを横目に、私はもう一度水晶に手を乗せ『ゴブニュ』を選択する。確かゴブニュってケルト神話だった筈……これはもうゲイボルグ作らないと。

 

 ──職業 ゴブニュ を入手しました──

 ──マジカル☆スミス☆ハンマーを入手しました──

 ──条件の達成を確認──

 ──職業 アルケミスト が トリスメギストス へ成長しました──

 

「……」

 

 私は無言でマジカル☆スミス☆ハンマーなる物を取り出す。それはピンクと白などの色合いの、なんというか所謂小さな女の子向け商品みたいな物だった。

 

「マスター、気にする事じゃない」

「や、優しい目でみるなぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

 転職部屋に私のそんな叫びが響いた。

 


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